転職で給料が下がると税金はどう変わる?

転職で年収が下がったにもかかわらず、「思っていたより税金が高い…」と感じたことはありませんか?
これは、税金のしくみを知らないと見落としがちな「課税のタイムラグ」によるものです。
(1)住民税は「前年の収入」で決まる


転職した知人から「年収が下がったのに、税金が高くて払えない」と相談を受けました。
年収が下がれば、税金も減るはずですよね?

いい質問ですね。わかりやすく、プロ野球選手を例にしてみましょう。
たとえば、前年の年俸が5億円だった選手が、翌年1,000万円に減ったとします。
それでも「税金が払えない」と悩んでいる…なぜだと思いますか?

5億円だったときの税金が翌年に来るから、ですか?

その通りです。
税金には「所得税」と「住民税」がありますが、このうち住民税は前年の収入をもとに計算されるんです。
つまり、去年たくさん稼いでいた人は、今年の収入が減っていても住民税は高いままというわけです。
税金の種類 | 課税のタイミング | 支払い方法 |
---|---|---|
所得税 | その年の所得に対して | 給与から天引き(年末調整で清算) |
住民税 | 前年の所得に対して | 翌年6月から毎月納付(普通徴収 or 特別徴収) |
この違いを知らずにいると、「なんでこんなに税金が高いの?」と驚いてしまうのです。
(2)野球選手の例で再確認
再びプロ野球選手の例で見てみましょう。
- 前年の年収:5億円 → 翌年の住民税:約5,000万円(10%計算)
- 住民税は、6月以降から月々約400万円ずつ引かれていきます
- しかし、翌年の年収が1,000万円の場合、手取りは約70万円ほど
- 結果的に、月300〜400万円のマイナスが続くことに…

これはかなり厳しいですね…

そうなんです。だからこそ、「年収が下がるかもしれない年は、前年のうちに住民税分を残しておく」ことがとても重要なんですよ。
▼動画で確認したい方はこちら
転職で給料が下がった年の注意点

(1)年末調整で税金が戻る可能性も
転職や異動などで、1年の途中から年収が下がった場合、税金の取り扱いにも注意が必要です。
なぜなら、年初に想定されていた年収と実際の年収に差があると、税金を「多く払いすぎている」ことがあるからです。

今年途中で給料が下がった場合って、毎月引かれている税金ってどうなるんですか?

実は、多めに払っているケースが多いんです。 というのも、所得税は毎月『このくらい稼ぐだろう』と想定して計算されてるんですよ。

ということは、実際の年収がその想定より少なかったら…?

そう、払いすぎた分は年末調整で戻ってくるんです。
1:なぜ税金を多く払ってしまうのか?
所得税は、毎月の給与から源泉徴収という形で先に引かれています。
これは「この人は年収いくらくらいになるだろう」という会社側の想定に基づいていて、たとえば年初の給料水準が高ければ、その分高めに引かれることも。
しかし、転職や降格などで実際の年収が下がった場合、年の終わりに再計算すると「引かれすぎていた」ことが判明することがあります。
2:年末調整はチャンス!
この差額を調整してくれるのが年末調整です。
- 会社員であれば、年末に勤務先が所得を再計算
- 引きすぎていた税金が給与に上乗せされて戻ってくる(還付)可能性あり
- 医療費控除やふるさと納税をしている場合は、確定申告でさらに戻る場合

つまり、給料が下がった年は年末調整でお金が返ってくる可能性があるってことですね!

そうです。ただし、複数の職場で働いていたり、年の途中で転職して源泉徴収票が2枚ある場合などは、確定申告で自分で精算する必要があることもあるので注意してくださいね。
(2)翌年の注意点


前年に比べて収入が大幅に減った人は、住民税の負担を事前に想定しておく必要があるんですよ。
1番の解決策は稼いだ時に稼いだお金を使わずに、住民税分はしっかりと貯めておくことです。
これは私自身も以前に経験がありまして、今まで全て年収が半減するような転職をしているのです。
ココザスを始めて1年目もそうでしたが、本当に税金の支払いがキツくて…
実は住民税は電話して「分割させてください!」ということも可能なのです。
国税は延滞税など、非常にうるさいのですが、自治体は分割のペースを決めさせてくれます。
「1万円も払えなくて、7,000円でお願いします!」というようにね。
それに事前に電話すると、むしろ評価が上がるのです。
ほとんどの人がそのままバックレてしまうので…
お金を貯めていなかったという方は分割での納付を交渉してみてください。
そもそも、ちゃんと貯めておくというのがいい行動だと思います。
対処法:税金で損しないために今すぐできること


じゃあ、実際に転職で年収が下がったとき、どんな対策をすればいいんでしょうか?

3つ、意識しておくといいですね。
① 年末調整 or 確定申告のチェック
- 年末に収入が大幅に減っていたら、年末調整で還付される可能性あり
- 医療費控除やふるさと納税などがある人は、確定申告も忘れずに
② 控除を最大限活用する
- 扶養控除、生命保険料控除、社会保険料控除
- iDeCo(個人型確定拠出年金)も控除対象に
- 控除を使いこなせば、実質的な税負担を減らせる
③ 所得減による給付制度を見直す
- 住宅ローン控除の対象要件に注意
- 児童手当や就学支援金なども、所得制限があるため逆に有利になることも
- 所得が下がったことで、新たに受け取れる支援があるかもしれない

知らなかったことばかりです…。年収が下がると損ばかりかと思ってましたが、活用できる制度もあるんですね!

そう、知っていれば損しない。それが税金の世界なんです。
想像以上に厳しい法人の納税事情


会社経営をやり始めると本当に痛感しますが…
サラリーマンの方の給与とは違って、会社の利益は自分ではコントロールできませんよね?
調子いい時もあれば悪い時もあります。
会社員の給料をコントロールできると言ったのは、基本的に減給がなく右肩上がりに上がっていきますよね。
下げてるというのは、自分で下げる決断をしている。
つまり選んでるからコントロールできているわけです。
細川さんの給与を「来年は半減でいいですか?」と急に言うと、会社側が訴えられるわけじゃないですか?
僕はちゃんと引当金を積みたいタイプなんで5,000万円の利益を出したら1,500万円ぐらい法人税で納める。
他にも消費税を1,000万円、2,000万円と払ったりする。
そしてわずかに残った2,000万円ぐらいのお金を残しておきながら次の期が始まるの。
しかし、次の期の利益ってどうなるか分からないですよね?
法人税と消費税というのは法人が納めなければならない税金です。
昨年5,000万円の利益を出したから、1,500万円の法人税を納めた。
その次の年、5,000万円の利益が出るという確証は全くない中で半年に1回750万円を納めなきゃいけないのです。
予定納税といって、法人税は半年に1回支払いをしますが、期末に調整するのです。
利益が出ていなかった場合は還付を受けられます。

ただ、利益が出てないということは2期目が苦しいわけですよね?
苦しい時にその前の調子良かった時の利益に応じた法人税を半年後に徴収されるので…

それはさっきの「役所に電話して分割払いを〜」というお願いができるのですか?

いえ、一切できません。
国税は厳しいのです…
納税が遅れることがあれば14.6%の延滞税が取られます。
そして、もっと遅れると法人税法違反になって最悪逮捕されるのです。
そしてもう1つ消費税に関しては、中小企業の場合大抵3か月に1回の予定納税になります。
前の年にもし2,000万円を納めたのであれば割る4をしましょう。
そうすると、3か月に1回500万円を予定納税としてこれまた納めるのです。
消費税というのは(ちょっと難しいことは割愛しますが…)従業員をたくさん雇用していればするほど納めることになります。
従業員給与は非課税なお金の支払いです。
うちみたいに30人を雇用している場合は大体年間で2億円くらいのお金を人件費として支払っています。
では出した利益が5,000万円だったとすると、2.5億円の10%で2,500万円ぐらいは年間で消費税を納めているのです。
これらは全て予定納税という形で先払いになります。
法人でも個人でも言えることですが、前年の稼ぎに応じて取られる税金が何があるのかをしっかり理解する。
そして、ちゃんと引当金を積んでおくこと。

私が言う「貯金はいらない!」というのは、引当金も要りませんよと言ってる話ではありません。
本当に使わない余剰資金を寝かせておくことが死に金ですよと言っています。
口座をいくつかに分けて、納税用のプール口座を作るというのをちゃんとやってください。
細川さんに関しては住民税になりますね。
もし仮にね、転職して年収が下がるようなところに行ったとすると…
ちゃんと今年稼いだ高いお給料に応じた住民税のプールをどこかの口座にしておいて、そこは絶対に触らないでおきましょう。
これは転職を考えている人にとってはかなり重要な情報です。
今日は「住民税の怖さ」について説明をさせていただきました。
ありがとうございました。