今回は節税商品についてレクチャーします
今回は「節税商品」についてレクチャーをしていきたいと思います。
よく色々な方から、商品の売り込みを受けているのですが…
その中で、まず話も聞かないなというのが「節税系の商品」なのです。
しかし、この類いの商品の話は必ず聞きません。
なぜだか分かりますか?
メリットになりそうなので聞いた方がいいと思いますが…
よくある節税商品というのはほとんどの場合、税金を今かからないようにして来期など別の時に遅らせています。
節税=繰延なのです。
もちろん例外もありますが、かなり細かな話なので今日は一般的な節税商品の話をします。
私が「なぜやらないのか?」というと、実質的に節税になってないと思うからです。
繰延にも関わらず、意味なくキャッシュを失ったりしてるわけなのです。
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節税商品の仕組み
具体的にどういうケースなのかを説明していきましょう。
そもそもなぜ税の繰延ができるのか?
どういう仕組みで節税になるのか?これは分かりますか?
売上より費用が大きくなると赤字になるので… それによって節税できるというイメージです。
そうですね。
個人の場合はどうでしょうか?
会社員で払っていた税金を還付することができるということでしょうか?
つまり節税は基本的に「所得税対策」です。
一旦、消費税の方を外します。
個人と法人で税制が違いますが、法人の税制はどれぐらいですか?
僕は会社を持ってないので分かりませんが…
社長が30%前後みたいな話をしていましたよね?
25%〜35%ぐらいの実効税率になります。
法人の大きさによって変わりますか?
会社法でいう大企業なのかという点で、住民税の部分で変わったりすることはありますが…
一般的には税引前利益のラインが800万円より下か上か?です。
これでこの税率になってくるという感じですね。
つまり800万円よりも利益が下であるように調整し続けている法人だと、25%の所得税率になります。
そもそも安いのです。
個人の場合はどうなりますか?
最大55%だった気がします…!
厳密に言うと、45%の所得税+住民税(一律10%や20%、23%、33%、40%などの刻みあり)です。
うちのお客様でいくと、所得税のライン20%〜33%。
この辺りが1番多いかな?と思います。
なので個人の方の方がやっぱり節税メリットは大きいよねという話になります。
これが節税の大きな仕組みという点をまず覚えてください。
原価償却とは?
次に「なぜ節税ができるのか?」を考えた時に、1つ絶対に覚えなければいけない言葉があります。
それが「原価償却(げんかしょうきゃく)」です。
物によって、耐用年数が定められていますよね。
固定資産を購入した場合、資産計上できるものと費用と言って、当期に全額を落とせるものがあります。
会社員の方で不動産投資をやっている人の場合…
初期費用と言われる銀行との手数料。
税金の支払いや保険でしょうか?
手数料は「支払い手数料」という勘定科目で1発で落とせそうですね。
こういうものが全部資産になります。
不動産投資家であるあなたがかなり大きな規模でやっているとしましょう。
この事業のために車を購入して、物件を毎日回らなきゃいけないとします。
その車は新車で600万円で購入しました。
この車はどのように計上されますか?
車は固定資産に入るので…
対応年数に応じて費用を計上していくと思います。
その通りです。
600万円で購入した車は当期に一括償却はできません。
法定耐用年数が決まっているので、新車だと6年です。
この6年の中で、100万円ずつ毎年費用計上できるということです。
なので1年あたり100万円しか経費削減にはならない。
これが減価償却の仕組みです。
世の中の節税商品はほとんどがこの減価償却の仕組みを使っています。
節税商品としてパッと思いつくものはどんなものがありますか?
ドローンや足場レンタルが流行りましたよね?
すぐダメになりましたが…
あれらの節税商品の何がいけないのか?を、説明していきます。
例えば、1,000万円分の足場を買うとしましょう。
基本的に30万円未満の商品は小額減価償却資産と言って、
なので、1本10万円の足場×100本購入すると、減価償却資産になるというロジックで全額落とせる。
しかし、当然否認されますよ…!
ただ当時はそれをやっている方がいました。
仮にそれができたとしましょう。
この足場を1,000万円分買わなかった場合、1,000万円の利益が残ってしまってたわけです。
ということは、税を約30%としましょう。
300万円の納税が発生していた。
そうすると、キャッシュで700万円が残っていますよね?
真っ当に納税して700万円のキャッシュを残したら良いのでは?と私は思います。
そこからさらに得になるのではないのですか?
もう節税できています。
足場を買って費用を計上して利益を削ったので、
大体のパターンで3年ぐらい、その飛びの足場をレンタルします。
そこでも収入が入りますよね?
その上で3年後に1,000万円だったものを、700万円で買い戻してくれるのです。
大体、節税商品は最後の買い戻しもセットだったりします。
300万円の税金を安くして、最後また700万円が結局戻ってきました。
さあ、これでハッピーですか…?
戻ってくるなら、いいですね。
この戻ってくる時に税金はかかると思いますか?
買ったものが戻っているので…
かからないのではないでしょうか?
費用として計上していなければかかりません。
というのが、1,000万円で買った年に300万円分の節税効果を得ています。
つまり費用計上してるじゃん!と…
そうなると、帳簿上は減価償却資産は1円でずっと残るのです。
なので1円の資産を700万円で売ったことになります。
利益は6,999,999円になりますよね。
個人の場合は?
先ほどは30%で計算をしましたが…
個人の場合でも所得税率が同じで考えてください。
そうすると、210万円をここで払わなければいけませんよね?
この節税スキームで結局いくら得していると思いますか?
800万円くらいでしょうか…?
どのように計算するのですか?
まず買った時に1,000万円の物が700万円になってしまってる時点で、300万円を失っていますよね?
300万円を失っていますが、節税が300万円出来ているのでは…?
しかし、211万円を結局最後に繰延で払っていますよね?
つまり、税金の支払い額としては差し引き90万円分プラスです。
税金の差し引きの部分なので、
なので、節税でも何でもなく…
トータルで見ると、お金を失っているのです。
世の中の節税商品はこんなのばかりですよ…?
300万円の税金を払った方がよかったのでは?と思いませんか?
これを全額ローンで出来るのであれば、確かに節税です。
キャッシュがあまり出ない。
結局、買ったものは再販価格って下がるので…
ここの差額分を失って繰り延べた場合に仮に同じ価値で売ったら行ってこいですよね?
なので、今の納税を後回しにしてるだけなのです。
さらに、この「買い戻ししますよ!」などと言ってくれてる先(業者)が例えば倒産したり…
再販価格が高い金額で売れなかった場合はどうしますか?
最初の節税部分だけが得しただけで…
1,000万円損したということでしょうか?
そうなりますね。
世の中のほとんどの商品が今の流れになっています。
そんなリスクを背負ってまで「ナゼやるのか?」という話なのです。
他にも太陽光発電の設備は17年です。
コインランドリーの機械は13年。
トレーラーハウスやコンテナなど…
色々なモデルでこの節税にみんなチャレンジをするのです。
しかし、ほとんどの場合でビジネスモデルとしては今の状態に陥っています。
なのではっきり言って…
最後、結局再販をするのであれば戻ってきて、お金がかかるのです。
これを知らない方がかなり多いと思います。
相談でも「節税商品を希望しています」という内容も結構多いですが…
今の話っていうのはP/Lだけでなく、BSを分かっていなければなりません。
固定資産は、構造が分かってる人はあんまりいなかったりします。
あとは結局キャッシュがどう動くのか?
なので、財務三表全部の知識がないと理解できないと思います。
最低限、いま分かりやすく重要なポイントのみお話しました。
これぐらいは知っておかないと節税商品のジャッジすらもできません。
経営者でも分かっていない方もたくさんいらっしゃいますから…
節税商品って存在しないの?
節税できるなら、誰しもがやりたいですよね?
いい節税商品は存在しないということですか?
結局、出口で売却をした場合にほぼ売却価格がそのまま益金になります。
そして、益金に対して所得税がかかってくる。
ということは、出口を迎えないで済むものであれば節税効果も得ながら他のメリットも得られる。
こういうことがあります。
これを得られるのが不動産です。
長期保有しようということであれば…
不動産の価値は減価償却していくものなので、節税としての利益が得られるケースがあります。
よく聞くと思いますが…
1番節税ができる不動産は何だと思いますか?
木造のアパートでしょうか?
法定耐用年数は22年です。
例えば、15年経過している物件だったとすると…
何年で減価償却すればいいでしょうか?
7年ですね。
21年ー15年の差の、7年ですね。
プラスα経過年数×20%を足すので、3年になりますかね?
なので、7年+3年=10年間で減価償却をすることになります。
定額法や定率などは少し難しいので…
1回考えずに定額で考えたとしましょう。
では、1,000万円の不動産を買いました。
木造15年落ちです。
毎年の減価償却費はどうなりますか?
100万円です。
そうですね、短い期間で減価償却費を詰める。
つまり節税効果が大きいということです。
個人でやったとしましょう。
諸々、給与所得があったりするわけです。
そこに対して毎年100万円です。
これを10年間にわたって計上することができる。
そうすると、差し引きでこれぐらいが課税所得になります。
これからこれを引けるのです。
ここのみに対して課税されて…
しかも、不動産の場合はローンが使えます。
少し古い物件ではありますが、ローンで購入したとすると1,000万円のキャッシュは?
ローンの支払いで分割しているので…
出していないですね。
ちょっと出すだけですよね。
(金利を1回なしにして)20年でもし返すとなったら、1年間に50万円しかキャッシュは出ていませんよね。
50万円しか出てないのに減価償却費だけで100万円詰めています。
これこそが本当の節税効果なのです。
これが10年経って…
帳簿上で1円になっているものをちょっと値下がりして800万円で売った場合はどうなると思いますか?
7,999,999円に売却益がかかって…
バーンとお金が出てしまいますよね。
ということは、10年間積んできたこれ×10年分と同じような金額…
これが結局この時にかかってくるわけです。
所得税率によりますが…
30%から40%くらいがかかってきてしまうのです。
そう考えていくと「これってどうなんだろう?」という話になってきます。
長く持って出口を迎えずにインカムを取り続けるような…
どんどんどんどんローンで不動産を増やしていく。
これをやっている最中の人はひたすら節税効果だけを得ながら実際の資産が増えていくことになります。
ローンの残債がなくなった不動産を持ったら、節税云々というフェーズではなく…
不労所得のキャッシュがいっぱい入ってくるわけです。
黙っていてもお金が入ってくるので200万円〜400万円ぐらい払えばいいのでは?と…
そういう話になってきます。
なので私が節税商品に対して思うことは…
「どうしても節税したい」という場合は、減価償却費用が大きく詰める+保有してる最中にちゃんとインカムが入ってくる。
そして、尚且つ最後売却した時に大きく金額が目減りしないリセールバリューが高いものをやる。
節税効果、インカムゲイン、そして出口のリセール。
これらの全てを計算した上で自分の税率とで考えてExelで弾く。
それでもプラスになるのであれば、やった方が良いと思います。
ですが、私の経験上「別にやらなくていいんじゃない?」というケースがほとんどです。
唯一やってもいいと思うのは、最後の所得税率が0%になるような人ではないでしょうか?
リタイアですか?
現役時代に大きく費用計上して、最後にバンっと売った時にプラスがドーンと出たとしても「その時の所得がありません」という人ですね。
法人で言うと、その時の利益が赤字になっているとか…
そういうところに利益確定をあてにいく。
そして、利益が出る年からまた節税を始める。
こういう風に利益コントロールとしてやっていくってのはアリです。
でも、そこまで考えながらやっている人は少ないのでは?という話です。
この辺りの知識がない人が安易に節税に走ることは非常によろしくありません。
なので、私は警鐘を鳴らしたいなと思っています。
ワンルームマンション投資は節税になるの?
よく「ワンルームマンション投資をやると節税になりますよ!」と言って営業してくる人がいますが…
キャッシュで100万円を払って、その中から30%(30万円)の設定になったとします。
これもさっきの例と全く一緒ですよね?
やらなかったら100万円を払っていませんよね?という話なので…
やらずにね70万円残した方がキャッシュとしてはいいよね?と。
こういう保有期間中の節税効果はどうですか?
ワンルームだと木造は無いので中古物件で、どれくらいの年数で費用計上できるのか…
節税になる場合もあるのではないでしょうか?
多くの営業マンの方が「節税になります!高年収の方の税金対策です!」と、節税のとこばかりアピールして売りますよね?
減価償却について、今回すごくシンプルに1つのものを1つの方法で減価償却してるだけなのですが…
不動産の場合、躯体と設備に分かれます。
躯体の部分は鉄筋コンクリート造は47年、木造は22年のように決まっています。
設備の部分はもっと短いのです。
10年・15年ぐらいで償却できるものがあったりします。
「エアコンは何年…」など、全て細かく決まっているのです。
ということで、加速度償却が最初に取れるわけですが…
最初の数年間の節税効果が得られますよね。
その後は、あまり取れないということでしょうか?
取れないと言いますか…
保有していることによって今度利益が出てくるフェーズが来ますよね?
節税できるのは最初の数年設備の減価償却費を計上できる間です。
それが償却し切った場合、費用計上できるものが減って…
でも売上は変わらないので、今度は会計上の利益が出ます。
では、利益が出るってことは?
納税が発生しますよね。
「納税が発生します!」という説明をあまりせずに、
節税がずっと続くような印象を持つような話し方をする人がいます。
しかし「10年・15年持ったら納税があります」が、正しい説明ではありませんか?
それこそずっと買い続けて繰延していき…
自分の所得が減った時に売却していく。
こういうことができれば節税した所得税と、最後に納税する所得税の税率の差分。
この分が純粋な節税になるわけです。
数字の話ばかりしてなかなか難しい部分もあったかもしれませんが…
正直、最低限これぐらいのことを分かってない人は節税を考えない方がいいと思います。
「節税になりますよ!」という甘い話に乗ってしまい、大切な目の前のキャッシュを失う。
こういうことを本当にやめていただきたいと思います。
もちろん、軽減税率があったりするので…
そこも含めて全て計算をしていきましょう。
また、出口の売却の時にどうなるのか?をちゃんと考えてやっていった方がいいと思います。
私は自分のそういった話に関しては税理士にお任せしているのですが…
一般個人の方も、資産を売却する時は税理士さんにしっかりと確認をする。
これを押さえていただくと良いと思います。
今回は、世の中に溢れる「節税のからくり」の話をさせてもらいました。
結論として、あまり節税を考えずにちゃんと全額納税をしていくことが1番キャッシュが増えます。
そして信用が増えます。
つまり次の借入れがまたできるということです。
「お金を増やしたい」というゴールに最短最速で近づいていくための道だと思います。
なので「あまり節税をするのはやめようね」というのが資産形成チャンネルのスタンスです。
今回もありがとうございました。