投資用不動産の耐震構造を考える
今日は「投資用不動産の耐震構造を考える」です。
関東大震災が発生してからちょうど100年ということで…
テレビなど、色々なメディアが特集を組んだりしていますね。
内田:研究の結果、すごい大きな揺れだったことも分かってきていますよね。
吉崎:関東大震災はマグニチュード8ぐらいだったのではないか?ということで…
今、政府が30年以内に7割の確率で起こると発表しています。
公表している範囲(首都直下地震)ですが…
これはマグニチュード7クラスの直下型地震の想定なので、つまり関東大震災クラスの想定ではないということです。
資料を見ていると、その関東大震災クラスに限定すれば、限りなく0から、5〜6%になるのではないか?と。
ただ、マグニチュード7クラスが起こると相当な被害が出る可能性があります。
ということで、投資用あるいは居住用を含め、マンションを購入する際には耐震性が大丈夫か?が、気になるところじゃないかなと思います。
そうですね。
これは気にしておかないといけませんね。
「耐震」と言うと、いろいろ方法がありますよね?
「免震」なども聞きますが…
まずそもそも、建築基準法というのが決まっています。
1981年に現在の建築基準法は施行されていています。
これは確認申請ベースで、1981年より前は旧耐震の物件、1981年より後は現在の耐震基準の物件になっている。
一応それを満たしていれば、建築基準法的(つまり確認申請)は通過するということになります。
内田:今のは現行法上、1981年にできた法律なのですね。
吉崎:ただ、1994年に神戸阪神淡路大震災があったこともあり、多少の変更が2000年にありました。
現在は2000年の基準が耐震基準になっているということになります。
ですが、建物には木造、軽量鉄骨、S造、SRC造など色々な建物があります。
あそこにあるビルは、SRC(鉄金鉄骨コンクリート)造で建てられていますが…
こういう巨大なビル、あるいは大きなマンションは、基本的にはその耐震基準を満たしつつも、何らかの耐震構造が施されている物件です。
耐震構造にはランクみたいなものがあり、1番揺れを感じないと言うと語弊がありますが…
ほとんど感じにくいのが、免震構造。
次が「制震構造」の物件です。
制御の「制」に、地震の「震」の構造の物件。
そして1番ベーシックなものが「耐震構造物件」というふうに呼ばれます。
免震とは?
順番に行くと、免震(めんしん)。
これは建物の下を掘って、そこにダンパーを…
ものすごい大きいのをよく写真やネットで見たりしたりしますね。
吉崎:棒みたいなもので、吸収するということですね。
クッションアブソーバーを入れていて、その上に建物を乗せるという感じですから…
地面と建物の間に何か間のもの(構造物)を設ける。
内田:なるほど。
すると地面が揺れたとしても、ダンパーがあることによって上はあんまり揺れない?
吉崎:その間のものを入れることで、それが吸収してくれる。
分断しているわけです。
内田:高層ビルですごく高いマンションなどは、それが多いのでしょうか?
吉崎:最近は増えてきていますが、すごくお金がかかるのです。
さらに、例えば敷地があったとすると、敷地をある程度、使わずにおいておかなければなりません。
これを「空地(くうち)」と言いますが、空き地と書いて空地(くうち)と読みます。
要は「そこの場所は使うな!」という割合が出てくるので…
広い土地にどん!と、ビルを建てる時は当然、間に公園を作ったりしますよね?
ああいうところがある時は使えますが、敷地内にきちきちにマンションを建てる場合は、理屈上はできないのです。
色々な工夫があるのでしょうが、そうしにくい。
内田:なるほど。
吉崎:要は、使わないところが結構出てくるため、建物的に使わないところです。
お金がかかることと、使う場所が出てくるという2つが、免震です。
つまり広い場所が必要で、投資採算性は悪いという…
なので、すごい大きなマンション、タワーマンションのような、すごく背が高くて戸数が多いと、割り算するとしれています。
とても大きなビルを同じように割り算すると、賃料に跳ね返る分はしれると。
内田:いっぱい住むのでいっぱいお金も貰えるから高いコストでも大丈夫という…?
吉崎:「しれているよ」ということですね。
そういう所にしか使われていないということですが…
まあ今1番、パッと港区虎ノ門のここから見えるビルは大体そうですね。
制震について
そして制震は…?
これは、ダンパー(揺れを吸収するもの)を構造物の中に作る。
柱の中に入れたり、筋交いに入れたりなどですね。
内田:それもコストが高そうですよね?
吉崎:そのものはかかりますが、下に埋めることに比べるとまだまだですね。
後は数を選べるので「どこと、どこにしようかな?」などね。
内田:ではお金によって?ということですね。
吉崎:予算によってということです。
免震と制震は少し似ていますが、ちょっとだけパターンが違うのです。
耐震について
もう1つが耐震。
壁、柱など、そもそも頑丈なものや補強材で補強をすることによって、揺れを防ぐということです。
3つの中では、1番揺れます。
そもそも揺れないのですが、この中ではまだ若干揺れる。
さらに階が上に上がれば上がるほど、揺れは伝わります。
そうか!
すごく揺れる映像を見たことがあります。
吉崎:上の階に行くと揺れるのが、耐震構造の特徴です。
揺らして防ぐという形になる。
ただ、コストは1番安く収まります。
今のことから考えると、それほど高くないマンション、高くないビル。
大体どこかが10数階くらいでしょうか…
正確にはどこまでと言いづらいものがありますが、10〜15階ぐらいかな?
そのくらいの高さのマンションであれば、耐震問題で多少揺れるけれどもコストを抑えて、それほどの大きな問題にはならないでしょうというような状況になっている。
そう考えると、さっきの敷地のようなことや利用率のこととかを考えた時。
あるいはコストの面を考えた時に、投資用のマンションでいうと、耐震構造ぐらいそれなりに無難かな?と。
内田:不思議なのですが、何階以上とか…
建物がどれぐらいの大きさでいいのか?という点で「免震にしなさいよ!」「制震にしなさいよ!耐震でいいですよ!」というものが決まっていないのですね。
吉崎:そうです。
「建築基準法」と「品確法」という別の法律があります。
要は「この品種基準を満たして!」という法があり、それを満たしていれば、どんなやり方でも基本的にはそれでOKと。
あくまでも耐震性を高めるための工法ですので、どの耐震を満たすか?は、やり方があるということですね。
内田:投資する時も、もちろん住むときもそうですが…
1番いいなと思うのは「免震」ですが、物件が高くなったり、あとは広い場所でないと駄目なので、物件を選ぶという点では、なかなか難しそうですよね?
吉崎:結構お金もかかりますし、広さも必要なので…
いわゆるタワーマンションと高層ビルでは、最近はだいたい免震をやっています。
それ以外では、それほどでもないという感じですね。
施主の考え方の1つですが、免震でやっているところもいっぱいありますし…
まず「高層ビル・高層マンションは基本的には免震がいいですよ」とされているということですね。
内田:物件選ぶ時には、気にした方がいいわけですよね?
吉崎:もちろんですね。
だいたい説明してくれると思いますよ?
僕は、42階建てくらいの免震マンションの39階に住んでいたことがありますが、全く揺れを感じないのですよ。
その代わりに、エレベーターが止まりますね。
「何でエレベーターが止まっているんだ?」と、思いましたから…
内田:すごいですね…!
それぐらい揺れを感じないのですね。
もちろん皆さん気にされてると思いますが、改めて自分の所がどうなってるかな?というのもね。
吉崎:免震もいいと思いますが、大事なのはコストとのバランスですよね。
内田:確かに是非チェックしていただければなと思います。
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年9月4日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています