今年の金利動向と不動産投資の見通し
今日は「今年の金利動向と不動産投資の見通し」について考えていきます。
金利ですが、じわじわと上がってきています。
今日も金利のニュースを取り上げましたけれども、安藤さんどうですか?
これは個人投資家の方々にも影響が出始めているのですか?
昨年から少しずつ上がってきて、それが投資用のローンに影響が出てきて…というのはありました。
そういう点でいうと正直今の所そんなに影響がないというのが現実ではあります。
内田:そうすると、今後出始める可能性も秘めている訳ですよね?
安藤:この金利上昇の勢いが続いて、不動産価格に影響があって、価格が下落してという様な話になってくると、もちろん色々影響が出てくるとは思います。
しかし、まだその辺りは様子を見ている方が多いかなと。
あまり昨年から今年にかけて問い合わせが減ったとか、そういった所はありません。
やろうと思っている方は物件を探していますし、中には「様子を見よう」という方もいます。
内田:ただ、金利が上がっていくとするならば、少し早めに買っておかなければ等と思う方々がもちろんいる筈なのかな、と思ったり…
今日は、今後、個人投資家の方にどのような影響が出てくるのか、どのような可能性があるのかを、吉崎さんと安藤さんで少し考えていきたいなと思っています。
まず吉崎さん、どうですか?
住宅ローンの金利と、不動産投資用のローン金利は少し考え方が違うと思います。
住宅ローン金利は、メガバンク含めた各銀行の(少し言い方はあれですが)熾烈な戦いが起こっていて「うちが1番安いですよ」みたいな事をたくさんやっている訳ですね。
特に変動金利がその主戦場になっていて、大手メガバンクでも0.5%を切るような変動金利です。
ネットだけでやっているネットバンクという所でいくと0.3%とかあったりする。
という所で、現在の政策金利はまだマイナス金利のままなので、そう考えると変動金利はかなり低く抑えられていますが、固定金利は上がりつつある。
特に、固定の長いものは結構上がってきていると。
内田:もう実際に?
吉崎:実際に上がってきているという事になります。
一方で、不動産投資用の金利は、当然金利が上がれば借り入れする額が増えるのですが、それだけじゃない所もあって…
それなりに応じて家賃などが上がってくればその分相殺できる訳ですから、家賃がどれくらいまで上がってくるのか、という所に大きなポイントがあります。
その辺りとの兼ね合いがどうか、というのがポイントだと思います。
それで、不動産投資の金利はプロパーで引っ張ってくる方、自分で経営している方等は全然違う金利だと思いますし、一方で信販系の銀行から借りてくる、1.8%や1.6%、2%切るようなぐらいで推移しているようですが、ここはまだそんなに動いていませんよね。
安藤:去年そもそも少し上がって、ただまだ1.7%とかで出してくれる銀行があるので、そんなに動いていないという回答になりますね。
吉崎:ですよね。
今の所まだ分からないけれども、今日この時点では大してそんなに動きは無いという感じで、ここがどういう風になってくるのかな、という所が注目ですね。
内田:日銀がどんどん金利を上げていくということも、今の所まだ描き難いですよね。
安藤:今後の流れは正直難しいですよね。
吉崎:上げる事では、基本的には上げると相当、不動産価格も含めて、水を差す事になりますので、やはりこれは日銀の独立性がどれだけあるかという問題はある。
けれども政府とすればそれ程…
(誰を以てして政府とするのか分からないけれども)本来はそれほどやりたくは無いでしょうね。
やりたいのは金融庁とか財務省とか、そういう方々はやりたいでしょうけれども、政府全体とすればどうか?という様な感じがする。
ローン金利が及ぼす影響
ローン金利はどれくらいまで上がってしまうと実際個人投資家の方々に影響が出ると考えたら良いのですか?
これも先ほど言った、住宅ローンは所得がどれくらい上がるかによって変わってきます。
所得がそれにつられて上がれば、基本的にはいってこいの関係ですから、あまり大きな変化は無いし、不動産投資の方でいうと、賃料がそれにつられて上がれば、それもそんなに関係は無い。
もちろん物件の規模によってまた変わってくると思うので、今少し手元で金利電卓を叩いていたのですけれども…
例えば3,000万円くらいの物件マンションをサラリーマンの大家さんが持っているとします。
金利が0.2%上がると、3,000円くらい支払額が変わってきます。
内田:月々3,000円?
安藤:もちろん低い方が良いのですが…
金利が上がったからと言って「一気に支払いができない方が増えるのではないか?」と煽っている記事等もありますが、そこまでは上がらないでしょう、と思っています。
吉崎:今の話だと、3,000円分の家賃が上乗せされればチャラ。
それが1番重要なポイントで、そこから上がるのか?ということです。
同じ話は、自宅の場合はそれが所得だということ。
金利が上がっても投資はやるべき?
でも、どうなのでしょうね?
今聞いてきた話の中で考えるとするならば、金利が上がったとしても、投資をやったほうが良いのかやらない方が良いのかと考えたら、やったほうが良いということになるのですかね?
投資用ローンってほとんどが変動金利ではないですか?
固定金利もありますが変動金利で借りる人が多いですね。
安藤:一部固定はありますけれども、変動を選択する方が多い。
そうなってくると半年に1回見直しがあって、下がる時は下がります。
なのでいつやり始めたとしても下がる可能性もありますし、逆にいうと上がる可能性もありますし、住む為の住宅ローンをフラットで組むというのは少し控えている方が多い印象があります。
固定がいま一気に上がっているので。
投資という観点でいうと、比較対象が「やらなかった場合の自分」と「この条件でやった場合の自分」という所で皆様比較されるので、老後の備えが必要であれば検討されていますし、その様な方が今の所多いです。
吉崎:同じ話を繰り返すようですけれども、結果的にそれは2~3,000円の支払い、2~33,000円の賃料増があれば良いのですよ。
住宅ローンも同じ事が言えます。
つまり、今みたいに需給のバランス、需要が増えてきて、その流れに乗り、賃金が上がるという、所謂一般的な経済学的なインフレになれば、家賃はCPIの一部ですから。
当然CPIの上昇、家賃の上昇は限りなくイコールなのですよ。
そういう循環の中で、金利が上がっていくのは仕様が無いし、多少時差はあるかもしれないけれども…
そのうち賃金、家賃が上がれば、上がった所でいってこいなのですよ。
その状況じゃないのに、単なる見掛けだけの、原価が上がっているだけの中で金利を上げると、これはもろに被る訳です。
そういう中で「今上げて良いの?」という状況なのです。
少なくとも、不動産投資のアドバイスをするような立場からいうと「ここで金利を上げられたら結構痛いよね…」というような感じ。
今はかなり低いので少し上げるくらいは良いのですよ。
どーんと上げるのは、これは少し経済の理屈上合わないのでは?と思いますね。
賃金が伸びてきた、という状況が明らかに出てくれば変わりますけれども…
内田:先ほども言いましたけれども、上げるって少し考え難いと言えば考え難いですよね…
吉崎:理論上、上げられないですよね。
安藤:不動産投資も、住宅を作っているメーカーさんも、吉崎さんが仰るようにかなり苦しいですよね。
金利が1%上がりました、みたいになってくると…
吉崎:本当に苦しいと思います。
それに応じて所得が上がってくれば、当然所得の一部から家賃を払いますからね。
この循環がこない限り、どんどん苦しくなるだけですよね。
安藤:だから「できないよね」というのが現状。
吉崎:ですよね。
需要の量を見ながらではないと絶対にできないですよね。
その理屈通りになるかどうかは分からないですよ。
これは政府や日銀の判断ですから、分からないですけれども、理論上は絶対にこうですよね。
今は待つべき?動くべき?
今は結果として待つべきなのですか?動くべきなのですか?
今日この瞬間、今日明日買うのは少し待つべきかもしれないけれども…
17・18日に日銀政策決定会報があって、その中でどちらにいくかによって変わると思いますね。
あとは物事を短期に考えていて、買って数年後に売却して利益が取りたいとか、そう思っている方は、当然今は控えていますよね。
ただ、凄く長い目で見ていこうという方にとっては、正直誤差の範疇というか。
吉崎:そうですね、それは言えていますね。
5年10年の単位で見たら誤差の範囲ですね。
内田:不動産投資って、少し長めの投資というイメージがあります。
吉崎:一般的にはそうですよね。
中には短くやる方もいますけれどもね。
安藤:そういう方は、実際今が売りタイミングなのではないか?と言って問い合わせされている方がいらっしゃいますよ。
内田:そういう動きの変化は出てきているよ、と。
吉崎:こういう時だからこそ、良い物件が出てきたりしますからね。
やはり目利き力が勝負になってくる1年ですよ、今年は。
これは伸びるなとか、これはやばいなとか、どれくらい目利きができるかだと思います。
内田:それもまたチャンスですね。
ちゃんとした専門家の方、信頼できる方を見付けなければいけない、というのもあるのかもしれませんね。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「吉崎誠二の5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年1月16日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています