金価格が最高値をつけた!
この前「金(ゴールド)の価格が史上最高値をつけた!」というニュースがありました。
十数年前は2,000円〜3,000円くらいだったイメージですが…
私が覚えているのは、今から20年くらい前でしょうか。
ドン・キホーテでグラム1,200〜1,300円の金のネックレスを買いました。
そこからすると10倍くらいですね…!
確かその当時は金ではなく、プラチナの価格も2,500円くらいだったと思います。
「プラチナ」という素材が1番高い!と言われていた時期がありましたよね?
ありましたね。
間違いなくその記憶があるのですが…
今となっては値段がひっくり返って、気が付けばプラチナよりも金が今は高くなりました。
プラチナは当時から4,000円くらいだったのですが、3,000円くらいまで落ちた時期もあり…
今は4,500円くらいなので、金の半分以下の価値です。
それくらい金の価格が上がり続けているということなのです。
金の価格はどんなペースで値上がりしているか?と言うと…
2000年の時は1,000円、2005年は1,600円、2010年には3,500円、2015年には4,500円。
2020年は6,000円と…
現在、2023年では1万円を超えました。
いきなり上がったのです。
コロナが日本に上陸したとき(2020年3月)の平均価格は5,572円でした。
なのでそこから80%ぐらい、今日までの間に値上がりしています。
動画で確認したい方はこちら
金価格はドル円の為替相場で決まる
理由はあるのでしょうか?
ここを今日話したかったのですよ…!
実は「上がったようで上がってない」のです。
なぞなぞみたいなことを言っていますが(笑)
上がったように見えるけれど上がっていない。
なぜでしょうか?
いや…
社長が何を言っているのか分かりません…
一言で言うと…
日本の金価格は為替、その中でも米ドルと円の影響をダイレクトに受けるのです。
「実際はそんなに上がっていない」と言いましたが、数字で言うと2020年3月から80%上がったとお伝えしたと思います。
それが実は…
同じ時期のドルベースだと、1,591ドルでした。
それが1,900ドルに上がっただけなので、20%しか上がっていないのです。
金の価格は米ドルで取引されます。
1591ドルが1900ドルになり、20%上がった。
これが真実なんです。
それを日本に置き換えると…
そこに為替をかけていかなければいけません。
金の価格はどうやって決まるのか?というと、世界に金を取引しているマーケットがあります。
相場があるのです。
ロンドンに金の市場があり、重要なポイントは先ほど言ったように国際的には米ドルで取引をされます。
円じゃないのです。
つまり、日本での価格は最終的にドル円相場の影響をダイレクトに受ける。
この3年半で為替のドルと円はどういう風に動きましたか?
どんどん円安、円安に…
そうですよね、もう1.5倍近くになります。
つまり、先ほど20%…
1.2倍と1.5倍を掛けていくという考え方なので、80%ぐらい上がったよね?と。
では、実際これは喜ばない方がいいのでしょうか?
金を持っている方からすると、単純に資産が1.8倍に増えているので、嬉しいのかな?ということはありますが…
世界の中で日本の円が相対的に弱くなっているということで、海外旅行に行くのも苦しいですし、色々な悪影響も出てきています。
おっしゃるように、一概に嬉しいということではないかもしれません。
為替の話でいくと、この3年一気に円安ということもありますが、確か今から10年ほど前(2012年頃)は1ドル80円を切っていたのです。
そこから行くと90%くらい円安方向に行っている。
2012年のドル円相場から90%、為替が動いたという話なのです。
この時の金の価格は日本円ベースでいくと4,321円。
直近1万円を超えたと言いましたが、当時よりも2倍・3倍になっています。
ただ円安の影響をなくすと…
でも、15%は上がっているのですね。
上がっています。
しかし、考えて欲しいのですが10年間で15%ですよ?
年間あたり1.5%と聞くと…
「金が市場最高値をつけました!」というニュースをやっていたり「金はこれから上がるんだ!」と言ってる方々は少し考え直した方がいいんじゃないの?という話になるのです。
株価と金価格の推移を比較
同じ2012年から現在まで、株価はどれぐらい変わってると思いますか?
金は15%上がりましたが…株価の動きは?
上がったとは思いますが…
まず日経平均。
2012年は金融緩和をする前なのですね。
もっと言うと、2011年の大震災の後はずっと株価が低迷していた時なので8,000円ぐらいです。
では、全然違いますね…
今は32,000円なので、4倍になっているのです。
つまり300%値上がりしている。
金は15%なので、20倍違うのです。
金に投資しているよりも株式に投資してた方がよっぽど資産が増えていませんか?
金価格は動いてないということなのです。
ここの事実をぜひ覚えておいていただきたいです。
今回のニュースで浮かれるのは違うということですね。
報道のバイアスがあって、ニュースで取り上げられると「あぁ、そうなんだ」という流れになりますよね。
しかし、事実を切り取ってみると、ここ10年はドルベースで15%ですから…
今後はどうなっていくと思いますか?
もっとこう伸びていけば、持っててもいいわけですよね?
結論としてはリスクの分散先として金をポートフォリオに組み込むことは良いと思います。
金価格が変わる要因
今回の記事で学んでいただきたいこととして、そもそもどういう要因で金の価格は変わるのか?
これを抑えていただきたいのです。
ポイントはいくつかあります。
一つ目が世界情勢の変化によって金の価格は変わっていきます。
よく聞くじゃないですか?
「有事の金」とも言いますが、戦争が起きたり、テロが起きたり…
こういった時に金の価格は上がっていくのです。
これはどうしてか分かりますか?
お金は燃えたりもしますが、金は消滅しないから…?
物理的にも多分その通りです。
戦争が行われたとして、熱されたとしても金はそのままの形です。
なので、現金よりも価値が高い。
これも確かにその通りですね。
それプラス、一般的には世界の情勢が荒れてくるとリスク資産である株価が下がります。
「怖いな…」と思って株を売る人がたくさん現れるからです。
そうなった時に現金をどこかに置き換えないといけない。
現預金で持っているという選択肢はないのです。
そうなるとリスク分散として金に流れる。
コロナの時に金や現物資産の価格が上がったのはそういう要因なのです。
他で言うと、インフレ懸念がある。
つまり「今後、物価上がっていくな」と思われている時は、金の価格が上がりがちです。
「そのまま持っている金の値段が上がるだろうな」と思われているからですね。
例えば今のアメリカはずっとインフレですよね?
なので、インフレの最中はやっぱり金価格は上がりがちです。
このように物価上昇を狙って金を買いに行く人たちがいます。
どういうことか?と言うと、金利が上昇している局面だと金の価格って実は下がり気味なのです。
金塊は金庫に預けていたとして金利を産みますか?
10年経っても30年経っても何も変わらない状態ですよね?
これが金の良さです。
ただ、金利が上昇している局面では、国債の利回りが上がっていますよね?
債券を買ったらどうなりますか?
増えていきます。
となると「有事の金」とは逆で「金を換金して現金にし債券を買う方がお金を産むな」っていう局面なのです。
金利上昇局面というのは、とにかく「債権を買おうぜ!」という話です。
なので、金利上昇局面の時には金価格は上がりづらい。
このように上がる要因もあれば下がる要因もあるのです。
最初に話した戦争や天変地異…
これが全くない時はわざわざ金を買わずに、みんな株を買っています。
このように複合的な運によって危険価格は上下していくとこういうことなのです。
今後の金価格はどうなる?
では「今後どうなっていくのか?」という話です。
前置きが長くなりましたが、私の考えをお伝えすると…
要因としてはやはり今のこの世の中は読めないのです…
非常にその不透明な経済や社会情勢に関しても日々変わっていく。
こういう先が読めない世界において「金価格が下がる要因はあまりないよね」という話なのです。
株価と違ってそんなに1年で10%も20%も動くようなもので「長期的に保有していたら気づいた時に上がっていました」みたいな話です。
しかし、注意点があります。
この記事は日本語で発信しているので、日本人の投資家さんが読んでいると思いますが…
それはどうしてでしょうか?
さっき言った通り、為替を読まなきゃいけないわけです。
将来の為替を的確に当てられる人はこの世界にいないと思っています。
これからアメリカが利下げをして日本が利上げをしていくことになれば円高になります。
150円が120円まで、20%くらい円高方向にふれた場合、日本の金価格は20%下がるのです。
なので日本人で日本の価格で取引している金トレーダーの方は少し読みづらいですよね。
どんな方が金投資に向いている?
では、どういった方が金に投資するべきですか?
逆に「投資しない方がいい人」は、運用可能な資産が限られていて、かつ短期間で大きく資産を増やしていきたい人です。 こういう方は金を買ったところで絶対に大きく資産が増えませんから、やめたほうがいいでしょう。
いま何億も持っていたり「それなりに運用資産がありますよ」という方が、自分の持っているポートフォリオの中の10%・20%。
これを金に回すことは、1つの選択肢としてありなんじゃないかな?と思います。
先ほどの繰り返しになりますが、この10年で金価格は日本円ベースで言うと2倍以上になっています。
しかし、単純に円をドルに変えてドル札を持っていた人と同じ2倍になっていますからね。
さらに言うとNASDAQに連動するような投資信託をもし買っていた人がいたとしたら…
NASDAQの株価が6倍で、為替が2倍円安になっているので12倍になりますね。
12倍ぐらい資産を増やしているのです。
「2倍より12倍の方がいいじゃん!」という話です。
それを聞くと、金はやらなくても良いんじゃないかな?と…
わざわざ金をやる必要があるのかな?と考えていただいて…
日本の最大手の会社が出てきます。
現物の金を購入できたりします。
金を扱ってる会社はいくつかあるので、一応資料請求ぐらいはしてみたら良いのではないでしょうか?
そして自分のポートフォリオに入れるか?入れないか?そこで判断すればいいと思います。
あとは皆さん証券口座を開いてると思うので、証券口座の中で金のETF(上場している金の投資信託)が買えます。
さらに、ドルコスト平均法で毎月一定額購入することもできます。
今の金の上がりを見ていると…
S&P500のような上がり方をしているので、分散して持っておけば多少の資産にはなりそうですね。
S&P500もこの10年で4倍くらいになっています。
金よりもよっぽど動いていますが…
なので細川さんが言うように「本当に着実に右肩上がりになってるグラフ」は金の価格です。
下がっていないのです。
そういう意味で言うと毎月1万円金のETFを買っていく。
こういう選択をするとポートフォリオの分散の観点、よりアセットアロケーションとしてポートフォリオの分散が進むんじゃないかな?と思います。
金はどれか1つに一点集中して資産を増やしたい時期に選ぶものではありません。
ポートフォリオを組んで資産を守っていくフェーズ。
この時には金は入れ込んでもいいんじゃないかな?と…
これぐらいの期待で行った方がいいと思います。
繰り返しになりますが、過度な期待はせず、ニュースを見ながら「人々が少し、この世の中に対してリスクを感じてきているんだな」と。
「そうなるとこれから株価が少し下がるんじゃないかな?」など、そういうニュースとして捉えていただくといいのでは?と思います。
今回は「ゴールドの価格推移」について話をさせていただきました。
ありがとうございました。