花粉症が日本経済を動かす?
もともと花粉が大量に飛散すると、日本経済に大きく影響すると言われています。
花粉症の方は覚えがあるでしょう。
外出したいくらいの天気でも、天気予報で「花粉大量飛散注意報」的なコメントを見ると、それだけで鼻がムズムズ、くしゃみ、鼻水まで。
急用でないなら、外出そのものをやめてしまうなんてこともあります。
それが大量飛散ともなれば、なおさらです。
花粉症は、「国民病」とも言われるほど患者数も多く、個人消費に大きな影響を与えてもおかしくないのです。
では、花粉症が及ぼすかもしれない、「個人消費」への影響について考えていきましょう。
仕事や通学と同じように、必要なものを買うための外出はやめることはできません。
ネットで買えるものもありますが、毎日の生活に必要な食材や飲み物、使いたいのに洗剤がなくなってしまった時なども買い物に行かざるを得ません。
花粉症の必需品である、マスクや薬などが急になくなった時も同様です。
そんな時、あなたならどうするでしょう。
もしかしたら、できるだけ家から近い場所で済ませて、なるべく早く家に戻るという人もいるでしょう。
そういう人が多ければ多いほど、地域に密着したスーパーマーケットやドラッグストアの売上が上がりやすい一方、少し郊外にあるショッピングセンターなどではその分の売上が減少するかもしれません。
現在のスーパーマーケット市場は、景気悪化?
1月のスーパーマーケット販売統計を見ると、景気判断DIの現状判断は44.8となり、前月から4.0ポイントの悪化。
先行きを示す見通し判断も1.8ポイント悪化して、39.8となりました。
スーパーマーケットでは、多くの商品が値上げされたことで、消費者の節約志向が強まり、買い上げ点数が減少。来店客数も減少しています。
新型コロナウイルス感染拡大を背景に、多くの人が家で食事をするようになった2020年~2022年の反動もあるでしょう。
経済再開、人流復活と騒がれていますが、現在のスーパーマーケット市場は、決して景気がいいとは言えない環境です。
では、スーパー大手のライフコーポレーションの月次売上高を見てみましょう。
実際、この1年間で売上高が前年同月を下回ったのは8カ月。
客数が前年同期を下回ったのはなんと10カ月もあります。
足元、客単価が上がっているのは、さらなる値上げの影響が出ているのでしょう。
次に、スーパー大手のライフコーポレーション(証券コード:8194)のここ3年間の株価の動向を見てみます。
コロナで中食が盛り上がっている時期に株価が上昇し、大きな山をふたつも作りましたが、人流が戻った今は、株価がずいぶん安値で推移しており、現在の景況感の悪さを表しているようにも感じます。
ライフコーポレーションは、本当に業績が悪くなっているのでしょうか。
このグラフは、コロナ前からのライフコーポレーションの売上高にあたる「営業収益」と本業の儲けを表す「営業利益」、販管費などを引いた後の「経常利益」をグラフにしたものです。
実は、前期2022年2月の実績は、コロナ前の2019年2月期を上回り、営業利益はなんと1.8倍超に。
インフレによって仕入原価が上昇していることに加え、人件費増、光熱費や配送費の高騰など、利益圧迫要因を数多く抱えているにも関わらず、好業績を残しているのです。
本来、株価にはこの「業績」も反映されるはずです。
しかし、株価には、「人気投票」という一面もあり、このところインバウンドの復活などが材料視されて、下記の株価チャートの三越伊勢丹ホールディングスのように、百貨店株は軒並み高値をつけています。
百貨店の業績は回復しているものの、まだコロナ前に戻らず
しかし、全国の百貨店売上高では、足元の1月まで11ヵ月連続で前年同月を上回っているものの、実は、コロナ前の2019年1月と比較すると、金額ベースではまだ87.5%の回復にとどまっています。
それなのに、株価は、「期待」を先取りするかのように上昇トレンドを形成しています。
話を、花粉症が消費に及ぼす影響に戻しましょう。
外出したくないくらい大量の花粉が飛散していたら、買い物は近場のスーパーで済ませ、百貨店などに遠出する頻度は減るかもしれません。
もし、期待で買われていた百貨店の売上に少しでも陰りが出ればどうでしょう。
短期的だとしても売られ、逆に、安値に放置されているスーパーの株価が動きだしたとしても不思議ではありません。
もう必要ないと思われていた「マスク」ももうしばらく必要ですし、花粉症を抑える「薬」も例年より多く売れることが想像できます。
このように、皆さんの周りでも、消費者の動きを変える「ブーム」が起きそうな兆しがあれば、ぜひ、連想ゲームのように関連銘柄を考え、その株価をチェックしてみてください。