チェンジ・ザ・ワールド倒産
社長、太陽光発電投資をやっていた「チェンジ・ザ・ワールドが倒産」というニュースを見ました。
社長はこの会社と繋がりがあったりしましたか?
2017年ぐらいに役員の方とお会いしていますね。
当時は「太陽光のソーラーシェアリング」といって、パネルを高いところに作り下で農業を行う。
そこでキクラゲや椎茸を作って、それをJAに売るようなモデルの走りの企業なんです。
一般的な野立ての太陽光を作って販売するという事業で儲けていた会社ですが、途中からテクノロジー化してスマホで太陽光が買えると…
「スマホで買える」とは、どういうことですか?
「スマホで買える太陽光発電所」というような謳い方で、百円単位でポイントを消費するかのごとく太陽光を買っていく。
ワット数が上がっていくと還元があるというような、小口の投資商品みたいなものですね。
これをオンライン化するという面白い事業をやっていました。
投資家からも多分少しお金を集めて順調にやっていたようには見えたのですが…
動画で確認したい方はこちら
どんな事業を展開していたの?
今回はどういうことが原因で倒産したと見ていますか?
チェンジ・ザ・ワールドがやってたサービスは「チェンジ」という名前で途中までは運営していました。
今見てると、どこかのタイミングで「ワットストア」という名前に変えたみたいですね。
これがなぜダメになってしまったかと言うと、1番の要因は法律の改正です。
預託法(よたくほう)という法律があるのですが、2020年6月に預かった物に対してお金を払うというようなビジネスモデルを少し修正しなければいけないという法律の改正がありました。
このオンライン上で発電所を販売するというビジネスモデルがもろにその法改正の影響を受けてしまった。
なので、それで打つ手なしで会社を閉じざるを得なかったというのが色々なニュースから見えてくることになります。
なのでもうちょっと頑張れば、この法律改正がなければ、この会社はきっと相当伸びていたんですよ。
私もウォッチしていたのです。
山形県に本社を構えていて、面白い地方創生も含めてやっているようなベンチャー企業で期待をしていたのですが…
詐欺だったの…?
僕の周りでも何か取り組んで「投資先の企業が破産してしまったから、お金が戻ってこない…」という話もありました。
資産形成チャンネルでも取り上げているポンジスキームのような話ではないのですね。
ここは全然違いますね。
しかし、今ワットストアと検索をしてみると「ワットストア 詐欺」と出てきたけれど…
これは投資商品の販売などをやっているとネット上では詐欺などと言われることもあります。
「これも詐欺なんじゃないか?」など今一気に書かれていて、それでGoogleのサジェストが上がってきてるだけですね。
チェンジ・ザ・ワールドは詐欺ではありません。
かなりしっかりとこの会社は運営をしていました。
私は会社の見極め方という話をよくしていますが「その中で外部の投資資金を集めているか?を見ましょう」という話をしていますよね?
この会社はしっかりと集めていました。
多分ですが、資本金が数億円あったのではないでしょうか?
すでにホームページが見られなくなっていますね。
※ 正しくは資本金は8,500万円でした
会社の破産を申請しているので、そうなると破産管財人という弁護士みたいな方がつきます。
すべてのやり取りっていうのは破産管財人を通してになるのです。
直接もう会社に問い合わせが出来ないということですね。
私も以前に経験がありますが、自分のもとにたくさん連絡がきます。
きたとしても「ごめんなさい。破産管財人を通してやり取りさせてください。」という風にもう自分で連絡取っちゃいけないのですよ、決まりとして。
なので今は「大変申し訳ございません。」としか、社長は言えない状態だと思います。
弁護士が誰々がついてっていうのも全て公告といってウェブ上に出るのです。
債権者が12,194名に対して38億円と書かれているんですね。
この12,194名には個人投資家が含まれています。
つまり全体で38億円。
もちろん、この会社の運転資金として銀行からの借入などのお金もこの38億円には含まれる。
多分、数十億円というお金が投資資金として個人投資家から集まっていて(スマホでみんな太陽光を買っている)これが全部溶けますよ、という話ですね。
戻ってこないのですね…
これは戻ってきません。
破産は免責されます。
これが詐欺話であれば、別の話で代表者が損害賠償請求を受けますが、本件は詐欺ではないので。
一生懸命事業をやっていたけどもダメになってしまった。
このパターンだと戻ってこないですね。
なぜ倒産したの…?
投資にはリスクがつきものと言いますが、そのリスクの部分だと。
こういう風に会社が順調だったのに潰れてしまうとは…
法改正があったという要因もあるとは思いますが、やはり借金をするから会社がいきなり潰れちゃったりするのですか?
一言で言うと、キャッシュが尽きたという話なんですよね。
会社は赤字だったとしても倒産はしません。
新しい投資家から資金調達をし続けられるのであれば一生潰れないわけです。
でも黒字では倒産しませんよね?
黒字だとしても、キャッシュが尽きたら倒産します。
2008年のリーマンショックの時、上場企業は4,000社ぐらいでしたが、あの年は1年で40社弱が倒産したんです。
倒産の割合が1%というのは相当なんだけれども…
そのほとんど半分ぐらいが不動産でした。
不動産業の会社は2007年期に最高益で、何百億円の黒字です。
そんな会社が2008年のリーマンショック後にいきなり潰れるんですよ?
そんな何百億円も黒字を出していたのにですか?
累積の黒字で言ったら、もっとありますよ?
だけど、いきなり潰れるのです。
お金が回らなくなるんですね。
要は、その時はみんな銀行から借り入れをして次の物件を作り、作った物件を販売していく。
そこでキャッシュをずっと回してるわけです。
だから借り入れの返済額自体はかなり多い。
ただ利益は出ていると…
帳簿上の利益は出ているけれど、次の利益を作るために販売をしなきゃいけない。
でも、そこの融資が全て止まったんですよ。
銀行もしくは株式を買ってくれる投資家が支援をしなくなった瞬間に終わってしまうわけなんですね。
言い方によっては金融機関に息の根を止められたと言ってる方々もいます。
チェンジ・ザ・ワールドで言うと、資本金は8,500万円ということなので…
外部資金はそんなに調達してないですね。
ただ調べると何社か出てくるので、事業会社4社ぐらいから資金調達をしている。
それぞれ多分数千万円ずつなので、全体でそんなに集められてないかな?
しかし、次の投資が得られなかった。
なぜ得られなかったと思いますか?
だって破産したら、この4社の事業会社って全損するわけですよ。
なのに、なぜこの会社たちが救わなかったと思う?
新しいビジネスに見込みがなかったとか?
1回投資してその投資資金をもとに成長(売上は上がった)したのですよ?
売上10億円ぐらいと書いてある。
これは単純に投資家は投資を生業としてますから、事業会社だけで儲けたくて投資しているでしょ?
その法改正の影響や会社の財務状況を見た時に追加の投資をしたらさらに傷口が広がると判断したのでしょう。
損切りされたと?
そうですね、損切りされた。
最初の2,000万円を入れたとしたら「その2,000万円でやめよう、全損でいいや。」という判断をされてしまった。
結局その要因は売上は10億円上がってますが、赤字を3億円出して債務超過に陥ってるみたいなので…
やっぱり決算書を毎日毎日見ていくと、こういう倒産は防げますよ。
今の状況から、会社の中身が見えてくるのですね。
そうですね。
債務超過になったら、もう時間の問題です。
あとその債務超過分(足りてない資産(純資産))ここの額を超える金額を一気に注入してくれる会社がいたら起死回生で立ち上がる。
でもそれがなかったらもうそのまま潰れる。
そういう債務超過の会社ってあるのですか?
これから潰れそうな会社にお金入れませんよね?
ただケースとしてあるのは、例えばうちとかも凄くいいなと言って追っ掛けていた会社が「いま債務超過で困っています」と。
そこに3億円を入れたらその会社の51%以上を保有します。
つまり子会社にできます、ということであれば入れる時もあるんじゃないかな?
これは完全に向こうからちょっと身売りで経営権を手放して、どこかの傘下に入るっていうような、助けるような投資だったらあり得ると思います。
それもやってもらえなかったっていうことで…
非常になんか面白そうなサービスだったので、もったいないなと思います。
法改正からまだ本当数年で1年〜2年ぐらいですよね。
1万人ぐらいの個人投資家の方々は言ってしまえば被害に遭われたっていう話になるので…
いつも話してる詐欺系の話とは違いますが、投資の失敗がまた生まれてしまった。
ちょっと珍しいジャンルですね、真っ当にやってて潰れちゃうという。
投資している会社が倒産したらどうすればいい?
読んでいる方も色々な投資家さんがいると思いますが、例えばこの会社に投資をしてた方は何をすればいいのでしょうか?
出来ることはありません。
破産管財人から各々に連絡があると思います。
連絡があった時にどうすればいいかというと「いくらの債権を持ってますか?」と確認する。
会社側は債務、投資家側は債権を持ってるわけなので…
そして、その債権を届け出る。
届け出た金額の合算値は37億円になると思います。
そしてどうするかというと、1年ぐらい待つんですよ。
そうすると裁判所が色々判決を下していって「この破産は認めます。」と。
そして、残った残余財産っていうのはこれだけで、この財産を1万人に配ろうとなるけれど、最後には何も配られません。
えっ、配られないんですか?
本当にギャグみたいな話ですが、机などを全部売っていくのですよ。
売ったらある程度のお金にはなりますよね?
リサイクルショップで100円ぐらいじゃないですか?
それをお金にするのが破産管財人の最後の仕事です。
そこで集まった数万円か数十万円か百万円か分からないけれど…
これを1万人に戻す。
だからほとんどの人が放棄するのです。
でも太陽光をやっていたので、それも資産に入るのではないですか?
入ると思いますが、優先するのは銀行なんですね。
恐らくですが、銀行が担保設定(抵当権を入れている)をしていると思うので、銀行の債権のほうが強いはずです。
優先劣後などと言いますが、優先債権が恐らく銀行が取っていくはずなので…
そうすると個人投資家の債権は多分、劣後するんじゃないかなと。
細かな商品の契約内容までは私は知らないのですが…
一般的にはこういうサービスをやってた場合、投資は自己責任なのでね。
倒産リスクは当然抱えていますよ。
投資に関する相談はたくさんいただきますが…
意外と本件については全然来ていなくて、もしチェンジというサービスやワットストアで少額の太陽光を買っていたよという方がいらっしゃれば、どんな風になったか知りたいなとも思いますし、有益なアドバイスもできるんじゃないかなと思っています。
是非LINEから連絡をいただければなと思います。
今回は「ワットストアというサービスを展開していたチェンジ・ザ・ワールドの破産」についてお話をさせていただきました。
ありがとうございました。