クレディ・スイス問題とは
最近ニュースでクレディ・スイスの問題のニュースをちらほら見るんですが…
どういう問題なんですか?
ここ1ヶ月ぐらい色々ニュースを賑わせていますね。
元々クレディ・スイスグループというのはスイスのNo.2の投資銀行だったのです。
しかし、そこの経営はもともと良くなかったんですね。
直近ではアメリカのシリコンバレーバンクという銀行の取り付け騒ぎ。
つまり預金者が預金を全部引き出してキャッシュが回らなくなり、わずか2日ほどで倒産したという事件もありました。
そういった金融機関に対するネガティブなイメージからどんどんどんどん世界中の金融機関にも飛び火してるのです。
この動画・記事をアップするタイミングでも新しい銀行が経営危機に陥ってるんじゃないかな?とも思います…
そんな状況の中でスイスNo.1の銀行であるUBSグループがクレディ・スイスを買収するという形で最終的に着地しました。
買収の条件などは色々複雑なのですが、今回はその辺りについて話をしていきましょう。
リーマンショック級の金融危機を阻止するために…
結局クレディ・スイスをUBSグループが買収をしました。
企業の買収には、普通どれくらいの日数をかけると思いますか?
引き継ぎみたいなことを考えると…
1ヶ月、2ヶ月ぐらいはかかるのかな?という印象です。
大型の買収だと2年、3年かかるんですよ!
引き継ぎみたいな話で言うと、それとはまた別の話として後でかかってきます。
もっと小ぶりなものだったとしても、スピーディーに意思決定できたとしても3ヶ月から半年くらいはかかったりします。
企業買収というのは時間がかかるのです。
何故かと言うと、デューデリジェンスと言われる資産評価をしなければいけないからです。
企業を買った後に爆弾が潜んでいたら、買い手の責任になるわけじゃないですか?
その爆弾が埋まってないかどうか?これをチェックするのです。
ただ今回は「もう待ったなし!の状態」で、時間がなかったんですね。
このままいくと大変なことになると…
大変な事というのは、リーマン・ショック級の金融危機のことです。
そこまで全世界を脅かすような…
そうですね。
クレディ・スイスは数十兆円あるような会社なので、そこが倒産するなんてことが起きたら大変なことになっていました。
ただ、それを防ごうということでスイスの国が介入をしてUBSに買ってもらうというか…
救済してもらうためのいろんな条件を出しました。
そして今回の勝者はUBS!というような、そんな状態になったんですね。
動画で確認したい方はこちら
今回はなぜ助かったのか
今撮影している現時点ではもう一旦落ち着いたのでしょうか?
※2023年3月21日に撮影しました
一旦落ち着いて株価もNYダウは昨夜反発してましたが、今のところは防がれていますね。
2008年にリーマン・ショックが起きた時を思い出していただきたいのですが…
リーマンは当時アメリカで4番目の投資銀行でしたが、倒産したことによって世界的に一気に波及して株価が大暴落しました。
あれを国が救っていたらリーマン・ショックは起きてないんですよ。
今回もある程度、色々なステークホルダーがいるわけです。
株主がいて、社債を買ってる人がいて、国がいて、国の後ろには納税資金ですから国民がいて、UBSがいてクレディ・スイスがいて…
この方々の中の1番いいところで着地したという感じですね。
しかしクレディ・スイスの危機が表面化する前(3月頭ぐらい)の株価でいうと、時価総額で確か1兆円ぐらいあったのです。
ただ買収された資金は4,000億円ですからね…
半額以下ですね…
半額以下で丸っと買えたので、UBSとしては最高。
かつ政府が1兆円ぐらいの追加の資金提供をします、後から問題が起きた場合はそれを政府が保証しますなど、ものすごい手厚い保険みたいなものがついているのです。
こういう条件で着地したと。
では、もうUBS一強になってる感じですか?
まあそうなりますよね…
さっきクレディ・スイスは1兆円ぐらいの会社と言いましたが、もともとは全盛期13兆円ぐらいあったのです。
13兆円あった会社が、最後4,000億円まで落ちてしまうわけだから、非常に悲しい状態です。
クレディ・スイスの株主は100のものをとある日に急に40で買われたというか…
しかも「その買われた」というのは現金ではなく、株式交換と言って買い手側のUBSの株式がクレディ・スイスの株主に渡される。
4,000億円相当のUBS株をクレディの株主がもらって、これで着地みたいな状態なので株主は全損はしませんでした。
そもそも何故こうなったの?
そもそも、なぜこういったことが起きたんですか?
いい質問ですね。
クレディ・スイスという会社自体、ここ数年業績が全然よくなかったんです。
不祥事を起こしたり、色々なトラブルとか投資による損失など、そんな事ばっかり起こしてたのですよ。
経営陣が非常に責任を負わされていて、訴訟もたくさん抱えています。
もともとクレディ・スイスはすごい有名な銀行だったのですが、とにかく本当に秘密主義の銀行だった。
秘密の銀行だと世界中から富裕層が集まるのです。
なぜだと思いますか?
個人情報など、そういったものは漏れにくいじゃないですか?
闇に包まれてると言うと言葉が悪いですが…
そうですよね。
そうなると、上顧客は誰だと思います?
会社の経営陣だったりでしょうか?
経営陣は別に他の銀行で良いと思いますよ?
他の銀行も個人情報は守っていますから。
預金のほとんどが、ブラックマネーだったんですよ。
例えば日本でいうと2003年、2004年ぐらいに五菱会系の反社会的勢力の闇金グループが猛威を振るった時があって、そのお金がクレディ・スイスに眠っている!という話が取り上げられていました。
日本で逮捕されているにも関わらず、日本の当局がクレディ・スイスに「色々なお金の流れを見せろ!」と言っても一切口を割らなかったのです。
協力してくれないのですね…
クレディ・スイスは、ブラックマネーの方に協力をしてたのです。
数十億円、百億円等のお金ではなく、一兆円単位の色々な国の政治家の裏金などを預け入れていた。
世界的な南米の麻薬の密売組織のお金、マフィアのお金などが世界中から集まってきている。
クレディ・スイスは一切口を割らないからね。
悪い人はそこに預けますよね。
悪い人たちの中で「クレディ・スイス最高!」という風になっていたのです。
そういうお金って大きいじゃないですか?
これによってお金(預金)がたくさん集まります。
金融機関なので、集まった預金を運用するので、それで相当儲けていたのです。
ただ時代の流れ的にマネーロンダリングは、かなり今厳しい。
そんな中、世界からクレディ・スイスがどう見られるかっていうと、犯罪者の片棒を担いでるわけで…
ダメですよね?
そうですね。
ただ、スイスではNo.2の銀行だったんですよね?
預金などをたくさん持っていたという感じです。
時代の流れ的にクレディ・スイスが提供していたダークマネーに対する手厚い保護をしないといけない!という風潮になってきました。
各国の政府から「犯罪者のお金の流れを見せろ!」と言われても見せてくれないわけだから、かなりプレッシャーがかかっていたのですよ。
そんな状況もあったので、そもそもシリコンバレーバンクが3月頃にアメリカの方で色々起きて、世界中の銀行が今不安になってる状態なんだけども。
その前から相当な資金流出が起きていて…
預けていた預金だったり、あとはファンドを買っていたりとかするわけだけど…
どんどん顧客離れが進んでいったという、そんな状態でした。
それをUBSが買収したという、そんな流れですね。
そうなると今までのダークマネーというか…
悪いお金は使えなくなるというか、どうなるんですかね?
UBSの体制で運営していくことになるでしょうから、今までのような形っていうのは無理になると思いますね。
お客様のお金はどうなるの?
今回UBSに助けてもらった形になったということは…
今までクレディ・スイスに預けていたお客さんや色々と関わる方がいると思いますが、そういった方のお金は守られたのですか?
ここが今回すごい物議を醸しているところなんです…
今回はすごく特殊な事例になっていますが、通常お金に関わるステークホルダー(利害関係者の方)がたくさんいますよね?
まずお金を貸している銀行、クレディ・スイスに対して債権を持ってる銀行がいたり…
あとは社債を買ってる個人投資家がいたり、色々な方がいて株主がいる。
株主は最も劣後するのです。
権利を得るのが1番最後の人なんですよ。
全ての税金も全て払って残った純利益から配当をいただくことができる。
全損のリスクを抱えているのです。
会社が倒産した場合、株主の出資金は全部なくなります。
ただし、銀行の債券は一番最初に守られるので、優先的に払っていくのです。
今回はどうなったのかというと、株主は守られているんですよ。
少し難しいですけどAT1債(えーてぃーわんさい)という債券の一種があります。
CoCo債(ここさい)という言葉を聞いたことありますか?
聞いたことがあります。
CoCo債が何かというと、株主よりも当然優先される権利なのですがただ一般の社債よりは劣後する。
ここがですね、世界中で2.5兆円分ぐらい売っていたのです。
要は債権者がいたんですよ。
これがなんと無価値になるという…
本日は3月21日ですが、これが現時点で決まってる情報です。
株式を保有してる方よりもリスクが少ない商品だったのですか?
本来、債券はリスクの少ない商品ですが、それが全損してここだけが全てを持つ。
株主も、もちろん6割引になっていますが…
他にもスイスの国民はよく分からないけれど税金がそこに使われるわけだから、ある意味損失を被っていますよね。
っていうことで、各ステークホルダーがちょっとづつ損失を被って、皆んな痛み分けなのです。
クレディ・スイスを買ったUBSも、ある意味いらないですよね?
政府に色々保証をつけてもらって合併する。
多分、従業員数が5万〜7万ぐらいの会社同士なので、一気に従業員数十数万人の会社になって、スイスの中でダントツの金融機関になるという感じでしょうか。
CoCo債の価値がゼロに…
今はCoCo債が問題になっていて、国内のIFAでCoCo債を扱っていた会社がたくさんあるのです。
日本の投資家の中でも全損しちゃう方は出てくると思います。
結構ネットでも「CoCo債は良いよ!」というのを見ましたよね。
そういうプロモーションをやってる方もいましたよね。
CoCo債はそもそも8%ぐらいの利回りで、複利で10%ちょっと超えるようなものです。
ただそれだけの高リターンなので、とあるトリガーを引いた時には元本が減りますよという条項はもちろん付いている。
そういう意味でいうとリスクリターンのバランスの話なので、ある意味仕方なかった部分はあるかなと思います。
日本人の投資家マインドが下がってしまう要因にはなると思いますね。
そういった大手の銀行でもこういう風になってしまうっていうのはちょっと怖いというか…
これと同じようなパターンがリーマン・ブラザーズだったんですよね。
リーマンは大丈夫だろうと、デカすぎて潰せないと。
ただ潰せないと言っても、このような破綻の形式があるので、安い金額で身売りしてしまった。
身売りをしなかったらそのままいつか潰れていたでしょうね、クレディ・スイスは。
今後世界経済はどうなるの?
こういうことが起きると、銀行の問題だけじゃなく世界はどうなっていくのかな?という怖さもありますね。
そうですよね、相当読みづらいですね。 1年半ぐらい前のYouTubeを観ると、今後の株価に対して「非常にネガティブです。」という発信をしてると思うんです。
なぜかと言うと、今までずっと株式相場を見ていて思うのは10年から15年ぐらいのサイクルの中で株価って上がったり下がったりしている。
ずっと順調だなと思っていたらリーマン・ショックが来る。
膨らんだものがはじけて、また膨らんで…
人間はまったく同じことを繰り返しているのです。
金融機関がよく分からない金融商品を作って、それを世界中の方に売って破綻する。
これの繰り返しなのです。
なので今後どうなるかで言うと、それなりな危機に繋がる可能性も十分あるんじゃないかなとは思います。
クレディ・スイスは救済されましたが、アメリカにはもっとまずい金融機関があるでしょ?
今は見えていなくても。
ただ、順調な時はそれを買い続ける人がいるからずっと膨らんでいます。
しかし相場が逆転すると誰も買わなくなったりすると、どこかが全損するのです。
そうするとそれを引き金に「金融は怖い!」となり、一斉に資金を引き上げる。
そうしたら銀行にお金がなくなる(キャッシュがなくなる)と、倒産しますよね?
というので金融機関が破綻して、世界経済がドーンというような…
このリスクがまだあるよねという感じなのです。
ただ、一旦クレディ・スイスという大きな銀行が救われたのは非常にポジティブです。
株価もポジティブに反応はしているけども、毎日状況は変わるのでこの動画や記事をアップする時にどうなってるか分かりません。
もしくはこのままちょっとずつ色々な処理をして株価が戻ってくることもあるのかもしれないけども、先行きは本当に誰も今は分からないですよね。
今できるアドバイス
今後のアドバイスとして、今はやはり不安定な状態なのと…
2008年に大暴落した後、株は結局上がっているのですよ。
コロナの頂点2020年、2021年は凄い上がっていたのです。
今アメリカはそこから30〜40%調整してますが、まだまだ高く大きなショックと言えるほどは下がっていないのです。
でもこれが下がるかもしれない。
そうなった時に一気に買えるように現金を貯めておくというのが今やるべきことなのでは?と思います。
そのまま上手くいけば、それはちょっとづつまた買い増ししていけばいい話で…
落ちたとしたら「よし!買うぞ!」ということで一気に買っていく。
ちなみに私は今そういう動き方、準備をしています。
今回は「クレディ・スイスがUBSに買収され、スイスのワン・ツーのトップの銀行がくっついた!」というニュースについて解説をさせていただきました。
ありがとうございました。