S&P500とは
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はじめにS&P500の内容について紹介します。
(1)S&P500の基礎知識
S&P500とは、Standard & Poor’s 500 Stock Index(S&P500種指数)のことを指します。
米国の株価指数の1つで、米国の金融市場指数を扱う企業「S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス・エル・エル・シー」が算出しており、1日に1回公表されます。
S&P500は過去に幾度となく計算と制度の改善、銘柄の追加が行われ、1957年に今の基盤が完成しました。60年以上の歴史を持つ米国の代表的な指数です。
そんなS&P500は米国株式市場全体に対し約80%の時価総額比率を占めており、米国市場全体の動きを概ね反映していると言える指標としても認知されています。
またS&P500に連動するインデックスファンドは、低コストで分散投資ができる金融商品として、多くの投資家から注目されている指数でもあるのです。
(2)S&P500の構成銘柄
米国企業500社の時価総額を基に算出しており、apple(アップル)やMicrosoft(マイクロソフト)Amazon(アマゾン)など誰しもが知る企業も銘柄に含まれています。
・アップル
・マイクロソフト
・アマゾン
・NVIDA(エヌビディア)
・テスラ
・アルファベット(Google)
・METAVISAJ.P.
・モルガン・チェースイーライリリー など
構成銘柄に選ばれるためには、時価総額が82億ドル以上、浮動株比率50%以上などと厳しい条件が設けられています。
さらに4半期連続で黒字を維持しているなど、投資家目線でも選定しやすい基準が定められているのです。
(3)ダウとの違い
S&P500とよく比較されるのが「ダウ」です。ダウとはダウ・ジョーンズ工業株価平均のことで、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が算出・公表している米国の株式市場の代表的な株価指数を指します。
ダウで構成されている銘柄は米国企業の普通株式等30銘柄です。
S&P500と比較すると銘柄数が大きく違います。
また銘柄ごとによって異なる方式で算出されるので、時価総額の大きな銘柄の値動きに影響されやすいという特徴があります。
そのためS&P500の方が米国株式市場全体の動向をより正確に把握しやすいと考えている人も多いです。
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S&P500の特徴
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S&P500に投資する際は、事前にどのような特徴があるのかを理解しておきましょう。
主な特徴は以下の3点です。
(2)銘柄入れ替えを年4回検討
(3)時価総額の大きい銘柄の動きに左右されやすい
1つずつ紹介します。
(1)「時価総額加重型」を採用している
S&P500は、TOPIXやナスダックなどと同じで「時価総額加重型」を採用しています。
「時価総額加重型」とは、ある過去の一定時点(基準日)の時価総額と比較して、算出時点の時価総額がどの程度増えたか減ったかを表す指標であり、過去と比較して一目で現状を把握できます。
例えばTOPIXの場合は、基準日を1968年1月4日の時価総額としています。
「その日の時価総額÷1968年1月4日の時価総額×100(ポイント)」で算出し、発表しているのです。
時価総額加重型は各企業の時価総額の割合を重みづけして算出するため、時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすいという特徴があります。
しかし、その分正確な株式市場に反映させているということでもあります。
(2)銘柄入れ替えを年4回検討
S&P500は、1年間に4回銘柄いれ替えを検討しています。
四半期に1回のペースで基準要件を満たしているかはもちろん、各企業の実績や今後の経営ビジョンなどを総合的に判断します。
時代に合った構成銘柄へ入れ替えることで、米各株式市場全体の安定を行っている特徴があります。
(3)時価総額の大きい銘柄の動きに左右されやすい
S&P500は時価総額加重型のため、時価総額が大きい銘柄の動きに左右されやすいという特徴があります。
構成されている銘柄が500もあるため、時価総額が大きい銘柄の株価が暴落するとS&P500にも大きな影響が出ます。
S&P500のメリット
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ここではS&P500のメリットを4点紹介します。
S&P500は、過去30年以上にわたって右肩上がりであり、高い運用実績を維持しています。
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年平均でも9%以上のリターンを記録し、日経平均や他のインデックスファンドと比較しても高い水準です。
リターンが大きいということは長期の資産形成においても高パフォーマンスになる可能性も高いので、中にはS&P5001本で資産を組み立てている投資家も存在するほどです。
(2)構成銘柄の見直しによって成長力が確保される
S&P500は、四半期に1回構成銘柄の見直しがされるため、成長力の確保に期待ができます。
S&P500は成長の低下した企業は除外され、新たな成長企業が組み入れられます。
2023年には伝統的な産業の企業が除外され、メタやテスラなどの新規企業が銘柄として参入しました。
時代に合わせた米国企業が銘柄として組み入れられるので、高い成長力を維持することができるのです。
(3)バランスよく資金運用できる
S&P500は500の銘柄で構成されており、時価総額加重平均方式で指数が算出されているので企業規模に応じてバランスよく資金運用ができます。
appleやアマゾンなど、時価総額が大きな企業に投資比重が置かれ、適切な投資配分が自動的にされます。
上位10銘柄はS&P500の中でも約30%程度に抑えられているなど、バランスが安定している特徴があります。
(4)米国経済の成長に比例する
S&P500は米国経済の成長に比例するため、今後も高い成長が期待できます。
米国は全世界の約25%を占めるほどGDPが高い国です。
ITやテクノロジー、AIなど、あらゆる業種の中心地であり、革新的な企業が多く生まれてきた実績があります。
S&P500は構成銘柄の時価総額に比例しますが、世界経済の中心である米国企業であれば、安心度も高まることでしょう。
トランプ政権になってアメリカファーストになることから米国経済には大きな期待ができます。
S&P500に向いている人の特徴
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ではS&P500に向いている人の特徴を紹介します。
(1)20代30代の若い世代
20代30代は投資を始めるタイミングとしてベストであり、長期運用が可能なのでおすすめです。
S&P500は過去の推移を確認しても、高いリターンとなるので、若いうちから老後まで運用しておけば大きな享受できる可能性が高くなるためです。
月々の積立投資でドルコスト平均法を実践すれば、老後に備えた資産作り上げることができます。
ドルコスト平均法とは、株式や投資信託、外貨預金などのように価格変動がある商品を毎月同じ時期に(定期的に)、一定金額分ずつ購入する投資方法です。
この方法により価格変動のリスクを抑えることができるため、若い年代から始めるのに効果的でもあるのです。
(2)長期運用がしたい人
S&P500は過去10年以上保有していてマイナスになったのはわずか100年で5回程度と安定しているので、長期運用に向いています。
1年間だと過去100年間の歴史で、リターン成績がマイナスだったのは29回です。しかし単年での成果がマイナスになっても、長期運用すれば成績が安定しているのです。
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そもそも資産運用や投資は、10年や20年といった長期運用が前提です。
ドルコスト平均法で価格変動のリスクを抑えつつ、経済と株価の成長に連動して資産を増やしていくものなので、必然的に長期間の運用になるのです。
投資の神様と言われているウォーレン・バフェット氏も、S&P500はインデックスファンド投資の中でも長期投資に適した商品と支持しています。
その他の投資家や経営者からもS&P500は資産運用の王道として認知されており、お金を着実に増やしたい人にとって長期運用の登竜門でもあるのです。
S&P500への投資方法
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S&P500に投資する方法はさまざまありますが、ここでは代表的な投資方法を3つ照会します。
(2)ETF(上場投資信託)
(3)新NISA
1つずつ特徴を確認しておきましょう。
(1)投資信託
投資信託は、専門家であるファンドが複数の投資家から資金を集め、株式や債券などに投資し、運用して得られる利益を投資家へ還元する方法です。
専門家が投資家に代わって運用してくれるため、投資初心者におすすめな資産形成方法の1つです。
投資信託は、運用するファンドや投資銘柄によって利回りが異なります。
高い銘柄であると、10%近い利回りもあれば、2%や3%と低い銘柄もあります。
しかし、どの証券会社を見てもS&P500は人気商品。買付ランキングや積立設定件数なども上位に位置しています。
注意しなければならない点は、元本保障されていない点です。
投資信託はファンドの運用実績と投資銘柄によって利益が大きく左右されます。
例え専門家であっても急激な株価変動や金利変動に対処できず、損失が生じる可能性もあるので、無理のない資金ではじめましょう。
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(2)ETF(上場投資信託)
ETFは上場投資信託と呼ばれ、証券取引所に上場されており、「平日の午前9:00〜11:30」「午後12:30〜15:00」の間で売買できる投資方法です。
しかしネット証券などであれば土日祝日でも注文を出すことができるため、土日休みの会社員の方でもトレードできます。
ETFは銘柄によって異なりますが、1万円から購入することができ、さらに投資信託と比較すると手数料(信託報酬額)が低いというメリットがあります。
またETFは1日1度のみ価格が発表される投資信託と異なり、リアルタイムの価格変動を確認することができることから、今後為替や金利、株価などの勉強もしていきたいという方におすすめです。
一方でETFはリアルタイムで変動する「市場価格」と1日に1度の「基準価額」があり、それぞれ乖離していることから損をする可能性もあります。
例えば基準価額が100円で合ったものの、市場価格が90円で売却した場合、もっと高く売れたということになる可能性もあるということです。
そのため価額の乖離に注意しながら取引することが大切となる資産形成方法です。
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(3)新NISA
新NISAとは、毎月積立投資をする際に利用できる少額投資非課税制度のことです。
本来投資で得た利益に対しては、20.315%の税率をかけた税金を支払わなければいけませんが、新NISAは課税されることないというメリットがあります。
さらに、毎月一定額分の金融商品を自動的に買い続け、利益を増やしていく方法なため、仕事が多忙な方でも定期的な金融商品の見直しさえ行えば、ほったらかしもできます。
新NISAの利回りは、平成29年に金融庁が発表した「つみたてNISAについて」を確認すると、20年間の長期保有することで平均利回りが2%〜8%に集約されます。(下図参照)
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新NISAではS&P500の1本だけ運用している投資家も多いです。
(損失が生じた時のリスクが大きいため、他の銘柄へ分散投資しましょう)
先程の画像のとおり、20年間他の投資と分散すれば、元本割れするリスクがありません。堅実に増やしたい方におすすめです。
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S&P500へ投資する際の注意点
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最後にS&P500へ投資する際の注意点を3点紹介します。
(2)米国一国への投資リスクがある
(3)専門家に相談してから始める
1つずつ確認してから投資を始めましょう。
(1)為替変動の影響がある
S&P500の投資信託は米ドル建てで運用されるため、為替変動の影響を大きく受けます。
投資信託や新NISAは円安時には増益が見込まれる一方で、円高時には減少します。昨今の為替を見ていると、右肩上がりで円高になっています。
為替変動の影響を受けたくない方は、追加コストを支払ってでも為替ヘッジ型の投資信託を運用するのを検討してみると良いでしょう。
(2)米国一国への投資リスクがある
S&P500は米各一国への投資リスクが伴う可能性があります。
もちろん日本や海外などとうまく組み合わせて分散投資を行っておけば多少リスクは軽減されますが、「S&P500の1本で運用する」という方針を取ると、米国経済が悪化した時に大損失にもなりかねません。
S&P500は高いリターンと安定力から人気が高いですが、依存し過ぎると経済変動のリスクに耐えられなくなることでしょう。
そのため先進国・新興国の全世界の株式に分散して投資することができるオルカン投資などと組み合わせて運用することをおすすめします。
(3)専門家に相談してから始める
S&P500へ投資を始める際は、専門家であるファイナンシャルプランナーへ相談しましょう。
多くの方が「S&P500に投資していれば増えるんでしょ?」と考えている傾向にあります。
もちろんそんなことはありません。
投資は常に暴落リスクがあるので、資金管理や運用銘柄の入れ替え、経済動向の確認などをチェックしておかなければいけないのです。
しかし資産運用や投資初心者の方は、これらの知識を身に付けないまま始めてしまい、結果として運用に失敗するケースが多く見受けられます。
ファイナンシャルプランナーはお金に関するスペシャリストです。
投資を始め、資産運用や保険、ローンや家計の見直しまで、さまざまなアドバイスを行ってくれる職業の人です。
投資初心者の方には、投資の基礎を教えてくれるので、無理な運用をせずにスタートすることができます。
ココザスはファイナンシャルプランナーとして、sp500をはじめとした投資や資産運用のサポートを行っております。
投資の基礎知識から運用方法、リスクなど、初心者でも一からスタートできるように、さまざまな視点からアドバイスを行います。
相談料も無料なため、ぜひ一度ご相談下さいませ。
まとめ
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S&P500とは、米国の株価指数の1つで高い運用実績を維持し、米国経済の成長に連動する特徴があります。
1年に4回の構成銘柄の組み換えを行っており、米国企業が銘柄として組み入れられるので、高い成長力を維持することができるのです。
S&P500に投資する方法に投資する方法は投資信託や新NISAなど、さまざまな方法がありますが、自分に合った方法を見つけるためにも、まずは専門家に相談することをおすすめします。
S&P500や投資の基礎、資金管理などをファイナンシャルプランナーから学び、正しい運用方法で資産を増やしていきましょう。
この記事の監修者
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ココザス株式会社|コンサルタント|FP
持丸 雅士
Masashi Mochimaru
突如起きた父親の入院・手術をきっかけにお金に対する不安を感じ、ファイナンシャル・プランナーの勉強を始める。
ファイナンシャルプランナー技能士2級及びAFP認定を取得後、お金に対する正しい知識・情報を世の中に伝えていきたいと思い、個人向け資産形成コンサルティング事業を展開しているココザス株式会社へ入社。
資産形成で不安を抱えているお客様の視点に立ち、年間800人以上の資産形成のサポートを行っている。
また現在はセミナー講師として講演会を行うなど、正しいお金の知識を広げる活動にも取り組んでいる。