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第16回ここまで知ればセミプロ?キャップレートについての深掘り解説|不動産エコノミストが語る、不動産投資COCOだけの話

  • #不動産エコノミストが語る不動産投資COCOだけの話

 第15回では、最新キャップレートを解説しましたが、ここではもう少しキャップレートについて論理的に解説してみようと思います。また実物不動産投資におけるキャップレートだけでなく、不動産証券化金融商品であるJREITにおけるキャップレートについても解説します。
 キャップレートについて、「ここまで知っておけば、セミプロ?」というレベルの解説となりますので、やや難しい内容もありますが、興味のある方はぜひ最後までお読み下さい。

この記事の取材協力者

吉崎 誠二

不動産エコノミスト

吉崎 誠二

SEIJI YOSHIZAKI

不動産エコノミスト、不動産企業コンサルタント、CREビジネスコンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティング、などを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。

・レギュラー出演
 ラジオNIKKEI:5時から“誠”論(月~水:17時~)
 ラジオNIKKEI:吉崎誠二のウォームアップ 830(月:8時30分~)
 テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

URL: https://www.yoshizakiseiji.com/

キャップレートの要素分解

キャップレートの要素分解

キャップレートを理論上で要素分解すれば、リスクフリーレート(=10年物国債金利を想定)+リスクプレミアム(不動産保有するリスク)+立地プレミアム(立地によるリスクの差)で表現されます

賃貸住宅の平均的な投資機関(物件の保有期間)は10年程度とみなせば、リスクフリーレートは10年物国債金利をここで使うことができます。
また、立地プレミアムは、賃貸住宅の場合、最も期待利回りの低いとされる東京城南地域をベース(±0)として各地域それぞれ加算します(他では、オフィスビルでは、東京丸の内・大手町エリアがベースとするのが一般的です)。

理論上CR > CR > 取引R 

理論上CR > CR > 取引R

第15回の原稿で取り上げた最新の「第49回不動産投資家調査」の調査結果によればオフィスビルにおけるリスクプレミアムは10年物国債に対して2.8%となっています。
賃貸住宅におけるリスクプレミアムの調査は行われていないようですが、オフィスビルと比較して+0.2~0.3%程度(2.8+0.2~0.3=3.0%)と推測されています。
これに12月初旬の10年物国債金利0.65%を足せば3.65%となります。

同調査によれば、最新(23年10月)の東京・城南エリアのワンルームタイプのキャップレートは3.8%ですから、理論上のキャップレートよりも低くなっています。

理論上で考えるよりも低い利回りが「期待利回り」となり、それよりも低い利回りで取引されている、かなり過熱状況にあるというのがいまの現状でしょう

理論上CR : CR : 取引R 

この3つの利回りに注目しておけば、その時の不動産投資の市況を推測することができます。
現状は、理論上CR > CR > 取引R の状況ですから、「不動産投資は過熱気味」と判断できます

立地プレミアム

立地プレミアム

キャップレートにおける「立地プレミアム」とは、立地の差によるリスクの上乗せ分のことを意味します。

この「不動産投資家調査」では、賃貸住宅の立地プレミアムについては調査が行われていませんが、2019年6月まで調査が行われていた(社)不動産証券化協会による「不動産投資短観調査」では、アセットクラスごとの立地プレミアムについてのアンケート調査が行われていました。

いまのところ最後の調査となっている2019年6月時点の調査では、賃貸住宅(ワンルームタイプ)の立地プレミアムは、東京港区(赤坂・麻布・青山)をベース(±0)として、例えば城南地区(目黒区・世田谷区)は+0.1ポイント、大阪と横浜はプラス0.8、埼玉・福岡はプラス1.0などとなっています。

また、ファミリータイプでは、ベースは同様で、例えば東京城南はプラス0.1、大阪はプラス0.9、福岡プラス1.0などとなっています

JREITのキャップレート

JREITのキャップレート

ここまでは、実物不動産投資におけるキャップレートについて解説しました。

実物不動産では、投資用不動産価格=収益(賃料収入など-経費など=NOI)÷キャップレートで算出されます。
一方、収益不動産を元に証券化された金融商品であるJREITでは、インプライド・キャップレートが用いられます

インプライド・キャップレート

インプライド・キャップレートとは、株価を通じて(=株価から逆算される)示される「J-REITが運用する不動産」に対する期待利回りです

J-REITに対する投資判断の指標として、 またJ-REITの不動産投資運用における最低限要求する利回り(=ハードルレート)としての意味をもちます。

また、JREITは実物不動産投資の動きに先行することが多いため、実物不動産投資におけるキャップレートの先行指標にも活用することができます。

インプライド・キャップレートは、おおまかには、JREITが運用する不動産のNOI(償却前)÷(JREITの時価総額と有利子負債を足したもの)で計算されます。
また、JREITでは鑑定評価をもとにNOIを算出した利回り(=鑑定評価利回り)もあります。

この2つを比べることで、そのJREIT銘柄の状況が分かります。
例えば、インプライド・キャップレートが鑑定利回りよりも低い場合は、銘柄の期待が高いことになります

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吉崎 誠二

不動産エコノミスト

吉崎 誠二

SEIJI YOSHIZAKI

不動産エコノミスト、不動産企業コンサルタント、CREビジネスコンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティング、などを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。

・レギュラー出演
 ラジオNIKKEI:5時から“誠”論(月~水:17時~)
 ラジオNIKKEI:吉崎誠二のウォームアップ 830(月:8時30分~)
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