2023年の人口動態統計について
本日は、出生率が1.20を切ったということです。 東京はもう1を切ったということですし、非常に衝撃的な数字でした。
その最低水準の出生率で「どうなる住宅価格」ということをお話ししていきたいと思います。
厚生労働省が2023年の人口動態統計を発表しました。
一人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.20で、過去最低を更新しています。
出生数や婚姻数も戦後最少となっています。
まずこれは人の数が減ると当然不動産は利用されてナンボの世界ですから、全マクロで見ればその価値がどうなるんだろうと皆さんは考えます。
内田:価格が下がっても当然なんじゃないかと私は思います。
合計特殊出生率とは?
まずその前に、この出生率の話は以前触れましたけど、合計特殊出生率なんぞやという。
出生率とは違うんですね。
合計特殊出生率なんだよね。
内田:特殊というと何が特殊なんでしょうね。
吉崎:例えば一応この後のこの統計調査においては、15歳から49歳までの女性が子供を産むという前提なんです。
内田:15歳から49歳まで。
吉崎:例えば15歳の人が23年に5人が一人ずつ産んでたとすると、15歳の人が例えば100万人だとしたら5人だから0.0005%、同じように16歳の人が101万人いて、10人産んでいたら0.000なんぼと。
同じように30歳の人が120万人いて、その方々が1万人、産んでたら何パーセントですというのを、全部足す。
15歳から49歳分全部です。
内田:年齢ごとに。
吉崎:それが合計と合計だから合計特殊出生率ということなので、単純に全部割る全部じゃないんだよね。
そして、今は1.20。
これはなぜこんな計算をするかというと、世界的にこれで計算しようというルールになっているからです。
フランスが1.ナンボでとか韓国が1.ナンボで…などバラバラになったら困るということで、指標として合わせています。
ただ、出生数率はずっと下がってきて一時期、2005年だったかな。
下がったんだよね。
それが過去最低だった。
それから大分回復したんだけど、またここに来て2017年ぐらいからずっと下がり始めて過去最低の1.2になったというところです。
ここでも何度も取り上げましたけど、結婚しているご夫婦からのお子様の数は1.7前後で横ばいですので、もう婚姻数が減ってきてるからということが最大の要因ではないかということです。
既に日本政府はたしか60兆円ぐらい子供の支援に使っているんだけど、もう多くの方々がご指摘しているように、婚姻数が増えれば出生率が1.7のままだと仮定するならば確率的に出生数が増える。
なので東京都なんかはマッチングアップをやるんだよね。
内田:やります。
東京都、あとは他の県も埼玉だったりとか、色々やってるっていう話を聞いたんですよね。
吉崎:そこにお金をつぎ込んだ方がいいんじゃないかというふうに今移りつつあります。
住宅価格の推移は?
さて、そんな中で住宅価格の話になっていくと、まず一つ目が去年72万7277人。
僕生まれたのは1971年の時は約200万人ぐらいでした。
もう半分以下。
吉崎:3分の1強ということで、第2次ベビーブーム世代から見れば3分の1までは行ってないけど、4割ぐらいというような状況になっています。
これは当然ながら単純に必要となってくる住宅の数も減ってきます。
今、大体平均して30代半ばから40代前半ぐらいで家を買うとすると、30年後から40年後は住宅が余る可能性は極めて高い。
内田:昔はすごく家族が2世代3世帯一緒に入ってたみたいにありますけど、今は別々に住む人が多くはなってきたと思います。
吉崎:世帯数は増えてきています。
今、3世代で住む人の世帯数の割合は5%ぐらいですから、昔のじいちゃんや父ちゃんと僕とサザエさんみたいな家庭が5%ぐらいと言いますからね。
世帯数がどんどん分かれて今のペースぐらいでの婚姻数婚姻率、今男性東京都の男性で約32%位が1人、50歳で未婚です。
50歳までに結婚しませんからね。
32%が、50歳までに結婚しない生涯未婚率という数字です。
これは「51歳で結婚します」と言うかもしれないけど、一応一応50歳までにはしない人は含まないという厚労省のデータ上の数字です。
あくまでデータ上だけで32%で女性も23%ぐらいですからね。
これ男性の3分の1を結婚しない女性の5分の1、4分の1も一回は結婚しない(バツイチは除く)ですからね。
この人たちをばっさり除いくということなのでこれがずっと上がれば、変な話ですけど住宅は必要なんだよね。
内田:そうですね。
吉崎:1人世帯の数がどんどん増えれば、今人口じゃなくて世帯に比例して住宅は必要ですから。
内田:人数じゃなくて世帯数ですからね。
吉崎:住宅価格が単純にこの出生率が下がるからといって別にイコールで住宅価格が下がるとは言えない。
内田:でもこれは昔はまだまだ多かった人数がもう間もなく1億人を切るような形になると、それを全員バラして世帯数にしたとしても世帯数は減るわけですよね。
吉崎:それが50年後とか60年後だからまだ大丈夫だと思います。
多分今のリスナーの方々が大体お亡くなりになられる頃。
我々が50〜60年後ですから、生きていてもかなりジジババですね。
我々がしっかりしてる間で世帯数を減らす以外大きくは減らないですね。
世帯数でも大体と2031〜2年ぐらいで減るっていう予測だけど、これは単純に団塊世代がお亡くなられる方が多い。
人数が多い層なので減るんだろうけれども、ただしその一方でこの未婚率がどこまで伸びるか。
日本の少子化はどうなる?
未婚率が男性の4割とかなったらすごいですよ。
本当そうですね。
車にも結婚しなきゃダメって法律ができるんじゃないかとか思っちゃいます。
アジアの各国の出生数がそもそも低いわけです。
韓国とか低いですよね。
シンガポールや香港などはとても出生率が低くて、さらに婚姻率も低い。
ここは僕の意見ではなく事実だけ見れば、やはり結婚するといろいろな煩わしさもあるんだけど…
多分アジアで低いってことから見れば、結婚お相手との関係だけじゃなくて御両親とか親戚付き合いとかをアジアの方が敬ってそうですよね。
結婚だって家族同士っていう親がどの墓をどうとかいう話になります。
それが煩わしい、そういうような志向になってきているようなところが大きな影響がを及ぼしているんじゃないかな。
これは僕の勝手な見解なので、事実かどうかわかりませんが、アジアに偏って婚姻率が低くて出生数が低いというのは、やはりここは注目して見ざるを得ないんじゃないかなと思います。
内田:確かにアメリカとかフランスとかね。
イギリスは1.6超えて1.1ポイント台の後半で。
吉崎:シンガポールとか韓国とか東京もそうです。
東京は外ですけど、国で見ればシンガポールや韓国を1切っていますからね。
それで軒並みアジア各国は低いというのは、どうもこれはそのアジアの家々で、家の在り方。
建物の家じゃなくて家族空間の在り方みたいなものが大きく影響しているんじゃないかと。
恐らくそこに何らかのメスを入れていかない限り、出生数が大幅な回復をすることは難しいと思います。
メスを入れるって別にやり方を変えようというつもりはないけど、そこに注目して何か策を打っていかない限り、出生数の大幅な改善は見込めないと思うので、現状の少子化対策は国とすれば無駄遣いじゃないかなと思うね。
内田:何かこういろんなものがグローバルになってきて、自由に生きていく生き方が普通になってきた中で、やっぱりいろんな生き方を選ぶ人が出てきてるとかなんでしょうね。
吉崎:でも、先進国全体で出生数は下がって率は下がってきてるね。
これはもう戻れないんでしょうね。
内田:そうですね、戻すのにはすごい膨大な年数がかかりそうですね。
※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から”誠”論 NEXT」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2024年6月10日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています