J-REIT(ジェイリート)の投資ポイント
今日は「J-REIT(ジェイリート)の投資ポイント」についてです。
実物不動産の投資をされている方も多いと思いますが…
不動産の投資をするとなると実際の不動産に投資をするパターンと、証券化された商品に投資をするパターンと、2パターンあります。
それぞれ、自分は実物不動産が好きという人も居れば、中には「REITの方が手軽で良いよね」「株式のようにクリックで買うだけなので良い」という人も居ます。
私等は両方の組み合わせが良いのではないか、と思っているタイプです。
内田:ポートフォリオでね。
吉崎:よく三分割法、現金と株と不動産、投資の3分の1ずつの原則等という人が居ますが、私は不動産も分割して良いのではないかと思っています。
例えば現金で持つのも、円だけではなく、ドル、ユーロ、元などで組み合わせる人も居ますし、株もアクティブに行くのか、インデックスで行くのか、という事もあります。
それぞれの組み合わせが大事だと思いますが、不動産の組み合わせのパターンは、自宅を所有している人から見れば、実物不動産投資か、証券化された商品。
証券化された商品の代表格はJ-REITという事ですね。
更に、実物不動産投資をメインにやっている方も1つの物差しとして、利回りの基準のキャップレート。
例えば利回りが4〜5%だとか、その時に1つの目安となる期待利回り、これをキャップレートと言います。
このキャップレートの数字を見て、例えば城南エリアだったら今は4%くらい等と1つの物差しとして使う訳で、駅から少し遠いので4.何%くらいあれば良いかな、という様な事をする訳です。
J-REITの利回りも1つの物差しとして使っても良いのではないかなと私は普段から思っています。
J-REITの利回りがどれくらいなのか、というのを物差しとして見つつ、実物不動産投資しかしない方も見られたら良いのではないかと思いますね。
利回りはどうなる?
ほぼ同じような利回りになる可能性はあるのですか?
今それを少しやってみましょう。
今日、2月20日の終わりの時点で見ると、分配金利回りと言いますが要は配当ですね。
配当と投資金額の割算です(株式でいう配当)
それでいくと、全部の平均が今日は4.07%です。
内田:オフィスも、ホテルも、全部。
吉崎:61全銘柄の平均がそれだけという事ですが、分かり易い例でいうと住宅にいきましょう。
三井不動産が持っている日本アコモデーションファンドというものがあり、これが三井不動産が持っているJ-REITです。
三井不動産は日本ビルファンドという大きなビルばかりの最古参のREITがあります。
三井不動産がやっているほぼ住宅ばかりのものがあり、パークアクシスという結構高級な賃貸マンションが都心にもあると思うのですが、あれが多く入っているのがこの日本アコモデーションファンドになります。
これが、今日の分配金利回りが終値時点で3.42%。
それで、城南エリアが一番実物不動産でのキャップレートが低いと言われていて、実際いまのキャップレートが3.9%前後と、幾つかのシンクタンクを発表しますが4を少し下回るくらい、実売レートが3.6~3.7%くらいと言われています。
これは築5〜10年くらいのイメージで、城南エリアなので渋谷や恵比寿等に電車で10〜15分くらいで行けるような所で、駅から徒歩10分以内くらいの賃貸住宅をイメージして下されば良いかと思います。
そうすると、それが先ほど言ったキャップレートくらいで動いていますよ、と。
今の、三井不動産のパークアクシス等が沢山入っている日本アコモデーションファンド投資法人3226ですが、これが今日3.42%で、少し低いくらい。
取引手数料とか色々な事を考えたら「さぁどちらの方が良いの?」と…
実物不動産を買うと若干の仲介手数料が掛かり、色々な手数料が掛かったりします。
内田:それは持ち続けるお金も必要でしょう?
吉崎:持ち続けるお金は込みです。
購入時に手数料が掛かりますし、売却時にも手数料が掛かる。
当然株式の売却時にも手数料が掛かりますが、言ってもたかが知れていますよね。
内田:そうですよね。
先ほどの利回りの中には、そういう売買の手数料は入っていない?
吉崎:初回は入れますけれども、以降は入れません。
そう考えるとどうかな?と…
何が言いたいかというと、大体良い感じなのですよ。
内田:同じくらいになる可能性がある。
吉崎:そうなのですよ。
一方で、違うのは実物不動産の場合は借り入れができる。
頭金を10%や20%入れて、残りは借り入れでリバレッジを利かせる事ができます。
J-REITの場合は、勿論信用取引等で3倍とかできますけれども、やってもそこまで…
そう考えた時に、3.42%を確実に取りに行くのかどうか?という所なのですね。
こういうのを見ておけば何となくセンスというか…感覚が見えてくる。
例えばもう1つ、少し違う毛色で行くとサムティです。
レジデンシャル投資法人3459を見ると、これは逆に、日本全国津々浦々、例えば宇都宮や高崎など、首都圏だけではなく色々な所が入っているという賃貸住宅ばかりのREITです。
これが今日は4.99%の利回り。
あれ?色々入っている方が高い…
もちろん色々な理由があるのでしょうけれども…
東京都心だけの場合は3.何%でしょう?
地方が入っていると5%丁度くらいになっているという事なのですが、ここは若干利回りが美味しいと思いますね。
というのも、先程東京の城南エリアで3.9%と言いましたが、大阪で4.3〜4.4%くらいです。
先ほどの、私は高崎とか詳しくは知らないのですが、名古屋でいくとこれくらい、仙台でいくとこれくらい等と、ざっと並べて行くと、やはり全部5%を切るくらいだと思う。
そうすると、先ほどの日本アコモデーションファンドとの差、0.5%くらいの差がありましたね。
もう少し下がる可能性もありますね。
4.3あと少しくらい。
そう考えた時に、若干割安感がある、という感じです。
少し前は高かったけれども、ここは決算を跨いだばかりなので、少し値段が低くなってきていますが、決算に向けて値段が上がってくるのではないか、という様な感じになっている。この様に、住宅だけ見ても何となく関係性が凄くあります。
内田:そうですね、ちゃんと繋がっている感じがしますよね。
結局、現物をちゃんと、ファンドに入れてやっている訳ですものね。
吉崎:おっしゃるとおりです。
現物の裏付け商品があってのファンドなので「そりゃあ、大体似るよね」という感じですよね。
内田:そうですよね。
これ、色々なものに投資しているではないですか?
今は住宅でしたけれども、利回りは何が1番高めなのですか?
吉崎:コロナの時等はホテルがかなり良かったですよ。
今は先ほどのオフィス等は、若干苦戦しています。
商業施設はアメリカ等でも厳しくて苦戦していますよね。
日本ビルファンド、三井不動産が持っている一番古いREITですけれども、巨大ビルばかりで、トヨタみたいなものですよ、最大ファンド。
一時期3%台の半ばくらいに推移していたけれども、今じゃ4.09%で若干利回りが高いですからね。
先ほどアメリカのオフィスの話をしたけれども、色濃く反映されていますよね。
そう考えたら、裏付けが実物不動産という事を考えると、そういうのが良くはっきりと見えてくる。
それともう1つ、NAV倍率というのがあるのです。
NAV倍率等を見ておくと、どちらがどう得なのか、というのがもう一段見えてくる。
分配金利回りでの見方はキャップレートとの関係、もう1つは時価総額と鑑定評価額です。
実物不動産の鑑定評価額との関係性を示しているのがNAV倍率で、株式でいうとPBR。
PBR的な見方をするならば、NAV倍率で見れば良い、という事で…
また来週か再来週でやりましょう…!
内田:やりましょう。
やはり投資すべき時の判断材料になりますからね。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
放送日時:毎週月曜日〜水曜日 17:00~17:50
※ 本コーナーは毎週月曜日のコーナーです
番組公式サイトはこちら
番組のアーカイブ配信はこちら
※ 本記事はラジオNIKKEI第1「吉崎誠二の5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年2月20日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています