人口動態はどうなっている?
今日のテーマは「増える外国人、賃貸住宅管理はどうする?」というテーマです。
ここでも住宅事業に関することの一環として「人口動態がどうのこうの…」という話をここで何度も取り上げてきましたが…
人口動態の色々なデータは総務省が出しています。
この間、ある連載の中で原稿を書いていたら“外国人の世帯がすごく増えている”ということに気が付きました。
去年1年間の日本における増えた世帯数は大体50万世帯ぐらいです。
そして、そのうち外国人の世帯はどれぐらいなのかを調べてみました。
増えた分のうち、外国人の世帯は何割ぐらいいると思いますか?
内田:日本人の人口が減少してる訳では…
ひとり暮らしの人が増えれば、世帯主は増えるということになるのかもしれませんが、結構な大きな割合じゃないでしょうか?
吉崎:そうですね。
2022年末で外国人住民の世帯数は177万世帯です。
2021年度(2021年末)の比で23万世帯、これは15.6%の増加なんですね。
一方で、この間の全部(全世帯の増加数)も50万世帯ぐらい増えています。
ざっと5割弱ぐらい…
40数%は外国人の世帯になりますね。
内田:そうですか。
吉崎:人口は御存じのとおり、日本人は人口減少しています。
一方で、外国人の人口は増えている。
今は最新の2023年の6月末までが出ていますが…
一応2022年末でいくと、300万人を超えて307万人です。
これは前年比で31万人増です。
78万人の人口が減っている中で、うち30万人分はプラスに外国人がしてくれてるということですね。
内田:なるほど…
そうするとそれだけの家も必要ですね。
吉崎:家も必要ということです。
外国人の方々の住まいは?
外国人の方々が賃貸住宅に住む割合はどれくらいか知っていますか?
大半が賃貸住宅じゃないのですか?
吉崎:最初のデータがないのですが…
5年ぐらい前のデータを見せると、民間と公的なものを合わせて約6割。
これは、全国の単独世帯(一人暮らし)の方々が賃貸住宅に住む割合に近い数字になっています。
外国人の世帯数は1都3県がざっくり上位を占めているのですが…
これらの方々の多くは賃貸住宅に住まわれている。
1都3県で見れば60%強という感じですね。
内田:残りの4割の人はどこに住むのでしょう?
吉崎:1つは持ち家、自分の家、投資して買った物件とか…
これはアジア系の方がが多いのではないでしょうか?
内田:なるほどね、お金持ち。
吉崎:そんな中でポイントは外国人の方が賃貸住宅に住んで、今後1番増えていく、狙い目。
賃貸住宅オーナーからすれば、冬は外国人が1番増えるのです。
賃貸で若年層が減ってきますから、徐々に徐々に…
これも年の単位で10%とか増えてきています。
内田:そうか…
もしかして「借り手が外国人ですよ」っていうことがこれから増えてくる?
吉崎:増えてくる。
都道府県をまたぐ移動のうち、11%ぐらいは外国人ですから。
内田:1割超えて…
吉崎:都道府県をまたぐ移動で、パッと出るイメージは大学生や就職の人でしょう?
そこに混じって、十何%の外国人がいます。
外国人の方々が借りにくい4つの理由
外国人の方が借りやすい状況・環境は今あるのですか?
それが、実は借りにくい状況です。
やっぱり色々なハードルがあって、借りにくいんです。
内田:企業に大きな企業にちゃんと勤めているとかだったら、違うのかもしれませんけれど…
吉崎:それでもやはり借りにくい。
借りにくい理由は4つぐらいあります。
一つ目が、賃貸借契約や重要事項説明書というのを交わしますよね?
契約の時でも、その時に言語の問題があって意思疎通がしにくい。
二つ目が連帯保証人をどうするかという問題です。
内田:働いている企業がなるなど…
吉崎:普通は学生さんはお母さん・お父さんになってもらうみたいなイメージですけれどね。
内田:祖国にいらっしゃるんだとしたら、なかなか難しいですよね。
吉崎:次が緊急時の対応。
もう普通に書かされる事ですから、実家の母に頼まないと書くのが難しい…
そして、さらに貸し手側とすれば、住まいに関する文化とかマナーが違う。
このようなハードルがあって、なかなか借りる側も貸す側も「ハードルが高いよね…」という状況になっています。
また、実際に外国人の方が入居するとトラブルはやっぱり多くて…
ごみ出しのルールを守ってくれない。
騒音、あるいは食文化における違いによって臭いなどです。
あるいは家賃滞納や、勝手に人を住ますとか…
「僕と彼女で住みます」と言っていたのに、もう誰かがいるような状況とか…
あるいは原状回復退去時の意識が低いという問題があったりして、大きなトラブルも増えてきています。
というところで、僕が提示しておきたいのは今後はある程度、外国人の賃貸住宅居住者は増える。
増えることは間違いない。
これはもう100%だと思います。
一方で、日本人の人口は減りつつある。
世帯数が伸びてきてきていて、単独世帯が増えてきているので、そういう意味では需要は増えてくるんだろうけれども。
増え分のボリュームゾーンの外国の割合でいくと、外国人向けの借りることに対する意識を変えていかないと。
あるいは管理会社の人たちもそういうのができるようにしていかないと…
今後は賃貸住宅を貸す側と管理をする側。
そうすればうまくいかないんじゃないかなと思いますね。
東京(首都圏)に入ってくる率は今は高いのかもしれませんけれど…
今後の地方創生に関して、それを当てはめていくとなると…
地方でもやっぱりそういう備えみたいなものはしておく必要があるのか?というところです。
吉崎:よく見かけるのが地方の大きな工場とかあるところです。
比較的、ハウスメーカーさんやアパート専業メーカーと呼ばれるところが賃貸住宅を建てて、そこに住まれる方が多い。
地域名は言いませんが「〇〇エリアって結構外国人多いらしいね」と聞かれるところあると思います。
内田:聞きますよね。
「◯◯街がある」というような…
吉崎:ああいうところでは、比較的こういうのをうまくやっているところもあるようです。
しかし、トラブルもやっぱり多い。
今後の問題とは
問題は都市部なのです。
地方でも大きな問題になっていますが、地方(それなりに◯◯街みたいなところ)といえば、なんとなくそういうのが得意な業者さんも出てきているわけです。
そうですよね。
それが何かある意味“町おこし的”になっているのですよね。
空き家問題などを先ほど取り上げましたが、ちょっと解決になったりとか。
そういうのもあるのかもしれません。
吉崎:やっぱり一方で、都市部では何か「何となく」を選んじゃうといいますか…
けれども、こっちに目を向けておかないと、10年・20年はいいですが、そこから先は需要が減りますよね。
内田:「これから建てよう」と思っている人たちも、いらっしゃるわけじゃないですか?
そうなった時は、そういう環境になるんだということをしっかりと頭に入れて対策対応しておかなければいけませんね。
吉崎:そうですね。
2040年ぐらいまでは、首都圏の人口・世帯数もいい感じで、賃貸需要も伸びも伸び続けると思います。
そこから先、今からだいたい30年・35年ぐらいは賃貸住宅経営をしますから…
35年だったら、2058年ですからね。
2040年から先は、ある程度外国人の方々に借りてもらえるような管理体制を取っておかないと厳しいと思います。
内田:外国人の方に借りてもらうのもそうですし、高齢者になってきた我々もいるわけじゃないですか?
その時に一人で保証人とかもなく「どんな風にここを借りられるのかしら?」とか…
やはり住まいの不安はずっとありますね。
吉崎:これもどこかで取り上げましたが、すごく今問題で単独世帯では生涯未婚率が上がっている。
離婚率が上がってくると、高齢者でひとり暮らしの人がめちゃくちゃ増えているのです。
高級な老人ホームなどに入った時に、保証人の欄に娘さんや息子さんの名前を書くというのが多いらしいのですよ。
内田:でも居ない人もいますよね…
吉崎:それはすごく今問題で変えなきゃいけないというのは話題になっていますよね。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年10月23日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています