中古物件と新築物件のリスクとリターンとは?
今日は「中古物件と新築物件、リスクとリターンから考える失敗しない不動産知識」について考えていきます。
凄く幅広い事なので何に絞って話すのか中々難しいですが…
中古物件と新築物件、リスクとリターンは、自分で住むか投資に使うかによってかなり違うとは思います。
自分で住む用の物件を考えた時のリスクとリターン…
この場合のリターンとリスクとは何でしょうか?
リターンは「そこに住んでいて幸せだなあ」とか「家族と毎日ゆっくり夜景を見ながら幸せだなぁ…」とか。
経済学でいう効用ですよね。
効用がある、それがリターンですよね。
それで、1つはこの割合をどれくらい考えるかです。
投資でいくと、リスクは値下がりとかインカムゲイン、つまり賃料が入ってこない、というリスクですよね。
リターンは当然今のものと同じで値上がり期待と賃料が入ってくるリターンですよね。
という考え方と、自分で住む場合は、値下がりも含めて、例えばローンを払えなくなるというリスク。
仕事を失ってしまい…というようなリスク。
一方でリターンは、投資的に考えれば、そこを将来貸した時や転売した時の利益。
あと王道的にいうと効用ですよね。
その時間というのでしょうか、あったかいシチューを食べようよみたいな、あのような世界。
内田:充実感、みたいなね。
吉崎:あのようなものがリターンで、ここを分けて考えなければならないという事です。
そうすると、新築と中古物件で先ほどの効用の観点でまず考えてみると…
新しい物件ですから当然ぴかぴかで綺麗で、初めて買った方が住んでいるわけですから気分も皆フレッシュな感じですね。
新しいコミュニティーができて、新しい出逢い、家族的なお付き合いが始まるかもしれない。
一方で中古物件だと既にコミュニティーができた所へ入っていきますから…というのと、その部屋は前に誰かが使っていた訳ですから「少しここを直したいな」とか、少し不具合がある等、若干そういった気になる事がある、という事になりますよね。
その差が出てくるという訳ですから、当然リスクにおいても新築の方はそのまま上がるかもしれないし下がるかもしれない。
ですが、中古物件の方は大体もうある程度評価が決まってきているという事です。
内田:中古物件だと見えるものが、新築物件だとまだ見えない、というような所もある。
吉崎:そうですね。
新築中古の場合は、ここ20年くらい見ていても物件はそんなに下がっていませんよね。
内田:傾向が分かる。
吉崎:分かりますよね。
新築の場合は、株でいうと高値掴みしたような所があるかもしれないし、まだまだ上がるかもしれないし…
これは買ってみないと分からない、というリスクがあります。
効用の考え方
なんだか成長株と成熟株のような分け方ですよね。
そうですね。
そういった、効用との関係性、という事ですよね。
よくいう限界効用提言の法則で、2杯ビールを飲み、3杯目もいく?という事ですね。力
内田:もうちょっとお腹が膨れてしまったかな…
吉崎:1杯目の「くぅ〜!美味しい~!」というビールとは違う感覚ですが、値段は同じではないですか。
1杯目は680円で2杯目は580円、3杯目は480円だとしたら効用に合っていますけれども…
ずっと680円ですよね。
内田:喉越しはもう、少し違いますよね。
吉崎:違いますよね。
「もう1杯いくか?」という話です。
これが効用の考え方で、効用との比較をしていかなければならない。
ビール効用は大体似ているけれども、家の効用というものは全然違いますし、目の前に公園がある事を効用と申す人も居れば、公園のある所なんて駅から遠いじゃないか、という人も居る。
内田:個人で違うし、環境によっても違うし、全然違いますよね。
吉崎:人それぞれですよね。
リスクに応じても、リスク選考で違いますので、ボロボロな家を買って、リノベーションして。
内田:そういう方もおられますよね。
ここもリスク選好によっては違うという事で、それらを複合的に考える必要があるという事です。
では投資物件として見たらどうなのか?
これは比較的シンプルで、新築物件の場合は販売分が乗る訳ですから若干高値が付く、15%〜20%くらい高くなるというマイナス要素があります。
物件の供給量が中古物件の場合は、例えば首都圏ならば首都圏で、理論上は満遍なく出るはずです。
供給物件の場合は例えば湾岸エリア等でいうと新しい土地がありますので、どんどん供給される可能性があるけれども、都心の真ん中辺りでは土地がない訳ですから偶にしか出ない、と。
自分はこういう場所に投資したいなと思っていても、その物件がタイムリーに出てこない、という状況になりますよね。
そういうような違いがあるということです。
一方、リターンにおいてはキャピタルゲインとインカムゲインの考え方をすると、インカムゲインにおいては、新築は若干プレミアムがつくと思います。
新築物件なので少し高めに賃料設定ができる、これはプラスメリットです。
そうですよね。
設備も最新だったりするわけですから。
一方で、中古物件の場合は、所有した物件を貸す場合、手直しリスクが出てきますよね。
例えばうちの部屋に住んで20年経ったとして「壊れているので直してくれ」と、入居者の方々からちょっとしたクレームを付けられる、というリスクがあります。
しかし一方で買値は安くなりますので…
とはいえですね、都心の場合は新築プレミアムを除けば、築5年くらい経っていれば5年ものも15年ものも家賃は余り変わりません。
大幅には変わりませんから、他の条件が一定とするならば、そういう意味では中古物件の方が投資リターンは高くなってくる、という事になります。
どの辺りのリスクと、どの辺りのリターンを欲しいかというのはリスク選好によって変わってきますので、それぞれで異なるとしか言い様がありません。
一方、実事の場合はそこに効用という考え方が乗ってくる事を覚えておかれても良いと思いますね。
内田:そうですね。
それは結構重要ですものね。
ライフスタイルによって効用の狙い方を変化させる
あとはライフスタイルによって変化させていくというパターンもありますね。
独身の頃は東京の良い所で35平米から50平米くらい、昔のようにいうとリンクスと呼ばれていた(今はカップルタイプという人も居ますが)二人暮らしくらいをイメージした1LDKのようなものを買う。
それで結婚してお子様ができたらそこを手放し、貸すようにして、自分達はそこへは住まず、別の物件に引っ越しをされる、というような方々も居ます。
結婚したタイミングや転職のタイミングなど、そういう事に応じて物件を変えていき、それに応じてリスクやリターンの取り方を変えていく。
先ほど言ったように、最初の頃は1人で居て、将来的にずっと住むかどうかは分からないけれども、半分気持ちの上では投資で買っている方も居て「その後は貸すようにしよう」という場合は、いまの丁度あいだくらいを狙っていく訳です。
効用も狙いつつ、投資のイメージも持ちつつ、とやっていくという事ですね。
ものすごく長期で自分の人生というものを考えながら、リスクとリターンを考えていかなければならないのですね。
吉崎:そうですね。
だってローンは35年・40年は払いますから。
20代で家を持つと結構、長期間払いますからね。
ここで少し言っておきたいのが、先ほど言ったように自宅購入はある程度効用を、結構しっかりと、自分にとっての満足度はどういった所にあるのかを考えていくのと、子供ができたらやはり変わっていく訳ですから。
内田:そうですよね。
効用も変わってきそう。
吉崎:在り方は変わってきますよね。
満足度も変わってきますね。
内田:結構ちゃんと想像して、イメージして考えていかなければならないですね。
ぜひ参考にしてください。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「吉崎誠二の5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※2022年12月12日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています