2024年前半の住宅市況の見通し
今日は大手ハウスメーカーのアンケート調査から見る「2024年前半の住宅市況の見通し」です。
何カ月か前に取り上げた、住宅業界の団連。
ほとんど大手ハウスメーカーが加盟しており、そんな数も多くないのですが…
そこに対してアンケート調査をかけて、DI調査だから日銀短観みたいな、景況景気を見たいものです。
そのデータの最新版が出ました。
10月〜12月期はどうですか?というのと…
この後の令和5年度(第4四半期だから今ですね)この1月〜3月はどうですか?というような数字です。
これを見ていると、結果はもうここでしゃべった通り、持ち家(注文住宅)の建築数は22万戸台で、60年ぶりの低水準でした。
そして分譲戸建ては13カ月連続のマイナスで、こちらもかなり苦戦が続いている状況です。
この先の見通しについても、アンケートは大手がほぼ入っていますので、大手の状況になりますが…
そうすると受注の戸数は、1月〜3月で-4ポイントの見通しです。
だけれど、受注金額はプラスなんです。
なるほど…
数は少なくても金額は多いのですね。
これはポイントだと思います。
いま大手ハウスメーカーを含む色々なメーカーさんが言っているのは…
マンションでもそうですが「安いものも戸数で勝負をやめよう」と。
「買える人に買ってもらおう」ということで、マンションだと都心の真ん中ばかりに建っていますよね?という話をしてきたと思います。
郊外でマンションがもっと建つようになれば、その分「マンションの平均価格は1億円を超えました」というような報道がなくなるわけです。
つまり、真ん中ばかりで作っているので、平均価格は上がっている。
それを裏を返せば、数は少なくてもいいので、高いものを受注金額を上げて狙っていこうと。
内田:そうすれば売上高的なものは横ばいか…
もしくは上がるかくらいの期待ができるということですね。
吉崎:戸数だけで見れば、もうここ史上稀に見る少なさというのが2023年でした。
2024年も恐らく、2023年よりももう1段少なくなりそうですが…
「金額はどうなの?」というと、金額はそうでもない。
内田:売上で上がるかもしれないし、またいいものを作ったとするならば…
吉崎:そういうことですね。
利益率も上がってきています。
企業がとるべき戦略とは?
これを企業が業績を上げる上で、当然とり取るべき戦略なのですが…
一方でもう1つ、大きな要因は注文住宅は1現場1現場に管理する人をつけて、職人さんをつけて…となるため人件費の問題です。
2024年問題、労働建築業界の工期が長くなり、人が足りておらず人を多く投入できないというような状況の中でだったら「儲かる場所で高い金額」で…
どの物件でも1つ図面を書かなければいけません。
5,000万円の家でも1億円の家でも、です。
だとすると「大きな家に行こうぜ!」という雰囲気になってきていると。
「厳選して」ということになりますから、乱立時代はもう終わりよ!と…
吉崎:特にそれがマンションでは、もう既に出ていた。
戸建てにもその波が来ています。
昔は戸数ばかり見ていましたが、戸数だけでは分からなくなってきています。
内田:これから見るのは戸数ではなく、金額で見ていこないと景況感が分からないからなくなる?
吉崎:そういう事ですね。
マーケットはどうなる?
受注戸数はもうどうでしょうか…
少し語弊があるかもしれませんが「消費税がどうのこうの…」というのがなければ、恐らくもう戻らないでしょう。
僻地内し人口減少、価格が下がるような余地なし、金利上がるかもしれないと考えた時に、所得が一気に上がれば話は別ですが…
そうじゃないことを考えたらどうでしょうか?
2023年の22万9,000戸は、もしかすると、ここ最近ではピークだったのかもしれません。
ここからどんどん下がる可能性もあるのです。
そうすると本当に買えない人も全然買えなくなっちゃうし…
買える方だけが本当に買ってゆくマーケットになりますということですよね。
ハウスメーカーや住宅メーカーはいいのかもしれませんけれど…
吉崎:もう1つ、中古のマンションと中古戸建て。
例えば中古マンションは2013年ぐらいから2012年の終わりくらいにかなり上がり始めるのですが…
ならすと首都圏で1.7倍〜1.8倍。
不動産価格指数を見ていると1.9倍ぐらいがここ最近の状況です。
過去10年で2倍はいっていませんが、1.9倍いっている。
戸建ては1.1倍〜1.25倍ぐらいですから、戸建ては伸びていません。
そう考えると、少し語弊がある言い方かもしれませんが…
金持ちの道楽っぽくなってリセールバリューを考えるよりも、いい場所に建てますから土地の値段は多分下がることはないと思いますし(上がるかもしれないけれども…)
建物に関してはある程度、道楽感がある。
値段が持たないということを考えたら…というような感じに、都市部での一戸建ての購入、あるいは建築はなりつつあるということですね。
そうすると、庶民にとってマイホームは夢のまた夢のまた夢のさらに上みたいに…?
マイホームもマンションのことを指しますものね。
そういう意味かもしれませんね。
地方都市が1番問題で、基本的には一戸建てに住みますよね?
基本的には…
吉崎:建築費が上がってきているということは、それについて所得が上がってくればつられて上がってくればいいのですが…
そうじゃなければ苦しくなってくるということです。
地方にも大手ハウスメーカーはきてますから「地方をメインでやっています!」みたいな注文住宅の会社はかなり苦しいでしょうね…
内田:そうかもしれませんね。
吉崎:この間、とあるエリアを見ていたら…
「もうちょっとそろそろ会社じまいしようか」など、地元で注文住宅ばかりをやってるところは苦戦をしている話もちらほら聞きますので…
内田:結構多いですよね。
地方で都市、その街中心に住宅してるっていう小さな企業。
吉崎:分譲住宅の場合はまだいけますが「注文住宅しか入っていません」というところは相当苦しいようです。
それでも地方にもお金持ちもいますから。
そういう方を狙っていくしかないのでしょうが…
当然、割合は別として実数の人数は少なくなってきますからね…
内田:そうすると都心部だけで贅沢なものになるのではなく「地方も含めて」というふうに考えておかなければ、ですね。
吉崎:それ以外の方々が賃貸住宅に流れるので…
賃貸住宅の賃料も今上がりつつあるというようなのが、2024年2月19日現在というところですかね。
※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から”誠”論 NEXT」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2024年2月19日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています