マイナス金利の解除で不動産投資市況は一体どうなるのか?
明日にも「マイナス金利解除になるんじゃないか…」という雰囲気になってまいりましたね。
そこで、マイナス金利の解除で不動産投資市況は一体どうなるのか?ということで、吉崎さんにお話を伺っていきたいと思います。
年初に3つのBICの何かがある時は、意外と3月や4月と言われていますが…
「7月ぐらいになるのでは?」と言った記憶があります。
明日の12時ぐらいに発表されますので、吉崎さん大外れでしたね。
内田:誰も責めていないのに、自分で言っちゃいました…
吉崎:聞いてる人が言われたら嫌かな?と思って先に言いました。
賃上げが意外とすごかったですね。
内田:どこも満額、満額でビックリしましたね…!
吉崎:ホントそうでしたね。
上がりそうなムード満点です。
アメリカのFRBも今回上げなそう…
こうすると、今月の金融政策決定会合では上げやすいですよね。
いま上げないのであればいつ上げるんだみたいな風も吹きそうだからね。
内田:そうですよね。
しかもこの先もしかしたら1回2回くらい利上げするんじゃないのか?みたいなところまで、意見が出てきましたよ。
吉崎:例えば最近ではREITが調子悪いですものね…
金利はどうなっていく?
「金利が上がるかもしれない」ということですか?
実際、固定金利で支えているREITが多いです。
そういう意味では今後のリスクヘッジはもう既に終わりつつあるというところです。
金利が上がるということは一方で、ここでも何度かしゃべりましたが賃料が上がるということになります。
内田:ローンの額が増える、金利が増えるということも嫌ですが…
賃料が上がることは不動産を持っている方々にとってはメリットですね。
吉崎:メリットですね。
賃料が上がるということは、金利の上昇分は吸収できる範囲であればもう行って来いになります。
ただそこには若干の時差があります。
最初はふっと水を差すようなモードになるかもしれませんが、賃料の上がり加減が順々に出てきますので。
それほど時差なく出てきたとするならば、その分で吸収できるんじゃないか?というところです。
内田:自分が住んでいる物件を買いましたということであれば、少し負担が大きくなる?
吉崎:変動金利を借りてる方が今8割以上とも言われています。
仮にマイナス金利解除になると、変動金利は上がるのか?ということですが…
内田:上がるのですよね?
吉崎:金利が上がるかどうかは一旦置いておいて…
まず支払いは6カ月間ごとにしか見直しされません。
少なくとも6カ月分は猶予があり、その先での見直しになります。
「「明日からすぐ負担分が増える!」ということではありません」ということです。
ただ、金利が上がってマイナス金利解除なったとすると、短期プライムレートが上がる可能性が出てきます。
短期プライムレートに連動しても、そこに色々なリスクをのせて貸し倒れリスクや早期繰り上げリスク返済のリスクなど、色々なリスクを上げて金利を確定していきます。
ただ、銀行の融資先として、住宅ローンはどこの会社も取り合いになっています。
「どこの会社も上げるのか?」という風に“見る動き”が多いと思います。
内田:先に上げちゃったり、後で少し高く上げたりすると不利ですね。
吉崎:不利になります。
「うちでは借りてくれません…」あるいは「借り換えをされてしまう」かもしれません。
「他行は金利を上げましたが、うちはそのまましています」となると、こちらに変わるかもしれません。
それが1番銀行としては嫌なわけです。
ただ、当然その分「利幅は減る」ことになります。
金融公庫など、金融支援機構から別として…
民間の金融機関がすぐにすぐに金利を上げるのか?となると、そうでもないかもしれません。
内田:それは取り合いだからでしょうか?
吉崎:取り合いだから、突然移動されたくないからなどの理由を含めてでしょうか…
まず金利が上がったとしてもわずかでしょうが、そこで直ちに住宅ローン金利に反映されるかどうかは疑問です。
これはあんまり書いてないので、何人かの人には書いてありますけれどね。
内田:結構「金利がどうなる?」と言って「これだけ支払いが上がるよ?」というような…
吉崎:多少変わるのかもしれませんが、大幅にはないと思います。
まず1点目、投資の方の話でいくと…
キャップレートは上がる可能性があります。
キャップレートは不動産固有のリスクプレミアムとリッツプレミアムとリスクフリーレートの合計値で計算することが多いです。
今回、マイナス金利政策の解除と同時に、長期金利のイールドカーブ・コントロール(YCC)
一応いま事実上は撤廃されたとなっていますが…
内田:何となくそういう流れになっていますよね?
吉崎:流れになっていますが、撤廃したとは言っていませんね。
一応、制限をかけると言っています。
内田:「金利がすごく上がらないような仕組みは残す」と言っていますね。
不動産投資は?
不動産投資においては、ここが大きいと思います。
ここが上がるとやっぱり要求利回りが上がりますので気になります。
マイナス金利を解除しても、いきなり急激には絶対切れないと思います。
「YCCを完全にやめます!」その方が怖いです。
もう1つ。
不動産投資でいくと、REITとETFの買い入れ。
日銀は一応、今回これでやめそうなムード満点ですよね。
そうです。
この前、大きく下げた時も買いは入れませんでした。
吉崎:ですよね?
更に、ETFはいい感じですがいつか手放さなければいけません。
J-REITでも数兆円ぐらい買っていると言われていますから…
それが出た時に売り物件が出てきます。
ここが怖いなと、こっちの方がでかいと思うのです。
内田:今持ってるものをどうする案件…
これはずっと言われていますよね?
国民に配るとか…
年金に組み入れる話も色々とありましたが、いよいよちゃんと考えないといけなくなりますね。
吉崎:今回の金融緩和政策の転換は基本的にその大きく3つでしょう?
マイナス金利解除をどうするかこうするか。
1:17年ぶりの利上げをするかどうか
2:ICCをどうするか
3:REITやETFの買い入れどうするか
この3つが重なっているわけです。
全てが変更になった時に、金利はそんなにガンガンガンガンと上げられません。
すると(2)(3)の方が今回のテーマの“投資”においては、結構大きな影響があると思うのです。
内田:今の報道ベースだとこの3つ、やりそうなムードですよね。
前の番組でも言いましたが、今日の金利10年債の利回りも下がっているのです。
吉崎:そうきましたか…
何を意味しているのか?というとこですよね。
ここら辺を見ると、もしかするとどうなのか…
1番それが気になりますね。
内田:一応「金利が上がらない仕組みは〜」というような言い方はしていますが…
吉崎:こっちの2つの方が多いですよね?
不動産投資絡みでは絶対この2つの方が、大きいです。
そこに注目したいです。
内田:業種別で株の騰落率を見ると、不動産が1番上がったのは分かっていましたが…
これも何を指していたのか?ですね。
吉崎:何かその辺が「臭うな…」という感じがするというか…
日本経済新聞などはスゴいですよね。
「金曜にはもう解除」と書いていたのです。
内田:あっちこっちのメディアもそんな感じになっていますよね。
吉崎:どこからそんな情報が手に入るんですか?という感じで…
その前提になっていますものね。
内田:これが「対話」というやつではないですか?
吉崎:市場との対話で思いますが、GPIFの含み益は凄いらしいですね。
国会に呼ばれて「どういうことか謝罪しろ!」と言われていましたが「今これだけ儲かっているから怖いです…」ということで…
内田:それもまた年金などと言いますものね。
吉崎:そうですよ…!
やっぱり、そういうことが増えますから明日のお昼は注目ですね。
内田:歴史的な瞬間が見れるのでしょうか。
吉崎:来週に解説しましょう…!
※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から”誠”論 NEXT」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2024年3月18日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています