資産価値を維持するマンションとは


今日は「資産価値を維持するマンションとは」についてお話していただこうと思います。

2012年だったでしょうか…
私「「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人」という本を書いたのですよ。
内田:まさにこのテーマですね。
吉崎:まさにこのテーマそのままです。
消費マンションというものは、値下がり、消費してどんどん年数が経てば価値が下がっていく。
資産マンションというものは、資産価値が維持され続けていく、と。
内田:そのような言い方をするのですね。
吉崎:という事で、「消費マンション」と「資産マンション」は私が勝手に付けた名前です。
2012年に書きましたが、その時はそれほど売れなかったので…
これを広めて行きたいですね。
内田:不動産は時間軸の長い投資なので、本も長いのではないですか?
そんな事は無い?
吉崎:2016年とか2017年くらいに、色々なメディアや新聞社さんに呼ばれ講演をした時に、結構「その本をお客様にプレゼントとして使いたいのです。」と言われたのですが…
もう廃盤になっていて使えなかった、という悲しい歴史があります。
出版社の方に「これはもう増刷しないのでしょうか?」と聞くと「もう時間が経ちすぎているため、できません…」と言われてしまい、増刷できなかったという苦い過去がありました。
「いつか資産マンションと消費マンションの本を書いてみたいな」と思います。
資産マンションのアプローチ


資産マンションは、資産の価値を維持するマンションです。
色々あると思うのですが、アプローチは3つくらい。
1つは、立地だと思います。

立地は欠かせないですよね。
吉崎:立地は、その中で分割すると、1つは需要です。
需要、言い方を換えると「人気」ですよね。
このエリアに住みたい、という人気が1つ。
もう1つは、利便性です。
これも需要に近いですけれども。
内田:学校が近い、あと大きなスーパーがあるとか。
吉崎:それよりも、1番は駅から近いですね。
先ほどの、本を書いたその頃はこの2つだったのですね。
内田:そうなのですね。
今は加わったのですか?
吉崎:完全に加わっています。
こういうものが、私は1番上にきても良いと思いますが…
1番上にくるのは「災害に強い」という事。
内田:確かに…
吉崎:2019年に、一時期多摩川が決壊しかかっていたとか、台風がおきて千葉県で結構な災害があったとか。
今日も千葉県で災害のリスク、千葉市ではリスク3土砂災害警報が出ていたと、リスナー様がコメントして下さっておりますけれども…
内田:雨が結構降ったからでしょうかね?
吉崎:あるいは、ウォーターハザードでしょうか。
それで、東京は結構デコボコした街です。
内田:そうですね、谷もあれば山もある。
吉崎:そして、谷が入り組んだ場所が沢山あります。
切れ込んだ谷等もありますからね。
内田:谷が付く地名が結構ありますものね。
吉崎:池が付く名前等もありますし、埋立地も東京は多いですから。
埋立地については色々お話しましたが、湾岸エリアの埋立地もそうですが、それよりももっと前、江戸時代に埋め立てた所もありますし…
此処からすぐ近くの溜池は、少し前まで駅ですからね。
地名が残っておりますからね。
内田:溜池(ためいけ)。
吉崎:溜池(ためいけ)ですよ?
何処から行くのにも谷底みたいな所ですからね。
内田:昔、やはり大雨が降った時に、地下鉄の駅に水が流れ込んできて大変だったのを見た事がありますね。
吉崎:そういう災害に強い立地かどうか?という所も、重要になります。
内田:重要ですね。
資産価値を高めるには管理も重要


そして、もう1つの見方をすれば「管理」です。

管理、これは大事ですよ。
吉崎:管理は現実的な所、要はお金、修繕積立金、管理費の未納があるかどうか?という現実的なお話が1つ。
内田:これが将来に向けての安心になる訳ですものね。
吉崎:修繕がちゃんとできるか?管理が行き届いていくか?等ですね。
当然自主管理物件もありますし、管理組合に頼まず自分達でやっている、管理会社に頼んでいる所もあります。
管理には大事な点がもう1つ、管理の品質です。
内田:これも大事。
吉崎:維持管理、エレベーター等のメンテナンス、という所がやはり重要なポイントなのですが、これは普通にやっておりますから。
それよりも、コミュニティを上手く形成する管理です。
例えば、ゴミがぐちゃぐちゃな時…
内田:結構都内にはあると聞きますよ?
吉崎:タワーマンション等は、ほぼほぼ各階に置きますからね。
階によってはぐちゃぐちゃしていたり…
それを良い感じで「ちゃんと分けて下さいね」という風に持って行けるかどうか、これも管理の品質ですから。
内田:確かにそうですね。
吉崎:それが良くなくなってくると、ギクシャクしたマンションライフになる訳です。
「管理人が凄く五月蠅い!」という風に見られても困りますし、一方で「もう内田さんはいつもゴミをぐちゃぐちゃにして入れているね」と。
内田:ちゃんと綺麗にしていますから…!
吉崎:段ボールはきちんと縛って、ぐちゃぐちゃな物のラベルを見ると」内田まさみと書いてあるとかね…
そういうのが、ちゃんとそういう風に持って行けているかどうか、という辺りも重要という事です。
資産価値を維持するというのは、これは経年劣化に伴う一定の下げ分を、仕方が無いと見るのか、下がらないと見るのか、というのが大きな論点です。
つまり、下がらないという事は、事実上上がっている。
内田:そうですね。
だって建物は古くなるのですから。
吉崎:そうですし、その間利用していますからね。
その帰属家賃に置き換えると、自分の所有物に自分が家賃を払うならば、これが帰属家賃ですが、帰属家賃はタダだという事ですからね。
「横這い」という事。
更に、上がる物件もあります。
これは帰属家賃はタダな上に、価値が上がって儲けも出ている、という事ですからね。
これは所謂ヴィンテージマンション、ブランド価値がずっと上がるマンションです。

そのブランド価値が上がるというのは、どうして上がっていくのですか?

1つは、希少価値。
そのエリアに少ないかどうかです。
もう1つは、年月が経てばステータスが上がる仕掛けがあるかどうか。
内田:例えば?木が育って?
吉崎:育って、花が育つ。
内田:マンションの桜が咲いてしまうとか‥?
吉崎:時が経てば経つ程、味が出てくるかどうか、という事です。
それと共に、入居者の方々の品というか、格というか…
内田:それも大事ですね。
吉崎:それも、ヴィンテージマンションを構成する要素ですね。
「内田さんは何処に住んでいるのですか?〇〇マンション!?流石ね!やはり売れっ子女子アナは違うね!」みたいな。
内田:そんな事言ってみたい…
吉崎:そういう“誰々が何処何処に住んでいる”というのもヴィンテージマンションを構成する要素です。
とはいえ今までのは半分冗談ですが(笑)
何といっても、このエリアにあのマンション。
これは私が2020年に書いた「「不動産サイクル理論」で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」という本に書いた(内田さんに紹介して頂いた出版社で出しましたけれども、裏話はどうでも良いのですが…)
そこで書きましたけれども「シンボリックマンション」というね。
資産価値が高まるシンボリックマンションとは


〇〇といえば…
例えばヴィンテージマンションで有名なのは、例えば「広尾ガーデンヒルズ」

何とかヒルズとかそうですよね。
吉崎:ヒルズは森ビルさんが持っているものが多いのですけれども…
広尾ガーデンヒルズは三井不動産と三菱地所さんがコラボで作ったマンションです。
「広尾といえば、広尾ガーデンヒルズですよね!」というような…
「○○エリアといえばあのマンションですよね」という、シンボリックなマンションになっている状況が作れれば、ヴィンテージマンションにはなる。
規模が大きくてそうなるパターンはかなりレアです。
内田:小さめ、ほどほどでしょうか?
吉崎:先ほど言った広尾ガーデンヒルズはかなり棟が多いですからね。
内田:それでも、上がっていくのですか?
吉崎:あそこは森の中にあり、傾斜が良い傾斜ですからね。
内田:大事なのですね。
吉崎:周辺にどのような飲食店があるかとか、それも大事です。
駅からすぐ側ですからね。
内田:しかしこれは、上がっていくものは本当に少ないのでしょうけれども…
維持できるというだけでも、やはりこれは素晴らしい事ですよね。
吉崎:どういう物件が維持できるかというのが、先ほど言った管理の面と立地の面、この2つが揃っていないとまぁまぁ厳しいという所です。
とはいえ私は立地だと思います。
アドレス(住所)が有名なエリアは強い
内田:しかし、立地等というのは、住む前や選ぶ前に大体分かりますが、管理等というのはそこまでじっくり見られるかというと、中々難しいですよね?
吉崎:私の「「消費マンション」を買う人 「資産マンション」を選べる人」という本に書いていたのは、立地については先程の災害に強い街、これはほぼほぼイコールでその街のアドレスが有名、というのが大体イコールなのですよね。
内田:アドレスが有名?
吉崎:このエリア、要は明治時代、江戸時代の頃から代官が住んでいたとか、殿様が住んでいたような街というのは、だいたい災害に強い街です。
そういうようなエリア、要はアドレスが有名ということです。
内田:アドレス、住所ですね。
吉崎:例えば、代官山等は有名ですね。
周りにも色々な有名な人が…西郷山とかね。
西郷隆盛の弟、西郷従道が住んでいた山。
それで、代官山は各駅しか止まらない駅ですからね。
内田:そうですよね。
吉崎:副都心線には繋がりましたけれども、少し前までは副都心線にも繋がっていませんでしたから。
山を逆側に降りれば恵比寿、山を下って行けば渋谷に行けますが、山の上の不便な場所です…
という事で、アドレス最強です。
内田:白金とかもね。
吉崎:白金と白金台と2つあり、白金台は山の上の方、白金は山の下の方ですね。
内田:やはりそういう所が…
吉崎:ある訳ですよ。
細かい人は「何丁目から何丁目は良いけれども、何丁目から何丁目まではいまいち」という人もいますからね。
マンションオタクのような人が、中にはいますね。
それはまた、本を書こうかな…?
内田:面白いですね!
是非、楽しみにしております。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
放送日時:毎週月曜日〜水曜日 17:00~17:50
※ 本コーナーは毎週月曜日のコーナーです
番組公式サイトはこちら
番組のアーカイブ配信はこちら
※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※2023年5月8日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています