土地問題に関する国民の意識調査について
今日は、「土地問題に関する国民の意識調査」という国交省が年一回やっている調査のお話をします。
これは年1回、国土交通省の土地政策課が行う土地問題に関する国民の意識調査ということで、まあ土地持ってますかということですね。
一人で持っていますか、複数で持ってますかとか、どうしてその土地を手に入れましたか相続ですかどうですかこうですかという理由まで、めちゃくちゃ多岐にわたる調査で分厚い160ページぐらいのレポートが毎年発表されるんです。
僕は1年間いろんなこの手のデータを152個決めて毎年発表の度に見るんですが、これが一番分厚いです。
この中で注目してほしいことがあって、土地の意識調査なんだけどその中の1つに賃所有と賃貸の意識調査というのがあります。
内田:賃貸もあるんですね。
吉崎:あります。
つまり、住宅土地に関する意識調査で土地と住まいそれぞれに分けて、いろんなクエスチョンがあるわけね。
内田:土地住まいに関わるさまざまな質問が網羅されていると。
吉崎:面白いのが、あなたが住んでいる自宅は所有ですか賃貸ですかというようなところから始まって、どのようにお考えですかと。
建物を所有していれば、土地を借地でも良いとかですね。
積極的に賃貸住宅の方が望ましいとか。
いろいろなアンケート調査があって、例えば平成6年のこの1994年ぐらい国内で土地と建物を所有、両方はちゃんと持っておきたいと、いつか持っておきたいと思った方々の割合は83.5%。
大半が8割超えていて、それが8割を切るのが平成24年です。
つまり、両方とも所有したいんですね。
内田:6年から18年の間に8割を切ったと。
最新の調査結果は?
最新の調査では、さあ、内田まさみさん、何%だったと思います。
いや、それ加速してるんじゃないですか。
吉崎:もう戻ってきていて6割。
65.5%ということで、ちょうどコロナ禍くらいですね。
令和に入って2回目の令和2年調査から7割を切って60%台になっているというところで。
まあ普通、一般的にはセットで持ってる人が多いですけど、所有の場合は65.5%。
前回去年1個前の調査ではこれが66.7%ということで、また2%と下がっています。
昨年の11月の調査で発表がこの間ですね。
賃貸住宅で構わないとか、あるいは賃貸住宅での方が良いといった方々の割合は平成6年では8%、この時は。
内田:1割いない。
吉崎:はい、現在は何%でしょうか?
内田:増えたでしょうね。
えーっと1.5割ぐらい15%です。
吉崎:ドンピシャですね、15.1%です。
大体ずっと見ていると、長年見てるとで10%を超えるくらいから、じわじわ徐々に徐々に増えて若干減る時もあったりするんだけど、15〜6%ぐらいがここのところの推移というところになってます。
内田:これ、ずっと吉崎さんも指摘してますけど、一人暮らしの世帯がやっぱり増えてるっていうのも大きいですよね。
「分からない」の回答増加はなぜか
もう1つ面白いのは、ちょうどコロナ禍にあった令和2年、この時を境にこの回答に対して分からないと答えた方の割合がそれまで大体3〜4%位から一気に13〜14%になったんだよね。
それはやっぱり働き方が分からなくなったら…?
吉崎:それは多分この先どうなっていくんだろうっていうのともう1個。
恐らくこれはやはりこのあたりから未婚者数かなり増えている。
今、未婚だけど、結婚したらわからんよと。
今、賃貸だけのというような方々が増えているんじゃないかなというように思います。
さてこれをですね、年別に見ればどうか。
いつも国土交通省は東京圏大阪圏名古屋圏という言い方をするのですが、東京圏で見れば、土地建物両方所有賃貸借で所有したいという人の割合はさらに減って62.9%。
さて、地方に行くとすごく増えるのかと思いきや、実はそうでもないんです。
例えば、10万人よりが少ない市だったら72%とか69%とかあるんだけど、大体他のエリアでもですね中堅もうちょっと10万人とか20万人ぐらいのとこだったら65%前後で推移しているってことで、よく地方に行くと大体家をみんな持ちたいんじゃないのと。
内田:何かの私も田舎育ちですけど、やっぱりみんな自分の土地に自分の家を建ててみたいな感じでしたから。
超田舎だからそれが当たり前だと思ってたんですけど、ちょっと今実家の方に帰るとアパートもマンションもいっぱい出来ているんですよね。
吉崎:そう、いっぱいできてんですよ。
更にですねこれ年齢層から取ると若年層に地方に住んでいる若年層に特を取ると、もう持ち家志向が凄い下がる…つまり出ていこうと思ってるんですね、データーから読み解くに。
ということで、多分こういう調査をずっと丹念に追っていくと多分東京という大都市部1極集中はすごく進む。
ちなみに、18歳から29歳の若者に聞くと両方共所有したい割合は41%しかない。
いつかは持ち家をなんていうことを思っている人はもう半分を切っているということです。
内田:でも、私の周りでもその実家この処理をすごい大変だと思うんで売ったりしても、なかなか他も高値じゃ売れずすごい困ってるっていう話をよく聞くようになりましたから、そういうの聞くと持たない方が正解かななんて思っちゃってます。
吉崎:だけどそれなりに家庭を持ったら、それなりに家を持ちたくなるというのが現状です。
つまり持ち家志向を増やしていくには、もう増やしていくことがいいことかどうかは知らないけど、それをしたいという政策をするならば、結婚の促進ですよね。
それは人の自由だけれど。
内田:データだけ見ればそれも1つの手ということですね。
※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から”誠”論 NEXT」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2024年5月27日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています