オルカンへ10年積み立てした場合の目安利回りは?

オルカンへ10年投資した場合の利回り目安は約10%前後とされています。もちろん運用を開始する年によって変動するのでブレはあります。
短期的な運用であれば1年間の利回りは高くなる傾向にありますが、10年や20年などの中長期運用になると、マイナスになる月もあるので、利回りは低くなります。
しかし、ここ数年ではグローバルな株式市場の成長が反映しており、オルカンの成長は右肩上がりであることが分かります。(下図参照)

引用|MSCI ACWI vs S&P 500: historical performance from 1992 to 2025
オルカンの年数別シミュレーション

ここでは「一括投資」と「積み立て投資」した場合のシミュレーションを紹介します。10年保有に関しては10%とし、20年保有に関しては8%と30年保有に関しては6%と仮定します。
(1)10年保有した場合
ここでは10年間「一括投資場合」と「積み立て投資場合」のシミュレーションを紹介します。なお投資額は一月1万円と仮定し、10年間で120万円とします。
10年間分を一括投資した場合 | 10年間積み立て投資した場合 |
1,200,000円→3,112,491円 | 1,200,000円→1,998,639円 |
※利回り10%想定
10年間分を一括投資した場合は約3倍近い資金になるシミュレーションです。積み立て投資とは異なり、一度に運用する金額が大きいため、その分資産も大きく増加します。
(2)20年保有した場合
つぎに20年間で比較してみましょう。
20年間分を一括投資した場合 | 20年間積み立て投資した場合 |
2,400,000円→11,186,297円 | 2,400,000円→5,689,991円 |
※利回り8%想定
比較して分かるとおり、一括投資の方が将来的な資産増加率は2倍近くになります。
(3)30年保有した場合
最後に30年間で比較してみましょう。
30年間分を一括投資した場合 | 30年間積み立て投資した場合 |
3,600,000円→20,676,568円 | 3,600,000円→9,745,130円 |
※利回り6%想定
30年間となると、一括投資すると資産も数倍になります。積み立て投資であっても3倍近い資産になるシミュレーションです。
もちろん利回りは変動するので、あくまで参考程度としておきましょう。
オルカンは何年運用した方がいい?

3つの年数に分けてオルカンのシミュレーションを紹介しましたが、実際何年運用した方がよいのでしょうか。
シミュレーションだけ見れば一括投資なら何年でも良さそうですが、実際はさまざまなリスクが伴うのです。1つずつ紹介するので理解しておきましょう。
(1)20年~30年が理想
オルカン投資の運用は20年〜30年が理想です。
シミュレーションのように、一括で運用できるほどの資金がない方も多くいらっしゃることでしょう。
資金に余裕があれば一括で運用しても良いですが、「資金に余裕のない方」や「初心者で少額から始めたい方」は長期間の積み立て投資がおすすめです。
積み立て投資の場合、10年では大きな資産にすることはできませんが、20年や30年運用すると2倍~3倍近い資産にすることもできるでしょう。
投資には「損小利大」という言葉があり、「損失は小さく、利益は大きく」という意味です。20年や30年運用すれば利益も大きくなるので、長期間の運用を意識することが大切です。
(2)短期間では元本割れのリスクもある
オルカンは短期間の運用では元本割れが発生する可能性もあります。10年間運用すれば、そのリスクは低くなりますが0ではありません。運用期間が長くなるほど投資額の平準化ができるので、より元本割れの可能性を抑えることが可能です。
2022年に金融庁が発表した「資産形成応用編」を確認すると、保有期間5年未満では元本割れする可能性があると示唆しております。

引用|金融庁「資産形成応用編」
一方20年間の長期投資を行えば、元本割れする可能性を0にすることができると公表しているのです。
そのためオルカンを1年や3年、5年などの短期間に定めて運用するのは非常に危険です。
特
に、投資初心者の方は増やすことばかりを意識しがちですが、一括で多額の資金を運用すると右肩上がりのオルカンであっても、短期的な損失が生じるものです。
積み立て投資も同様に、微増と損失を繰り返していくので、短期間での運用には注意しましょう。
(3)長期になるほど複利の効果が大きくなる
資産運用は運用期間が長期になるほど複利の効果が大きくなるため、資産が増えやすくなります。
複利とは、運用で得た利益を元本として再投資することです。例えば1年間で120万円を運用し、利益が10万円出た場合は、翌年に130万円で運用できるということです。投資元本が増えるので、当然ながら利益も雪だるま式に増えていきます。
長期間の運用になるほど複利の効果も大きくなることから、基本的に「投資は長期運用」と言われている所以の1つでもあるのです。
オルカンを長期運用する際の注意点

ここではオルカンを長期運用する際の注意点を3つ紹介します。
(2)他の資産へも分散する
(3)信託報酬を確認しておく
1つずつ確認していきましょう。
(1)無理のない積立金に設定する
長期運用する際は無理のない積立金に設定するようにしましょう。20年や30年と運用するとなると、積立額も高額になります。
積立金を高額にすると、その分得られる利益も大きくなりますが、生活に支障をきたす可能性も少なくないのです。
実際に投資に失敗している方には、「早く増やそうとして投資額を大きくした」「借入して投資を始めた」などのケースが挙げられます。
投資で資産を増やそうとしているのに対し、失敗して損失が嵩んでしまえば本末転倒です。
また、運用途中で生活が苦しくなって利益を確定させてしまうと、本来得られる利益に達することができなくなります。
そのため、まずは数千円程度からスタートするのでもかまいません。無理のない積立金に設定してから始めるようにしましょう。
(2)他の資産へも分散する
オルカンで長期運用する際は、他の資産へも分散投資しておきましょう。
オルカンは全世界の株式に投資できる特徴がありますが、米国企業が6割以上で構成されています。さらにオルカンは「時価総額加重型」を採用しており、時価総額の大きい企業への投資比率が高いです。
そのため、大企業の株価が暴落したり、アメリカの景気が悪化したりすると、全世界に投資で来ていたとして大きな影響をもたらす可能性があります。
オルカン1本だけに投資すると、暴落時には運用資金では耐えられない可能性も高いので、米国株式に関係しない投資先を見つけておくと良いでしょう。
日本国債などの債券などであれば、利益は少ないものの元本が保証されています。また貯蓄型保険などであれば、満期時には総支払保険料より多い金額を受け取ることが可能です。(為替差額のリスクはあります)
これらの資産運用方法を活かし、リターン重視ではなく、資産を守る資産運用も大切なのです。
(3)信託報酬を確認しておく
オルカンを含めた投資信託の運用コストには信託報酬がかかります。信託報酬率は基本的にはファンドにより定められた一定率(年率0.05775%(税抜年率0.0525%)以内~年率0.22%(税抜年率0.2%)以内となっています。
決して高い利率ではないものの、積立額が大きくなるほど運用コストが増えてしまいます。各社によって信託報酬率は異なりますが、微差なので特段比較する必要はないもののコストという点は理解しておくべきでしょう。
オルカン投資を始める際のポイント

オルカン投資を始める際のポイントを3点紹介します。
(2)ツールによる長期積立シミュレーションを行う
(3)専門家に相談してから始める
ポイントを理解しないまま始めてしまうと「思ったより利益が出ない」「失敗からスタートした」という事態にもなりかねないため、1つずつ確認していきましょう。
(1)10年という短い期間では運用しない
何度もお伝えしておりますが、10年という短い期間ではなく、20年や30年と長期間で運用しましょう。
もちろんオルカンを始める年齢や、運用目的などによって年数は異なります。
子どもの大学への入学費用として10年間運用する人もいらっしゃることでしょう。そのように時間から逆算して運用期間が定まっている場合は、その年数の運用期間に定めても問題ありません。
しかし、できれば資産は多くした方が活用用途の幅も広がります。少しでも増やしたい方は、複利効果を活かせる長期運用がおすすめです。
本気では20年や30年がおすすめとお伝えしましたが、20代の方は40年間運用し、老後資金代わりにされる方も多いです。
長ければ長いほど資産も大きくなるので、できれば10年という短い期間の運用は控えるようにしましょう。
(2)ツールによる長期積立シミュレーションを行う
オルカンで長期運用する際は、ツールを使って長期積み立てシミュレーションを行いましょう。
シミュレーションを行う目的としては、将来得られる利益だけでなく、その目標に達成するまでの積立金額や運用期間などを把握するためです。
金融庁の「つみたてシミュレーター」では、「将来いくらになる」「毎月いくら積み立てる」「何年間積み立てる」の3パターンをシミュレーションすることができます。
毎月の積立額と利回り、積立期間を入力すれば将来の資産をシミュレーションすることができるので、目標から逆算して積立額と積立期間を決めていきましょう。
(3)専門家に相談してから始める
オルカン投資を始める人は、はじめにファイナンシャルプランナーへ相談するところからスタートしましょう。
右肩上がりのオルカンであっても、適切な運用が出来なければ損失が生じた時に対処できなくなります。
「オルカンに投資しておけばいい」と考える人も多いですが、資金管理や分散投資、投資先の組み換えなど、学ばなければいけない点も多くあります。
これらをネットなどから独学で学ぼうとする人もいらっしゃいますが、その知識が正しいという保証はありません。
中には詐欺まがいなことをする人が教えているケースもあるので、必ず専門家であるかを見極める必要があるのです。
そのような事態に遭わないためにも、ファイナンシャルプランナーに相談することが大切です。
ファイナンシャルプランナーはお金に関するスペシャリストです。投資を始め、資産運用や保険、ローンや家計の見直しまで、さまざまなアドバイスを行ってくれます。
ココザスはファイナンシャルプランナーとして、オルカンやをはじめとした投資や資産運用のサポートを行っております。
投資の基礎知識から運用方法、リスクなど、初心者でも一からスタートできるように、さまざまな視点からアドバイスを行います。相談料も無料なため、ぜひ一度ご相談下さいませ。
実際にご相談いただいた方の声
COCOZASにご相談された方からは、こんなお声をいただいています。
まとめ

オルカンを10年間運用した場合の利回りはおおよそ10%程度となります。20年や30年になると利回りは下がってしまいますが、決して資産が増えないわけではありません。
右肩上がりのオルカンであっても、短期的な暴落は何度かあります。短期間の運用中に暴落が何度もあると、資金を大きく減らしてしまうため、長期投資で積み立てることをおすすめします。
ただし、時間的な要素によって短い期間しか運用できない人もいらっしゃることでしょう。そのため、ファイナンシャルプランナーに相談して、正しい運用方法や10年でも資産を増やせる方法を提案してもらうようにしましょう。