新設住宅着工戸数を見てみよう
今日は「新設住宅着工戸数24年後半と24年、年関係の見通し」についてお話しいただきます。
2024年も真ん中にきましたね。
今日の時点では、5月末までの分が出ています。
1月〜5月の分が出ていて…
去年1年間の数字が81万9000戸、ざっくり82万戸でしたが、
この1月〜5月で32万4000戸なんですよね。
去年の同じ1月〜5月との比較をすると-4.1%。
やはり大幅に落ち込んでいるのは持ち家で、いわゆる注文住宅は-7.9%でした。
内田:これはもう吉崎さんの予想通りですね。
吉崎:30ヶ月連続前年同月比割れです。
それはハウスメーカーも海外を軸足に置きますよね。
内田:そうしないと生きていけないんじゃないかと思っちゃいますね。
吉崎:ちょっとそこには裏があるのであとで話しましょう。
まず数字だけ見ておきましょう。
貸家・賃貸用の住宅は1月〜5月が13万9000戸で、こちらはプラス0.6%。
賃貸住宅は相変わらず好調です。
分譲住宅、これは分譲マンションと分譲戸建ての合計ですが、-7.6%。
特に分譲戸建は、昨年同月の1月〜5月で、20ヶ月くらい連続でマイナスで-12.1%というような状況になっているというところです。
分譲マンションですが、-2.7%ということで微減しました。
持ち家の話からしておくと持ち家は30ヶ月連続ずっと2桁マイナスでした。
しかし、ここにきて一桁マイナスになっています。
マイナスが止まってきたのでは?とのことですが、30カ月連続マイナスですので…
ずっとマイナスですから、さすがにマイナス幅も縮んできたのではないかと思います。
このペースでいくと昨年の1年間で22万4000戸でしたが、20万6000戸ぐらい20万をちょっと超える程度で、60年ぶりの低水準になりそうです。
富裕層向けの高額物件はかなり売れています。
坪単価が150万円を超えるような、建築だけで150万円超のプレハブ住宅…
とても高い住宅ですが、それが1番売れていて、比較的安い物件は売れていない状況になっています。
分譲戸建の状況は?
一方で分譲戸建は、このペースでいくと12万戸いくかどうかというような数字になりそうです。
21年とか22年の頃は15万戸以上ありましたので、15万ぐらい出ました。
それから見ると大幅減になりそうで、いわゆるパワービルダーと呼ばれる分譲戸建てばかり作ってる会社はかなり苦戦している状況かと思われます。
好調が続いているというか、数字を維持しているのが賃貸住宅。
これは貸家ですけれども、昨年に比べてプラス0.6%微増というような状況です。
そうですね。
もうほぼ横ばいと言ってもいいぐらいですね。
吉崎:このペースでいくと34万6000戸になりそうです。
ここ3年間を見ると34万5,000戸→34万3,000戸と僕の予想でいくと…
34万6000戸ですので、3年間ほぼ横ばいでそれなりにキープしています。
内田:キープしてるっていう前向きな意味ですね。
吉崎:ただ2016年〜2017年頃は40万戸ぐらいなので、その頃からも落としてはいますが…
持家や分譲戸建てはすごく落ちている状況です。
後半の見通しですが、持ち家の減少幅が縮まってきています。
とはいえ、20万戸は維持するであろうという予測をしています。
そして、分譲戸建ても12万戸ぐらいは何とか維持するかなというような状況です。
ただ、どれも高くなってきているので…
富裕層しか買えないような状況です。
マンションから戸建に風向きが…?
マンションですが、中古マンションの首都圏の価格は1億円を平均単価で超えています。
上昇幅はこの10年ぐらいの間に2倍近くなってますので…
一方で中古戸建ては1.23倍程度でとどまっていることを考えると、2億出すなら戸建て欲しいよという層が出てくると思うのです。
何かそう思っちゃうのですよね。
吉崎:1億5,000万円〜2億円出して100平米ぐらいのマンションか…と思いませんか?
内田:色々管理とかもしてくれますし、利便性はありますが…
吉崎:一番はリセールバリューが高いという神話の上で成り立っています。
マンションは値段が下がりにくいですが、一戸建ての方が値段は下がりやすいですから。
特に1等地におけるマンションのリセールバリューは高いですが…
築20年30年と避けてきた物件で立地条件がいいからといって、それが維持し続けるのかというと、ここまで上がると「だったら戸建」に需要が出てきそうですね。
内田:選択肢として考えてみる人は増えそうですよね。
吉崎:普通に考えてそう思いますね。
そろそろその話の域まで来ているんじゃないかと考えていて…
持家とか分譲戸建てが今かなり低迷しているような中で、各ハウスメーカーさん、とてもいい物件を投入し始めてきています。
今年はまだだと思いますが、25年に入ると戸建で底打ち感が出てくるかもしれないと見てます。
内田:トレンドが変わるわけではなく、「だったら戸建て」が出てきそうと…
価格は高そうですね。
吉崎:2億円出すなら戸建で十分いいの買えますよね。
戸建てが好きという議論もありますが…
違う観点もあって、高齢者になったら2階建ての住宅に住みにくくなります。
内田:だから少し贅沢ですけど、平屋でちょっと広い家を…
吉崎:価格が下がるっていう意味じゃなく、考え方が転換点に向かいつつあるというのが、24年の後半ですね。
内田:とりあえず高額所得者の人たちの中では少しずつ変わりつつあるということですね。
吉崎:その兆しは明らかに僕には見えてきてると思いますね。
ということで新設住宅着工戸数、年系の総合計去年が81万9623戸で、一昨年が85万9500戸→86万戸→82万戸ときています。
今年ほぼ確実に80万戸を切ると思います。
78万〜79万戸代の前半ぐらいの可能性は高く、80万戸を切るのはかなり久しぶりです。
100万戸を切ったのが2009年で、それまで1960年代の後半からずっと100万戸を超えていた中で、2009年の時に100万戸を切って大きなショックと言われていました。
今回はどうも80万戸を切りそうな勢いと言うような感じです。
内田:加速してきてる感がありますが…
これは資材の値段とかが落ち着いたりなど状況は変わってくるのかもしれませんね。
吉崎:ただ、これだけ新設分着工戸数が減ると中古にお客さんが流れていくのではないかなと思います。
投資するなら、分譲戸建てのファンドがありますからね。
戸建てばっかりやってる判断です。
内田:目のつけどころが早いですよね。
スピードに追いついていかなきゃです。
※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から”誠”論 NEXT」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2024年7月22日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています