50代から始める新NISAのポートフォリオ例
ここではリスク順に合わせたポートフォリオの例を3つ紹介します。
(2)リスク中程度の全世界株式+債券
(3)低リスクのバランス型
1つずつ確認しておきましょう。
(1)リスクが高い全世界株式
・全世界株式に投資している投資信託:100%
ハイリスクハイリターンなポートフォリオを組みたい方は、全世界株式1本に投資する方法があります。
全世界株式とは、オルカン投資とも呼ばれ、三菱UFJアセットマネジメント株式会社が運用する「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)全世界株式(オール・カントリー)」のことです。
近年全世界の株式に分散投資できる金融商品として高い注目を浴びていますが、全世界株式だけで運用していると、大きいリターンに期待できる一方で、損失も大きくなる可能性があります。
ある程度資金力もあり、損失が生じても問題なく老後も生活できるという方におすすめなポートフォリオです。
(2)リスク中程度の全世界株式+債券
・全世界株式に投資している投資信託:50%
・債券に投資している投資信託:50%
リスクが低い債券と多少リスクを取って資産を増やす全世界株式を組み合わせたポートフォリオです。
債券とは国や自治体が発行する「公社債」と民間企業や金融機関が発行する「民間債」などの有価証券のことです。
公社債であれば、債券を発行する母体としての信用力が高く、民間債とは異なり倒産や廃業のリスクが伴いません。
公社債は得られる利子は少ないものの、損失が生じる可能性が低いということになります。
全世界である程度リスクを取って資産を増やしつつ、万が一の損失時に備えて債券にも投資しておくという、ミドルリスクなポートフォリオです。
(3)低リスクのバランス型
・全世界株式に投資している投資信託:30%
・バランス型の投資信託:70%
バランス型の投資信託を中心にしてリスクを抑えつつ、全世界株式で利益を狙うポートフォリオです。
バランス型の投資信託とは、株式や債券、不動産などのアセットに分散投資をしているファンドのことです。
バランス型は「資産配分固定型」、「資産配分変動型」の2つに分かれます。
・資産配分変動型:市場環境に応じて資産の配分比率を機動的に変更しながら運用を行う方法。リターンよりもリスク重視で運用する方におすすめ
バランス型は少額で複数の資産や市場に分散投資できます。
債券や不動産などにも投資できるため、株式の比率を抑えればローリスクローリターンなポートフォリオにすることができます。
50代におすすめな新NISAの銘柄
ここでは50代におすすめな新NISAの銘柄を紹介します。
(2)eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
(3)eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
1つずつ特徴を確認していきましょう。
(1)eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は日本を含む先進国23ヶ国、新興国27ヶ国の合計50ヶ国の株式へ投資できる投資信託です。
新興国の中には将来的に大きな経済成長になる可能性も秘めており、早い段階から投資しておけば将来大きな利益も期待できる特徴があります。
また全世界株式は運用コストが低く、信託報酬も年々下がっているため、低コストで運用できる点も、初心者にとって大きなメリットでもあります。
ただし、成長性の低い新興国や地域の株式も投資対象なので、選別する能力が求められます。
初心者の方は、専門家などに相談してから投資先を見つけると良いでしょう。
(2)eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
S&P500とは、アップル、マイクロソフト、アマゾンなど米国を代表する約500の企業にまとめて分散投資できる投資信託のことです。
アメリカの企業が成長すると予測される方におすすめな銘柄です。
実際にS&P500は過去10年の値動きを見ても、ずっと右肩上がりで上昇しています。
もちろん、必ず上昇し続けるという保証はありませんが、S&P500はリターン率も高いため、全世界株と並んで人気が高い商品です。
(3)eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、「国内株・先進国株・新興国株・国内債券・先進国債券・新興国債券・国内REIT・先進国REIT」の8つに均等投資するバランスファンドです。
株式だけでなく、債券やREIT(不動産投資信託)など、さまざまな銘柄に投資できるため、リスクを最小限に抑えることができます。
リターンより、リスクを抑えて運用したい方におすすめな銘柄です。
自分に合ったポートフォリオの組み方
ポートフォリオは投資家によって異なります。
収入が高い方や預金が多い人は、ある程度リスクを取って資産を大きく増やすなどの選択肢が取れます。
一方収入が低い人は、資金力に合わせたポートフォリオを組まなければいけません。
ここでは自分に合ったポートフォリオの組み方を紹介します。
(1)投資目的と目標を決める
はじめに投資目的と目標を決めましょう。
新NISAを始める理由といくらの金額を目指すかを決めておくと、月々の積立金やポートフォリオの構築につながります。
例えば、老後資金のために新NISAを始め、目標を65歳までに2,000万円と仮定します。
利回りが5%程度の銘柄に投資する場合は、月々74,826円の積立金で15年運用すると2,000万円に到達するシミュレーションになります。
この積立金が難しい場合は、目標金額を変更するか、さらに利回りの高い銘柄へ投資する必要があると判断することができるでしょう。
上記のように、投資目的と目標を設定すると、必要な積立金と投資先の選定ができるようになります。
新NISAを始める際、入口として非常に重要なポイントなので必ず決めるようにしましょう。
(2)リスク許容度を考慮する
新NISAを始める際はリスク許容度を考慮しておくことが大切です。
リスク許容度とは、資産運用をするうえで発生するリスクをどれだけ受け入れられるのかの度合いを示すものです。
損失は金銭的な損失だけでなく、精神的にも大きなダメージを受けることにもなりかねません。
特に資金力がない人にとっては、損失が生じることを嫌い、すぐに新NISAを辞めることにもなりかねません。
新NISAは元本保証されているわけではなく、損失が生じる可能性があります。
損失が長期間発生する場合は、積立先の銘柄を切り替えたり、積立金の減額などの方法を取らなければいけなくなるでしょう。
そのタイミングを計るためにも、リスク許容度を決めておくことが大切です。
リスク許容度は人によって異なり、投資の経験、資金の状況、投資の目的、投資する期間など、いろいろな要素で決まるものです。
初心者の方は自分で決めるのが難しいので、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談して決めていきましょう。
(3)無理のない資金で組む
リスク許容度を決めるのと同時に、生活に支障をきたさない積立金に設定しましょう。
ポートフォリオの構築をする際は、投資銘柄だけでなく資金面も重要です。
新NISAは10年や20年と長期間、毎月の積立金によって資産を形成していくものです。
金銭的な理由で長期間積み立てできない人も多くいらっしゃいます。
新NISAは、積み立ての休止や減額などができますが、一定額を積み立てておく方がシミュレーションもしやすく、堅実に資産を構築できます。
そのためにもあらかじめ無理のない金額に設定できているのか、チェックしましょう。
ポートフォリオを組む際のポイント
ここではポートフォリオを組む際のポイントを3点紹介します。
(2)老後を見据えてポートフォリオを組む
(3)定期的に調整する
初心者の方にとっては非常に重要なポイントなので、1つずつ確認しておきましょう。
(1)リスクの高さは「株式投資>投資信託>債券」
新NISAの投資銘柄ごとのリスクの高さは「株式投資>投資信託>債券」です。
加えて、リターンの大きさも同様になります。
株式をメインに投資すると、ハイリスクハイリターンなポートフォリオになります。
一方投資信託はミドルリスクミドルリターン、債券はローリスクローリターンになります。
増やすことだけを考えてしまうと、株式だけへのポートフォリオとなり、損失が生じた時に対処できなくなるでしょう。
そのため、これらのリスクリターンを考慮してうまく分散投資しながらポートフォリオを構築することが大切です。
(2)老後を見据えてポートフォリオを組む
老後資金に備えて新NISAを始める際は、コツコツ積み立てるポートフォリオを組みましょう。
50代は20代や30代と比べると、大きな損失を出した場合、老後までに毎月の貯金などで補填できない可能性があります。
そのため新NISAだけに頼るのは危険です。
毎月の余剰金の内、一部は貯蓄に回し、残った資金で新NISAへの投資を行うと良いでしょう。
一例を挙げると、以下のようなポートフォリオを組むことができます。
・eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー):30%
・eMAXIS Slim バランス(8資産均等型):20%
預貯金で資産をしっかり守り、全世界株式でリターンを狙いつつ、バランス型を入れて株式が低迷した時に備えておくポートフォリオです。
上記のようなポートフォリオであれば、毎月の余剰金が0円になる可能性はなくなり、堅実に老後資金として増やしていくことができるでしょう。
(3)定期的に調整する
ポートフォリオは定期的に調節する必要があります。
株価は為替や経済状況、金融市場によって大きく変動します。
新NISAを始めた時から株価が上がることもあれば下がることもあるため、定期的な資産の見直しは必要です。
また、売却して利益を確定した後は、売却した分の割合をどの銘柄で埋めるかも考慮しておかなければいけません。
全世界株式でさらなる利益の増加を狙ったり、すでに資産は十分という方は債券などで安定を図ったりなど、自分の資産状況を確認しながらバランスを調整することが大切です。
まとめ
50代から新NISAを始める際は、自分の目的と目標に合わせたポートフォリオの構築が大切です。
本記事ではいくつかのポートフォリオを紹介しましたが、リスクを考慮したうえで無理のない金額に設定するところから始めましょう。
またポートフォリオの構築は、新NISAを始めるうえで重要な入口です。
初心者の方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家にアドバイスをもらいながら決めておくと、自分に合ったポートフォリオを構築できるでしょう。