不動産市場の活性化を図るための特例処置
令和6年度国土交通省税制改正概要(主要項目)では、第一の柱として「持続的な経済成長の実現」を挙げています。「税制度を改正すること」で、政策実現へ向けたいと考えているということです。
そのなかで、「不動産市場の活性化」がトップ項目に上がっています。
以下の主な3つを紹介します。
(1)土地に係る固定資産税の負担調整措置及び条例減額制度の延長(固定資産税等)
土地を所有すると課せられる固定資産税ですが、
2:市町村等が一定の税負担の引下げを可能とする条例減額制度
が3年間延長されます。
商業地および住宅用地について、負担水準(=前年度の課税標準額÷評価額)に応じて、課税標準額が調整されます。
この減税が令和9年まで延長されます。
(2)土地等に係る不動産取得税の特例措置の延長(不動産取得税)
土地の需要を喚起することにより、土地などの流動化・有効利用を促進し、経済回復を着実に進めていくため、下記(1)(2)の特例措置が3年間延長されます。
(具体的には1/2控除されます)
2:土地等の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置
(特例として3%、本来は4%)
(3)工事請負契約書及び不動産譲渡契約書に係る印紙税の特例措置の延長(印紙税)
工事請負契約書、不動産譲渡契約書に係る印紙税の特例措置が3年間延長されます。
少し前の改正により、不動産売買においてオンライン契約・メールなどでの契約書では、印紙税はかかりません。
請負契約・売買契約の金額において印紙税は異なりますが、20%~50%減額されます。(金額が小さな契約ほど減額が大きくなります。)
住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保
第2の柱として「豊かな暮らしの実現と個性を活かした地域づくり」を掲げ、そのなかで「住まいの質の向上・無理のない負担で住宅の確保」を促す税制について、10の項目があげられています。
そのうち、主要なものを解説します。
住宅ローン減税の要件は、借入限度額及び床面積要件は維持、ただし要件追加
住宅ローン減税により、所得税・個人住民税が減額されます。住宅ローン残高の0.7%分が控除されます。
すでに昨年の税制改正で、2024年から、一部変更が決まっていました。
例えば、長期優良住宅では、23年までは借入限度額(住宅ローン減税対象額)は5000万円でしたが、24年からは4,500万円になります。
しかし、今回の改正で、「子育て世代・若者夫婦世帯」(「19歳未満の子を有する世帯」又は「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」)については、昨年のまま5000万円分が適用されます。
また、ZEH住宅は4,500万円→3,500万円となりますが、「子育て世帯・若者夫婦世帯」はそのままです。
また、床面積要件は50㎡以上ですが、24年中に建築確認を取得した新築物件に関しては40㎡以上となります(所得制限1000万円)。
住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の延長(登録免許税の軽減)
住宅取得に係る負担の軽減、良質な住宅ストックの形成・流通の促進を図るため、住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置が3年間延長されます。
・所有権の移転登記について税率軽減(本来 2% → 特例 0.3%)
・抵当権の設定登記について税率軽減(本来0.4% → 特例 0.1%)
以上、不動産・住宅に関することのうち、注目されていることにしぼり解説しました。参考にしてください。