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第4回「役に立つ」不動産投資セミナーと「売り込まれる」セミナーの見分け方|不動産エコノミストが語る、不動産投資COCOだけの話

  • #不動産投資

第3回で述べた「どんなきっかけで不動産投資を始めたのか」で最も多いパターンが「セミナーに参加して」、というものでしょう。
「将来に備えるため、老後資金獲得のための不動産セミナー」や「資産形成のための不動産セミナー」といった内容のセミナーが連日行われています。
こうしたセミナーの「良し」「悪し」の見分け方について解説します。

この記事の取材協力者

吉崎 誠二

不動産エコノミスト

吉崎 誠二

SEIJI YOSHIZAKI

不動産エコノミスト、不動産企業コンサルタント、CREビジネスコンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティング、などを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。

・レギュラー出演
 ラジオNIKKEI:5時から“誠”論(月~水:17時~)
 ラジオNIKKEI:吉崎誠二のウォームアップ 830(月:8時30分~)
 テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

URL: https://www.yoshizakiseiji.com/

投資用不動産のセミナーはなぜ多いのか

投資用不動産のセミナーはなぜ多いのか

このようなセミナーは、土日の午後、平日の夜に開催されることが多いのですが、なぜ「不動産投資セミナー」は多いのでしょう。

購買頻度指数

例えば、ペットボトル飲料やパンなどは、週に何度も購入する方が多い一方で、生涯で1~数回しか購入(購買)しないものもあります。
例えば、住宅、車、またお墓などは何世代で1度の購入となります。
これらを数値化したものが「購買頻度指数」と呼ばれるものです。

かつてリクルート社が発行していた情報誌の多くは、就職(かつては1度就職すると定年まで勤務していた)、車(=カーセンサー)、住宅(=住宅情報、現SUUMO)、結婚式(=ゼクシィ)と、おそらく生涯に数回程度の購買(=支払い)経験をしないものばかりで、「購買経験が少ない」ため、「情報が少なく(=情報が欲しく)」、めったに起こらないことなので、「失敗したくない」という思いが働きます

内容のよいセミナーの見分け方

内容のよいセミナーの見分け方

初めての方にとって、「投資用の不動産を購入する」ということは、これと似たような思いが働きます

以前(前述リクルートが情報誌を多く発刊していた頃)とは異なり、いまではネットで検索すればある程度の情報が入手できますが(本原稿のように)。
しかし、ネットにはない、「より鮮度の高い情報を得たい」・「より真実の投資事情が知りたい」、「生の声を聞きたい」、という思いが強くあるようです。

ネットにはない情報を得たい

また、実際の販売会社(=不動産会社)や担当者と接点を持つことで、「確かめたい」
という気持ちもあり、こうしたことからセミナーに参加する方が増える、という構図となっています。

つまり「よいセミナー」選びの基準は、ネットでは得られない「事実に基づいた真実の情報」、「鮮度の高い情報」、「投資をした生の声」を得られるかどうかであり、これらを感覚的な説明ではなく、「誰もが理解できるように論理的に解説」しているか、そして「その論理には再現性があるか」つまり、「参加者の方も実践可能か」という点も大切です。

私の成功体験披露型セミナーには注意

私の成功体験披露型セミナーには注意

投資の生の声(=実体験)は誰もが聞きたいものです。
しかし、講師の方が、自分の体験を披露して、「だから同じようにしよう」という説明は、いかにも売り込み的です。
先に述べた「理論の再現性がない」とは、「私はこうして上手くいった」という、「私の成功体験を論拠」としている解説です。
こうした解説を聞けば、「それは、あなただから上手くいったのですか?」、「私も同じような事ができますか」と聞き返したいと思うでしょう。
こうした「私の成功体験披露」型のセミナーに参加すれば、その後に「売り込み」が待ち構えていますので、注意が必要です
成功体験は、あくまで「参考程度」に聞くことが重要です。

セミナーの種類とポイント

セミナーの種類とポイント

ここで、簡単にセミナーの種類について説明しておきます。
不動産投資セミナーは色々ありますが、大きく分けると①イベント会社・メディア企画型②販売会社(不動産会社)主催型③サークル型 に分けられます。

① イベント会社・メディア企画型
② 販売会社(不動産会社)主催型
③ サークル型

①のイベント会社・メディア主催型は、東京ビッグサイトなどのINDEX会場で行われ、多くの不動産投資系企業が出展します。
そこで開催されるセミナーです。
一度に多くの企業が比較でき、複数の講師のセミナーを聞くことができて、効率的です。

②の販売会社(不動産会社)主催型は、もっとも多く主催されている開催パターンです。
これは、本原稿ではこの②をイメージして執筆していますので、本原稿を読んで見分けてください。

③のサークル型は、「〇〇実践勉強会」「〇〇ワンルーム投資サークル」(名称は、すべてイメージです)とい名前で行われており、年会費などを払って「有益な情報」を得ることができることを謳っています
しかし、サークルでの勉強会の実態は、「私の成功体験披露会」であることが多いようです。

役に立つ不動産投資セミナーとは

役に立つ不動産投資セミナーとは

ここまで述べたように、「有用な」不動産投資セミナーでは、鮮度の高い情報を提供し、データなどの論拠に基づいた解説があり、論理的な解説がされ、再現性の高い手法が解説されます。

ここまで、セミナー内容(講師)の良し悪しを見分けることを念頭に述べてきましたが、この見分け方は「営業担当者」から受ける提案でも同様です。
よいセミナーを開催している不動産会社では、こうした教育がしっかりされていると思われますので、セミナーに参加して内容を吟味すれば、「この会社から買っていいかどうか」が判別できるでしょう。

この記事の取材協力者

吉崎 誠二

不動産エコノミスト

吉崎 誠二

SEIJI YOSHIZAKI

不動産エコノミスト、不動産企業コンサルタント、CREビジネスコンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティング、などを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。

・レギュラー出演
 ラジオNIKKEI:5時から“誠”論(月~水:17時~)
 ラジオNIKKEI:吉崎誠二のウォームアップ 830(月:8時30分~)
 テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

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