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不動産エコノミストが注目する投資とは|不動産エコノミスト吉崎誠二×ココザス代表 安藤義人

  • #不動産投資

ココザス株式会社 代表取締役CEO 安藤がインタビューを行う本企画。
今回は不動産エコノミスト 吉崎誠二氏に「投資」という広いテーマで、ざっくばらんにお話を伺いました。

この記事の取材協力者

吉崎 誠二

不動産エコノミスト

吉崎 誠二

SEIJI YOSHIZAKI

不動産エコノミスト、不動産企業コンサルタント、CREビジネスコンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティング、などを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。

・レギュラー出演
 ラジオNIKKEI:5時から“誠”論(月~水:17時~)
 ラジオNIKKEI:吉崎誠二のウォームアップ 830(月:8時30分~)
 テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

URL: https://www.yoshizakiseiji.com/

資産の3分割法で行う資産運用

資産の3分割法で行う資産運用
安藤
安藤

吉崎さんがこれまで個人的に取り組んできたことのある投資はなんですか?

吉崎
吉崎

まず、根本的なこととして、誰もが「収入をどのような形で資産化するのか?」というところから始めますよね。

もっともシンプルなことは「貯金をする」というのも資産の貯め方ですが、現金で持つ(預金しておく)のは上限を決めておき、それを超えた分は投資等にあてるようにしています。
そして上限を超えるお金が増えてきたら、どこかで運用(あるいは投資)をするというのが基本の考え方です。

むかしから「資産の3分割法」と言われますが、これは「現金」「不動産」「株式や債券などの金融資産」の3つに分けて資産を持つことです。

吉崎氏対談風景

順番に説明すると、現金は、普段使う用の現金と予備の預金です。
月に使う額は、特別な事がない限り、概ね〇万円~〇万円などと決まっているでしょうから、例えばこの6ヶ月分など決めたヶ月数分を預金しておくといいと思います。

現金を日本円だけで持つのではなく、一定割合はドルで保有する方がいいと思っているので、ドル建てでの運用をしています。
ドルの運用は年金保険を使いながらやっていくというのが基本的な考え方です。

ユーロに分けてもいいと思いますが、ドルと円に分けるのが一般的じゃないかな?と思います。
知人の中には「円・ドル・元に分散させるべきだ」という方もいますが、みなさまのご判断でしょう。

株式投資については、インデックスファンドでコツコツ積み立てるのもいいと思いますし、アクティブに運用するのもいいと思います。
これはリスク選好次第でしょう。

株式資産関連では、プライベートエクイティ投資(未公開株投資)をエンジェル税制などを絡めながらやってみるというのもいいと思います。

エンジェル投資が秘める可能性

エンジェル投資が秘める可能性
安藤
安藤

うちのお客様やこの記事を読んでくれている方で、エンジェル投資の起業家にそもそもパイプがないというケースがあります。
そういう方がエンジェル投資をやりたい場合は、まずどこからやるのがいいと思いますか?

吉崎
吉崎

エンジェル投資をプラットフォーム化している会社が何社かあります。
エンジェル税制の適用を受け出資を募る企業とエンジェル税制を使って投資をしたい方をマッチングさせるサイトです。

また、額は少額となりますが、未公開株式へのクラウドファンディングのプラットフォームもありますね。
額が小さいので「株が大きく跳ねることを狙う」というよりも「応援する」というイメージですね。
このような「エンジェル投資のプラットフォームサイト」を検索するのが1番手っ取り早いと思います。

エンジェル投資をして、仮にその株式が上場すれば、5倍、10倍になる可能性もあります
株式投資で10倍になる株式のことを「テンバガー(10倍株)」と言いますが、普通の上場株式だと、10倍を超えるのはなかなか難しいですよね。

安藤
安藤

そうですよね。
上場企業の株式からは、配当をメインに狙いたいという感じですか?

吉崎
吉崎

そうですね。
上場企業の株は、価格が安定的でかつ高配当な株を持つようにしています。

安藤:短期売買でキャピタルゲインを取りにいくというよりは寝かせておくと…
大きなキャピタルゲインを狙うのはエンジェル投資で行い、上場株は安定的に配当収入を得るというイメージですね。

吉崎:上場株は短期売買せず、基本的には長期で保有しており、配当で平均3〜4%くらいは欲しいと思っています。

J-REITと実物不動産の2つに分けて運用するメリット

J-REITと実物不動産の2つに分けて運用するメリット
吉崎
吉崎

もう1つは不動産で、不動産投資も2つに分けることができます。
株式投資と不動産投資の中間的な投資商品にJ-REITがあり、J-REITは、このところの平均では約4%の利回りです。
不動産投資も、J-REITへの投資と実物不動産への投資に分けているという感じです。

安藤
安藤

吉崎さんの場合、不動産分野のエコノミストということで、J-REITの価格の動きは読みやすいのではないでしょうか?

吉崎
吉崎

多少は…(笑)
読みやすいかもしれませんね。
分析するのが仕事なので(笑)

「J-REITのトレンドはどっちにいきそうかな」ということを日々考えています。
そういう意味ではJ-REIT投資は好きですね。

不動産の保有では、キャピタルゲイン狙いとインカムゲイン狙いに分けて考えています
「現金」「不動産」「株式や債券などの金融資産」の3分割法のなかで、さらにそれぞれ分割しているという感じですね。
あと債券とFXなどはいまのところ、投資はしていません。

債券には投資をしない理由

安藤
安藤

債券へ投資はしないのですね。
それは、手堅過ぎるためでしょうか?

対談イメージ

吉崎:そうですね。
逆に、個人的な見解ですがFXは博打過ぎると思っています。

安藤:債券をやるくらいなら、同じ金額をJ-REITにやっておいたほうが利回りがいいですものね。
そうなると、吉崎さんのように不動産に特化しているわけではない方の場合は、債券も選択肢としてアリだという…?

吉崎
吉崎

債券は利回り1〜2%と低いものが多いですよね。
アメリカの10年物国債なら3.5%あるので良いかなと思いますが…
外国の国債は為替リスクがありますから、う~ん、という感じですかね。

不動産投資の1番のうまみとは

不動産投資の1番のうまみとは
安藤
安藤

不動産の実物資産をいくつかに分けられていると思いますが…
キャピタルを狙う不動産は、都心部ではなくこれから跳ねそうな場所を探しているのですか?

吉崎
吉崎

キャピタル狙いの不動産は比較的、首都圏や関西圏などの大都市圏の中で、市況を見て取り組むのがパターンですね。

市況分析が専門なので「いまは買わない」とか「これは利回りが低いな」など…
期待利回りより少し高い物件を探します(※ 期待利回り=キャップレート)
地方物件は買わず、都市部の物件を買いますね。

基本的にはフルレバレッジに近い形で買うものが多いので…
そんなに利幅は取れませんが、3,000万円の物件が3,500万円くらいになれば良いなというところです。
フルレバレッジでやって500万円も取れれば十分ですしね。

安藤
安藤

出した自己資金に対していくらで返ってきたかという点でいうと、不動産は結構良いということですね。

吉崎
吉崎

多くを借り入れで投資ができることが不動産の1番のメリットだと思います。

賃料収入(インカム)狙いの場合に最適なエリア

安藤
安藤

不動産投資でのインカム狙いは、けっこう手堅くという感じでしょうか?

吉崎
吉崎

需要が安定している場所ということは決めていて、例えば「大学のそば」の物件などを保有しています。
この場合は地方も含めますが、例えば有名国立大学の近くなどの物件を持っています。

安藤:“そば”というのは、徒歩で通える圏内ですか?バス圏内でしょうか?

吉崎:徒歩もバス圏内もですし、後は隣接しているような場所です。
大学のそばはおいしいと思います。
退去されてもすぐ入居者が付きますよ。

大学イメージ

安藤:20平米もないアパートが多いのですか?
また大学のそばなので、大学生が借りるのでしょうか。

吉崎:僕は20平米以下の区分マンションは買いません
所得が低い方が借りそうなマンションは、25平米でも買いませんね。
みなさん、親からの仕送りで借りていますね。

安藤:なるほど…そういうことですね。
有名大学の時点で偏差値も高く、本人や親御さんの年収も高いだろうという。

吉崎:チェックしているわけではないのですが、可能性が高いと思います。

これからの投資はPE(プライベートエクイティ)に注目

これからの投資はPE(プライベートエクイティ)に注目
安藤
安藤

日本でこれから伸びそうだなと思う投資のジャンルはありますか?

吉崎
吉崎

やっぱりこれからはPE(プライベートエクイティ)ではないでしょうか?
国がエンジェル税制を優遇すると言っていますから。

ふるさと納税みたいなものですよね。
300万円を出資した場合、300万円分のふるさと納税を行ったことと同じように所得から控除されます。
ふるさと納税のように控除されているにも関わらず、利益が10倍になることもあるわけです。

安藤
安藤

それは、その時に源泉分離でキャピタルゲインに対しては払うのですよね?

吉崎
吉崎

キャピタルゲインに対しては払いますが、エンジェル税制B(優遇措置B)というものがあります。
エンジェル税制Bは、キャピタルゲイン課税も含めた分離課税にぶつけられます

例えば配当で1,000万円があったとしたら、端数を除くと約20%の税金で200万円が取られます。
その200万円にエンジェル税制Bを適用すれば、税額と同じ200万円が返ってきて、取られた200万円で出資をすれば、さらにプラスになって返ってくる可能性があります。

安藤:税額控除ではなく、所得控除ですものね。

吉崎:エンジェル税制Aはそうですね。
エンジェル税制Bは、分離課税のほうのキャピタルゲイン課税から引かれます
分離課税の2割の税金にあてられるということですね。

エンジェル投資の成功は初期に投資できるかどうか

安藤
安藤

未上場マーケットへの投資はこれから間違いなく伸びますね!
とはいえ、サラリーマンの方でふるさと納税の金額が一桁万円の方は、まだそこまでできないですよね…

吉崎
吉崎

できませんね…
年収が1,000万円くらい以上ある人にとっては、おいしいと思います。

安藤:一般的な平均年収の方は、未上場株式に投資できるクラウドファンディングのプラットフォームを通じてチャレンジして…ということですね。

吉崎:そうですね。
50~100万円でもおいしさはあるけど、例えば上場などしてもそんなにおいしくないですよね。
スタートアップの初期の資金調達というのは、一般には公開せずに身近で集めるので…

アーリーステージでいられると10倍もありえますが、そうでなければ3~5倍です。
50倍の5倍で250万円ですから、そこから税金が2割引かれると、それほどおいしくはない…

安藤:なるほど。
本当に初期のシード期に関与したいのであれば、起業家コミュニティに入らないと話がこないということですね。

アート投資・ワイン投資でも大事なのはコネクション

アート投資にワイン投資でも大事なのはコネクション
吉崎
吉崎

昔は絵画投資もやっていましたよ。

安藤
安藤

アートですか?
オークションで安く引っ張ってきて、保有するわけですよね?

吉崎
吉崎

アートは有名なオークションが3つくらいあり、中古車に似ていますね。

法人としては30万円以下なら当期償却ができますし…
当期全額償却できるので、30万円で買ったものを40万円で売れば、そのまま事業所得となります。

安藤:そのまま当期の法人税の対象になることで、色々と調整ができますね。
絵画投資というと「草間彌生さんの作品を数百万円で購入して~」というようなイメージがありましたが、30万円以下の作品で伸びてから売るという感じなのですね。

安藤
安藤

ちなみに、吉崎さんはワイン投資はされないのですか?

吉崎
吉崎

ワイン投資は経験ないですね。
飲むだけですね。
ワインはそんなに詳しくないので…

偽物があったり、保管状態にもよるので、ウイスキー投資やワイン投資をしたことがないとは言いませんが、ほとんどしたことはありません。
他の理由として、上場している会社もなくセカンダリー市場が少ないという点もあります。
絵画、その他アート、車、ワイン、どれも値上がる確率の高いものは、関係者じゃないと基本的に売ってくれないですよね。

安藤:となると、会社員の方が「最近ワイン投資、ウイスキー投資が流行っているから買ってみよう!」というのは少し安易だったりしますね。

吉崎:そうですね。
アートのイベントなどでは、会社の経営者などは事前に購入できたりもするようです。

安藤:一般の方がイベントに参加した時には、すでに残り物ということですね…
ワインのインポーターがオークションをしたとしても同じことですね。

吉崎:同じですね。
どちらも、プレ(先行販売)がありますよね。

安藤:そう考えるとエンジェル投資も構造が似ていて、情報をあまり取れない方は1番おいしいタイミングのシード期には入れず、レイターで入るしかなく値上がり幅がない
となると、情報がすべてという結論になってしまいますね。

吉崎:なので、お金・仕事・住まいの様々な情報を得られるココザスグループは良いですよね。

会社員は自社株を有効に使おう

吉崎
吉崎

ストックオプションや持株会も会社からのインセンティブと考えると、上場会社に勤めていて、制度があれば自社株は買っていないと勿体ないなと思います。
そもそも、自社株を持っていないのはコミットが無さすぎますし。

安藤
安藤

「そこが天井だと思う=伸びないと思っている」ということですものね…
会社員の方は、自社株は買ったほうがいいと言うことですね?

吉崎
吉崎

「自社株は買う」がベストな選択肢でしょうね。

安藤:自社株が買えない会社だなと思っているなら転職しましょうと言うことでしょうか?

吉崎:(笑)
そうですね。
入社したての新入社員は別として、ある程度勤めて給与があるなら、積立にもなるので1〜2万円分でも自社株を買うべきだと思います。

安藤:今回も貴重なお話をありがとうございました。

この記事の取材協力者

吉崎 誠二

不動産エコノミスト

吉崎 誠二

SEIJI YOSHIZAKI

不動産エコノミスト、不動産企業コンサルタント、CREビジネスコンサルタント
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーション、CREコンサルティング、などを行うかたわら、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。
また全国新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演を毎年多数行う。

・レギュラー出演
 ラジオNIKKEI:5時から“誠”論(月~水:17時~)
 ラジオNIKKEI:吉崎誠二のウォームアップ 830(月:8時30分~)
 テレビ番組:BS11や日経CNBCなどの多数の番組に出演

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