基準地価が上昇している!
最近「基準地価2年連続で上昇」というニュースがありました。
地方圏が上がっているという内容だったと思うのですが…
日本全体で土地の価格が上がっているのですか?
そうですね。
まず「基準地価(きじゅんちか)」って何なの?という話をさせていただくと…
各都道府県が毎年7月1日時点における土地の価格を調査し、9月中旬に公表されます。
国土交通省が全国の状況をまとめて発表するのです。
今回、調査地の数は約2万件を超えるぐらいです。
47都道府県ではなく「どこどこの何々町」など、とても細かく切って、地方も含めてあらゆるところの地価を計算するのです。
国交省が実施している「地価公示(ちかこうじ)」というものがあります。
毎年1月1日時点の調査になるのですが、総合的に補完されている数値です。
今回のニュースについては、細川さんのイメージ通り「土地の価格が上がってきている」という風に捉えればいいですよ。
「ポジティブなニュース」とのことですが「土地を持ってる方にとってポジティブ」ということですか?
土地を持っている方にとってもですが…
大体の場合は海外の投資家が買っているケースが多いのですが…
土地が上がり続けているということは「国が成長している」ということにもなります。
なので「基準地価が上がっていってます」ということは、非常にいいことだと思います。
住宅地や商業地、工業地のように3つに分かれています。
住宅地は正直あまり上がっていません。
2013年ぐらいから不動産マーケットは上がってはいるのですが、住宅地は横ばいだったりするのです。
それでも前年比で1.5%上昇したという話でした。
動画で確認したい方はこちら
工場地の価格が上昇している理由
今回1番上がったのは工業地帯です。
工業地帯が2.8%という数字でした。
理由はあるのですか?
そもそもが全体的に言えることとして、半導体の工場が日本中あちこちで建てられています。
聞いたことはありますか?
北海道や九州の方で、聞いたことがあります。
「菊陽町」という熊本の町が、多分1番有名だと思います。
そこの工場が菊陽町にできるというのが、結構前に発表されてからその後ひたすら上がり続けてます。
どれぐらい上がったのか?と言うと、上昇率がですね30%を超えている。
土地の価値が30%上がったのです。
菊陽町へ隣接している大津町というところが、1番上がったらしいのですが…
これがまさに、今言った半導体の工場を今作っているのです。
工業地としても上がりましたし、住宅地も上がっています。
なぜかと言うと、働く人が増えるということは、そこに住宅を供給しなきゃいけない。
それを見込んで、大津町に住宅メーカーなどがたくさん住宅地に住宅を建てたのです。
働く人が増えれば、住宅もそうですがお店も…
そうです、商業地も上がっていきます。
全部が上がっていくのです。
ラピダスという会社が半導体の工場を新たに作るということを決めて…
これまた北海道の千歳市、商業地ですが30%上がっていますね。
そして、住宅地も同じく30%上がっています。
千歳市はあらゆるところから上がってますね。
それにしても、30%はすごいですよね!
地方の活性化にも繋がって、本当にいいニュースですね。
こんなニュースがあるまでずっと横ばいだったのが、急に30%上がって…
「物流倉庫も欲しいし…」あとは「住宅も欲しいし…」というように、こういったところへの投資が非常に今伸びています。
海外の投資家は都心部のオフィスビルへの投資は少し慎重なのです。
元々が高いからでしょうか…?
コロナ禍に普及したそのテレワークの影響で「オフィスがどれだけ必要なのか?」という方向性が、まだイマイチ決まっていませんよね?
なので、そういうところよりも半導体向けの工場のあたりに物流倉庫など…
こういったところへの投資を増やしています。
三大都市の地価はどうなっているのか
東京都など、中心地の地価はどうなっていますか?
いわゆる三大都市圏と呼ばれるのが東京・大阪・名古屋だと思いますが…
その辺りもやはり上がっています。
東京も全用途で3%ぐらい上がっていますね。
大阪・名古屋も2%など…これ自体はずっと上がっているので、そんなにスゴイことではないのです。
例えば、1番東京の中で土地が高いところは銀座2丁目です。
1㎡の地価が4,000万円を超えています。
駐車場を買おうと思ったら、横幅3m×縦5mくらいは欲しいので、15㎡くらいは欲いとなると…
そうなると6億円くらいするのかな?
すごいですね…6億円となると…
明治屋ビルは変わらず人気みたいで、また2%伸びたそうです。
経済活動が再開して、都市圏にインバウンドがまた戻ってきているので、繁華街の商業地もまた押し上げてるような状態です。
データによると、訪日客がコロナ前(2019年)の8割ぐらいまで戻ってきているようです。
円安ですし、金利は非常に低い。
こういう状態で海外の投資家が3大都市圏は変わらず買っていますね。
地価が下がった地域もあるの?
東京も変わりなく上がっていって…
半導体の工場ができた一部のエリアもすごい伸びていると、どっかしわ寄せがきているなどはありますか?
本当に何もない田舎が下がっていたり…
もちろん下がるところもあります。
例えば田舎だったとしても、要は自助努力です。
工場も勝手に来てくれてるわけではありません。
交渉しているのです。
なぜ候補地に選ばれているかと言うと、何かの資源があったり「仕事がしやすそうだな…」など、何かがあるわけです。
何かがある中で選んでもらっているので、努力をしている自治体は値段が上がっていますよね。
何も努力をしないとやっぱり上がらないという話なのです。
地方は正直ずっと下がり続けています。
今回も31年ぶりに地方圏がプラスになったことがすごいことなのです。
今まで完全に下がっていたのですね。
前年比がずっとマイナスだったということは、複利でマイナスになっているということです。
31年前はバブル後の1992年くらいですよね?
バブルの時は都心部の住宅価格がバーっと上がったのですが、地方はまそこまで下がらなかった年もあるわけです。
1991年くらいからずっとひどい時は4%とか5%。
1億円で買った年が9,500万円になっちゃったのです。
次の年はまた9,300万になってというような…
ずっとじりじり2%ぐらい下がっていたのが、最近になって上がってきています。
これ自体はポジティブなのです。
地方活性化を掲げてるわけなので、半導体の工場を誘致したり。
観光地としてね、京都など…
京都は地方ではないのですが、観光地としてものすごい価値が上がっているわけです。
一方で1番下がったところは…
マイナス10%になったところがあるようです。
理由があるのでしょうか?
2023年に震度6強の地震が発生したというのと、人口減少が原因だと思います。
人口が下がっている場所は基本的には土地の価値は下がり続けてしまいます。
全体の平均として地方という括りがプラスに転じただけであって、下がってるところは前年比10%下がっていますね。
今回の熊本だったり北海道(千歳)だったり…
ここが爆発的に上がったので、全体的に上がったということなのですね。
あとは地方が上がったことは、コロナの影響が大きいのです。
やっぱり、地方移住は増えているのです。
軽井沢や沖縄の恩納や名護、宮古島など…
そういったところに移住して仕事を始めてる人が増えています。
なので観光と実需、両方のニーズでとても上がっています。
不動産価格の波をしっかり見よう
基準地価もそうですし、1月1日時点の公示地価もですが…
不動産価格のマクロのマーケットの流れを見るためには、
他にも路線価も聞いたことありますよね?
そういったものを見ながら「今後のマーケットはどんな風に動いていくんだろう?」というのを見ていくわけです。
今後も年に1回しか発表されないのですが、不動産価格がどんな風に動いているか?という大きな波ですよね。
この大きな波を見て、その上で「自分はどこに不動産投資をしようか?」ということを決めていくという、そういう話です。
毎年9月中旬には、1月1日時点の基準地価が国交省から発表されるということを、頭の中に入れてもらって…
その価格がどういう風に推移してるか?を今後ウォッチしていただけたらと思います。
今回は「基準地価」が発表され、特に地方が31年ぶりに前年比プラスに転じた。
「地価が上がった」ということが、とてつもなく大きな事でしたので、お話させていただきました。
ありがとうございました。