本日のテーマ
資産形成チャンネルでもよく名前が出てくる「帝国データバンク」について、今回教えていただきたいです。
「点数が高ければいい」という話題がよく出ますが…
そもそも帝国データバンクというのは会社なのですか?
民間の会社です。
ココザスがよく動画の中でも言っているDD(デューデリジェンス)をする時に…
企業の与信調査をする時に初めての取引の企業情報ってどこから取りますか?
ホームページを見ても、企業の財務状況が分かりませんよね?
しかし、帝国データバンクは各社から毎期決算書をしっかりと集めているのです。
この情報を元に、彼らはビジネスをしています。
なので帝国データバンクの会員として、私も年間の利用料金を支払っていますが…
そうすると、帝国データバンクに登録している各企業の業績が全て手に入るのです。
動画で確認したい方はこちら
帝国データバンクって何?
調査を依頼することもできるのでしょうか?
調査の依頼もできます。
私が細川商店と初取引をするとなった時に「細川商店のことを調べてほしい」と自分の帝国データバンクの担当者に言います。
決算情報がもし上がってるのであればすぐにレポートを送ってくれます。
ない場合は、突撃してくれます。
ネットの情報と決算書の情報だけかと思っていましたが…
現地に行くこともあるんですね!
調査取材部門のスタッフが1,700名いるようです。
全国に83ヶ所の事業所を設けて、1,700人が細川商店のような会社のことを調べに行ってくれます。
彼らはもうそんなことを何十年も続けているのです。
会社を見ていると、創業から100年ぐらい経っていますね。
めちゃくちゃ老舗ですね…!
この情報を扱っていくというビジネスに関しても35年ぐらい、信用調査の業界でトップシェアを取っています。
「東京商工リサーチ」という似たような会社があります。
帝国データバンクと東京商工リサーチ、ここがツートップですね。
会員であれば、どこにでも足を運んで調べてもらえる。
名前のとおり、そういった企業のデータを集めている会社なのですか?
1981年に帝国データバンクという会社名にしています。
このタイミングで企業の信用調査をビジネスモデルに振り切ったのだと思います。
その前を見てみると…
結婚調査、雇用調査などとにかくあらゆるリサーチをしていますね。
なんだか探偵みたいですね…!
個人と法人どっちに向けたサービスなのか
ココザスが初めて帝国データバンクと接点を持ったのは、創業から全然経っていなかった時ですが…
事務所に「取材を受けてください」という郵送の封筒がたくさん入っていました。
私がどう対応したかというと、スルーしていたのです。
アポがないのに対応してたら自分の24時間がなくなるので…
(誰かの紹介であれば話が違いますが!)
スルーというか、膨大にスルーされている多くの手紙と一緒みたいな感じですね。
しかし、ある時にこちらから「決算書を見てください」と連絡し、今があります。
社長も面談をされたんですか?
年に1回ぐらい担当者の方が来ます。
なので、年に1回決算書を渡していますよ!
そこで色々インタビューを受けるのですか?
そうですね。
「この1年で業績が2倍に伸びてる要因は何ですか?」と聞かれて「この事業がこんな風に伸びていってます」だったり…
「新しい期はどうしていくんですか?」という質問があり「◯◯事業でさらに伸ばすと、着地の見込みがこれぐらいで〜」というような感じでお話します。
ネットで取得できるようなデータ以外にも、社長直々のインタビューした記事も見れるのですか?
そうですね。
ただ取材を受けている身として「これは公のものになるので、パブリックな情報ですよ」という意識で発言をしています。
担当者の方がしっかりとやってくださっていると思いますが…
私が「絶対に口外しないでね」と言ったことをどこかで口外してしまうかもしれないわけなので…
本当に言ってはいけないことは言っていない。
こういう経営者の方が多いと思います。
なので、帝国データバンクの会員になって得られる情報でも、全てではないと思います。
ただネット上で検索していても見れないような情報や生の声。
なにかトラブルや資金の支払いの焦げ付きがあるのであれば、そういうことも調べられます。
これも全部載っていると考えると…
どこの企業も与信チェックをする時には、帝国データバンクを使うのです。
帝国データバンクが批判されている件
有名な社長さんがX(旧Twitter)で「帝国データバンクはダメだ!」と批判する声もよく見たりしますが…
よく言われるのは、仕入れが情報なわけです。
情報を仕入れて、しかもこれは無料どころか会員からお金をもらって…
さらに情報も貰って、この情報を転売している。
そう考えると「すごい商売だな」と、確かに思います。
帝国データバンクに数十万円の会員費を支払い…
それにプラスアルファ、年に1回以上「決算どうですか?」と言われ決算書を出しているわけです。
お金を払っていますが情報も出していますし、事業戦略も口にしている。
色々な情報を吸い上げられた。
この吸い上げた情報が集まっているのが、帝国データバンクなわけです。
これを価値としてまた次の会員さんを集めているわけなので…
ある意味「私の情報を売ってお金にしてる」ということです。
ここに対して…
なので「絶対に情報を提供しない!」と言ってる人もいますね。
決算書のデータを提出してない企業によってはあるわけですよね?
別に強制ではないのですね?
民間企業なので強制なんてものは、もちろんありません。
出してないところはそれに納得できなかったり…
逆に怪しいことをしてる会社もあるのでしょうか…
ここはどう捉えるかですが…
「嫌いだから出さない」という判断も1つの考えとしてアリだとは思います。
ですが、私は嫌い好きをビジネスの世界に持ち込むべきではないと思っています。
大手の銀行や上場企業が帝国データバンクの点数を見て取引先としてふさわしいかどうかを決める。
このような一定の文化があります。
それが指標になるのですね。
そうなってしまっているのです。
そうなると「上場企業との取引全部やらないの?」と言うと、これも個別判断ですが…
やった方がいい取引に関してはやりたいじゃないですか?
その時に帝国データバンクの点数がちゃんとつけられてた方が社内の稟議は通りやすくなるのです。
なので、出しておいた方がいいと思っています。
そっちの方が得というか…
プラスですよね。
実際、最初の4年間ぐらいは一切出していませんでした。
さっき言ったように取材依頼が来てもスルーしていたのです。
5年目に入ったぐらいの時に、こちらから連絡をして全部の決算書を過去分含めて出しました。
その後、銀行と直接のプロパーのご融資をいただいたり…
しかし、そんなのは当たり前です。
企業経営してる人なら絶対「帝国データバンクからいい点数をもらったらメリットがある」と分かっているはずです。
でもやらないってことは、いい点数をもらえない会社なのか…
お金を借りる必要が全くない会社だと思います。
これだったらわざわざ自分の情報を出す必要はありませんよね?
お金を借りる必要がない&上場企業との取引がないのであれば不要です。
個人との取引だけであればわざわざ出す必要はありません。
そこに情報を出すことによって、色々な危険もあるわけですよ。
情報を提供する危険性とは?
危険とは何なのか?と言うと…
それを見れば会社の純資産が分かるわけで、創業オーナーの持ち株比率も出てきたりします。
そうなると、細川商店の帝国データバンクのレポートを見たら細川商店が純資産をどれぐらい持っているか?
つまり総資産から負債を抜いた実質細川商店の資産が分かります。
細川創史社長が細川商店の株を何パーセント持ってるのかが分かれば「本当に細川創史は資産100億円の男だったんだ!本当だったんだ!」というのが分かるわけです。
お金があると言っても、会計処理をごまかしてやっているかもしれませんよね?
粉飾決算のような…
企業側から帝国データバンクに決算書を出すので、もちろん決算書をいじっていたらそれはその通りに上がります。
なので別に帝国データバンクが正しいというわけではないのです。
粉飾決算で数字をごまかして提出してる可能性もあるわけですか?
物理的にそれはできます。
ただ帝国データバンクの場合、粉飾決算を見破るためのスペシャリストチームがあるみたいです。
下手な粉飾をやったらそれはバレるでしょう。
最悪な評価になります。
悪いことしている会社は逆に決算書を提出しないケースが多いのではないでしょうか…
なるべく多くの人に見られたくないでしょうから…
後ろめたい気持ちがある方も確かに決算書データを帝国データバンクに提出したがらない。
これはあるかもしれないですね。
どうしたらいい点数が取れるの?
決算書を全て提出したりインタビューに答えていると点数が良くなるのですか?
情報開示の透明性というようなポイントもあります。
うちは高いですよ!
決算書といっても貸借対照表、バランスシート、益計算書、P/L、キャッシュフロー計算書など…
これだけのことを指すと思われてる方もいると思います。
うちは他にも「勘定科目の明細」や「固定資産の一覧」などあらゆるものを全部送って見てもらっています。
そういう意味で「情報開示姿勢がいい」というご評価を確かいただいていたと思います。
うちは何点なのですか?
40点や50点など、点数の境目がありますよね…?
ココザスは53点ぐらいだったと思いますよ!
よく言われてるのは、50点と51点が1つの境目だと言われています。
51点以上の会社が全企業の中で上場企業も含めた会社の中で16%しかいない。
これは結構有名な話です。
51点に到達しているのであれば、取引をするというラインにしている大手企業もあるぐらいです。
51点以上が16%しかいないという中で…
ココザスの53点なのは結構いいじゃないですか!?
点数の上げ方を私は知っているのです。
借金を全部返して持ってる現預金を減らせば、その瞬間2点ぐらい上がります。
「自己資本比率が何%以上だとどうなりますよ」というのが、結構一般的な話として決まっているのです。
全部の借金を返したら、自己資本比率が多分70%ぐらい超えてくるので…
そうなるとその瞬間56点ぐらいいくと思いますが、それはやりません。
別に点数はどうでもいいと言うと少し言い過ぎですが…
51点に到達するまでは頑張りました。
繰り返しになりますが…
今では上場企業との取引ができますし、銀行さんが「お金借りますか?」と声をかけてくださるので、ここから先は実態です。
経営をしていくためには不要な10億円を借りて不要な10億円が貯まっているとします。
こうすると自己資本比率はBSの厚みがボーンと増えるので、低くなります。
でも何かあった時にこの不要が必要に変わるわけです。
そうなった時にキャッシュが全くない会社はそのまま倒産してしまいます。
51点以上あっても急に倒産する会社はいっぱいあります。
しかし私は評点が若干下がろうが、10億円は持っておきたいのです。
こうすればより新しいチャレンジができます。
帝国データバンクの評点に踊らされながら生きていく必要はもちろんありません。
しかし、ある程度は郷に入っては郷に従えで…
というのが私の考えです。
あくまでも指標として20点・30点の会社と取引するのか…
50点・60点の会社と取引するのかと言ったら…
当然高い方との取引になりますよね。
出したくないっていう方々の気持ちは私もすごく分かっていて…
4期目までうちがスルーし続けたのはやはりそれです。
当時の自分は「人様に見せれるような決算書はないな」と思っていました。
なので開示を控えていたのです。
42点をつけられたら嫌じゃないですか…
大体がその点数なんですよね?
さすがに45点以下はあまりないと思いますが…
基準はよく分かりません。
どういう事業モデルなのか?がなく、30数年間このビジネスをやり続けてるわけです。
創業からこういう調査をやっていると考えたら、100年近く調査ばかりやっている会社で…
判断基準が少し古かったりします。
例えばバイオテクノロジーの新しいスタートアップで「赤字を掘るのが当たり前なんだ!」という説明に対して「物を仕入れて販売し続ける会社の方が評点が高いんだ!」というスタンスになっています。
今の時代はそうではありません。
どんどん株を希薄化させて資金調達をして赤字を掘って従業員をいっぱい雇って…
新しいソフトウェアを開発する方が株価はつきやすいわけです。
上場した時に跳ねるのはこっちですよね。
しかし、帝国データバンクさんが好きなのはコツコツ利益を上げる会社です。
うちは相性が合っているのかもしれません。
毎年決算書ができたら「どや!見てください!今年は何点上げてくれるのかな?」みたいなそんな気持ちで面談に望むようにしてます。
評点はどこまで見るべき?
会社を判断する上で評点が低すぎる=倒産というイメージなのでしょうか?
外部から決算書の数字だけを見ても、倒産確率は当てられません。
1つの参考にもなりますが、55点ぐらいの会社が急に倒産することもあります。
僕がココザスの点数を聞いたのも「自分の会社は大丈夫なのかな?」と思って聞いたのです。
視聴者の方も自分の働いてる会社の点数を見ることは結構いいことなのかな?と思いました。
それは知っておいた方がいいでしょうね…!
本来会社たるもの経営者たるもの、従業員に公平であるべきです。
自社が今どれぐらいの資産を持っているのか?どれくらいの利益を上げているのか…
極端な話ですが、僕がどれぐらいの報酬をいただいているのか。
これを見てもらって良いと思います。
それぐらいガラス張りでやっていく方が、今の世代の従業員の方々はより一体感を持って頑張ってくれる傾向にあると思います。
ご存知の方は社長が普段言う数字が本当かどうかの答え合わせをしたらいいと思いますし…
透明性に欠ける企業に務めているのであれば、裏で知っておいた方がいいと思います。
なので自分の会社のレポートを何かのタイミングで見ることができたら、それはいいんじゃないかな?と思いますね。
悪いことばかり書いてあると「働くのはちょっとなぁ…」と思ってしまいそうですね…
それをどう捉えるのかです。
そこを自分の力で変えていくんだ!という風に捉えることもできると思いますし…
転職するのも1つありだと思います。
自社の知らない情報が色々書いてあるかもしれませんね。
どう活用すれば良いのか
今まで資産形成チャンネルでは投資をするためにDDの意味合いで帝国データバンクを活用しよう!と言っていましたが…
実際は法人間での取引のためによく使われるイメージですか?
そうですね。
BtoBの与信チェックでよく使うというそんな感覚です。
「これを個人的にもうまく活用しようね!」というのを今まで産形成チャンネルでは発信してきたのですね。
私はBtoBの与信チェックの経験があるので…
企業のことを外部から見た時に、自分の中でなんとなく「匂うな…」などと感じるわけです。
「それをやるといいですよ」というのをこのチャンネルの中で伝えています。
BtoB取引だろうがBtoC取引だろうが全部一緒です。
要は取引なわけですから、相手に倒産されては困るわけです。
相手が信用に足る会社なのか?人間なのか?というのをチェックする1つの方法として、帝国データバンクが使えるということです。
なので、変わらず私がずっと伝えているDDの項目をやっていただけたらなと思っています。
昔どこかの動画や記事で言ったこともあると思いますが…
自分が頼ってるエステサロンや英語教室でもいいのですが、前払金で先に1年分の月会費を払ってるようなところがありますよね?
こういうところの経営状況はどうなっているのか?というのを見るのは、投資のDDではなく…
そもそも自分が前払いしたお金がなくなっちゃうかもしれないリスクを測るため・生きていくための力なのです。
DDのスキルは…
こんな風に捉えて、その中の1つのやり方として帝国データバンクは使えますよ。
投資においても生活していく上においても、色々なところを気にして調べる癖はつけた方がいいですね。
自分が働いてる会社がある日突然倒産しちゃうかもしれませんよね…?
転職するのも結構面倒だったりするので、そういうのも含めて自分の人生の舵取りは自分でやらなければいけないのです。
そのために何があったら舵取りできますか?
それは、情報なのです。
この情報をいかに取得するか?
投資・資産運用・資産形成の話をいつもしてますが、全て人生単位で置き換えて使えることだと思います。
自分が生きていく上で必要な情報をいかにして取るか。
情報をどのように活用するか。
これを今後も資産形成チャンネルを見る中で磨いていっていただけたらなと思います。
今回は「帝国データバンク」をテーマに話をさせていただきました。
ありがとうございました。