上場企業は財務力が強い?
今まで投資する際に「投資する会社が上場企業だとある程度安心」という話などもしてきましたが…
上場企業と言っても何千社とありますよね?
その中でどんな会社が安全なのかな?とか…
この会社はちょっと怖いんじゃないかな?と…
上場企業でも倒産の恐れが絶対にないということもありませんよね?
上場企業は大体4,000社くらいありますが、年に何社ぐらい倒産しているか知っていますか?
ニュースを見る限り10社も無いかな?と…
その前は0社が数年続いているはずです。
そんなに倒産していないのですね…?
2008年にリーマンショックがあり、翌年2009年の倒産が35社を超えているぐらいです。
この時は過去イチで倒産した感じですね。
結局、倒産するのはどういうことか?と言うと…
「財務だけ見てれば大丈夫だよ」という話なのです。
資金があれば大丈夫ということになってきます。
先日東洋経済オンラインが「財務力が強い会社ランキング」を発表していました。
調べると、このランキングは2017年くらいからずっとやっているようです。
こちらを見ていくと、どんな会社が潰れづらいのか?が見えてきます。
財務に余裕があると未来への投資ができたり、新たなチャレンジができるようになりますが、一方で財務が弱いとどうなるか?
資金繰りが苦しくなると最悪の場合破綻します。
新しい投資をし続けないと企業は伸びないわけです。
財務基盤を強化するということは株主に対しての責任でもあります。
そして、今後の成長可能性があるかどうかの指標になってくるということです。
なので今回は「財務はとても大事だよ」という話をしていきたいと思います。
動画で確認したい方はこちら
どういう指標でランキング化されているの?
そのランキングはどんなところを指標にしているのですか?
東洋経済がまとめている独自の数字になるので…
画面に貼っておきますね。
成長性・収益性・安全性・規模と大きくこの4つで構成されています。
1つの項目あたり1,000ポイントがMAXで、項目が4つあるので最大4,000ポイントになりますよ。
なので満点は4,000ポイントになりますね。
成長性というのは売上高の増加率。
あとは営業利益、キャッシュフローなど、あらゆるものの増加率が高い会社に点数が入るようです。
次に収益性とは何なのか?と言うと…
ROEやROA。
解説は貼っておきますが、株式投資をやっている方の中でかなり詳しくファンダメンタルを見る方は分かるかなとは思いますが…
とっても簡単に言うと、例えば総資産に対してどれぐらい稼ぐのか?
株主資本に対してどれぐらい稼ぐのか?
売上高利益率などの数字で、稼ぐ力があるのかどうか?を見ています。
これはIT企業の方が収益性が高くなりがちですね。
次は安全性です。
いままで何度も紹介している、流動比率や固定比率。
あとはデッエクティレシオなど、少し難しいですが「有利子負債が多いと悪くなるよ」とそういう話ですね。
他にも書かれてるように、利益剰余金要は今まで会社をずっとやってきて積み上げてきた利益の蓄積。
これがたくさんあれば安全性は高い。
つまり若い会社は少し不利になるということです。
規模の項目はほとんどの会社が1,000点満点を取っていますね。
その会社がどれぐらい大きいか?
どれくらいの売上があるか?というところでしょうか…?
単純に売上・営業利益などの資産。
つまりバランスシートの厚み、そういった数字を元に規模を作っているのでしょうね。
1番イメージが湧きやすいのでは?と思います。
トヨタ自動車やユニクロを運営するファーストリテイリングは規模が1,000点です。
日本一の企業「トヨタ自動車」はやっぱり上位?
やっぱり大きな会社=安全な会社=上場企業となると、
と思いました。
トヨタ自動車の話をしましたが、規模は1,000点ですよ?
ただ安全性の話もしていますよね…?
トヨタは安全な会社だと思いますか?
安全な自動車を作ってるので、安全かな?と…。
安全ではないのです…
財務が安全か?でいくと、自動車を作るためには借入れが必要になってきます。
トヨタ自動車は20兆円ぐらいの有利子負債があります。
確か借金をたくさんしながら会社を回してるのです。
そうなると東洋経済が出している数字としては、安全性が非常に低くなります。
具体的には800点を切ったぐらいで…
ランキングを見ていくと97位にようやくいるのが、トヨタ自動車です。
何が低いのか?と言うと、安全性が798点になってしまっている。
あとは成長性は785点と、非常に低いですね。
(前年費の売上増加率などを元に作っているので、1つの参考にしてください程度なのですが…)
そもそも大きい会社ですものね…
上位の企業を知りたいです。
財務力が強い会社ランキングということで、多くの会社がノミネートしています。
全てを紹介するのは無理なので、トップ3を今回お伝えしますね。
1位 東京エレクトロン
第1位は「東京エレクトロン」です。
聞いたことがあります…!
さすがにありますよね。
東京エレクトロンは現時点で時価総額がトップ10に入るような数兆円の株式価値を持っている会社です。
2023年といえば半導体が伸びた年ですが、その影響で売上高がここ数年で1.5倍とか…
1兆円を超えているような規模で、ガンガン伸ばしています。
営業利益も同じく3,000億円くらいの規模だった会社が6,000億円に倍増。
成長性の得点が非常に大きく伸びたことによって、1位にランクインしたようです。
営業利益が倍増というと…
先ほどのトヨタ自動車では、利益倍増は難しいですものね。
今言った“倍増”というのは、営業利益の話なので…
トヨタでもその利益が倍になることはありますよ?
ただ、売上は難しいです。
利益は何らかの要因で投資が重んだら下がるわけです。
翌期業績がうまくいけば倍増といいますか…5倍増・10倍増も有り得るのです。
ただこの規模でコンスタントに2倍ぐらいに伸ばしていくというのは、なかなか素晴らしいことですよね!
なので、それが評価されたという話だと思います。
2位 中外製薬
2位は「中外製薬」です。
ここも大きな有名会社ですね。
前年ランキングでは1位だったようですが、2位に落ちてしまいました。
すごく大きな規模で、既に売上1兆円を超えているような会社です。
3〜4年前までは6,000億、7,000億ぐらいのラインでした。
つまり、今1.3兆円近くまで伸びて、80%くらい伸びています!
コロナの影響もあったのでしょうか?
コロナに関連して薬品が伸びていましたが、2022年3年期は減少してきています。
特需だったので、ここ数年の高成長は継続するのが難しいんじゃないか?とは言われています。
利益規模としても3,000億円以上出しているような会社です。
売上高、営業利益率など、その他の財務指標も非常に高く、潰れることは絶対ありませんよね。
株価もずっと伸びていますし、うちのお客様の中にも中外製薬に関わりがある方もいらっしゃいますが、従業員持ち株会もやっています。
ものすごく株価が上がっているので、配当もかなり出ている。
非常にいい会社だと思います!
3位 日本郵船
第3位は「日本郵船」です。
物流、特にコンテナ船ですね。
コロナ禍ですごい伸びたのはONEと書いてオーシャンネットワークという会社です。
とてつもない業績を叩き出している子会社があります。
商船三井、川崎汽船、日本郵船の3社のジョイントベンチャーですが、そこの事業がコロナの物流増でものすごく業績を上げた。
それが各社の持分適用会社ということになっており、決算に取り込むのです。
ONEの業績がそのまま親会社のPLにヒットしてくる。
この影響で一気に上がったという話です。
今回3位になりましたが、その前の年は8位で、その前の年は156位でした。
一気に上がったのですね…!
全て物流増の影響です。
ものすごく利益が高く、売上高(計上利益率)が40%を超えています。
それはすごいことじゃないですか!
とてつもないことですよね!
1兆円売り上げると4,000億円の利益を出す。
税金を払って3,000億円ぐらいの利益がでますので、これはとてつもない数字です。
それをコンスタントに出していると…
すごいですね…
日本郵船の株価がすごく上がったのではないでしょうか?
商船三井はすごかったですものね。
ここ3年ぐらいの株価がとんでもなかった。
5年間で見ると、2020年の2月・3月の株価500円だったものが…
今5,000円を超えていますので、この規模で株価10倍ですからね…
コロナもあり、3〜4年で株価が10倍になっている。
それぐらい海運業が伸びたのです。
そして、その1番の影響はこのONEという会社かな?と思います。
このランキングを業種別に切り出して見ていくと…
3社は100位以内に入ってきますね。
川崎汽船:6位
商船三井:31位
他の業種はどうなっている?
上位を取ってるような業種は、情報通信業ですね。
11位:NTTデータ
83位:KDDI
先ほど言ったように成長性という話でいくと、KDDIみたいな歴史ある企業は入りにくいのです。
しかし、これからまた伸びる可能性もある。
卸売業でいくと、三井物産、商社が入ってきます。
マルベ二、トヨタ通商、三菱商事(44位)…
名前がある会社はランキング上位が取りづらいですね。
小売業はこの通りです。
28位:セブンアアホールディングス
少し意外だなと思ったのが、不動産業です。
ココザス・グループでも不動産業に関わっているので他者の状況は見るようにしているのですが…
オープンハウスグループが42位で、トップです。
オープンハウスは多分成長性がすごく高いのだと思います。
成長性:969点
収益性:903点
安全性:844点
ということで、他の上位の会社に比べると少し低いですね。
不動産を仕入れるときにお金を借りるから…でしょうか?
借りるところもありますし、不動産業は資産をたくさん持ちながら経営していきます。
資産は翌期に販売する商品や数年間かけて開発する物件がありますが…
それを捌いて収益化していきますよね?
なので常にバランスシートがパンパンに膨らんでいるのです。
例えば自己資本比率はどうしても低くなりがちです。
IT系は資産を持っていないので、BSの厚みが薄い。
薄い分、自己資本比率も高くなりますし自己資本に対する利益率(ROA・ROE)の数字も高くなりやすいのです。
この計算方法を考えると非常に不動産は不利になりやすいのですが、それでもオープンハウスは頑張っていて42位です。
株価上昇ランキングとの違いは?
以前に「株価上昇率ランキング」を発表しましたが、あの時は知らない会社ばかりでしたよね?
今回のランキングではほとんど知っている・聞いたことがある会社ばかりでした。
以前お話した「株価上昇率」の話で1番伝えたかったことは…
5倍・10倍の株価上昇を目指していきたいのであれば、小型株を買う以外に方法はないわけです。
時価総額が30億円しかない会社が、100倍の3,000億になる。
これは可能性としてあり得るわけです。
ただ時価総額が40兆円のトヨタ自動車が4,000兆円になる。
これは有り得ない、不可能なのです。
というところを考えると、前回の会社は知らない会社ばかりになりますよね?
今回は「財務力」ということで、東洋経済が作っている指標が長く存在している会社が有利になるような指標になっているので…
誰しもが知ってる会社ばかりが上の方に入っている、そういう話だと思います。
今回は「東京エレクトロン」が1位でしたが、毎年順位が変わったりしますよね?
こういったものはどこまで信頼していいのか?どの株を買えばいいのか?と言うと…
ま、買ってみてください!
何度も言ってるように、ここにランクインしているような会社が倒産することはないと思います。
そういう意味では財務力が強い会社ランキングというタイトルは正しい。
だから潰れることはありません。
しかし、その年によって業績は変わっていきます。
なのでトレンドを見るようにした方がいいと思っています。
過去17回のベスト5の画像を貼っておきますね。
トヨタはずっといませんが…
会社として今も存在していますよね?
これがどういうことか分かりますか?
お金を借りているなど、安全性の部分で点数が低い、成長性のところが低いとおっしゃっていましたが…
事業を拡大していくにつれてお金を使うので、どんどんランキングが下がる?
かつての「任天堂」もそうですが、任天堂は無借金でずっとやっていますからね。
現に3、4、5回とトップで、15・16回でまたトップを取っています。
そんな動きしてるのって任天堂だけですよね?
あとは「Yahoo!」もずっといいかな…?
ただここ数年間は良くなかった。
今は名前が変わって「Zホールディングス」として入っているのかな?と思いますが…
多分またLINEと合併したことによって上の方に来てるという話だと思います。
このように、トレンドを見ていただきたいなと思っています。
つまり、トヨタ自動車の成長時期はもう終わったということです。
あと同じように車業界で行くと富士重工業という会社がありますが、ここが10回・11回トップを取っています。
「スバル」に社名が変わり、今回は36位まで下がってきています。
少し落ち目な感じがするわけです…
最近スバルの車が増えていますか?と言うと、えそんなことはないと思います。
皆さんのイメージ通りかもしれませんね。
このようにですねなんとなく年間でならしてトレンドを見ていく。
そうするといいんじゃないかなっ?と思います。
これはどちらかというと「この株を買った方がいい!」というよりは、ほぼ倒産しない会社…
「ここだったら間違いないだろう」「安心だろうな」という指標にするぐらいの感じでしょうか?
「優秀な会社がここなんだ」ということを調べるための保管するツールとして使えばいいかな?と思います。
ランキングを見て「知らない会社があるな、調べてみよう」とか…
あとは逆に「あの有名な会社がランキングに入ってないな」という観点でランキングを使ってく。
そして、その会社のIRを見に行くというように、興味を持つきっかけとしてランキングを使ったらいいんじゃないかな?と思います。
今回伝えたいこととしては、前回お話した「株価昇率」を見て「あの株を買いましたは1/3に下がったので、安藤さんお金を返してください!」こんなこと言われても困るのです…
あのランキングも今回ご紹介したランキングも全て過去の話なのです。
昨年度までの話ですね。
その事実の数字を元に独自の計算式でランキングしているだけなのです。
そこから「これから買った方がいい!」という根拠には全くならない。
つまり、もう1回繰り返しになりますが…
あくまで情報は自分で取る。
その上でこのような参考情報をついでに見ておく。
そうすると、何か分かることがあるんじゃないかな?それぐらいに使ったらいいんじゃないかな?と…
暇つぶしで見るようなものだと思います。
今回は「財務力が強い上場企業ランキング」という指標が東洋経済から発表されていたので、お話させていただきました。
ありがとうございました。