媒介契約の基礎知識

不動産業者の仲介のことを媒介と呼びます。
ここでは、不動産を売却する際に必要となる、不動産業者との契約に関する基礎知識として、次の3点を説明します。
(2)レインズ(不動産流通機構)
(3)仲介手数料
なぜ媒介契約に3種類あるのか、その理由やメリット・デメリットを理解するためにも、じっくり読んでください。
(1)媒介契約の種類
媒介契約には、一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
それぞれについて主な特徴は次のとおりです。

このように媒介契約にはそれぞれ特徴があり、物件の特徴や売却までの希望期間に応じた契約を選ぶことが必要です。
(2)レインズ(不動産流通機構)
レインズとは国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産売買に関するネットワークシステムです。
このシステムに登録することにより、会員である全国の不動産業者が物件情報を閲覧できるようになります。
物件情報が多くの人の目に触れることにより、売買成立の可能性が高まるのです。
ただし売却していることを他人に知られたくない場合には、レインズ登録はかえって不都合となることもあります。
この場合はレインズ登録が義務化されていない一般媒介契約を検討しましょう。
なお全国には、東日本レインズや中部レインズ、近畿レインズ、西日本レインズの4つのレインズがあります。
参考|公益財団法人東日本不動産流通機構「レインズとは?」

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(3)仲介手数料
不動産売買にかかる仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条とこれに関する告示で報酬の上限が定められています。
不動産業者は売買に成功すると、この上限の範囲内で仲介手数料を受け取ることができるのです。
注意すべき点は仲介手数料は成功報酬であり、どんなに営業活動をしても成約しないと受け取れません。
また、不動産業者は売り手と買い手の双方から仲介手数料を受け取ることができるため、1社で双方を担当できれば、2倍の手数料を得られる可能性があります。

3種類の媒介契約にはそれぞれにメリット・デメリットがあるので、次から詳しく説明します。
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一般媒介契約のメリット・デメリット

一般媒介契約は複数の不動産業者と同時に契約する方法です。
この契約には明示型、非明示型があります。
● 明示型
この不動産の売買に関わっている不動産業者を明らかにする方法です。
情報をオープンにすることで取引の信頼性が増し、競争が促されます。
● 非明示型
不動産業者名を明らかにしない方法です。
何らかの事情により業者名を明かしたくない場合に選ばれるケースもあります。
どの業者が取り扱っているか把握できないと、他社にとっては不透明に感じられるため、一般的には、明示型が選ばれる傾向にあります。
一般媒介契約のメリット
一般媒介契約のメリットは、複数の不動産業者が同時に営業活動を行えるため、早く買い手を見つけられることです。
言い換えれば、不動産業者を1社に絞る必要がないため、業者選びの失敗リスクを軽減できます。
また、売主が自分で買い手を見つけられるので、販売チャンネルが増えるのも魅力です。
立地条件が良いなど人気の物件であれば、不動産業者の競争で早く買い手が見つかる可能性があるのでこのような物件には、一般媒介契約が適していると言えるでしょう。
一般媒介契約のデメリット
複数社が関わっていることで、どの業者が契約を成立させられるか分からず、結果として積極的な営業が行われにくくなる恐れがあります。
なぜかというと、不動産業者の仲介手数料は成功報酬であるため、いくら営業活動を頑張っても契約が取れなければ無駄になるからです。
このため、一般的に専任契約で提供されることの多い、ハウスクリーニングなどのサービスが受けられない可能性があります。
また、レインズ登録が不要なので物件情報が広く周知されません。
物件情報の流通が限られることで、成約の可能性が下がることがあります。
さらに依頼主への定期的な報告義務がないので、依頼主自らが複数の業者の販売状況を確認して、状況を把握した上で、今後の対策を自ら考える必要があります。


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専任媒介契約のメリット・デメリット

専任媒介契約のメリット
専任媒介契約は1社のみに依頼する契約のため、一般媒介契約と比べて物件の販売情報の把握が容易です。
自分で買い手を見つけることもできるので販売チャンネルが広がることで、売却活動の計画も立てやすくなります。
レインズの登録は義務化されており、さらに14日に1回以上の報告義務があるので、依頼主は安心して任せることが可能です。
仲介手数料を得られる可能性が高いため、業者独自で内装リフォームなどのサービスを提供するケースも多く見られます。
専任媒介契約のデメリット
1社としか契約ができないので、選んだ不動産業者の力量が問われます。
そのため、業者の選定には十分な注意が必要です。
また、仲介手数料を売り手・買い手双方から得るために、売り手・買い手の両方を自社で仲介しようとし、他社を介した契約を避けるといった悪質な事例も見受けられます。
さらに、不動産業者が専任契約という安心感から、業者が油断して営業活動に十分な力を入れない場合も考えられます。

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専属専任媒介契約のメリット・デメリット

専属専任媒介契約と専任媒介契約は似ていますが、 「報告義務の頻度」と「自分で買主を見つけた場合に契約できるかどうか」という点で異なります。
レインズへの登録が義務付けられている点は、専任媒介契約と同様ですが、依頼主への報告義務が7日に1回以上と頻度が高く、きめ細かな対応が受けられることがメリットです。
こまめな報告は販売状況の把握に繋がり、戦略の立案にも役立ちます。
デメリットは、たとえ売主でも自分で買い手を見つけることができない点です。
売主が買い手の情報を持っていたとしても、必ず不動産業者を仲介して売却する必要があります。
仲介手数料が必ず発生する点には留意が必要です。
どの媒介契約を選ぶか

これまで見てきたように、立地が良いなど条件の良い物件であれば、一般媒介契約が有利です。
ただし、複数の不動産業者の情報を把握する手間はかかりますが、それが負担でなければ試してみる価値はあります。
しかし、好条件の物件というほどでもなく手間もできるだけかけたくない、あるいは、よく分からないので手厚いサポートを受けたい場合は、専任媒介契約がおすすめです。
(ここでは専属専任媒介契約は、専任媒介契約の一種として捉えてください。)
不動産業者を1社に絞ることで、より親身で手厚い対応が期待できるからです。
ただ先に述べたように、1社しか選べないので不動産業者の力量を見極め、慎重に選ぶ必要があります。
次の点に気をつけて選びましょう。
(2)売買実績は依頼主のニーズと合致しているか
(3)営業マンは頼れそうか
(4)依頼主に寄り添った提案をしてくれるか
もし売却がうまくいかなかったら

売却がうまくいかないこともあるでしょう。
専任媒介契約と専属専任媒介契約にはそれぞれ契約期間があり、更新をしなければ契約先の不動産事業者を変更することができます。
契約期間に合わせて、3ヶ月を目処に見直すことをおすすめします。
一般媒介契約には契約期間の制限がありませんが、その他の契約には3ヶ月間の契約期間があるので注意しましょう。
契約期間中に解約した場合、違約金が発生する可能性があるため、契約時に事前に確認しておくことが大切です。
まとめ

不動産を早く高く売却するための契約について解説しました。
契約方法は売却の目的や物件、期間を考慮して決める必要があります。
ただし、一般媒介契約や専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類の契約にはそれぞれメリット・デメリットがあり、うまく売却できない場合は、状況に応じて見直すことも大切です。
売却方法の見直しに関しては、専門家の意見が大変参考になります。
不動産業者や税理士、司法書士などへの相談に、ためらいを感じる方も少なくありません。
そんなときは、不動産売却に関する無料相談を利用するのも1つの方法です。
信頼のおける事業者の相談会では、分からない点なども含め第三者の立場でアドバイスをしてくれますので、気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。
不動産売却に特化したセミナーも良いですが、売却後の住宅購入やその後の資産形成まで幅広く相談に乗ってくれるものもあります。
今回の解説が、よりよい不動産売却の参考となれば幸いです。
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