シミュレーションの見るべきポイント
社長、お客様から「こんな太陽光を提案されたので、ちょっと見てください」とシミュレーションを送付いただいきました。
でも、シミュレーションには色々な数字が載っていますが、どこを見るべきですか?
ポイントがあれば教えてもらいたいです。
細川さんはどこを見たらいいと思いますか?
やっぱり投資商品なので、利回りが重要なのかな?と…
確かに利回り11%とかありますよね。
今で言うとそれはすごく利回りが高いのですよね。
そして、そういった利回りの物件がまだまだあったりします。
ただ、1番大事なポイントは利回りではないと思っています。
特に細川さんが言ってる数字は恐らく表面利回り(グロス利回り)というものなんですよね。
太陽光発電投資はランニングコストも色々かかりますのでグロスの利回りだけを見ていても、実質の利回りというのは出てこないのです。
実質利回りが高ければいい物件なのですか?
同じような条件の物件が2つあり、表面利回りは同じです。
ただ、かかるランニングコストが違うのでAという物件は実質利回りが例えば8%。
Bという物件は6%まで下がってしまいます。
ここの単純比較であれば、もちろんAという物件の方がいいという話にはなります。
ただ、実質利回りだけでもダメなんですよ。
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突発コストを理解しよう
どういうことですか?
利回りが全てではなくて、突発コスト。
スポットでかかってくるコストがあります。
太陽光発電投資は取り組み始めたらあまりお金がかからないと思ってらっしゃる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
色々とお金が必要になるのです。かかってくるんです。
そのコストがシミュレーションにちゃんと載っているか?
シミュレーションに全てのかかり得るコストを載せて、取り組んだ期間の中で右下の最終的な累計の手残り、これがいくら残るのですか?と。
そのいくら残るかを算出する時に、コストで発生するコストを全て入れておくことが1番大事です。
そうすると実績が手残りが見えやすいということですね。
そうですね。
利回りうんぬんというよりは、この投資に取り組むことによってどんなメリットが得られるのか?
そしてどのようなデメリット、リスクを抱えるのか?
ここのバランスが釣り合うかどうかというのが重要になります。
なので、表面利回りよりも実質利回りが大事。
これはもちろん当然のことですが、もっと大事なことはこれから運用する期間で、いくら使っていくら残るのか?を算出する。
それだけでいいんじゃないかなと思います。
そうなるとシミュレーションを見て先ほど言った最終手残りを見ればOKでしょうか?
業者さんによって何か違ったりすることもあるのでしょうか。
もちろん利回りも大事だし、最終手残りも大事です。
最終手残りを導き出すにあたって、先ほど言った通り、突発的にスポットでかかってくる費用。
まずこれには何があるのか?どういう項目があるのかを投資家さん自身が知らないといけません。
受け取ったシミュレーションに漏れがあるのかどうかという判断がつかないと思うのです。
なので太陽光発電投資をやる時にどういう費用を見込んでおけばいいのか?
ここをまず理解するところから始めていただきたいなと思います。
パワコンの交換費用とは?
まず1つ重要なポイントがパワーコンディショナーという、発電した電気を売電する、売るための電気に変える装置です。
パネルの架台があってパネルがあるのですが、その中はあんまり見たことないですよね?
そうですね。
太陽光パネルがこう敷き詰められてる映像が思い浮かぶだけですね。
例えば新幹線に乗っていても、飛行機に乗っていても、外から見てパネルがたくさん並んでいるのを見ていると思います。
ただそのパネルは大体自分の方に傾いていて、その裏の下の方に何があるか分からないと思います。
一般的に会社員の方が副業・事業投資として購入する低圧太陽光というのは大体パワーコンディショナーという箱が、7個〜10個ぐらい付いてるんです。
この箱はずっと保たないんですよ。
パネルも50年保つかと言ったら保たないですよね。
最近メーカーの保証期間が結構伸びてきて「25年保ちますよ」というパネルも出きたのですが…
精密機械なんですよ。
パワーコンディショナーも全く一緒です。
例えば不動産投資をすることになり、ワンルームマンションを買いました。
部屋の中にまずエアコン、ベランダには給湯器があります。
これらは壊れるので、10年から15年に1回入れ替えをするんです。
同じように機械なのでパワーコンディショナーも入れ替えます。
この費用というのを積んでいないシミュレーションをたまに見ます。
ここが積まれていないと取り組んだ後、例えば15年としましょうか。
15年後の最終手残りが大きく変わってくるという話なのです。
見ておいた方が安全ということですか?
必ず必要になるので、見ておかないといけません。
パワコンの費用をシミュレーションの経費欄に積まず「最終手残りが何百万円です!」となっていたとしても…
そこから100万円ぐらいはパソコンの入れ替え費用でかかるのです。
1台当たり10万円ぐらいで10台あったら100万円くらいの金額がかかります。
これは今の相場の話です。
このあと日本がもっともっとインフレし、色々な機械や設備の値段が高くなったら1台あたり15万円になるかもしれない。
そうすると15×10の150万円かかってしまう。
なのでとにかくパワコンの修理費用は積んでおきましょう。
壊れるまでの目安の運用年数は?
パソコンの交換費用ということですが…
どれぐらい運用していると壊れるなど、目安はありますか?
昔はパワコンのメーカー保証は10年ぐらいでしたが、今は15年、たまに20年という保証があったりします。
しかし「自分が保有してる間に1回は交換するんだ」という頭でいた方がいいと思います。
10年から20年ぐらいの保障ってことはそうですよね。
太陽光発電投資自体が20年間の投資だから、1回は壊れる。
そうですね、1回は壊れる。
残存が15年といっても、その物件は中古(セカンダリー)で、すでに誰かが5年運営しているのです。
運営した上で5年目、6年目に引き継いで残り自分は15年という話なので、パワコンの年齢は5歳か6歳になってるから寿命で言うと残りは5年か10年ないかもしれない。
つまり「あなたが保有している間に必ず1回交換する」ということで、ざっくり1台当たり10万円を積んでおくと合ってくるんじゃないかなと思います。
悲観的に見ておこうということですね。
そうですね。
多めに積んでおいた方がいいかなと思いますよ。
出口(撤去費用)も考えておこう
あとはもう1つ、太陽光発電投資ってここ5年〜10年で一気に増えたと思いますが…
最後の撤去はどうするんだ?という問題が色々と言われています。
この問題に関しては太陽光発電投資が盛り上がり始めた時から「将来どうするんだ!」と、ずっと言われていました。
誰も撤去をせずに使えなくなった太陽光パネルが地方の山奥に放置されるのでは?と言われていて…
これに対して国、経済産業省、各電力会社も色々議論を重ねて…
今決まってることとしてはFIT期間の20年間、電力買い取り制度というものがあります。
このFITの11年目から、残りの10年に対して年7万円〜10万円の積み立てを行います。
新設で保有した人っていうのはもうまさに11年。
5年経った物件を6年目に保有した方からすると、自分が5年保有した先にはこのタイミングから。
大体、年間7万円〜10万円ぐらいを積み立て費用という形で、発電所を撤去する費用として70万円〜100万円ぐらいは撤去費用というのを用意しましょうねと。
5年前くらいには我々も持ってもらってる方には「20年後に撤去費用がかかることになるので100万円ぐらい別で用意しておいてね」と紹介していましたよね。
要は投資家さんが自分でそれを用意してねと。
こういう話をしてたんですけども、それだと用意しない人もいますよね…
まあそうですね。
「撤去しなくてもいいや」と…
「トラブルが起きたらその時に考えよう!」となってしまう。
なので今出ている有力な案は、電力会社が投資家に対して毎月払う売電の収入の部分。
ここから少しずつ天引きをして年間7万円〜10万円を確保する。
そうすると、強制的にそれが撤去費用に当たるので、このような積立方式という話が今あります。
この撤去費用というものがシミュレーションに入ってるかどうか?
シミュレーションにもし入っていないのであればFITの最終年度に約100万円積んでおかないと、これまた最終の手残りが見えてきませんので、注意しましょう。
これが大きく二つ目の話です。
消費税還付はSIMに入れる?入れない?
次に太陽光発電投資に取り組むメリットの1つとして、消費税還付(しょうひぜいかんぷ)があります。
大きなお金が最初に戻ってくるんですよね?
取り組み始めた翌年度に100万円なのか200万円なのか、物件価格によって変わりますが、お金が戻ってきます。
これを翌年度の収入に入れ込んでるシミュレーションをよく見ます。
でもそれは実際に収入があるので良いのではないでしょうか?
もちろん入るものなんでいいんですけども、ただ結構例外があるのです。
消費税還付というのは受けられる人もいれば、受けられない人もいるんです。
かなり細かい話になりますが…
直近で課税売上があった人、つまり個人事業主の方。
あと昔あったのは副業で消費税を受け取ってるような人は、課税事業者なんです。
あとは例えばアパートを保有していて個人に貸してる分には消費税はかかりません。
ただアパートの1階にテナントが入っている場合。
美容室のサロンに貸しているという場合など、事業者に貸してるため消費税をもらってるんですよね。
この場合「課税売上がある」と捉えられて賃貸経営はパッと見は課税売上がなさそうだなと思いますが、実はあるのですよ。
全部が個人に対して居住用で貸してたら課税売上はありません。
他にも自動販売機。
自動販売機でコカ・コーラを販売したら、これからも消費税をいくらかもらってますからね。
よくありますよね。
アパートに備え付けの自動販売機が…
こういった売上がある方は新たに太陽光を取り組んだ時に消費税還付が受けられません。
だから「確実に消費税還付が受け取れます!だから太陽光発電投資をやります!」という思考はそもそも危ないのです。
消費税還付はおまけなんですよ。
「太陽光の投資で収益を上げる」これがメインです。
このおまけを大々的に売上に入れてしまってるっていうのはちょっと怖い…
もちろんシミュレーションに入ってること自体は問題ありません。
ただ最後のFIT期間が終わった時の手残りから、仮に消費税還付がなかったとして考えた時にどれだけ残っているのか?
この数字も見てもらいたいなと思います。
消費税還付を受けるまでのコストも考えておこう
今は消費税還付のお話をしましたが…
消費税の還付を受け取るためには、何年間か消費税を納めなければいけません。
では、支払いが発生するということですね?
そうです。
220万円の売上を年間でもらっている場合、このうち10%=20万円は消費税です。
ということは、20万円×3年間=60万円なんですよ。
プラスそこに税理士費用がかかります。
消費税還付の手続きは個人でやるには非常に複雑で、きっと無理だと思います。
年間10万円なのか15万円なのかは分かりませんが、その費用も3年間分は必要ですよね。
ここだけで支払いが100万円近くなりますね…
ただ、太陽光発電投資に取り組み始めた翌年度に恐らく200万円以上の消費税はもらっているとします。
だとしたら、消費税還付(200万円)ー支払い(100万円)=100万円しか手残りがありませんね…
消費税還付に携わる取引で100万円が必要になりますが、この費用の方を入れてないケースがあります。
もらうだけの部分しか書いてないのですね…
100万円に近い金額、ズレが生じてしまうのでこれも注意してほしいです。
結構ありますね…
今言ったポイントだけでも変なシミュレーションを作ってる業者だと…
どうだろう、400万円ぐらい変わってくるのではないでしょうか?
節税対策の費用も見よう
他にも社長が気になる点はありますか?
もっといけないなと思うのは、太陽光設備は17年ぐらいで減価償却される設備なんです。
この17年間、これは定率法と言って保有し始めた初年度から加速度的償却ができます。
定額法ではなく、定率法ですね。
最初に費用を大きく入れられるということですね。
そうです。
定額法は保有期間中、毎年同じ額の減価償却を積みますが、定率は最初の方に大きく積めます。
よく言われる節税みたいなことですね。
そういうことです。
損益通算をして税金をたくさん払ってる方はどうでしょう…
払った税金は恐らく所得の33%をいっている方もいらっしゃるのでしょうが、100万円の赤字出したら33万円戻ってくるということです。
この節税の部分がシミュレーションに入っているケースがあります。
それはダメなんですか?
そもそも所得に応じて皆さんの所得税率って変わりますよね?
一律には言えないじゃない?
その方が他にも不動産投資などをやっていたら…
そうです、不動産投資もされている可能性がありますよね。
そういうこともありますし、後は長い期間保有してたら減価償却できる金額が減っていくので、途中から利益が出るのです。
そうすると、納税が発生します。
ただその納税部分はシミュレーションに入れずに、節税の金額だけシミュレーションに入れている。
「これって嘘じゃん!」という話なのです。
なのでこれによって、また数十万円くらい最終手残りがかさ増しされるってことになってしまう。
ここも気をつけてほしいのです。
意外と知られていない保険の話
最後にもう1つ。
今までの話とは趣旨がズレますが、保険の部分について。
多くの方が信販系の金融機関(アプラスやジャックス)で、ローンを組んでいると思います。
例えば、アプラスだと自然災害補償というものが元々オンされているのです。
それは嬉しいことですよね。
「ローン金利の中で保険が組まれています」ということですよね。
ただアプラスの補償内容をほとんど知らずに「保険に入ってるから大丈夫ですよ!」の一言で太陽光発電投資をやっている方が意外に多いのです。
明確に保険の約款の中には書いてあるのですが…
自然災害が起きた場合、10年以内は適用されますが売電収入を得られない。
直している期間とかですね。
そうですね。
この時の売電補償というのは、実はあなたが取り組み始めてから1年間しか出ないんですよ。
2年目にそういうことが起きたらもう…
その期間のロスは全て投資家持ちです。
これは多分、多くの方は知らないのでは?と思います。
もう一つあります。
そもそも免責といって、例えば「100万円の損害が発生しました」となった場合、免責が15%あります。
15万円はあなたが持つのです。
免責はこちらが負担するものなんですか?
はい、負担するものです。
85万円は保険会社が出してくれますが、15万円はそもそも投資家負担なんです。
というように、アプラスの中にオンされている自然災害補償というのは完璧ではないのです。
しかも太陽光は20年だからこの保険は10年で一旦終わってしまうのですね…
そうです。
12年目に自然災害が起き、なくなったとしても出ません。
じゃあもう10年後にちゃんと覚えておき、再加入をどこかでしないといけないのですね。
そういうことですね。
ご存知のように火災保険、損害保険を含みます。
これはものすごく金額が上がってきているのです。
なので昔はMAX10年、20年で入れたものが今は最大でも5年分しか保険に入れなかったりする。
なぜかと言うと、金額がどんどん上がっていく見込みがあるからなんですね。
この保険を10年後に入ろうと思ったらいくらになってるんだろうと…
じゃあ解決策は何かというと、アプラスのローンにオンされている保険、これはこれでいいでしょう。
そして、年間数万円しますが、プラスαで他を補う損保に入る。
これも「入らないとちょっと怖いよね…」というケースがあったりします。
もちろん、そんな費用はシミュレーションに含まれていません。
業者さんとしてはその保険料を入れちゃうとシミュレーションの数字が減ってしまうので、敢えて入れないのですね…
そういうことですね。
投資に取り組んだことによって得られる最終利益をより多く見せないと物件が売れないので…
なのでここを多く見せるために都合の悪い経費は全部入れず、都合のよい売上は全て入れる。
みんなこうやってシミュレーションを作ってます。
第三者にもSIMをチェックしてもらおう
なので今日の話をまとめると、この話を全て自分でやるのは難しいと思うのです。
ではどうすればいいか?と言うと、僕らはよく資産形成チャンネルで太陽光発電投資の話をしていますが、動画や記事をアップする度にLINEに登録してくれた方からメッセージをいただきます。
質問の中で1番多いのは「このシミュレーションを見てください」と、シミュレーションが送られてくることです。
我々は送られてきたシミュレーションに対して「ここを業者に確認したほうが良いのでは?」というアドバイスをしています。
中には「じゃあこの物件はよくない物件なんですね。それであれば何か別にいい物件を紹介してもらえませんか?」とお声がけいただいて、我々が物件を紹介するっていうこともあったりします。
このような事は、ほんのちょっとした下心であって…
多くは騙されたり、失敗しないでほしいなという思いから無償でシミュレーションチェックをやっています。
今自分が提案されている物件のシミュレーションがあれば見ていただきたいです。
今日私が言った話のほとんどが当てはまっていると思います。
この忠告を無視して取り組んだ場合「20年後に300万円残る」と書いてあったのに、なぜか「200万円のマイナスになった」という事が平気で起こります。
そうならないために、契約する前のタイミングでシミュレーションをしっかり見ていきましょう。
良かったら我々のことを使ってもらえればなと思うので、LINEからご連絡いただければ幸いです。
今回は「太陽光発電投資のシミュレーションの罠」という話をさせていただきました。
ありがとうございました。