TSONが上場廃止…どういうこと?
以前にも少し話したことがある「TSON」が、上場廃止になったというニュースを見ました。
これは会社が危ないということでしょうか?
「上場廃止」という言葉にどうイメージを持っているのか?ということが重要ですが…
あれがTOBと言いますが、非上場化を選んだ別の買い手がいるという話で潰れるわけではありません。
上場廃止の理由によりますね。
上場廃止にも色々な理由があるのですね。
もちろん、そうです。
業績が悪化し上場基準を満たさない場合だと、それは倒産に繋がります。
当たり前ですが、かなり前にJALが倒産した時は最後の株価が1円〜2円をウロウロしながら上場廃止になりました。
動画で確認したい方はこちら
TOKYO PRO Marketとは?
資産形成チャンネルでTSONを話していたので「進めていたじゃないか!」というようなクレームのお声が私の元にも届いているのですが…
しかし、考えて欲しいのですが、TSONが上場している市場は「TOKYO PRO Market」です。
そもそも、これを分かっていない人が多いのです。
TOKYO PRO Marketとは何でしょうか?
市場の再編があり、いま東京証券取引所の中には…
それにプラスして「TOKYO PRO Market」というプロの機関投資家しか取引ができない。
つまり、我々はそこで株を買うこともできないような特殊な市場があるのです。
上場していますが、TSONの株を買えないのですか?
買えません。
すなわちどういうことか?と言うと…
TOKYO PRO Marketに上場しても個人投資家含め投資家から資金調達ができないのです。
よく上場する目的は資金調達とも聞きますが…
そうではないのですね?
それではなく、まさに細川さんが「TSONも上場企業じゃないですか!」と言ってるのと一緒で…
信用力がついて営業がしやすかったり、従業員の雇用がしやすかったりというメリットがあるのです。
信用というメリットですね。
その代わりに大きなデメリットがあります。
とてつもなく大きなものとして、まず上場維持コストがあります。
TOKYO PRO Marketだったとしても、数千万円がかかるのです。
それは知りませんでした…
監査法人にかかるコストや東証に収めるお金などコストがかなりかかります。
そのうえ、基本的には3ヶ月に1回、適切な財務諸表を作って四半期の開示をリリースしなければいけません。
そのため、短期的な業績に左右されてしまいます。
メリットとデメリットを天秤にかけた時、上場している意味があるのかどうかがポイントになります。
実は、ここ数年でTOKYO PRO Marketが知られ始めてきています。
2013年から見ていくと…
しかし、最近は年に10社以上に増え、2022年度には21社が上場しました。
とはいえ、累計はまだ60数社です。
日本にある4,000社近くの上場企業の中の60社のみが上場してる市場なので…
同じ「上場」という言葉でくくること自体が間違いです。
目的も違いますもんね。
全く違います。
現に、TSONの最新のリリースを見ると支配株主が98%ほどを持っています。
つまり2%のみをTOKYO PRO Marketに上場した後に機関投資家へ売ったということです。
この分しか資金調達をしていません。
今までも全部自己資本で経営していたということですね?
結局そういうことになりますね。
なので、今回は財務状況に与える影響は全くありません。
では、何か影響が出てくるのか?という話なのですが…
業績に関しては元上場企業なので全部開示してくれています。
利益に関しても元々6,000万円ぐらいだった水準が1.2億円ぐらい出てます。
こうして見ていると堅調ではないかな?と思います。
あとは、キャッシュをどれくらい持っているのかですが…
会社の経営は問題ないと思って見ています。
上場廃止によるネガティブ要素はある?
ネガティブ要素は何が挙げられますか?
私の元にもいくつか相談がきています。
以前、TSONを取り上げた記事をアップしてから問い合わせをしたという方から最も連絡がきています。
例えば、すでに取り組んでいる方が「ちょっと怖いな…」と思い解約を申し出る。
銀行でいう取り付け騒ぎですね。
アメリカの銀行が一夜にして預金を全部抜かれ、一気に倒産に追い込まれたみたいな話がありました。
しかし、そういうことは今回起きません。
それはなぜですか?
投資してる方は、出資して組合持分を持っている形になりますが、3年間の縛りがあるので…
やめるのであれば次の方に地位を譲渡するか名義を変える手続きが必要となります。
次の買手がいなければ持ったままですから、取り付け騒ぎというのは構造上起きません。
ただ、今後は新規の出資が集まりづらくなると思います。
なぜかというとJPXマークが使えなくなるからです。
信用として持っていたものがなくなるからですね。
一時的に資金集めが鈍化することは考えられるのではないかと思います。
ただ、TSONは1回は上場している水準でビジネスをやっています。
グレーな取引は無いと思いますので、そういう意味で今後も続いていくはずです。
なので、ネガティブな要素としてあげるのであれば「一時的に成長速度が鈍化する可能性」だと思います。
真っ当な運用をしているので安全は保たれるだろうということですね。
そういうことです。
不動産特定共同事業法のファンドを一口買っているという感じになると思いますが…
会社そのものに投資しているのではなく…
アパート事業に投資してるような感覚なので…
その事業が回ってるのであれば「ちゃんと収益が出ますよね」ということなのです。
社長も商品を持ってると思いますが、どうされる予定ですか?
満期まであと1年以上はありますので一旦様子見かと思っています。
全く焦ってる感じはありませんね。
「上場廃止」と聞くだけで危ないと判断せず、実態を見ないと分からないということですね。
正直、上場廃止の理由によるのでケースバイケースだと思います。
メリットとデメリットを天秤にかけた結果、自ら廃止を選ぶ場合はあんまり気にはなりません。
しかし、TSONの他のリリースを見ていると…
ということで監査法人が「適切な決算書じゃない」と言っているのです。
これは少しネガティブな要素ではあります。
実際、グループ内での取引などをして数字が上がる会社なので、上場基準としては少しいまいちだと言われてしまいます。
TSONは同族経営オーナー企業ですから、オーナーが関連のある別の会社と深い取引とかをしたいのです。
ただ、上場すると一般的にはパブリックカンパニーなので、同族企業とばかりの取引はできません。
色々なリリースを見てみると読み解くことができます。
信用を捨ててコストを削減したということでしょうか。
そうですね。
体制をもう1回整えて、東証グロースに上場し、株を30%ぐらい薄める…
つまり、新規の資金調達をするという道に行くのではないかと思います。
実際、そのような話も出ていたりするんです。
そうなれば資金調達メリットという今まで取れてないものが非常に経営に対してプラスのインパクトを与えるんじゃないかな?と思います。
信用もつきますね…!
何年後になるか分かりませんが、今お持ちの方は様子見をするべきでしょう。
新たな投資先という観点で言ったら投資する対象はいっぱいあると思うので…
比較検討すればいいと思います。
その中でTSONのアパートが自分の条件に合うと思うのであれば、リスク分散しながら投資をすればいいと思います。
今回は過敏に反応する話ではないかなと思うので…
何か大きな事件を起こしたということでもありませんしね…
そうですね。
上場廃止にする会社は多い?
今回のこの件を見て「ココザスもさっさと上場しようかな?」と思いました。
それは信用という点があるからでしょうか…?
一時的にでも上場基準を満たすような内部統制をしっかりやり、信用を得てしまって…
その後はTOKYO PRO Marketに上場していて、割に合わなくなってくるので。
上場廃止を選んで、しばらく葛藤していても「あれ?ココザスって、上場企業だったよね?」と…
「上場していた」という認識が残っていると…
残る可能性もあるのでは?と思います。
結構そういう会社は世の中にいくつもあるのです。
例えばTSUTAYAを運営してるカルチャーコンビニエンスクラブ(CCC)という会社があります。
CCCは、上場企業だと思いますか?
有名なので上場していると思いますが…
そうですよね。
確か2011年頃まで上場していましたが、2003年にいきなり東証一部に上場してます。
今10数年上場廃止のままです。
幻冬舎という出版社も一緒で、あの会社も実は今上場していません。
あと、意外かもしれませんが吉本興業。
リーマンショック前後ぐらいには私も吉本の株をよく買っていましたが、当時上場していました。
MBO(上場廃止)を選び、今もそのままです。
こういう事例もありますので、上場廃止したからそのまま潰れていくのか?というと全くそうではないのです。
本当に企業の個別の理由によるので、もちろんこれからの動きを注視する必要はあるとは思います。
しかし、現時点で反応することはないのではないか?と…
上場廃止は本当に株主が決めることができるので、廃止した方がいいと思ったのであれば廃止を選ぶこともあります。
あとはどこかの子会社になって…とか、株式を統合して…というケースもあったりする。
しかし廃止を選ぶ場合もありますし、業績悪化で上場企業の基準を満たせなくなる場合もある。
どちらが原因になっているのか?というのを見ること、これが非常に重要だと思います。
本日のまとめ
今のところは順調に業績も推移していますし…
不特法のファンドだけではなく、アパートの開発販売など普通の不動産業の仕事も始めているみたいなのです。
少なくともTSONに少し投資している立場である私は、そんな風に動こうかなと思っていますね
いきなり「上場廃止!」と言われると「少し怖い…」という方がたくさんいらっしゃるのも十分かりますので…
気軽にLINEからご相談いただければ、今ここで話せてないようなことも含めて安心材料もお伝えできるんじゃないかな?と思っています。
ぜひ、気軽にご連絡ください。
今回は「TSONの上場廃止のニュース」について取り上げさせていただきました。
ありがとうございました。