不動産投資と確定申告、確定申告の流れと注意点
先週に続いて「不動産投資と確定申告、確定申告の流れと注意点」をお話いただきます。
確定申告をされている方も多いと思いますが…
自分の一年間の所得を取りまとめて、それにかかる税金を計算して税務署に申告するという流れです。
年に一回なので、1月1日〜12月31日までを一区切りとして申告するということになりますね。
不動産所得が一定以上ある方々、あるいは複数の場所から収入がある方、あるいはフリーランスで所得を得られている方は、自営業の方々などなど…
リスナーの方にも確定申告される方はいらっしゃるかと思いますが、本日は不動産所得にフォーカスをして話を進めていければと思います。
確定申告は内田さんもされていると思います。
青色申告と白色申告がありますよね?
青色申告では、最大65万円の控除メリットがあると思いますが…
色々な書類を揃えなきゃいけないなど、面倒くさいですよね。
内田:そうなのですよ…
吉崎:会社からの収益以外に印税が入ったり色々するので、併せて確定申告しますが…
僕は「税理士さんにおまかせ一任!」という感じで任せっきりです。
昔は白色申告で出していたのが、15年か20年前ぐらいから青色申告に変えました。
青色申告の方が色々な意味で使える経費の幅や控除枠も広がったりして、ちょっと美味しいような感じになっているという感じですね。
まずサラリーマンの方々(給与所得者の方々)は基本的には会社で源泉所得票のような、緑色の紙を書いて出すと思います。
あれを出してもそれ以外の収入がある場合は、それとは別に確定申告をする必要があります。
特に不動産所得がある方々においては、忘れずにしていただきたいなと思います。
そして「何まで経費に入るか議論」というのがいつも不動産産所得において問題になってきます。
内田:先週も色々話をしましたが…
吉崎:前回はザッと喋ったので、今回は1つ1つ丁寧にお話しましょう。
注意点(1)税金
何が経費で認められるか論、1番目。
不動産投資にかかるさまざまな税金。
これは経費にできます。
買った年に払う不動産取得税。
そして買った時に登記をしなければいけません。
登録免許税ですね。
登記の費用は司法書士さんに頼んで登記してもらうわけですが…
その時の税金が登録免許税で、司法書士さんに払うのはサービス委託料(作業量)ですね。
これは両方とも経費になります。
そして契約にサインして印紙を貼りますが…
オンラインでの決済の場合はありませんが、オンラインではない対面で実際の紙でやる場合は印紙を払わなければいけません。
オンラインの場合はその印紙税…?
安くなるということですね。
吉崎:省かれるのです。
ただ、何らかの書面を交わす、いわゆる電磁的方法という色々な法律に書いてありますよね。
メール等のやり取りに関しては掛からないですよね。
ペーパー(紙)でやり取りをして、そこに押印をするとかかってきます。
「プリントアウトして押印して送ってください」と言うとかかるので…
オンラインサインでやるとかかりません。
内田:そうですか。
ペーパーレス化というか電子でしっかり残すところに意味があるのかもしれませんが…
吉崎:これらは買った時だけです。
毎年かかる税金としては、固定資産税や都市計画税などですね。
それがまず税金でかかります。
内田:結構、色々とかかりますね。
注意点(2)ローンの金利利息
次はローンの金利利息分。
利息分だけを経費として落とせますので、ローンの支払い分ですね。
元金分は関係なく、利息分だけ経費になります。
ここは注意です。
支払利息という所ですね。
吉崎:これは紙が銀行から送られてきます。
10万円支払い分で、元金相当分がいくら、利息分がいくら。
これは元利均等方式。
つまり支払金額が一定で計算のローンを借りている場合は、元金と利息分が毎回変わりますので注意してください。
なので銀行から送られてきますが、今年10月に「あなたは10万円を払ったけれども、元金は8万円、利息が2万円」というような感じで出てきます。
内田:なるほど…
それは送られてきたものを参考に、そのままでいいかもしれませんね?
吉崎:それを出せばいいということです。
その利息分の合計分は経費です。
あとは火災保険などの損害保険料地震保険。
これは丸々年一括払いが多いので、その年分の割り算分が経費で落ちます。
あとは管理とかの委託料もですね。
「掃除してもらった」とか「入退去に関わる作業の代行費」
あるいは「入居者を集めるための仲介料」これらも全て経費として認められます。
注意点(3)修繕費
次に修繕費ですね。
これはシンプルで「電球がきれた」とか「クーラーが壊れた」など…
それは経費でしょう?
吉崎:これはあまり議論の余地ないですね。
ここがなかなか難しく、資本的支出というものと修繕費はわからなくて…
これは実際、建物というか、その部屋をバージョンアップ/グレードアップするため。
要はそのもののレベルを上げるためにやったものだと減価償却になります。
これもなんか難しいですよね…
内田:通常、人が出たらリフォームに入りますよね?
それは経費ですか?
吉崎:そうですね、修繕費になります。
内田:間取りを変えたり、トイレが古いタイプなので新しくする。
これはどうですか?
吉崎:これがなかなか判断が難しいのですが…
一方では先ほど言った資本的支出と見なされれば、トイレや便器などの減価償却分がだんだん落ちていくだけという風になりますので…
内田:今だとWi-Fiの環境。
吉崎:それを整える経費は一発で落ちると思います。
内田:経費…
バージョンアップではない…?
吉崎:これは結構ややこしいので、ぜひ検索してみてください。
資本的支出と修繕費の違いを検索すると1番ややこしいです…
今の話のとおり、理屈は一括で落とすか減価償却費で落とすか?どちらかなので。
内田:結局は落ちるということ…
吉崎:落ちますね。
一発で落ちるのか?段階的に落ちていくのか?の違いですね。
内田:方法が違うよと。
吉崎:入居者を募集するための仲介手数料以外の広告宣伝費。
これはADと書いていることが多いのですが、アド(AdSense)ですね。
そういう広告宣伝費も経費で落ちます。
物件の内見は?
それ以外にも、半分冗談っぽくなりますが何か物件を見に行ったなど。
「それは旅行ですか?それも見学ですか?」という議論がよくあります。
地方に行って物件を見たというのも、場合によっては経費で落とすこともできるかもしれませんね。
ちゃんと見たという証拠があればいい。
向こうの不動産の担当者とか…?
吉崎:写真を撮っているとか…
必要があればいいかもしれません。
あるいは、誰かと打ち合わせのために一緒に会食をしたなど…
不動産の情報を得るための会食をしたなど、これも微妙かもしれませんが、落ちるかも。
内田:それはまだ不動産を持っていない私が不動産を買おうかなと思って、ある地方都市に行って、物件の写真を撮りました。
経費で落としていいのでしょうか?
吉崎:不動産を買ったら、経費で落としてもいいですね。
内田:買わなきゃダメなのですね…
吉崎:不動産の所得という固まりの中でのプラスとマイナスという話ですね。
内田:そもそも物件がなければダメなのですね?
吉崎:不動産からの収入(収益)がないとダメですね。
そういうことで以上が経費の部分です。
参考にしていただければなと思います。
重要なのは確定申告を忘れたら…
内田:後もできる場合がありますが…
吉崎:申告加算税ですね。
余分にかかってしまいますので、忘れずにしてほしいです。
もう1個、過少申告をしたり、あるいは隠蔽したり…
これらは是非止めていただきたい。
内田:バレますか…?
吉崎:バレるらしいですね。
僕はしたことはありませんが…
当然延滞すると延滞税が掛かるので、適切な日までに適切な申告をしていただきたいなと思います。
コロナの時は、普通の確定申告で1カ月の猶予がありましたよね?
これも不動産も同じで猶予がありましたが、今回は今のところ聞く限り猶予はありませんので…
内田:去年もなかったですものね。
吉崎:そうですね。
毎年3月14日、15日あたりが締切日です。
なので間違えないように期日を守って、申告していただきたいなと思います。
内田:我々は所得がマイナンバーに紐付けられますよね?
あとはインボイスなど…
これで不動産も物件にナンバーが付けられてるというニュースも取り上げたことがありましたが…
やはりそういうイメージなのでしょうか?
吉崎:これは多分、不動産管理をしてくれる会社さんとのやりとりの中で、それをやってると思いますが…
重要なのは賃料には消費税がかかりません。
賃料は無税ですから。
内税と言われたら、知らなかっただけでしょうけれど…
吉崎:そういう意味では貰う方のやり取りの中では税金がかかりません。
内田:賃料に税金がかからないのはどうしてでしょうか?
必要だから?でしょうか…
吉崎:教科書ではありませんが、最初に消費税が導入されて最初は何かあったはずなのです。
「住宅は生活に密接してるものなので、やめよう」ということで、少し記憶が定かではありませんが…
確か2年か3年経ってやめたと思います。
もう1990年代の話ですが、賃料は一切変わりません。
ただ、ポイントは住居用の賃貸の消費税がかからないことです。
だから「企業が借りています」というような、企業のビジネス利用では消費税がかかります。
今は虎ノ門のラジオ日経のスタジオに居ますが、オフィスでは消費税がかかります。
内田:なるほど。
仕事で収益を得るということですね。
吉崎:そうすると、フリーランスの人はどうなるのかという論がずっと昔からあって…
「そこで働いているじゃん」と…
内田:自宅が7割までは経費で落ちるから…
吉崎:そうですね。
広さによって違ったりもしますが、自宅としても使っているんだという証明をしなければいけない。
このパジャマとか出せばいいのでしょうかね(笑)
自宅として使っているかどうかの判断。
ここはめちゃくちゃ微妙ですから…
内田:なるほど…
微妙なところは色々とあるものですね。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年11月27日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています