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価格推移と値動きの特徴|5時から“誠”論 2023年6月19日放送

  • #不動産投資

価格推移と値動きの特徴

価格推移と値動きの特徴
内田
内田

今日は東京の長い歴史を見ながら「価格推移と値動きの特徴」について話していただこうと思います。
なので、30年や50年等のスパンで、少し色々と教えていただこうと思いますが…

吉崎
吉崎

まず、最初にお伝えしなければいけない事は、株価はものすごく昔…

大学院の頃から株価の授業で「先月50円台なので株価の分析をしろ」という様な課題が出た事があり、やった事があります。
株価、日経平均等はかなり昔からのデータが全部揃っている訳です。

それで、不動産というのはそういうものがありません
地価は先ほど冒頭で話した、公示地価(こうじちか)というものが1950年代からあります。
基準地価、都道府県地価というものも、昔からやっている訳ですね。

内田:それも同じくらいなのですか?

吉崎:そうです。
公示地価が先です
地価は、国や都道府県を上げてずっと調べていて、不動産鑑定士が調べてやっている訳ですね。

一方で、不動産価格指数等は「マンションがどう動いた」とか、そういうものはいくらで動いたのかは分かりません。
いくらで売買されたかというのは、中々分からない…

現在もそうですが、私が持っているマンションを内田さんに売った。
それを仲介会社さんにやっていただいたとしても、その事を努力義務として登録してくれとなっているけれども、あくまで努力義務なのですよね。

なので、全部が全部、データがない訳です

どれくらい、何が動いたかというのが分からず…
その様な中で「住宅価格指数(じゅうたくかかくしすう)」というものがあり、これは元々東証住宅価格指数という、東京証券取引所がやろうとしていたものを、いま日本不動産研究所がやっています

リピートセールス法という、アメリカのケース・シラー指数と呼ばれる有名な、あれと同じやり方で出している数字があります。
これが2008年か2009年に発表され、1994年から遡って算出しているデータがあるのです。

不動産価格指数

不動産価格指数
吉崎
吉崎

もう1つが、国交省がやっている不動産価格指数(ふどうさんかかくしすう)というものがあります。
これは価格ではなく「登記がどれくらい動いたか?」そういうものを指数化しているものがあります。

内田
内田

変動率という事ですか?

吉崎:どれくらい物が動いているか。

内田:数的なものとか?

吉崎:そうですね。
これが、2008年からなのですよね。

という事で…
新しい数字はもちろん色々なものがありますが、オフィスの価格や賃料調査など。
そういうものも大体データが揃っているのがざっくり2000年以降ばかりなのです。

30年とか50年等を株価の様に細かく分析しようというのは、ほぼソースがないという感じなのです

内田:それってどうなのでしょうね?
色々、時代と共に新しいものができてきたり、街作りが変わってきたりだとかして。
やはり中々、一概に1つのものでは言い表せられないとか…
そういう分析ができないという事はあるのですか?

吉崎:これはもう完全に「不透明な情報格差があった」という、それだけの話ですよ

内田:ただそれだけなのですか?

吉崎:これは間違いなくそうだと思いますね。

それでは駄目だという事で、色々な行政機関やシンクタンク、大学の先生等が力を合わせて、こういうものがどんどん整ってきたのが1990年代の後半から2000年代の頭くらいです。

キャップレートが最初に出たのは1999年ですからね。
それまで出ていなかったのです。

内田:そうすると、何だか個人レベルだと、不動産の売買等は本当に全然分からないですね…
理解もできない…

吉崎:リクルートやスーモなど、当時は住宅情報と言っていましたが、それがあったので、それらを…私はチェックしていました。
「いくらくらいで売られているか?」などですね。

不動産が証券化できたことの影響

REIT(リート)
内田
内田

これは全然捉え違いかもしれませんが…
そういう閉ざされた世界だったからこそ、ああいうバブルができ上がったという事もあるのでしょうか?

吉崎
吉崎

間違いなくそうでしょう。
でも1番大きいのは、金融商品になったという事です

REIT(リート)ができた
あるいは、J-REITや私募ファンドもそうですがそれができた。

株式の世界や投資の、所謂オルタナティブではない株や債券の投資というものは、すごく細かいデータの中でやりますから。
その一部として不動産を証券化したものを組み込もうとすると、公明正大な、透明性の高いデータがないと無理ですよね?
という所、私はこれが1番だったと思います。

内田:だから時代と共に金融も変わって行きますよね?
だからこそ透明性をちゃんと担保として付けて、それを金融商品化しなければならないのだ、と。

吉崎:当時、私もまだ20代・30代前半の頃は、こういう色々な、内的な情報に精通していた訳ではないので分かりませんが…
恐らく、J-REITやそう言うものをやろうとすると、きちっと「こう言うものがないとできないよね」という事でやったのだと思います。

内田:しかし、金融商品化するとするならば、ある意味そういう風にマーケットを透明化する事もできるし、という利点はある訳ですね!
整えて行くマーケット、という。

吉崎:30年50年を振り返った時に、この話がまず重要だと思うのです

内田:ものすごく大きなでき事だった、と。

吉崎:でき事でしょうし、その事があったので、私はこの不動産エコノミスト業をしようと思いましたから。
結構衝撃的でしたよ、これは。

内田:その当時、ここからの変化がまた面白いと思った訳ですね。

吉崎:今の話が、私がこういう分野で「飯を食おう」と思ったきっかけの話です。

内田:そうなのですね!

地価の推移

地価の推移
吉崎
吉崎

それで、どうなのか?という本題に入っていくと…

まず、長期的に見れば、地価の動きを見ればいうまでもなく1985年にプラザ合意があり、それ以降ずっと地価は上がっていく訳です
これは東京に限らず、日本各地で上がって行きます。

それで、1番のピークは東京等だと1991年がピークです。
そこから大幅に下がり、下がり加減が止まったのが1997〜1998年辺りくらい。
山一、拓銀等があったあの頃です。

それで、90年代の終わりくらいに、大体下がりは止まったかな?という事ですが…
その間にかなり下がりましたよね。
5分の1くらいになっておりますからね。

内田
内田

そうですよね。
株価だってものすごい動きをした訳ですしね。

吉崎
吉崎

その後、ITバブルと呼ばれた時期があって、2000年、2001年に少し上がるタイミングがあります。

内田:これも不動産が動いたのですか?

吉崎:はい、不動産が動きました。
ただ、ほぼ東京だけです。

その後、2005年〜2008年辺り。
これがミニバブルと呼ばれた頃で、この後リーマンショックでガタっと下がりますけれども、この時に上がります。

ここは、外資系のファンドやREITが凄く色々買った時です。
どちらかというと、先ほど言った透明化された事により、色々な方が入ってこられた。

内田:参加者が変わってきた、広がってきたのですね。

吉崎:それで、大きなお金も入ってくる様になった、というのがこのタイミングです。
ちょうど、小泉さんの最後くらい。
亡くなられた安倍総理の1回目の時くらいですね。

それで、リーマンショックでガクッと下がり…
これ以降はもう何度も話している様に、2013年以降の金融緩和政策により、地価はずっと上がっていく、というのが東京の流れです。
先ほどのITバブルの時を除けば、大阪や名古屋、福岡といった所も大体似た様な動きですね。

福岡は、若干東京から遅れて動く事が知られていますが。
一方で同じ様な地方大都市である札幌は、東京と比較的近い動きをします
沖縄も比較的に東京と近い動きをします
福岡は若干遅れる、という事が知られている、というのが地価の動きです

住宅価格指数

住宅価格指数
吉崎
吉崎

それともう1つ。
マンションの動きは、これは先ほども話した「住宅価格指数」ケース・シラー指数の日本版ですね

不動研住宅価格指数といいますが、これが2000年1月を100とみなして指数化されています。
1994年の6月がスタートという数字ですが、この時の東京の指数はざっくりと200くらいある。

2000年の1月は100ですよ?
それで、1994年からずっと下がって、先ほど山一が云々と話したあの頃に下がりが一旦止まります。
しかし、その後再び下がり始めて、ミニバブルの直前。
マンション価格は2004〜2005年辺りが1番の底です。

▲不動研住宅価格指数「不動研住宅価格指数」

ケース・シラー指数は、アメリカの場合は中古戸建のデータを元に算出しますが、日本の住宅価格指数は中古マンションで計算します
ミニバブルの時に上がりますが、それでも100くらいには戻りません。

一方で、100を超えてくるのが2018年くらいからです。
東京のマンション価格が2000年くらいに戻ってきたのが、2018年くらいかな?という様な感じになってきて、今が140くらいになってきている、という感じですかね。

なので、まだまだ、これは上がると思いますね
もう1ついくと思います

内田:始まったばかりですね。
楽しみにしたいと思います。

5時から“誠”論
放送局 :ラジオNIKKEI第1
放送日時:毎週月曜日〜水曜日 17:00~17:50
※ 本コーナーは毎週月曜日のコーナーです
番組公式サイトはこちら
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年6月19日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています

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