オルカンは円高になったらどう影響する?

オルカンは円高になるとどう影響するのでしょうか。ここでは円高になった場合と円安になった場合の影響について紹介します。
(1)円高になると基準価額が下がる
円高が進むと、オルカンの基準価額が下がる可能性が高くなります。
オルカンは、先進国23カ国・新興国23カ国の株式、合計2,615銘柄に投資しています。そのうち95%以上が海外株式で構成されているため、為替の影響を受けやすいのが特徴です。
実際、2024年7月には日米の金利差が縮小するとの見方から円が買われ、為替は1ドル160.93円から150.91円へと円高が進行しました。さらに、米国の経済指標が悪化した影響もあり、オルカンの基準価額は2万7,282円から2万2,688円まで、約17%も下落しました。
米国の景気が減速すると、それに連動する形でオルカンにも大きな下落圧力がかかることになります。

(2)円安になるとリターンが増える
一方、円安が進行すると、オルカンの基準価額が上昇し、リターンが得やすくなります。
例えば、1ドル120円の時に投資を開始し、20年後に1ドル150円になっていた場合、円安効果により円換算のリターンが増えることになります。
実際に2024年9月には1ドル140円付近まで円高が進みましたが、10月には再び152円付近まで円安が進行。その結果、オルカンの基準価額は2万4,913円から2万6,623円まで上昇しました。
ただし、昨今は円安の状態が続いているものの、今後も続く保証はありません。
もし円高が進めば、為替の影響によりリターンが目減りする可能性がある点には注意が必要です。

(3)オルカンの基準価額は株価と為替レートで変化する
オルカンの基準価額は、株価と為替レートの両方によって変動します。
株価が下落すれば → 基準価額は「下落」
為替が円安になれば → 基準価額は「上昇」
為替が円高になれば → 基準価額は「下落」
一般的に、日本は輸出企業が多いため、円安になると株価が上昇しやすく、円高になると株価が下落しやすい傾向があります。
ただし、金利の変動や世界的な経済情勢など、さまざまな要因が影響するため、為替と株価が常に連動するとは限りません。
円安の今はオルカンへ投資しない方がいいの?

現在の日本は円安が長く続く状態です。今後も円安が続くのか分からないので、今オルカンを始めるべきか悩む方も多いでしょう。ここでは今からオルカンを始める人に向けて、オルカンの特徴を紹介します。
(1)オルカンは長期運用で利益を生み出す投資
オルカンは10年や20年と長期間の運用で利益を生み出す投資です。短期的な暴落があってもあらかじめ長期目線で運用しておけば、利益も安定します。
為替の影響も受けるオルカンですが、毎月一定額を積み立てることで購入単価を平準化させることができるのです。
例えば投資1年目は1ドル150円、2年目は140円、3年目は160円と仮定します。160円の状態で買っても、平均すると150円(150円+140円+160円の平均)で購入したことにもなります。
このように円安や円高であっても一定額を長期間積み立てることによって為替変動のリスクを軽減させることが可能です。
(2)分散投資すればさらにリスク軽減ができる
1つの投資先に資金を投入するのではなく、複数の投資先に分散投資をしておけば、為替変動のリスクを軽減することができます。分散投資は投資の基本であり、成功している投資家も行っている方法です。
1つの投資先に100万円を投資するより、4つの投資先に25万円ずつ投資した方が、保有資産の極端な下落を防ぎやすくなるのです。
オルカンで暴落があっても他の投資先に資金配分しておけば、資金が0円になるリスクを軽減することができ、なおかつ損失分を相殺できるほどのリターンを得られる可能性もあります。
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この記事では、円安時に特に注目すべき資産運用方法を5つピックアップして、初心者の方でも分かりやすく解説します。 また、円安投資の注意点もしっかりとお伝えし、安全な投資のコツを伝授します。
オルカンで成功するためには?

オルカンで成功するためには、円安や円高だけを意識するのではなく、以下の3つのコツを理解して運用することが大切です。
(2)20年や30年の運用を心がける
(3)他投資にも資金を分散しておく
1つずつ確認して理解を深めておきましょう。
(1)ドル・コスト平均法で平準化させる
オルカンを始める際は「ドル・コスト平均法」を用いて購入価格を平準化させることが大切です。
ドル・コスト平均法とは、株式や投資信託、外貨預金などのように価格変動がある商品を毎月同じ時期に(定期的に)、一定金額分ずつ購入する投資方法です。
この方法により、価格が低い月と高い月の平準化につながるので、為替変動のリスクを軽減することが可能です。
そのため円安・円高にとらわれず、とにかく早く始めることが大切です。積立額が大きくなるほどリターンも大きくなるので、資金が少ないうちは為替のことはそれほど気にしなくても良いでしょう。
(2)20年や30年の運用を心がける
オルカン投資を始める際は20年や30年と長期運用を心がけましょう。ドル・コスト平均法の恩恵を受けられるだけでなく、複利の効果も大きくなるためです。
複利とは、運用によって得られた利益を元本として再投資することより、さらなる利益増大につながる効果です。
例えば、1年後に100万円円の元金に5万円の利子が付き、105万円になったとします。複利で運用できた場合、2年目からは105万円の元本に対して利子が付くため、2年後の利子は2,500円増えて105万2,500円になります。
長期運用するほど複利の効果が大きくなるので、必然と資産を増加させやすくなります。しかし、運用期間が数年程度では、短期的な損失も多いので複利効果を活かせられません。そのため、まずは20年を1つの目安に長期運用を行うようにしましょう。
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(3)他投資にも資金を分散しておく
オルカンに投資する際は、他の資産運用にも分散投資を行っておきましょう。
オルカンは全世界の株式に投資できますが、米国企業の株式のウエイトが約6割以上あります。
さらに、オルカンは「時価総額加重型」を採用しています。時価総額加重型とは、ある過去の一定時点(基準日)の時価総額と比較して、算出時点の時価総額がどの程度増えたか減ったかを表す指標のことです。
この方法は各企業の時価総額の割合を重みづけして算出するため、時価総額の大きい銘柄の影響を受けやすいという特徴があります。つまり米国の大企業の株価がオルカン全体に影響を及ぼすことにもなるのです。
そのため、オルカンに投資する際は構成銘柄を確認し、関係性の低い債券や保険、不動産などに分散投資を行っておくようにしましょう。
オルカンとS&P500は両方買うべき?

オルカンはよくS&P500と比較されることが多いです。中には両方に投資すべきという声も少なくありません。
ここではS&P500の概要と両方に投資する理由を解説します。
(1)S&P500とは
S&P500とは、Standard & Poor’s 500 Stock Index(S&P500種指数)のことを指します。
米国の株価指数の1つで、米国の金融市場指数を扱う企業「S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス・エル・エル・シー」が算出しており、1日に1回公表されます。
米国企業500社の時価総額を基に算出しており、apple(アップル)やMicrosoft(マイクロソフト)Amazon(アマゾン)など誰しもが知る企業も銘柄に含まれています。
アップル
マイクロソフト
アマゾン
NVIDA(エヌビディア)
テスラ
アルファベット(Google)
METAVISA
J.P.モルガン・チェース
イーライリリー など
そんなS&P500の構成銘柄に含まれる企業は、時価総額が82億ドル以上、浮動株比率50%以上などと厳しい条件が設けられています。
さらに4半期連続で黒字を維持しているなど、投資家目線でも選定しやすい基準が定められているのです。
上記のように米国の大企業を中心に構成されたS&P500は、米国株式市場全体の約8割も時価総額比率を占めています。つまり、S&P500が暴落した場合は米国株式が暴落していることを意味するほど、大きな指標でもあるのです。
(2)S&P500のメリット・デメリット
S&P500のメリット・デメリットは以下のような点が挙げられます。
1つずつ紹介します。
1.【メリット】高い運用実績を維持している
S&P500は、過去30年以上に渡って右肩上がりで上昇しているため、今後も高い運用実績に期待が持てます。

上記のチャートを見てお分かりになるとおり、2010年頃から上昇傾向にあります。そのためリターンも大きく、利回りに関してはオルカンより高いと言われているほどです。
2.【メリット】業種ごとに分散投資しやすい
S&P500にはさまざまな業種の企業が含まれているので、業種ごとに分散投資がしやすいという特徴があります。
以下のとおり、セクター毎に分かれており、それぞれ大企業が名を連ねています。
ヘルスケアセクター: Johnson & Johnson, Pfizer, UnitedHealth Group
一般消費財セクター: Amazon, Tesla, Home Depot
通信サービスセクター: Alphabet, Facebook, Verizon
金融セクター: JPMorgan Chase, Bank of America, Wells Fargo
資本財セクター: Boeing, Caterpillar, 3M
生活必需品セクター: Procter & Gamble, Coca-Cola, Walmart
公共事業セクター: NextEra Energy, Duke Energy, Southern Company
不動産セクター: American Tower, Prologis, Simon Property Group
素材セクター: Dow, DuPont, Newmont Corporation
エネルギーセクター: ExxonMobil, Chevron, ConocoPhillips
同業の株式だけに投資していると、万が一業界の大企業の株価が大きな暴落が発生すると他の企業の株価も暴落するリスクが伴います。しかし、業種ごとに分けて投資しておけば、損失リスクも軽減できるのです。
さらにS&P500は、四半期に1回構成銘柄の見直しがされるため、成長著しい企業や業績が悪化した企業は外れます。新たな成長企業が組み入れられることから、高い成長力を維持することができるのです。
3.【デリット】米国経済に依存している
S&P500は米国経済の成長に比例するため、今後も高い成長が期待できる反面、米国への依存が大きいデメリットがあります。
オルカンは米国企業の割合が約6割ですが、S&P500は100%です。米国経済の景気が悪くなると、連動して株価も下がる傾向にあるため注意が必要です。
リーマンショックなどのような金融ショックが生じると、オルカン以上にS&P500はダメージを受ける可能性もあるでしょう。
世界経済の中心である米国企業であれば、安心度も高いですが、依存し過ぎているというリスクは理解しておく必要があります。
4.【デリット】短期的な値動きが大きいこともある
米国株式100%のS&P500は金融政策や要人発言などによって短期的な値動きが大きいです。
FOMCを始め、雇用統計や消費者物価指数などの指標は一月に何度もあるので、短期的な急落が発生することはよくあります。つまり、額の資金で運用すると大損失にもつながる可能性も高いということです。
(3)オルカンとS&P500を両方買う理由
オルカンとsp500にそれぞれ良い点と悪い点があるので、どっちを買うべきか悩んでいる人もいらっしゃることでしょう。結論としてはどちらもおすすめなので、両方買う選択もおすすめです。
両方購入する場合は、「米国経済に連動して成長を期待する」ことになります。どちらも米国が主軸となっているので、アメリカファーストを掲げる今は大きなチャンスかもしれません。
ただし、2つだけに投資すると米国への依存が大きくなるので、他の投資や資産運用と組み合わせることをおすすめします。
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オルカンはよくS&P500と比較されますが、どのような違いがあって、どちらを購入すべきなのでしょう?この記事ではオルカン投資の利回りとS&P500の利回りを紹介します。また双方のメリット・デメリットも解説するのでどちらに投資すべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。”
オルカン投資を始める際はファイナンシャルプランナーへ相談しよう

オルカン投資を始める人は、はじめにファイナンシャルプランナーへ相談するところからスタートしましょう。
オルカンやS&P500は右肩上がりであるものの、投資すれば必ず増え続けるという保証はありません。
投資の基礎を学ばなければ、すぐに資金が無くなってしまい、投資の世界から退場することにもなりかねないことでしょう。
ファイナンシャルプランナーはお金に関するスペシャリストです。投資を始め、資産運用や保険、ローンや家計の見直しまで、さまざまなアドバイスを行ってくれます。
さらに投資の基礎を教えてくれるので、オルカン投資を始める前に相談しておくべきです。
ココザスはファイナンシャルプランナーとして、オルカンやsp500をはじめとした投資や資産運用のサポートを行っております。
投資の基礎知識から運用方法、リスクなど、初心者でも一からスタートできるように、さまざまな視点からアドバイスを行います。相談料も無料なため、ぜひ一度ご相談下さいませ。
実際にご相談いただいた方の声
COCOZASにご相談された方からは、こんなお声をいただいています。
まとめ

オルカンが円高になると基準価額が下がり、円安になるとリターンが大きくなる傾向にあります。
とはいえオルカンはドル・コスト平均法や複利の効果を活かして資産を増やしていくので、出来るだけ早くはじめ、長期間運用することがコツです。
また、オルカンはよくS&P500と比較されることが多いですが、どちらも米国経済の影響を大きく受けます。
そのためオルカンだけに投資するのではなく、複数の投資先に資金を分配しておくようにしましょう。