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日経平均5万円台はバブルではない?高市トレードとAI相場の本質を専門家が読み解く

近年、日本株はかつてないほどの好調ぶりを見せています。
企業の株主還元姿勢や東証の改革、高市新総裁の誕生など、相場を動かす要因は数多く存在します。

今回は、金融商品仲介業(IFA)のプロフェッショナル、ベストフォリオ株式会社の村田社長をお招きし、現在の株式市場の状況や注目セクター、今後の見通しについて詳しくお話を伺いました。
長期投資を考える方や、マーケットの流れを押さえたい方に必見の内容です。

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この記事の監修者

安藤 義人

ココザス株式会社 代表取締役CEO

安藤 義人

YOSHITO ANDO

2016年に個人向けライフデザイン(人生設計)事業を行うココザス株式会社を創業。
現在は事業領域を広げ、資産形成・転職支援・住宅関連の3つの事業を通じて、世界中の人々がワクワク生きていける世界を作るため、日々経営に没頭中。
2022年からは活動拠点を海外にも広げ、モンゴルに現地法人を設立し不動産業のライセンスを取得。

自身も10代の頃から株式投資をスタート。
新築収益アパート投資やモンゴルの不動産投資、国内スタートアップへのエンジェル投資など幅広く投資を行なっている。

URL: https://twitter.com/cocozas_ando

  • 書籍:3週間で身につく日本人が知らないお金の常識|2020年11月3日発売
  • 書籍:モンゴルがいま熱い!|2024年2月26日発売

日経平均が史上初の5万円目前!マーケットの今をプロと読み解く

安藤
安藤

今日は、ゲストをお呼びしております。ココザスグループに所属する金融の会社があります。金融商品仲介業、いわゆるIFAという業態のベストフォリオ株式会社、村田社長をお呼びしています。

村田
村田

よろしくお願いします。

安藤
安藤

撮影日時点では、日経平均が本日中に5万円に達するのではないかという状況です。ちょうど新総裁に高市さんが決まりそうというタイミングでもあり、マーケットにどのような影響を与えるのか、金融のプロに解説していただこうという企画です。では村田さん、まずIFA、金融商品仲介業とは何なのかというところも含めて、軽く自己紹介してもらえると助かります。

引用|Nikkei Industry Research Institute via FRED®

村田
村田

はい。IFAというのは「独立系ファイナンシャルアドバイザー」の略で、特定の金融機関に属さず中立的な立場でお客様の資産をアドバイスする仕事です。例えば「〇〇証券」のような証券会社に所属するのではなく、私たちは中立的な立場で最適な商品を提案する独立系の会社です。

安藤
安藤

金融のプロフェッショナルということですね。

村田
村田

そうですね。金融専門の会社になります。

バブル期とは異なる「企業業績」という根拠

安藤
安藤

日本国内、そしてアメリカなど世界のマーケットも常にウォッチしているということです。そんな村田さんに伺いたいのですが、おそらく日経平均が5万円に届くでしょう。これはどのように見ていますか? やはり高市さんの効果があるのでしょうか?

村田
村田

そうですね。短期的に日経平均がかなり上昇しているので、期待値が先行している部分もあります。ただ全体のバリュエーションとしては企業業績も良く、為替も円安傾向にあるので、当面株価は上がると思います。この短期的な上昇については、高市さんの効果もかなり大きいと思いますね。

安藤
安藤

今かなり上がっていますが、この上昇は持続性があると考えてよいのでしょうか?

村田
村田

そうですね。株を見る指標の一つにPER(株価収益率)があります。株価が1株あたりの利益、つまり純利益の何倍の価値を示しているかを表す指標です。それが、現在はおおよそ18倍から19倍程度の水準です。

【用語解説】PER(株価収益率)
株価が「1株あたり利益(EPS)」の何倍かを示す指標。 成長が期待される企業ほど数値が大きくなりやすい。 割安・割高は単体では判断できず、同業種比較が基本となる。

長期投資をされている方は、1989年のバブル期を想定されていると思いますが、当時はPERが60倍を超えていました。

【用語解説】1989年バブル崩壊
1980年代後半に株価・地価が高騰した後、金融引き締めにより急速に下落した局面。 その後、日本経済は長期的な調整期に入ったとされる。

今はその1/3から1/4程度なので、バリュエーション的にはまだ高くなく、企業の成長とともに株価も上がっている状況です。

来期も増益率10%程度を見込んでおり、水準としてはまだ高くありません。

今後も高値を追っていく展開になるのではないかと思います。

安藤
安藤

短期的に見ると、ここ最近の日経平均採用銘柄のPERは14倍とか、それくらいの時期が長かった気がします。今は少し買われすぎという感じでしょうか?

村田
村田

そうですね。アベノミクス以降だと大体11倍から16倍のレンジでしたが、2025年10月に入ってからは18倍程度で推移しています。

日経平均の1株あたり利益(EPS)は約2,600円で、18倍に換算すると4万7,000円前後の水準です。

今が5万円近いですから、2,000〜3,000円ほどは高市さんへの期待値が乗っている形ですね。

安藤
安藤

なるほど。EPSがわからない方のために、簡単に説明してもらえますか?

村田
村田

EPSは単純に1株あたりの利益です。企業の利益を発行株式数で割った値ですね。

【用語解説】EPS(1株当たり利益)
純利益を発行済株式数で割った値。 株価が企業の利益水準に対して高いか低いか判断する際の重要指標。 自社株買いによりEPSが上昇することもある。
安藤
安藤

ありがとうございます。

金融のプロが注目する、いま最も強いセクターとは?

安藤
安藤

ちなみに今、特に強いセクターやテーマはどこなんでしょうか? 世界的には半導体関連や、アメリカではOpenAIと関連する企業の株価が急騰していますが、日本ではどうですか?

村田
村田

アメリカはグロース株がメインで上がっていますが、日本は製造業も好調です。全体的に上がっていますが、突出しているのはソフトバンクグループですね。時価総額がもう少しで30兆円に達し、トヨタを抜くレベルまできています。成長戦略「スターゲート計画」を主導しているのもありますが、それに伴って日本の半導体製造装置や検査機器の分野が今は一番強いと思います。

安藤
安藤

我らが孫さんがようやく日の目を浴びるタイミングが来ましたね。個人的にはとても嬉しいです。

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村田
村田

そうですね。今年に入ってから4〜5倍程度に上昇しています。

安藤
安藤

そうですね。もともと負債が多いとか、ビジョンファンドの失敗などで散々叩かれていましたが、やはり本質をしっかり押さえていますね。

村田
村田

そうですね。しかもアームの株をまだ9割近く保有していますからね。

【用語解説】ソフトバンクビジョンファンドの「失敗」とは
ソフトバンクが設立した大型テクノロジー投資ファンド。AI、シェアリング、モビリティなど 「高成長を期待した領域」に巨額投資を行ったが、景気減速や金利上昇などで評価額が下落。 特にウーバーやウィーワークの株価下落が象徴的で、数兆円規模の評価損が発生した。 投資自体が全て失敗したわけではないが、ボラティリティの大きさが課題となった。

Arm株も上がっていますが、Arm株の依存度も高い状況です。

【用語解説】Arm(アーム)社
イギリスに本社を置く半導体設計企業。自社で半導体を製造せず、 「省電力で動作するCPUの設計図(アーキテクチャ)」を 世界中のメーカーにライセンス提供するビジネスモデル。 スマートフォンCPUのほとんどに採用されており、 サーバー、IoT、車載向けなど用途は拡大中。

期待値もあるとは思っています。

10月に入ってから日米でAI関連の提携が相次ぎ、富士通とNVIDIA、あとは日立もそうですがそういったところの追い風もあります。

安藤
安藤

やはり強いテーマとしてはAI関係なのでしょうか?

村田
村田

AIは強いですが、すでに上がってしまっているので…例えばデータセンターなどをかなり作っていると思いますが、そこに伴って電力需要や電線の需要が増えてくると思っています。AIは先に上がりましたが、それを支えるインフラ関係は注目されると思います。

「高市トレード」とは何か:政策期待が短期相場に与えた影響

安藤
安藤

ネットでは「高市トレード」が話題になっていますが、具体的に何を期待されて株価が上がったのでしょうか?

村田
村田

「サナエノミクス」という言葉が最近使われています。アベノミクスの継承をするのではないかと考えられています。

アベノミクス三本の矢
第一の矢:大胆な金融政策
第二の矢:機動的な財政政策
第三の矢:民間投資を喚起する成長戦略

どちらかというと、今は日銀が利上げ局面に入っています。

金利が上がると企業コストはどうしても上がってしまうので、財政政策を打つことで円安が進み、製造業など輸出企業の業績が良くなるという期待感が高まっています。

金利上昇により企業コストは増加しますが、財政政策の効果で資金の流れが活発化し、全体としてはポジティブな見方がされていますね。

安藤
安藤

なるほど。ということは、特定の業種というよりも全体的に、レガシー産業を含めて、日経平均の寄与度が高い銘柄にもプラスの効果がありそうということですね。

【用語解説】レガシー産業
産業構造が古く、業務改革やDXが進みにくい業界のこと。 製造、建設、物流などが該当することが多い。
村田
村田

そうですね。円安の恩恵を受けやすい輸出企業が中心ですね。日経平均の構成銘柄のほとんどは海外売上比率が高い企業ですから、メリットを受けやすいと思います。ただ、前回の黒田バズーカのように大規模な緩和策が背景にあった時期とは違い、植田総裁はそこまで大胆な政策は取らないと思うので、その点では多少異なる動きになるかもしれません。

【用語解説】黒田バズーカ
日銀が行った大規模な金融緩和政策の総称。 量的緩和・マイナス金利などを通じて、円安と株高に大きく影響したとされる。
安藤
安藤

なるほど。

日本企業の「稼ぐ力」を引き出した東証の改革とは

安藤
安藤

まさか日経平均が5万円をタッチする日が来るとは、本当に思っていませんでした。私は8,000円とか7,000円の時代を知っているので、すごいなと思います。以前と比べて何が変わったんでしょうか?なぜここまで日経平均株価が上がるようになったのでしょう?

村田
村田

最大の要因は、企業の「株主還元姿勢」が大きく変わったことだと思います。

これまで日本企業は利益を内部留保して、アメリカのように積極的に投資を行わなかったという傾向があります。

リーマンショックの影響で、ある程度キャッシュポジションを厚く持たなければならないという意識が強かったのですが、2年半ほど前に東京証券取引所がPBR1倍割れ問題を指摘しました。

【用語解説】キャッシュポジション
投資ポートフォリオ内の現金比率。 相場環境に合わせて、リスク管理や投資機会のために調整する。
【用語解説】東証PBR1倍割れ問題
企業の株価が純資産価値を下回る状態。 東証が資本効率の改善(自社株買い・配当強化・事業再編)を促したことで、 日本企業の株主還元姿勢が強まったとされる。

これまでそうした指摘はほとんどなかったので、企業が大きく意識を変えたんです。

例えば2024年度は自社株買いが約16兆円、2025年度は20兆円近くに拡大しています。

配当総額も25兆円と過去最高レベルです。

つまり、自社株買いと配当で40兆円以上が市場に還元されている。

これは海外投資家から見ても非常に魅力的な市場になったといえます。

ここが最も大きな要因でしょう。

安藤
安藤

企業業績自体も上がり続けていて、上場企業の多くが過去最高益を更新していますし、以前はあまり見られなかった株主還元も活発になっていますね。

村田
村田

そうですね。長期的に見ると、毎年兆円単位で還元額が増えています。今では「株主還元をしない企業は淘汰される」といっても過言ではないほどの流れです。

安藤
安藤

自社株買いとは、市場で自社の株を買い戻して消却することで、発行株数が減り、1株あたりの価値が上がる仕組みですよね。今持っている株の希薄化の逆ですね。価値が増えるということです。

村田
村田

そうです。株価を直接押し上げる効果があります。

これまでのように内部留保を積み上げる、つまり法人税を支払った後の当期純利益を現金で貯め込むのではなく、自社株買いや配当という形で株主に利益を還元する。

この姿勢の変化によって、日本株が世界的にも魅力的な投資対象になってきたというのが大きなポイントです。

安藤
安藤

確かに、企業がキャッシュを溜め込むだけでは上場している意味があまりないですもんね。

村田
村田

その通りです。アメリカだとPERが20〜25倍が当たり前ですが、日本は10倍前後で放置されていた。こんなに利益率が高いのに評価されなかったのは、株主還元が弱かったからだと思います。ここが改善されたのが今の強さの源泉ですね。

日経平均はまだ上昇余地あり?中期〜長期の相場観

安藤
安藤

ということは、この流れは始まったばかりで、今後も日経平均には上昇余地があるということですね。

村田
村田

そう思います。この流れは継続するでしょう。企業業績も非常に良く、2026年2月期決算の業績予想も中間決算の時点で7割以上が増益予想です。為替面でも、日銀短観によると企業の想定為替レートは145円前後で、実際は150円前後ですから、為替メリットもあります。結果的に利益が増え、さらに株主還元が進む好循環に入っていると思います。

安藤
安藤

企業は少し円高に振れても対応できるような想定を立てているけれど、実際には円安が進んでいるので、その分利益が上振れする余地があるということですね。

村田
村田

そうです。今の為替水準が続けば、業績を上方修正する企業もさらに増えてくると思います。

安藤
安藤

なるほど。よくわかりました。ありがとうございます。

「アメリカ経済の動向」と「日本企業の決算」が鍵

安藤
安藤

今非常に順調で、日経平均も5万円タッチしそうという状況です。特にネガティブな要素はあまり見当たらない気がしますが、もし今後調整局面が来るとしたら、どのタイミングで、どのような要因が考えられるでしょうか?

村田
村田

そうですね。大きな要因の1つはアメリカ経済ですね。

米国ではリセッション(景気後退)やスタグフレーション懸念が指摘されています。

トランプさんは金利を下げて移民規制を強化する政策を打ち出す可能性が高い。

そうなるとインフレが進みやすく、アメリカの長期金利が再び上昇する恐れがあります。

そうすると今上がっているグロース株などが割高に見えてくる。

【用語解説】グロース株
将来的な売上や利益成長が期待される企業の株式。 成長期待が株価に反映されやすく、PERが高くなりやすい。

その点が1つのリスクです。

もう1つは日本企業の業績ですね。

今週から来年3月期決算の中間発表が始まりますが、特に製造業の動向は日本経済の柱でもあります。

決算を保守的に出すのか、強気に出すのかによって、株価の方向感は変わってくるでしょう。

当面は「アメリカ経済の動向」と「日本企業の決算」が焦点になると思います。

高市さんの効果はすでに織り込み済みなので、これからは実体面に注目が移るでしょうね。

AI関連株の上昇は続く?循環取引が懸念される中での見方と注意点

安藤
安藤

最近では「AIバブルが弾けるのではないか」といった声もあります。例えば、OpenAIを中心にNVIDIAなども関係していますが、「資金の循環構造になっているのでは?」という見方もありますよね。オープンAIにNVIDIAが出資し、そのお金でオープンAIがNVIDIAのチップを買うなど、こうした循環構造にリスクは感じませんか?

村田
村田

確かにそうした指摘もあります。ただ、AIの需要自体は確実に存在します。

ポイントは、それを支えるインフラが整うかどうかです。

データセンターに関しても、10年後にはアメリカの電力消費の約10%を占めるとも言われています。

それを賄う電力をどう確保するかという課題もあり、インフラ整備が追いつかなければ市場拡大も鈍化するでしょう。

現在、AI関連企業のバリュエーションは非常に高く、PER50倍〜100倍といった企業も多いです。

どこかで調整が入れば株価は一時的に厳しくなる可能性もあります。

結局、インフラを支えられるかどうかが今後のカギだと思いますね。

安藤
安藤

なるほど。つまり、AIバブルの盛り上がりを少し引いた目で見る冷静さも必要ということですね。

村田
村田

そうですね。90年代後半のドットコムバブルのような状況ではないと思いますが、当時もソフトバンクなどはピークから下落して再び高値を更新するまで20年ほどかかりました。そこまでの調整はないにせよ、一度は調整局面を迎える可能性があります。特にNVIDIAやブロードコムといった一部の企業が市場を牽引している状態なので、個別業績に左右されやすいマーケットなので、気をつけた方が良いかもしれません。

安藤
安藤

確かに今回は、業績を伴った上昇という点が過去とは違いますよね。ドットコムバブルのときは「社名に.comがつくだけで株価が上がる」と言われていましたが、今はきちんと企業の実績が見られています。

村田
村田

そうですね。NVIDIAなどは実際に2桁成長を続けていますから、業績に裏付けられた上昇です。そういう意味では、当時のドットコムバブルのような“実体なきバブル”ではないですね。

安藤
安藤

たとえば半導体でいえば、インテルなどは今あまり買われていませんし、企業ごとの差もはっきりしていますね。

村田
村田

そうですね。厳しいところはきちんと評価されているので、20年前のような一方向の過熱感とは違います。

日経平均が過去最高でも“今”買うべき?長期投資の入りどきとは

安藤
安藤

なるほど。では、最後に。このチャンネル「資産形成チャンネル」は個人投資家の方も多く、NISAなどを利用している方も多いのですが、長期投資という観点から見ると、今はエントリーのタイミングとしてどうでしょう?

村田
村田

長期的な視点で見ると、バリュエーションはそれほど高くありません。

日経平均にしてもS&P500にしても、企業業績に伴って上昇しています。

5年、10年、20年のスパンで見れば、短期的な下げはあまり気にしなくて良いと思います。

ただ、短期運用の方にとっては、やや加熱感がある局面ではありますね。

とはいえ、企業が毎年過去最高益を更新している以上、株価が上がるのは自然な流れです。

だから「上がりすぎたから買えない」ということでもないんですよ。

安藤
安藤

長期で投資する場合、例えばユニクロ(ファーストリテイリング)のように、売上が今後も伸びていきそうだとしたら、昔に比べて株価は相当上がっていますが、それでも純利益が上がり続けるなら株価も上がっていく、というシンプルな考え方でいいわけですよね。

村田
村田

そうですね。仮に1株あたり利益(EPS)が今2,600円から3,000円になれば、PER20倍で計算すると日経平均は6万円になります。つまり、企業の業績が上がれば株価も自然と上がっていく。業績が伴わずに株価だけが上がっていると、それはバブル的な動きですが、今は企業業績の拡大とともに上昇しているので健全です。特に日本企業は、これまであまり行ってこなかった投資家還元を積極的に実施しており、これが大きな要因なのかなと思いますね。

安藤
安藤

確かに、急に日経平均がここまで上がってきた背景としては、やはりその姿勢の変化が大きいですね。

村田
村田

そうなんです。政局の影響というよりも、企業体質そのものが変わってきたことが本質です。政府が意図的に経済を冷やす政策を取らない限りは、この上昇トレンドはしばらく続くと思います。

安藤
安藤

なるほど。非常に分かりやすいです。ありがとうございます。

今後の投資家が押さえるべき「見るべき指標」とは

安藤
安藤

では最後に、今後投資家がチェックしておくべき指標を教えてください。何を見ておけばいいでしょうか?

村田
村田

まずは企業業績ですね。どれくらい増益しているかを見るのが基本です。

もし長期投資で考えているなら、四半期ごとではなく通期の決算を確認するくらいで十分だと思います。

四半期ごとに追うのは負担ですし、為替などもよく変わるので、年間ベースで見るくらいでちょうど良いでしょう。

また、日本は今インフレ局面にあります。

インフレ動向や日銀の金利政策は、企業の資金調達コストや業績に直結しますので、そのあたりのマクロ要因も見ておくと良いです。

安藤
安藤

なるほど。とはいえ、雇用統計など細かいデータをすべて追うのは大変ですよね。そういうのは見ないでも大丈夫ですか?

村田
村田

そうですね。もちろん見られるに越したことはありませんが、アメリカの情勢は雇用統計や金利水準くらいを押さえておけば十分です。日本企業の株価もアメリカの動きにかなり連動しますので、その2つは確認しておくと良いでしょう。

安藤
安藤

なるほど。高市さんは「財政拡張派」と言われていますが、今後の経済政策はどのように影響していくと見ていますか?

村田
村田

高市さんは積極的な財政出動を行う方針です。つまり、市場に資金を潤沢に供給する方針ですね。

ただ、アベノミクスの時代とは環境が違います。

当時はデフレ下での金融緩和でしたが、今はインフレ環境下です。

もしこの状況で金融緩和を進めれば、さらにインフレが加速するリスクがあります。

日銀が金利を誘導する立場にありますが、政権との連携も必要になるでしょう。

インフレを暴走させない舵取りが重要ですね。

それともう一つは、個人消費です。

日本のGDPの6割は個人消費が占めています。

ですから、企業の賃上げが実現できるかどうかがカギになります。

日経平均構成企業の労働分配率は非常に低く、企業が儲かっている割に賃金が上がっていません。

ここが改善されないと消費が伸びず、経済の底上げができません。

企業が人件費や設備投資にしっかり資金を回すサイクルを作れれば、日本経済はさらに強くなると思います。

安藤
安藤

確かに。日本企業は今、利益をしっかり出しているので、賃上げしようと思えばできる環境ですよね。

村田
村田

そうですね。現在は自社株買いや配当ばかりに資金が回っていて、株主には恩恵がありますが、労働者には恩恵が及んでいません。ここを是正しないと、経済全体の循環が生まれません。維新との連立により、所得税や社会保険料の引き下げといった構造改革も検討されているようですが、根本的な体質改革が必要だと思います。

安藤
安藤

なるほど。本当に今後の展開が楽しみですね。ありがとうございました。

まとめ

安藤
安藤

でも、日本の未来はもしかしたら明るいかもしれませんね。先々、賃上げをする余地や余力も、利益が出ている企業であれば十分にありますし、政策的な後押しがあれば賃上げが一気に加速するだろうなと感じます。あとは、今日の話の中で一番勉強になったのは、やはり東証の打ち出す姿勢がダイレクトに株価を動かすという点です。とても勉強になりました。

村田
村田

そうですね。そこは非常に大きいですね。今まで東証が働きかけるということは今までなかったので、特に企業もそれに対して向き合っているところだと思います。こうした動きはこれまで日本では見られなかったことで、むしろアメリカ的というか、グローバルな市場構造に近づいてきた印象です。

安藤
安藤

本当にそうですよね。「PBR1倍割れを放置しない」と東証が言い始めた時は、当初は企業側もあまり反応していなかったのですが、本気で取り組み始めた企業の株価が一気に変わりました。今では「自社も取り組まないと評価が下がる」という機運が高まっていますね。

村田
村田

そうですね。人材確保という面でも、賃上げと投資家還元は重要なテーマです。ここが継続される限り、日本株はまだまだ明るいと思いますね。

安藤
安藤

ぜひ今後も「マーケットを読む」という観点で定期的に出演いただければと思います。またお声がけします。

村田
村田

はい、ぜひよろしくお願いします。ありがとうございます。

安藤
安藤

そして視聴者の皆さん、株式や投資信託をはじめとする金融商品全般については、今日お話ししたように、さまざまな指標や世界経済との関係性が株価に影響しています。もちろんご自身でネット証券を活用するのも良いですが、プロに相談してみるというのも1つの選択肢だと思います。
今回登場いただいた村田社長の会社「ベストフォリオ」のお問い合わせフォームを以下に貼っておきますので、よかったらそちらから無料相談をお申し込みください。

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安藤
安藤

ちなみに今、主力商品としては日本株だけでなく、海外ファンドなども扱われているんですか?

村田
村田

そうですね。株式や債券、投資信託を含めた総合的なポートフォリオ設計を行っています。今日は株の話を中心にしましたが、リスクを抑えたい方向けの商品も幅広く取り扱っています。

安藤
安藤

なるほど。ではまずは気軽に相談から、ということで。皆さんもぜひ公式サイトからお問い合わせください。それでは村田社長、また数カ月後にぜひお越しください。

村田
村田

ありがとうございます。

この記事の監修者

安藤 義人

ココザス株式会社 代表取締役CEO

安藤 義人

YOSHITO ANDO

2016年に個人向けライフデザイン(人生設計)事業を行うココザス株式会社を創業。
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