首都圏では年間供給数の約20%が投資用マンション
(株)不動産経済研究所の調べによれば、2022年の1年間に発売された投資用の新築マンションは5961戸(131物件)でした。
首都圏で22年に発売された新築マンションは2万9569戸でしたので、約20.1%が投資用マンションだったことになります。
また、23年上期(1~6月)に供給された新築投資用マンションは56物件、2820戸となっていますが、これは22年上期の84物件、3678戸に比べて3割以上の減となっています。
ただし、一般的に、投資用マンションは、主に単身用のワンルームや1K、1LDK、広さは25㎡前後~35㎡くらいの部屋が中心の分譲マンションのことを指しますが、近年は、一般的なファミリータイプの部屋がメインの分譲マンションにおいても、自宅ではなく賃貸用(=投資)として購入される投資家もいますので、この辺りの線引きが難しくなっていることは考慮しておく必要があります。
首都圏の新築投資用マンション価格動向
次に、販売価格をみてみれば、2022年発売の投資用マンション平均価格は3,284万円、㎡単価は121.4万円で、前年の3,132万円、116.9万円に比べ、1戸当たりの価格は152万円(4.9%)、㎡単価も4.5万円 (3.8%)上昇しています。
図をみれば、先に述べた2013年頃からの不動産投資が広く広まった頃から、㎡単価の上昇が続いていることがわかります。
リーマンショック直後の2009年と比べると、2022年の平均価格は961万円、㎡単価は22.9万円上昇しています。
価格は上昇していても旺盛な需要に支えられて販売戸数が安定していることがわかります。
グラフをよくみれば、21年に㎡単価が僅かに下落していることがわかります。
新型コロナウイルスの影響も多少あったと思われますが、それ以上に大きな影響をもたらしたと考えられるのが、供給された新築投資用マンションの地区に変化が見られたことです。
2009年以降の首都圏における新築投資用マンションの供給エリア(市区別)をみれば、毎年のベスト5は、ほぼ東京23区のいずれかとなっています。
2009年~2021年までの13年間のベスト5(のべ65)のうち、横浜市中区が2回や川崎市川崎区1回、川崎市中原区が1回ランクインしていますが、それ以外の61分は東京23区となっています。
しかし、21年は上位5エリアのうち、3位と4位は東京23区外でした(横浜市南区、川崎市中原区)。
23年の首都圏の新築投資用マンションの主戦場は横浜・川崎へ
最新の23年上期の供給エリアのランキングを見てみれば、1位横浜市南区、2位横浜市中区、3位横浜市神奈川区、とすべて横浜市内となっています。
また、全体に占めるこの3地区の割合は32.3%となっています。
つづいて4位は東京都江東区、5位は川崎市中原区と、これまでとはだいぶ状況が変わってきています。
東京23区では、適地を獲得するための競争が、同業他社間だけでなく、異業種(例えば、一般分譲マンションビジネスホテル)間でも激化してきており、このように横浜や川崎での供給が増えるものと思われます。
いまはまだ23区内に比べて、㎡単価は多少低いとおもわれますので、23年の首都圏全体での平均単価は下がる可能性があります。
しかし、このような地域でも、いまのような旺盛な需要が続けば、投資用マンションの価格上昇可能性は極めて高いでしょう。