首都圏分譲マンション、23区は2億円超え


今日は「首都圏分譲マンション、3月は平均価格1億円突破」について。
これは先週もご紹介しましたよね。
「23区は2億円超え」等について話していきたいと思います。

いま首都圏全体で、東京、神奈川、埼玉、千葉の平均価格は8.6%上昇し、6,907万円。
発売戸数は減少し、首都圏は前年比12.9%の28,632戸。
内田:そうですか、二桁減ですものね…
吉崎:そうです、二桁減。
一時期、2000年代の前半は10万戸近かったですからね。
それがざっくり3万戸で、3分の1くらいですね。
内田:すごいですね。
吉崎:2000年代の3分の1程度という事で、23区だけを見ても18.8%減の、16,92戸という事で…
先ほどのコーナーで話した通り、適地不足は、はなはだしい。
内田:そうですね。
その結果がこういう風に数字で出ている訳ですね。
吉崎:マンションを建て尽くした感があるという事ですね。
新しく建てようと思ったら再開発するか、海辺の埋立地に建てるか、そのどちらかしかない。
そういう意味で、これがこのまま何処までいくのか?という所でしょうか。
価格が上がっている理由


上がっている背景として、3つの理由があります。
まず1つは、適地不足です。
適地不足による新規の供給が少ない。
少ないものだから…少ないから上がる訳ではないですよ?
少ない状態にあるので、それをまずディベロッパーが入札し合い、ビットを入れ合い、高値で落とす。
そうして高値で落とすと、そうやってやっと手に入れた所を「安く売る」というよりも…
どちらかというと「良いものを作って高く売りましょうよ」と。
要は一般の方々…といえばいいのでしょうか…
一般的な物件を建てず、かなりデラックスなものを建てている。
内田:土地も少ないから良いものを作って高く売ろう、という事ですか?
吉崎:そういう事です。
そうでないと収益が上がらないですからね。
内田:普通のものを建てて普通に売ったら、何か勿体ない感じがしますものね。
吉崎:そうないので「どうせやるのならばどんといきましょう!良いものを作りましょう!」という感じになっている。
内田:そうなると庶民には中々手が出せなくなる訳ですね…
吉崎:そういう事ですね。
これがまずは一つ目です。
ディベロッパーの困惑と購入できるお金持ちの存在

そういう様なディベロッパー側には土地がない。
ディベロッパー側の思惑が二つ目です。

なるほど…作る側の思惑ですね。

そして三つ目が、やはりそれに付いてくる人達がいる。
つまり、買える人達がいるという事です。
内田:お金持ちがいるという事ですか?
吉崎:お金持ちがいる背景は「儲けた」など色々な事がありますが、もう1つはパワーカップルの存在です。
内田:結婚したけれども子どもを持たないで、2人でばりばり働く。
子どもを持っていても、2人でばりばり働く。
吉崎:例えば、夫婦で2,000万円という様なイメージですね。
そういった方々が増えてきている。
更に、金融機関もそれに対して融資を付けようとしている。
昔は、お子様を持てば働かない女子も多かったのですからね。
内田:そうですね。
旦那さんのお給料が良いならば、専業主婦でも。
吉崎:そういう人が多かったけれど、今は激減していますから。
そう考えた時に、融資する側も昔は満額になります。
奥様の年収はまだ良いですけれども、もう少ししたら辞められるかもしれませんし…みたいなスタンスだったものが、普通に出す様になっている。
その辺りもあって、付いてくる客がいる、という事ですよね。
以上が上がっている背景、という所です。
内田:時代ですね。
作る側もそうですし、買う側もそうだから、そこで条件が合ってしまった訳ですね。
吉崎:そもそも少ない中で、ディベロッパーは良いものを作ろうとしていて、それに付いてくる客がいる。
内田:客もいて、あと金融機関もいる。
三方良しになっていますね。
物件の特徴(1)再開発パターン
吉崎:これをこのままどうするか?ということなのですけれども…
その前にここ最近の物件の特徴は、もう完全に先ほどいった2つのパターンです。
一つ目は再開発パターンです。
これは首都圏の真ん中だけではなく、少し郊外の方でも駅前を再開発して駅に接地し、これは確か前回か前々回でやりましたね?
内田:路線で何かやりましたよね。

その様な所での再開発が増えてきています。
都市部の再開発は(言い方はあれですが…)小さな家が密集している様な所を、御協力を頂き、買わせていただいて…

下町の様な所ですね。
吉崎:すごく増えましたよね。
特に城東エリア、隅田川から向こう等は、マンションがかなり増えましたよね。
昔からいう、下町エリアですよね。
内田:確かに。
しかし、何となく消防車も中々入れない様な空き地だったりしすが、住み易く安全になっていくという面では良いのかもしれませんね。
物件の特徴(2)工場の再開発
吉崎:もう1つが、これは2000年代からあった事ですが、工場の再開発。
海外移転に伴う再開発ですね。
いわゆる、大田区のイメージです。
あくまでもイメージですが…
内田:小さい工場が沢山ある様な。
吉崎:そうですね、町工場の様な。
それを海外に移転する事により、工場を買わせていただいて。
例えば、御年齢も上になられたのでもう辞めるといったものを買って、土地を整地して作った。
これは武蔵小杉等の典型的なパターンですよね。
内田:そうですね。
物件の特徴(3)埋立地
吉崎:あとは言うまでもなく、海の上のパターン(埋立地のパターン)ですね。
ここはもう極論、埋め立てれば無尽蔵に作れますから、どんどん埋め立てれば良い訳ですね。
良い事かどうか知りませんけれども…海洋何とか…
内田:環境の問題とかもね。
吉崎:そういう運動をしている人から見れば「何を言うんだ!お前は!」という様な発言ですが…
不動産の理屈上でいえば、埋め立てれば無尽蔵に作れるという事ですね。
こういった辺りに、新しいマンションができてきていますが、それが全般的に上がってきている、と。
そこには先ほど話した通りの背景があります。
更に、最後に。
あえて飛ばしましたけれども「金利が低い」と。
内田:そうですね、日本は。
吉崎:これはいうまでもないので省きますね。
それが全体的に包んでいるという事です。
今後はどうなる?


さて、この後も上がり続けるのかどうか…?

そうなのですよ、そこが知りたい。
金利はどうなる?

まずは、金利が上がるか下がるか?
これはまず、金利が上がれば、売り上げは落ちます。
つまり、いうまでもなく、アメリカでやりましたよね?中古の販売件数が下がってきたと。
内田:金利が上がったから落ちてきた。
しかし、日本の場合だとそんなにばんばん上がりそうにないですよね…
吉崎:ないですね…
ただ0.5%くらい上がると、総支払は変わりますから。
今の住宅ローンは0.5%以下くらいのものもありますから、1%を超える様な事があれば少し厳しくなる様な風向きになるかもしれませんね。
内田:1%超えで…?
吉崎:はい、雰囲気が変わりますものね。
内田:長年上がっていないですからね…
吉崎:下がるものだ、というイメージが…
内田:昔に比べると1%なんて天国みたいなものですよね。
しかし、それでもやはり駄目なのですね。

次の要素を見ていきましょう。
先ほど、パワーカップルが云々〜という話がありました。
しかし、これは急に変わる事は考えられない、急に婚姻数が激減するとかね。

少子化ではありますから、いずれは起きてくるのでしょうけれども…

短期的に、ここ数年で見ればあまり大きな変化はなさそうです。
マンション敵地はどうなる?

マンション適地がどうか?

これは増えないのではないでしょうか?
吉崎:これは「増えない」ですよね。
ディベロッパーの思惑もそう変わらない。
この間、三井さんを始め何社かでやっている、三田ガーデンヒルズ。
麻布十番と三田の間くらいの所ですね。
これが、最低のもので2億3,000万円からです。
内田:え?最低が2億3,000万円ですか…
笑うしかないですね…
吉崎:すごい高台の立地条件ですが、日本で広尾ガーデンヒルズに次いで二つ目なのです。
そんな事で、増える事はないという所で思惑も変わらない。
内田:変わらないですね。
作る側も変わらないし、買う側も変わらない…
金利が少し気になる程度でしょうか。
吉崎:金利と融資のスタンスですね。
若干、スタンスはありますけれども、それも先ほどの金利に連動してくる話だと思います。
そうするとマンション価格は「金利次第」というところです。
新築はコールがいえるので、今の話は新築の話になります。
中古物件はそんな事はないと、私は見ています。
中古物件のヒントがここ(日経の記事)に隠されているのですが「(去年/2022年)最も発売が多かった2000年度の3分の1の水準です」と。
つまり、2000年代の前半、2000年・1999年くらいから、2005年・2006年くらいまで、かなりマンションが建っていたのですね。
内田:そうなのですか?
吉崎:そうです。
この時の3分の1程度という事は1999年位から9万戸という事ですよ?
1995〜1997年辺りから「都心回帰」という言葉が流行って、都心に人が戻ってくる様になった。
1999年辺りからタワーマンションが少しずつ出始めて、建物の色々な規制等も変わりました。
内田:そうですよね、耐震など。
吉崎:色々変わりましたので、2000年代の前半で更に企業が海外に工場を移転等、竹中さんが推進した持たざる経営等で、土地が沢山出たのです。
そうすると、この頃にできたマンションが、ざっくり築20年を迎えます。
築20年というと、大体最も中古マンションが売りに出てくるタイミングに差し掛かります。
何故かというと、まずライフスタイルが変わる。
20年前はお子様も小学生で小さかったけれど、今はもう大きくなった。
なのでこんなに広い所はもういらない等、色々な事を考えます。
そして更に、設備品など色々なものが壊れてくる。
「入れ替えるくらいならばもう売ってしまおうか」「新しい所にいこうか、ローンもなくなったし」という様な事が出てくる。
「今高いらしいぞ!今が売るチャンスだ!という人が出てくるのです。
ということで、理論上は売り物件が増加する事は間違いないですね。
今それを「まだもう少し上がるかな…?」と皆が待っていると思いますね。
内田:売りたい人達が?
吉崎:売ろうかな、と思っている人達ですね。
さてこれが、ぽんと一気に「そろそろ売りだ!」という雰囲気になった時は、どどっと中古マンションの実需物件は下がると思います。
内田:しかし、その後に結局、買い場がくるという事ですね?
吉崎:金利次第でしょうか…
そのタイミングで金利がどうなっているか、という事でしょうね。
中古マンションは調整局面に、2024年にかけて入っていくと思いますね。
内田:今年の終わりくらいから意識しておかなければならない感じですね。
吉崎:そんな感じですね。
その時の、金利はどうでしょうか?と。
内田:沢山売り物件が出てきたとするならば、その調整も少し長引く感じってあるのでしょうか?
吉崎:それはあると思いますね。
2年くらいはあるかもしれません。
内田:またこの件については追々、学びを受けていこうかと思います。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
放送日時:毎週月曜日〜水曜日 17:00~17:50
※ 本コーナーは毎週月曜日のコーナーです
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年4月24日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています