東京へ一極集中するワケは?
今回は「東京一極集中再び加速!賃貸住宅需要の伸びに加速化?」ということで、お話を伺っていきます。
日本経済新聞の土曜日の一面に結構大きく出ていたものですか?
東京への一極集中というと、もっと長期的に見れば、80年代の半ばぐらいから95年ぐらいまでは東京の人口は減っていたのです。
郊外に家を求めて、埼玉や千葉、横浜神奈川などに人口が流出していたのですが…
90年代の半ばから後半ぐらいの当時「都心回帰」という言葉が流行りました。
バブル崩壊以降、5〜6年経ってからその後、東京にマンションがいっぱい出来始めて…というのが2000年代です。
内田:やっぱりバブル崩壊で土地の値段も…
吉崎:それも1つで…
2000年代に増えたのは企業が使ってない、遊休地や工場を海外に移転させたりして、それで空き地(と言うのかな…)
人口が増えてきたという中で、街の中にいっぱい大きな土地が出てきました。
内田:企業がスリム化した。
吉崎:それがずっと続いてました。
しかしコロナ禍になり、2020年・2021年に若干の転出超過になった。
これも似たような感じで…
まず「リモートワークが増えたので」とか「就職や進学でちょっと東京はやめて地元にいようかな」という方が増えたということもあったのですが…
2023年になって再びまた増えてきた。
2022年が増えたかな?
2023年もまた増えましたよ!ということです。
内田:理由は色々なのでしょうが、やっぱり繰り返しているのですね。
歴史は繰り返すと言いますが…
吉崎:色々な背景がある中で、リモートワークやオンラインでの会議が定着化してきた。
だけれど、一方で会社へ戻る動きもありますよね。
現在8割程度は戻っていると言われているので、オフィスの空室率も下げ止まりから空室率が減ってきた。
内田:低下傾向なのですね。
吉崎:低下傾向で、オフィス賃料上昇に再び戻り始めてきました。
こういう流れになってきています。
賃貸住宅への需要
そうすれば、東京に県をまたいでやってくる方が転入超過ですから…
転出が減って転入が増えるということですからね、初めて東京にやってきた人の圧倒的多数は最初は賃貸住宅に暮らすという風に言われている。
そうですね。
相当なお金持ちではない限り…
吉崎:親戚のおばちゃんのおじさんの部屋に住むとか、ちょっとそれは除いて…
大学でいうと、県民寮があったりしますが、もうめちゃくちゃ僅かな数です。
多くは賃貸住宅に暮らす。
そして就職で県をまたぐ移動。
例えば「北海道大学にいた方が、東京の会社に就職します」みたいな。
多くの場合、社宅という場合もありますが、最初は賃貸住宅で暮らす。
最近は社宅の会社が減ってきて、ここ10年ぐらい民間の借り上げ社宅みたいな形に進まれる方もいらっしゃいますが、これも民間の賃貸住宅を利用するということですよね?
内田:「物件は企業が持たない」ということですね。
借りて、そこに住む。
吉崎:お金の補助が出るというものね。
これもあわせて、民間の賃貸住宅需要を押し上げています。
2022年の1年間の東京都に他の道府県から転入者がどれぐらいいたのか?という数字を見れば、ざっくり東京は40万人ぐらいです。
そして東京の周辺でいくと、神奈川県が21万5,000人ぐらい。
埼玉県が16万4,000人、ここら辺が上位で…
大阪も15万6,000人いますが、1都3県が圧倒的に数字が多い。
ちなみに、東京の人口の約3%ぐらいは今年来た人ですかね。
内田:その40万人ぐらいの3%が…
吉崎:ざっくり3%ぐらいというところですね。
これらの方々は先ほど言いましたように、多くが最初は少なくとも賃貸住宅に住みます。
最初は2度3度ぐらい移動することもあるかもしれませんが、東京都区部に限ってみればです。
持ち家の比率は25%ぐらいですから、75%ぐらいは賃貸住宅でずっと暮らす。
ということを考えても東京への人口流入が進むと、その後は賃貸住宅需要を押し上げることになる。
そういうこともあって、さっきあるREITのプレスリリースを見ていたら…
どんどん賃貸住宅をポートフォリオに組み込んで、すごい低い利回りでも買っていますから。
需要があるとするならば、そうなれば賃料が上がる可能性がある。
数が限られていますからね。
今後どうなる?
とすると、賃料が上がればREITに置いたら分配金も上がる可能性があるというような好循環が生まれてくる。
という一方で、地方の過疎地域はどうするんだという問題もある。
まあそうですよね…
昔はまだ人口が増えていた時期が良かったかもしれませんが…
今人口減少に転じていて、都心回帰になっちゃうと一段とその地方の人が少なくなってしまうという度合いが深刻になるんじゃないでしょうか?
だから昔よりもちょっと深刻…?
吉崎:深刻ですね。
例えば、福井県を例に挙げると、地方から他の都道府県からの移動の数は8,400人。
もっと少ないのは鳥取県で7,967人です。
こういうエリアはやはり流入が少ないのです。
逆に出ていく数は聞いていませんが…
かなり出ていそうです…
内田:これはもう確実に上回るか…
吉崎:それはもう倍以上でしょうね。
そうすると、例えば参議院議員選挙で幾つかの鳥取と島根。
今5〜6ですよね?そこから、その県を代表する人がいなくなるとか…
もっともっといくと、県議の合併なども分かりませんが…
2055年とかにあるかもしれないですよ。
内田:昔に言われてた「道州制」みたいな?
吉崎:あるかもしれないですね。
話を東京都に戻すと、今だけ人口が入ってくる。
それに伴ってオフィス需要も増え、そして賃貸や住宅需要も減る。
そもそも1個忘れていましたが、企業の本社を東京23区に移転する企業が増えてきています。
内田:それはやっぱり人が足りないから人を取ろうと思って「人が集まるところに作らなきゃ」ということで…
少し前は地方に本社を移転させるとかありましたよね?
吉崎:ありましたね。
自動車メーカーなど東京ではないところに移動することがありましたが…
そうするとそれに伴い、多くの方々がまたやってくる。
さらに地方の支店は地方に本社がある。
企業の支店数が1番多いのは東京じゃないですか?
つまり日本一支社が多いのが東京なわけです。
その統合も進んでいて、東京支店だけでいいんじゃないの?とか…
内田:他の地域にあったものを東京に集中させようと。
そうなると余計流入しますよ?
吉崎:そういうことです。
内田:仕事を求めてということですよね。
吉崎:それもこれも支社の人員確保のためには、地方でやるよりも東京でやった方がいいんじゃないのか?
そして、そこから電車や車で営業に行った方がいいんじゃないのか?という流れもあるのです。
というところで、東京の一極集中は多分もう止まらないでしょう。
内田:これまで歴史上「土地が上がったら郊外の方に求めて…」というような状態というのでしょうか…
これが繰り返し起こったわけじゃないですか?
外に行き、内に行き、外に行き…
今はもう人口減少になったとすると、内に内にという風にその流れが余計強くなって、その期間も余計長くなって…
吉崎:だけど一方でそうすると人が集まってくるとちゃっかり賃料だけではなく不動産価格も上がってくるし、住宅価格も上がるでしょう?
そうすると、やっぱり東京都(都区部の周辺部)
それからこの間の基準地価の上昇を見てたら、豊島区・文京区・練馬区などもすごく上がっていましたからね。
内田:中心の輪が大きく広がっている…
吉崎:その同じ傾向は福岡でもあります。
福岡もすごく高いので、福岡のちょっと外れとか隣接した市町村とかの地価がすごい上がっています。
さっきの町のど真ん中に通い、安い別の市町村みたいな感じが増えてくるかもしれませんね。
地価が上がるかもしれないのです。
内田:そうやっても集中が続けば続くほど、土地の値段も上がり続けるりいうのを単純に考えることですよ。
吉崎:しばらく東京のマンション価格は局所的には上がって下がったりそれもするんだろうけれど…
周辺も上がっていくんだろうという予測です。
内田:周辺も含めて…
それがどんどん郊外に流れるというよりは、その円がどんどん広がっていって…
円全体ということ…?
吉崎:ドーナツ現象というのは空洞化ではないのです。
穴がないドーナツ、膨らんでいる感じです。
ピザみたいなもんだ。
ドーナツ化現象じゃない新しい現象が起こっているということですね。
内田:それは止まらない感じはありますね。
人口が増加に転じないとダメなんじゃないの?みたいな…
吉崎:日本国全体がね。
そうするとこれで賃貸住宅の投資とかまたまた進むんだろうね。
分からないけれど、楽しみだね。
内田:賃貸住宅に投資してる人は楽しみですね。
それでまた投資が加速すればするほど、上がっていきますよね。
吉崎:それはイコール賃料が上がる可能性があるってことですから。
賃貸住宅に住んでいる方にとっては「お願いします…」と…
投資している人を見れば「もっと上がれ!もっと上がれ!」と…
内田:そうですね。
もうその分物件もできるということになるのかもしれません。
しかし、適地はなかなかないというか…
吉崎:ということですね。
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年11月13日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています