新NISAで利確をおすすめするタイミング5選

新NISAは、60歳まで引き出せないiDeCoとは違い、自分の好きなタイミングで利確できます。
しかし、自由に決められるからこそ「いつ売却すればいいのか分からない」「どんな基準で判断すればいいだろうか」と悩む方も多いはずです。
こちらでは、利確をおすすめするタイミング5つとともに、具体的な行動指針も合わせて解説していきます。
(1)投資の目標金額を達成したとき
投資を始めた際に設定した「目標金額」に到達した場合は、利確の良いタイミングです。
例えば、老後資金として2,000万円を目標にしていた場合、その金額に到達した時点で売却しても良いでしょう。
・達成した資金を一部または全額引き出し、生活資金や安全資産に移す
・引き出した後も運用を続ける場合、次の目標やリスク許容度を再検討する
もし具体的な金額を設定していない場合は、必要な資金(例: 老後資金、教育費など)を計算して目標を設定しましょう。
(2)目的のライフイベントが訪れる前
結婚、マイホーム購入、教育費など、大きなライフイベントが控えている場合は、資金確保のための利確を計画的に行いましょう。
特に目標時期が明確であれば、事前準備が成功の鍵となります。
・ライフイベントの発生時期を逆算し、必要な金額を計算する
・数年前から投資商品の値動きを確認し、利益が出ているタイミングで分割利確する計画を立てる
・利確後の資金をすぐに使わない場合、短期間でも金利の良い安全資産で保管する方法を検討
計画的に利確を進めておけば、イベント直前に価格が急に下落して、資金を十分に準備できなくなるリスクを避けられます。
(3)緊急の出費が必要なとき
病気やケガ、冠婚葬祭など、予想外の支出が発生した場合は、新NISAの資金を利用することも選択肢の1つです。
ただし、緊急時の対応には注意が必要です。
・必要な金額を事前に把握し、現金資産が不足している場合にのみ利確を検討
・利確する際は、利益が出ている商品を優先的に売却することで非課税のメリットを最大限活用
・緊急時に備え、あらかじめ現金資産や安全資産を確保しておくことで、投資資産を温存できる体制を整える
短期的な判断に左右されないよう、緊急時対応のルールをあらかじめ決めておくと良いでしょう。
(4)資産が目標リターンを達成したとき(例: 元本の2倍)
例えば、「元本の2倍まで増えた」「年利5%で想定したリターンに到達した」といった場合は、利確を検討する良いタイミングと言えるでしょう。
リターンが目標に到達した時点で利益をしっかり確保しつつ、次の運用計画を進める準備を整えることが重要です。
・達成したリターンの一部を引き出し、生活資金や再投資に活用
・元本を確保し、利益分を別の運用商品や安全資産に分散する
・リターン目標を明確にしておくことで、感情に左右されず計画的な利確が可能
具体的なリターン設定としては「元本の2倍」や「目標リターン10%超過」などを基準にすると、投資効率を高めやすくなります。
(5)非課税期間が終わる前で利益が出ているとき(旧NISA)
2023年までの旧NISAは非課税期間が限られており、期間が終了すると利益に課税されます。
非課税の恩恵を受けるためにも、終了前に利益が出ている商品の利確を検討しましょう。
・非課税期間終了前に、利益が出ているタイミングを見計らって売却する
・終了後も運用を継続する場合、新NISAの枠を利用して再投資する方法を検討
・終了時期を証券会社で定期的に確認し、計画的に対応する
非課税枠を最大限活用するには、事前準備が重要です。
計画的な利確でリスクを抑えましょう。

新NISAの利確で知っておきたい4つのポイント

新NISAで資産を効率的に運用するためには、利確のタイミングだけでなく、適切な売却の方法を選ぶことが重要です。
利確の工夫次第で、利益を最大化しつつリスクを抑えることも可能です。
こちらでは、計画的に利確を進めるための4つの実践的な方法を解説します。
(1)複数回に分けて利確する
一度に全額を利確するのではなく、資金を何回かに分けて少しずつ利確する方法がおすすめです。
複数回に分けて売却することで、市場の下落時に全ての資産を売ってしまうリスクを回避できます。
さらに、売却価格を平均化できるため、利益を安定して確保することが可能です。
市場の変動が大きい時期にも、分割売却は資産を守る効果的な方法となります。
●具体例
老後資金として、毎年100万円を引き出す計画の場合。
初年度に必要な金額だけを売却し、残りを継続して運用することで、運用益を得る機会を逃しません。
●行動指針
- 売却時期をあらかじめ複数回に分けて計画する
- 毎年の支出額や必要資金を定期的に見直し、状況に応じて調整する
- 利益が出ている銘柄から優先的に売却する
複数回に分けることで、計画的かつ柔軟に資産を運用できます。
1.必要資金を切り崩しながら運用するシミュレーション
老後資金を例に、以下のシミュレーションを考えます。
・年間の引き出し額: 100万円
・運用利回り: 年5%
初年度に100万円を引き出し、残り900万円を運用すると、翌年には45万円の運用益が発生する計算になります。
これを繰り返すことで資産を長持ちさせつつ、必要な資金を確保できます。
(2)値動きの大きい商品から利確する
市場の変動が大きい商品(例: 個別株式や成長期待の高い銘柄)は、利益が出ているうちに売却を検討するのが賢明です。
これにより、リスクの高い資産を減らし、ポートフォリオ全体の安定性を高められます。
●具体例
短期間で大幅に値上がりした個別株を売却し、安全資産(現金、定期預金、国債など)やインデックスファンドに資金を移動する。
●行動指針
- 値動きの大きい銘柄の定期的な見直しを実施
- 利益が十分に出ているタイミングで売却し、次の投資や安全資産に回す
- 値動きの少ない資産(例: 債券やインデックスファンド)は残しておく
(3)ライフイベント数年前から値動きをチェックする
ライフイベント(例: マイホーム購入、進学費用)が控えている場合、必要資金を確保するため、数年前から計画的に利確を始めましょう。
イベント直前では市場が不安定になるリスクもあるため、余裕を持って準備することが重要です。
●具体例
5年後に住宅購入を予定している場合、3年前から値動きを確認し、利益が出たタイミングで一部を売却する。
●行動指針
- ライフイベントの時期を明確にし、必要資金を計算する
- 予定の数年前から資産状況を定期的に確認し、計画的に利確を進める
- 利確後の資金を現金化し、必要時期まで確実に保管する
(4)判断に迷うときは専門家に相談する
利確のタイミングや運用方法に迷ったときは、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談しましょう。
市場の動きや個別の資産状況を踏まえたアドバイスを受けることで、適切な判断ができます。
●行動指針
- 資産運用やライフプランに関する不安を整理して専門家に相談する
- 利確後の再投資や資金活用についても意見を求める
- 多角的な判断をするために、複数の専門家に意見を聞いてみる
【要チェック】新NISAで利確する際の注意点

新NISAの利確で非課税メリットを最大限に活かすには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
適切な判断、準備をせずに利確してしまうと、運用効率が下がり、十分な利益を得られない可能性があります。
こちらでは、特に気をつけるべき4つのポイントを解説します。
(1)損切り目的で利確しない
新NISAでは、損失が出ている状態での利確(損切り)は避けるべきです。
理由は以下のとおりです。
・長期的な目線で見ると、回復して成長する可能性が高い商品を早まって売却してしまう
※補足
・損益通算とは?
通常の課税口座で利用できる仕組みで、売却益と損失を相殺して課税額を軽減する方法です。
しかし、新NISAではこの仕組みが適用されないため、損失が確定してしまいます。
・具体例
通常の課税口座では、A株で10万円の利益が出て、B株で5万円の損失が出た場合、10万円-5万円=5万円が課税対象となり、税額を軽減できます。
しかし、新NISAでは、B株で出た5万円の損失をA株の利益と相殺できず、10万円全額が課税される点に注意が必要です。
●行動指針
- 一時的な市場の下落で動揺せず、商品の特性や長期的な成長性を再確認する
- 損失が確定しそうな場合は、その商品の将来性について再評価し、売却タイミングを慎重に判断する
- 現金がどうしても必要な場合は、損失が出ている商品ではなく、利益が出ている商品を優先して利確することで非課税のメリットを活かす
(2)短期売買の繰り返しは避ける
新NISAは、長期投資を目的として作られた制度です。
頻繁な短期売買は、手数料がかからないとしても以下の理由で避けるべきです。
2.市場の短期変動に振り回されやすい:感情的な判断を誘発する可能性がある
※補足
・複利とは?
複利とは、元本だけでなく運用による利益にも利子がつく仕組みを指します。
例えば、100万円を年5%で運用した場合、1年目の利益5万円は翌年以降の運用元本に加わります。
長期間運用するほど元本が大きくなり、資産が加速度的に増加するのが複利の魅力です。
短期売買を繰り返すと、この仕組みを十分に活用できなくなる点に注意が必要です。
●行動指針
- 投資商品を選ぶ際には「5年以上の長期保有」を前提に計画を立てる
- 購入後の値動きが気になった場合でも、目標リターンに達するまでは動かさない方針を持つ
短期的な利益を追求するよりも、計画的な資産運用を重視しましょう。
(3)明確な目標のない状態で利確しない
「とりあえず売却」という理由で利確することは避けるべきです。
具体的な目標や用途がない状態での利確は、資金を非効率的に使ってしまう可能性があります。
●行動指針
利確の目的を明確に設定する。
例えば
・ライフイベント:マイホーム購入や教育費用など、具体的な用途を想定
利確後の資金をどう活用するか、次の運用計画を立ててから売却を進められます。
目標があることで、タイミングに迷うことなく計画的な判断ができるでしょう。
(4)売却前に手数料や価格決定日を確認
新NISAでの売却時には、証券会社ごとの手数料や価格決定日(注文が成立する日付)を確認することが重要です。
これらを見落とすと、予定していた金額よりも少なく売却されるリスクがあります。
●注意点
- 手数料:証券会社によって異なるため、事前に確認して無駄なコストを削減する
- 価格決定日:注文方法(成行注文、指値注文)に応じて価格の決まり方が異なるため、事前にルールを確認する
※成行注文、指値注文の違いは、このあとの見出しで解説しています
●行動指針
- 売却時には「取引のルール」や「費用の内訳」を確認する
- 特に成行注文を使う場合、価格変動が激しいタイミングを避ける
これにより、計画的に資産を売却し、非課税のメリットを最大限に活かせます。
新NISAで利確する具体的な手順

新NISAで資産を利確する際には、取引の流れや必要な手順を理解しておくことが大切です。
こちらでは、初めての方でもスムーズに売却を進められるよう、手続きのステップをわかりやすく解説します。
(1)ステップ1: 売却する商品の選択
2.利確したい商品を選び、現在の評価額や損益状況を確認します→利益が出ている商品を選ぶのが基本です
3.必要な金額に応じて売却数量を指定します
(2)ステップ2: 売却注文の実行
売却商品の詳細画面で「売却」または「注文」を選択します。
次に注文方法を選んでください。
・指値注文: 希望価格を指定して売却。価格が指定額に達するまで成立しない
確認画面で注文内容を確認し、問題がなければ「注文確定」をクリックします。
(3)ステップ3: 売却の確認
2.売却金額が想定どおりであることをチェックします
注文方法によっては価格が変動する可能性があるため、特に成行注文の場合は注意が必要です。
(4)ステップ4: 売却後の資金の確認と管理
2.資金をそのまま証券口座に残すか、銀行口座へ振り込む場合は出金手続きを行います
振込手数料の確認を忘れないようにしましょう。
新NISAの利確に関するよくある質問

(1)Q.新NISAで利確すると税金はどうなりますか?
新NISAで得た売却益や配当金は、非課税です。
そのため、通常課税される20.315%(所得税+住民税+復興特別所得税)を支払う必要はありません。
・非課税の対象はNISA口座内の売却益のみです。NISA外での取引には課税が適用されます
・新NISAでは、非課税枠が無期限のため、売却時期を急ぐ必要がないのも大きな特徴です
(2)Q.売却後に必要な手続きはありますか?
通常、新NISAでの売却後に確定申告などの税務手続きは必要ありません。
非課税の範囲内での取引であるため、税務上の申告義務がないからです。
ただし、次の場合には確認や手続きが必要になることがあります。
・資金の利用計画:住宅購入や教育資金に使う場合、用途に応じた書類が必要になることがあります(例: ローン申請時の残高証明)
(3)Q.売却したあと投資枠は復活しますか?
はい、新NISAでは売却した金額分の投資枠がその年内で復活します。
これは旧NISAにはなかった新しい特徴です。
・再投資可能な期間: 同じ年内であれば売却金額分を新たな商品に再投資できます
・投資枠の管理: 証券会社の画面で年間の投資枠を確認し、使い切れていない枠を有効活用しましょう
(4)Q. 利確した資金を再投資する際はどのように運用すればよいですか?
再投資の方針は、目的とリスク許容度に応じて選択することが重要です。
本文で触れている「リスク分散」や「運用目標の設定」を参考に、以下の具体的な行動を考慮してください。
1.次の投資計画を明確にする
- 再投資の目的(例: 老後資金、短期資金)を設定します
- 目標金額や運用期間を再確認します
2.非課税枠を活用
新NISAの枠内で、成長が期待できる商品に分散投資します。
3.リスクを抑えた運用を検討する
再投資の一部を安全資産(例: 国債、定期預金)やインデックスファンドに配分し、安定的な運用を目指します。
まとめ

新NISAを活用する上で重要なのは、計画的な利確と運用方針の明確化です。
この記事では、以下のポイントを解説しました。
・注意点: 損切りや短期売買を避け、明確な目標を持って計画的に利確することの重要性
・具体的な手順: 証券会社での売却手続きや資金管理の流れ
・再投資の活用: 投資枠の復活を活かし、柔軟に資産を増やす戦略
新NISAは、無期限で利用できる非課税枠や柔軟な運用が特徴の制度であり、計画次第で効率的な資産運用と安定したリターンが期待できます。
この記事を参考に、自分に最適な運用プランを見つけ、未来の安心につなげましょう。
新NISAを味方につけて、賢く資産を増やしてください。