ソフトバンクG決算は大幅改善!2026年3月期第1四半期のポイント


社長、前に楽天を取り上げましたけど、今回はソフトバンクの決算発表について聞けたらと思いまして。

そう、ソフトバンクGの話です。前回の楽天の時にも言いましたが、決算とプレゼン資料は違うんですよね。両方を見た上で判断するのが大事です。

最も効率的なのは、決算短信をChatGPTで要約することです。
会社が調子よく発信している情報ではなく、事実ベースの数字を見ることが重要なんです。

なるほど。じゃあ早速見ていきましょうか。


私はソフトバンクが大好きで、2003年頃からずっと決算を追ってます。
今回の発表は2026年3月期の第1四半期決算。
つまり4〜6月の数字を8月頭に発表するという流れですね。
ソフトバンクGは動画配信もしていて、決算説明はCFOの後藤さんが担当。
孫さんは年1回の株主総会でしか登壇しないんです。


そうなんですね。

で、今回の数字を見ると、前年同期比で赤字1,700億円から黒字200億円へと改善。当期純利益での黒字転換です。
ただ、この会社はボラティリティが激しい。
2兆円の黒字だったり、1兆円の赤字だったり、4,000億円の黒字や3,000億円の赤字と乱高下している。

それは大規模な投資をしているからですか?

そう、ソフトバンクGって投資会社なんですよ。
だから国際会計基準(IFRS)を使っていて、ビジョンファンド1・2やラテンアメリカファンド、いくつものファンドを運用してるんです。
他の投資家も一緒に出資してます。
で、このIFRSだと、保有してる株の値動きがあれば、それをそのまま損益に反映しなきゃいけないんです。
例えば株の評価額が1兆円分上がった場合、たとえ売っていなくても、その期の利益に1兆円という形で計上されるんですよ。

え、含み益でもですか?

そう。だから決算がとても大きく動く。普通の個人投資家なら確定申告時点で株を売却して初めて課税対象になりますよね。
でもソフトバンクGは保有しているだけで評価益を損益に計上しなければならない。これが会計基準の違いです。

なるほど。じゃあ投資会社としては、何を基準に評価するのが正しいんですか?
数字の裏を読む!決算資料から分かる投資家視点の分析術


彼らが最重要指標としているのが「NAV(Net Asset Value=純資産価値)」です。企業の成長を判断するには、このNAVを見るのが基本になります。


ソフトバンクGが投資家に「これだけ見てくれ」と言っているのがNAVです。自分たちが持っている資産の価値を追いかけてほしい、と。売上や利益は大きなボラティリティがあるため、NAVの推移こそが注目ポイントなんです。

なるほど。

今回の決算、NAVが32.4兆円まで増えてました。前の四半期から6.7兆円も増加。でもソフトバンクGの株は20%程度の変動がよくあります。
だからNAVの推移だけ見てればOKって考え方もありますね。
それと、安全性を見るには2つの指標があります。
一つ目はLTVで、借金が資産に対してどのくらいかを見るんです。
今回は17%で、だいたい5兆円の借入金。
ソフトバンクGはこれを25%以内(非常時は35%)にすると決めてます。
LTV(ローン・トゥ・バリュー)


もう1つは手元流動性。現金に加えて銀行の借入枠も含めて、すぐ使えるお金がどれくらいあるかを見る指標です。
手元流動性


つまり、すぐに動かせる資金ってことですね。

ただ今回は、手元流動性が5.8兆円から3.7兆円に減っていて、ちょっとネガティブに見えるんですよね。
でも、まだ十分な金額ではあります。
投資会社って、為替や株価の影響で数兆円単位でブレるのが普通で、実際、四半期末から決算発表までの1カ月ちょっとで2.8〜3兆円も動いていました。
だから短期で一喜一憂せず、2年とか長期スパンで右肩上がりかを見たほうがいいんです。

NAVとLTVの推移ですね。

そうです。NAVは長期的に増加傾向です。
一方でLTVはやや悪化してきていますが、まだ基準値内に収まっています。
手元流動性は減少傾向ですが、十分な規模を維持しています。
結論として、ソフトバンクGの決算を見るときは売上や利益ではなく、①NAVの増減、②LTVの水準、③手元流動性の推移、この3点に注目するのがポイントです。
(2)LTVの水準
(3)手元流動性の推移

黒字転換の理由は?AI投資と半導体戦略がもたらす成長シナリオ


楽天の時と同じように、各種KPIを見ると事業の成長が分かります。ソフトバンクグループはOpenAIにも投資していて、既に株主なんです。さらに今後7,000億円規模の追加投資も予定している。すごい金額ですよね。

すごいですね。僕らも毎日ChatGPTを使ってますし、この2年弱での成長は本当に驚異的です。


全世界で週次のアクティブユーザーが7億アカウントに達している。AI市場の伸びは凄まじい。サブスクリプションの収入も1.5兆円超と、規模が桁違いなんです。ソフトバンクはこの分野にも積極的に投資しています。だから手元流動性が減っているのも、大型投資が続いているから。これは理解できますよね。


はい。

もしOpenAIが今後さらに急成長すれば、ソフトバンクビジョンファンド2の中で保有している株価が大きく伸び、全体のNAVにも大きく寄与する。だから構造としては非常にシンプルで、AIなど成長分野への投資が成果を出せば右肩上がりになるんです。


おお、なるほど。説明を聞いてやっと重要なポイントが分かりました。

今の株価も上場来最高値を更新していて大きく伸びています。中長期で見てもまだまだ成長余地はある。だから資産形成という観点では、こうした企業の決算をチェックするのは勉強になるんです。
決算書やIR資料を追いかけることで、自然とファイナンスや会計の知識も身についていく。

確かに。勉強材料としても活用できるんですね。

そう。私自身はソフトバンクや楽天の株よりも、自分の会社の株を持っているから、そちらを伸ばすのが一番効率的です。自分が頑張れば株価が上がり、自分の資産も増える。これも一種の資産運用です。孫さんも同じで、「自分はソフトバンクの株しかやらない」と言っています。つまり本業に集中することこそが最大の資産運用なんです。

なるほど、資産運用の仕方が違うということですね。
割安株なのか?ソフトバンクGの株価と成長可能性を検証


事業構造としては理解が難しいですが、重要な見どころは分かってきました。

そうですね。

これからSBGはどんどん伸びるという見立てですか。

SBGはまだまだ伸びると思います。
数年前から言っていますが、今は株価が割安な場面があれば買っておくのも良いというスタンスです。
中長期では伸びると見ています。

今の株価はどうですか。 上がっているんでしょうか。

今はかなり強い動きで、上場来高値に近い水準まで上昇しています。 大手企業でここまで伸びるのはすごいですね。


本当にすごい伸びですね。

読者の皆さんには資産運用に取り組んでほしいと思っています。
そのために、各社の決算を見て、どこを見るべきかを学ぶと良い。
流し見でも、決算書の見方がだんだん分かってきます。
前回の楽天も今回のソフトバンクGも、事業の構造や財務の勘所を掴むのに役立ちます。
高レベルなファイナンス手法や財務知識も自然と身につきます。

なるほど。 自分の会社のための勉強材料にもなりますね。

そうです。 私は個人マネーの運用よりも、自社(ココザス)の株価を上げる方が簡単だと考えています。自分が頑張れば上がるからです。
他社のことを考えるより、自分の事業に集中する方が効率的です。

たしかに、自分がコントロールできる領域に集中するということですね。

ええ。 私は個人のお金のことばかり考えている社長のもとでは働きたくありませんし、逆にお客さまの立場でも、そういう社長の商品は買いたくない。
孫さんも同じで、「自分はソフトバンクグループの株しか持たない」と言っていますよね。
株をやる感覚ではなく、オーナーとして本業に専念する。

それが最終的に本人の資産が一番増える。
つまり、仕事を頑張ること自体が資産運用になる、という考え方ですね。

その通りです。 皆さんも、人生の選択肢を増やし、豊かにするために資産を増やした方が良い。
使えるお金が増えれば選択肢は広がります。やり方は人それぞれですが、株の見極め方や視点を学ぶのは大いに意味があります。SBGの株は中長期で伸びると考えています。

これからPayPayも上場予定ですし、他にも企業群があります。
その中の会社が伸びていく。
孫さんは25年くらい前からずっとAIに全ツッパしているんです。
ここれは今後も大きな成長が期待されます。

そうですね。すでに伸びていますからね。

ただ、数年前までは「何を言ってるんだ」と全く評価されていませんでしたし、
今でも実は十分には評価されていません。株価は上がっているけれど、ソフトバンクGの時価総額は現在20兆円程度です。
一方でNAVは32.4兆円です。

つまり、20兆円で会社を丸ごと買えたとして、保有株を全て売却すれば32兆円になる。
差額の12兆円分がそのまま利益になる計算です。

すごいですね。つまり今は過小評価されているということですか。

その通り。ディスカウントされているんです。
この差は縮小してきてはいますが、依然として割安。もし将来的にNAVが50兆円になり、時価総額も50兆円になれば株価は約3倍になる可能性があります。だからまだ伸びしろがある。

なるほど。長期的に見れば大きなチャンスですね。ただ決算書が難解すぎて分からない人は無理に投資する必要はないということですね。

そうです。今日は細かく企業分析をするというよりは「自分に合った資産運用をしましょう」という話。
私自身は自分の事業に集中します。他の事業をやるより、自分の会社を伸ばすのが一番効率的だからです。
会社を持っている人なら、この記事を読むのも大事ですが、それ以上に、自分の事業を伸ばす戦略を練ることが重要です。
企業ごとに「見るべき指標」を決めて判断しよう


確かに。楽天とソフトバンクの決算を比べても、見るべきポイントが全然違いますね。

その通り。企業ごとに重要指標を3つほど決めて、それが伸びている限り株価もついてくる。この傾向を掴むのが大事です。
SBGの場合はNAV。
楽天は今やモバイルに依存していて、インターネットやフィンテックが順調に10%程度伸びていくことを前提に、携帯契約者数やARPUが増えるかどうかが重要。
だから楽天はしばらく厳しいと見ています。

なるほど。

SBGのNAVは変動が大きいけれど、投資先の成長を考えると長期的には伸びていく。
ディスカウントが解消されれば株価にはまだ上昇余力があります。
株に投資する場合でも「何を見ればいいか」を決めて判断するのが大事。
その意味で、NAVをチェックするのは必須です。

とても参考になりました。

今日は以上です。記事を読んでくださってありがとうございます。自分に合った資産形成を知りたい方、運用を見直したい方は気軽にご相談ください。
