投資用マンションの新築・中古物件を、どこから買うか
投資用マンション(区分・一棟とも)は新築と中古がありますが、新築物件は、新築マンションを開発するデベロッパーから購入か、その販売代理企業から購入するか、の2択です。
よく新築は割高感があると言われますが、新築物件の価格は、積算価格(土地仕入れ額+建物建築費)+販促など各種費用+利益というシンプルな構造で、長く適切に商売しているデベロッパー物件では、抜きん出ての割高感があるとは思いません。
改めて別稿で、「投資用新築マンションの賢い選び方」については解説する予定ですが、投資用新築マンションのうち特に区分マンションは、なんといっても立地を最優先に考えましょう。
次にデベロッパーの信用、そして系列の管理会社の質、この3点に集約されます。
一方、中古物件の場合、投資用マンション仲介会社を介して購入するか、買い取り再販会社から購入する、の主に2択となります。
買い取り再販会社からの購入については、別稿で解説します。
仲介会社を通じての取引は、仲介会社に所定の手数料(上限3%+6万円)を払い、持ち主と買い主での相対取引を行います。
1億円の物件の場合、約300万円の手数料を払います。
手数料はあくまで上限ですので、かなり高額物件の場合の仲介手数料は、2%や1.5%などに減率されることもあるようです。
不動産仲介会社と物件情報量
ここからは、投資用不動産の仲介会社の役割について考えてみましょう。
投資用中古物件を仲介会社から買うメリットは、なんといっても多くの中から物件をセレクトできることです。
新築物件はもともと供給量が少なく、中古物件においても買い取り再販会社から買う場合は、選択する物件数に波があります。
買い取りが思った以上に増えない、あるいは想定以上に売れている、という状況では、販売できる投資用マンション数が減少します。
一方、仲介会社は、基本的に「いま売り出されている」物件全体を扱うことになります。
このように、仲介会社の役割の第1は、「物件情報の提供」ということになります。
投資用マンションの主流は中古物件に
すでに、投資用マンションは中古物件が主流になりつつあります。
23年の前半の数字を見れば新築住宅着工件数は前年比で減少しており、23年は開く年比でマイナス5%を超え80万戸台前半で着地しそうです。
長期的にみれば減り続けることは確実だと思われます。
一部シンクタンクが「2030年には70万戸台前半になる」と予想していますが、おそらく2030年を待たずに70万戸台前半になることは確実でしょう。
投資用マンション=賃貸用住宅や自宅など、住宅流通の主流は中古物件になる時代は、それほど遠くないでしょう。
その背景には、「マンション適地の不足」があげられます。
自宅用新築の郊外マンションの需要が減少し、人気エリアが都市部に集中する傾向にあります。
追いやられる形で投資用マンションの建築適地も不足しています。
供給量が少ない新築物件は地価+建築工事費の上昇により高止まりが続き、中古物件を求める方が増え続けています。
新築対中古の流通比率
そもそも、日本では新築物件を求める傾向が強く、アメリカでは新築住宅対中古住宅の流通比率は、概ね 15:85です。
一方、日本では最近増えてきましたが、それでも中古流通は20%前後という状況です。
具体的な数字を示せば、2018年の住宅土地統計調査では既存住宅流通数は160万戸、2013年は169万戸でしたので増加傾向にあります。
参考までに、近年の各国の中古住宅流通比率は、アメリカでは80~85%、イギリスでは85~90%、フランス65~70%となっており、日本が突出して少ないことが分かります。
不動産流通業=仲介業の役割とは何か
こうした状況の中で、最後に投資用マンションの仲介企業の役割について考えてみます。
一つ目は、物件情報提供者として、「適切な情報を収集すること」です。
中古物件のプロとして、売主にしか分からない事項についてきちんと開示することで、買主と売主の情報格差を少なくするサポートを行います。
このことは、業界全体の透明性を向上させ、適切な市場維持につながります。
(参考:いま導入が進められている不動産IDシステムが進めば、情報格差が改善される可能性があります)。
二つ目は、投資用マンションの専門家として、売主、買主、各立場に立って、売買のタイミングや物件選び、資産形成、税など適切なアドバイスを行うことが求められます。
最後に
買主、売主の方はこのような役割をきちんとしてくれる投資用マンション専門仲介会社を選べばいいでしょう。