※本記事の内容・数値は 時点の情報に基づいています。
フリッチクエストの社長ら逮捕!年利48%という高過ぎる利回り

今日は2月9日、朝10時頃に「とある投資会社が逮捕された」というニュースが出たので、取り上げてみようと思います。
以前からこの資産形成チャンネルでも何度か取り上げていた「フリッチクエスト」という会社がありまして、月利4%、年間48%の配当を出すと謳い、多くのお金を集めていた詐欺グループです。
昨年の2月頃から配当が止まっており、多くの問題となっていました。
被害者の方も非常に多く、このチャンネルにもたくさんの相談が寄せられていたんです。
そうした経緯もあって、今日はその振り返りとして「実際に何が起きたのか」「今後どうなるのか」を整理してお話しできればと思います。
被害者の方も非常に多く、私のメルマガにもたくさんの相談が寄せられていたんです。
フリッチクエスト事件の概要と経緯

このフリッチクエストという会社ですが、最終的な被害は200億円超。 被害者は20〜30代の男女が中心で、約3,300人と報じられています。
社長の森野さんを含め、従業員ら8人が逮捕されたとのことです。
容疑は詐欺の疑いということですが、実際のところ、ほぼ詐欺でしょう。
ただし「詐欺を立証できるかどうか」はこれからの裁判次第で、拘留・起訴を経て審理が始まるのですが、かなり長引くと思われます。
少なくとも1年はかかるでしょうし、弁護団がどこまで粘るかによって展開は変わってくるはずです。
そもそもどんな投資だったんですか?
月利4%、年間48%です。つまり2年で元本回収できる計算です。
普通に考えてありえないですよね。
当時、新宿のオフィスを借りていて、そこで「おもてなし会」と称したイベントを毎月開催していました。
その場で現金で配当を手渡すという、いかにも“やってます感”のある演出をしていたんです。
2021年頃、私のところにも内部情報がいくつか入ってきていて、営業成績なども把握していました。
たとえば2021年9月には、1ヶ月で17億円を集めていたという話もありました。
社員一人あたり月1,500万円がノルマだったそうで、それを達成すると固定給がプラス5万円、未達ならマイナス5万円。
達成できない月が続くと、最終的には給与ゼロでクビになるという、かなり異常な仕組みでした。
そんな運営ですから、「これは詐欺だろう」と当時から思っていました。
それでも多くの人が投資してしまったんですね。
そうなんです。 平均で600〜700万円を出していたといわれています。
でも、貯金があったわけではありません。
多くの人が消費者金融などから借り入れていました。
特に「500万円以上借り入れたら報酬として100万円支払う」といった、完全に詐欺的な誘導をしていたようです。
つまり、「お金を借りさせて投資させる」という構図。
そんな話をずっと聞いていたので、いつかは崩壊すると思っていました。
実際、2022年2月に配当がストップし、その後「分割で返済します」という名目で、20年分割の契約書にサインさせたんです。
しかし、その分割返済すらすぐに止まりました。
返済の意思を見せると詐欺での立件が難しくなる

当時からこの件は指摘していて、動画でも取り上げていました。「返済の意思を見せておくと、後で詐欺の立件が難しくなる」んですよね。
というのも、「もし本当に騙すつもりなら返済なんかしないでしょ?」という理屈が通ってしまうからです。
つまり、あの“分割返済”という動き自体が、最初から立件を避けるための布石だった可能性があります。
これは弁護士の入れ知恵なのか、森野さん自身が法律を勉強していたのかは分かりませんが、非常に悪質なやり方だと思います。
もともと代表の森野氏は、港区・西麻布の「グランドメゾン西麻布」という高級マンションの903号室に住んでいたそうです。
家賃は部屋によって30万円から200万円近く。
奥さんとお子さんと同居していましたが、事件発覚後すぐに引っ越しています。
逮捕時(今朝のニュース)では住所が「千代田区永田町2丁目」と報じられていました。
おそらく溜池山王の「プルデンシャルタワーレジデンス」や「ブランズ永田町」など、高級マンションのいずれかでしょう。
家賃50万〜100万円クラスの物件に、詐欺で集めたお金で暮らしていたと考えられます。
彼は現在38歳(2023年8月時点で39歳になる年)で、神奈川県出身、慶應義塾大学卒。
地頭も良く、世間的にはエリートタイプです。
そんな人物が、詐欺グループの首謀者になってしまったのは残念でなりません
従業員は最大で60名ほどいたようです。私は厚生労働省の「社会保険適用事業所検索システム」などで毎月チェックしていましたが、従業員数が徐々に減っていき、昨年11月頃には「0人」になっていました。その時点で「もう時間の問題だな」と思っていましたが、今年1月には警察が動き始め、そして2月9日に逮捕、という流れです。
ここまでが経緯と、会社や代表の概要になります。
投資詐欺の被害者の方にお金が戻る可能性はほとんどありません

そして、被害に遭われた方もこの記事をご覧になっていると思います。
少し厳しい現実かもしれませんが、今後の流れについてお伝えします。
裁判での“勝訴”というのは、あくまで「社会的制裁を加える」という意味合いであって、被害者の方々にお金が戻るかどうかは別問題です。
実際のところ、こういったケースではほとんど返ってきません。
なぜなら、集めたお金の多くはすでに使われているからです。
報道によると、無人島やクルーザーを購入したり、従業員への高額なボーナスなど、贅沢や人件費に消えていたそうです。
たとえば、500万円を集めてきたら、そのうち30万円が営業担当者のボーナスになる。
ノルマを達成すれば月給が5万円ずつ上がっていく――そんな仕組みだったと言われています。
中には年収1,300万円以上を稼いでいた従業員もいたようです。
代表の森野さんは、おそらく毎年数億円単位でお金を使っていたと思います。
ですから、今となっては資金はほとんど残っていないでしょう。
さらに海外経由で資金を逃している可能性も高く、仮に今回逮捕されても、数年後に出所した後、隠していたお金で悠々自適に暮らす――これが日本の法律の限界なんです。
つまり、逮捕されたとしても被害者の方にお金が戻ることは、まずありません。
非常に厳しい話ですが、正直なところ「諦めるしかない」というのが今の日本におけるポンジスキームの実態です。
投資詐欺被害に遭わないためには?

では、こうしたポンジスキームに騙されないためにはどうすればいいのか。
まず大切なのは、「儲け話に安易に乗らないこと」です。
少しでも金融の勉強をしていれば、月利4%・年利48%という数字がいかに非現実的かわかるはずです。
それに、現金で配当を渡すなんてありえないですよね。
どういう会計処理をしているのか、少し調べればすぐに不自然さに気づけたと思います。
投資先の企業を確認して、実態を精査する「デューデリジェンス」の基本を押さえていれば防げた可能性もありました。
過去にその具体的な調べ方を解説した記事もあるので、リンクを貼っておきます。
ぜひ参考にしてください。
投資を始める前に、まずは「企業の中身」を理解することが大切です。 決算書や登記簿、信用情報を読み解くことで、詐欺的な案件を見抜く目も養われます。 ここでは、初心者でも実践できる「企業分析・デューデリジェンス(DD)」の基本記事をまとめました。
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今回被害に遭われた方の中には、すでに自己破産や債務整理を検討されている方も多いです。
この1年でも、私のもとに多数の相談が寄せられました。
中には、本当に気の毒なほど生活が苦しくなっている方もいます。
私も何とかできないかと動いていた時期がありましたが、いざ事件化して逮捕まで進んだ今となっては、個人でどうこうできる問題ではありません。
もし加害者を探して直接動けば、逆にこちらが罪に問われてしまうこともあります。
このあとは法のもとで粛々と手続きが進むだけです。
高すぎる勉強代かもしれませんが、どうか前を向いて生きていってほしいと思います。
他人ができることには限界がありますが、それでも相談できる場所はあります。
金銭的な支援は難しいですが、何か力になれることがあれば相談には乗ります。
そして、これはフリッチクエストだけの話ではありません。
今後も同じような投資詐欺の会社が次々と逮捕されると思います。
都内で資産形成や金融商品を扱う会社を経営していると、こうした案件の情報が日々入ってくるんです。
実際、フリッチクエストの情報も2018年頃から入手していました。
内部の協力者から情報を得て、裏で調査を続けていたんです。
事件化して初めて公に話せるようになりましたが、実際にはまだ表に出ていない“危ない案件”がいくつもあります。
まとめ

YouTubeのような公の場では、名指しで批判することは名誉毀損になってしまうためできません。
しかし、情報自体は確実に存在します。
私はそうした情報を、クローズドな場――メルマガやLINEなど――で発信しています。
相談をいただいた方には、私自身が直接対応し、できる範囲で安全な情報提供をしています。
フリッチクエストの件も、以前から伏せ文字で「そろそろ危ないから抜けた方がいい」と注意喚起していました。

今も同様に、リアルタイムで“危険な投資案件”はいくつも動いています。
私は「正しい資産形成のやり方を広める」という活動をずっと続けています。
だからこそ、こういった極悪非道な詐欺師たちをこの世界から排除し、ゼロにしたいという思いで会社をやってきました。
投資や資産運用に対して「怖い」と感じる人が増えてしまうのは、本当に日本にとって損失だと思います。
本来、資産形成は生活を豊かにするための手段なのに、こうした事件のせいでその道を閉ざしてしまう人が増えてしまう。
だからこそ、もっと多くの人に正しい知識を身につけてほしいですし、こういった悲しい事件が少しでも減るよう願っています。
被害に遭われた方も、どうか気持ちを切り替えて前を向いて生きていってほしいと思います。
今はつらい時期かもしれませんが、必ず次につながる経験になると信じています。
一応、今回の件では逮捕まで至りましたが、まだ油断はできません。
今後の流れ次第では、20日ほどで拘留が切れて「不起訴」で釈放される可能性もあります。
どうなるかはまだわかりませんが、社会的な制裁は免れないでしょう。
ただ、繰り返しになりますが――被害者の方にお金が戻る可能性は、ほとんどありません。
すでに資金は使い切られているはずです。
その現実を踏まえたうえで、今後どう動くかを考えていく必要があります。
今後、新たな動きがあればまた続報として記事をアップしますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
それでは、ありがとうございました。