みんなで大家さん ゲートウェイ成田のオープンを延期


社長、前回みんなで大家さんの動画や記事を公開しましたが…
動画の再生数も伸びていて、反響もすごいですね。

結構、問い合わせもいただいていますよ。「こんな情報も知っていますよ!」など、色々な声をいただいています。

前回の記事の中で、ゲートウェイ成田プロジェクトの完成予定が「2025年オープン」から「2026年オープン」にしれっと変更されていたことをお伝えしました。


これに対するニュースリリースが公式ホームページに載っています。

“ともいき”というのは、親会社が共生バンクという会社なので、共生にかけてともいき日本ゲートウェイ成田でしょうね。
2023年5月19日に「近況報告をします」というリリースが上がってます。
そこにだらだらと色々なことが書いてあるんですね。

要約してお話します。
びっくりしたのが、新たに新規計画地 約50万㎡(東京ドーム10個分相当)を確保予定だと。
理由としては「円安を好機にフォローの風が吹く状況となっているため。この経済環境を積極的に捉えてさらなる確保する」と…よく分かりません…
「しかし、昨今のコロナ禍による経済の停滞、及びウクライナ紛争下における不安定な経済環境に鑑み、現在開発計画の変更を試みております。」と。

それが契約が伸びた要因でしょうか…?

「変更を試みております」と書きながら、ホームページのトップはもう1年半伸ばしていますけどね…

そこで「変更しました」という書き方なら分かりますが…

しかも「目標スケジュール」という言葉が書かれていたりしています。
最新のリリースは結構ブラッシュアップされていて、面白いですよ。

みんなで大家さん:ゲートウェイ成田の衝撃事実が届きました


しかし、ちゃんと完成しますかね?

あと数年で完成予定なので、ああいう商品があるんだと思いますが…?

衝撃の事実を知ってしまいましたので…
今回はそのお話をしようと思います。


先日ココザスのオフィスに突然分厚い封筒が届きました。

少し怖いですね。どんな書類だったんですか?

茶封筒の中に、行政のデータベース資料や、見たこともない書類が大量に入っていたんです。その送り主に事前に電話したところ、『顔出しで話してもいい』とおっしゃったので、今日お会いすることになりました。

なるほど。その方は元々建設関係のご出身で、『物理的にこのプロジェクトは難しいのでは』という視点をお持ちなんですね。

はい。実際に成田市の建設課とやり取りした証拠もお持ちで、それを共有してくださったんです。ならば現地で状況を確認し、ヒルトン成田の客室を借りて上から撮影しつつお話を伺おう、という流れになりました。

ゲートは一応開いています。掲示板には『令和5年8月までで一旦工事を止める』と書かれていますね。施工は丸京組と記載されています。


先の坂を上った所にも工事関係者が以前はいましたが、今日は見当たりません。一応、作業は続けているようですが…。

外周フェンスの内側では、調整池らしき掘削と排水路の整備が進んでいるようです。とはいえ広大な敷地のごく一部だけで、プロジェクト全体を考えると微々たるものですね。


この雑木林が数年内にすごい都市になると思えませんが…とはいえアクセスは悪くありません。成田インターを降りてすぐですから、立地だけ見れば魅力的です。

ヒルトンに着きましたね。チェックインして、部屋でじっくり話を伺いましょう。
動画で確認したい方はこちら
元建設技術者が語るゲートウェイ成田の工事が進まない理由

(1)元建設技術者Aさんにお越しいただきました

よろしくお願いします。

今回は、もともと面識がない中で、いきなり書類を送っていただいたわけなんですけれども、どうしてそのようなアクションをしてくださったのかという点からお伺いできますか?

こうした投資商品という切り口で色々コメントをされているわけですが、私は技術者ですので、技術者的な観点から『この開発事業はこういう事業です』ということをお伝えしたかっただけなんです。

ありがとうございます。事前に少し資料を拝見しましたが、まったく表に出ていないような、とんでもない内容がたくさんありますね。

はい、あります。一つひとつお答えしていければと思います。
(2)成田市公認のプロジェクト「みんなで大家さん」

まずは、この開発事業についてですが、事業者は共生バンクさんですが、成田市と共生バンクさんが二人三脚で進めている事業と言えるのですね。

はい。というのも、ここは調整区域内ですから、そもそも開発は規制されていてできないはずなんです。しかし、成田市がこうした街づくりを行いますと都市計画決定をしたんですね。

はい。

成田市が都市計画決定をしたので、その決定を受けて共生バンクさんが事業を担いますという形で開発許可が下りているんです。ですから、成田市と共生バンクさんが二人三脚で進めている事業と言えるわけです。

つまり、市が公認しているプロジェクトということですね。

そうです。

この『みんなで大家さん』のプロジェクトについて、私が何が問題だと感じているかと言いますと、不特定多数の方から資金を集めている点です。私が見た書類には、すでに1,438億円と記載されています。他にも詳細不明な資金があるので、実際には1,500〜2,000億円ほど集めているのではないかと見ています。そして彼らはさらに新しいファンド、例えば17号、18号と次々に300億円規模で募集を続けているわけです。

市はこれについてどう考えているのか、ずっと気になっていたんですが……

無関心ですね。

無関心ですか。
専門家直言|ゲートウェイ成田が抱える3つの物理的ハードル

※令和6年2月時点

これ、たくさんの資料があるわけですが、Aさんが知り得た情報で、特に重要だと思うものがあれば教えていただきたいです。この事業が実現する可能性についても、お伺いできますか?

この事業が実現する可能性は、極めて低いと思います。許可というのは『やります、できます』と表明して得るものですが、それを得た後、実際に実行できるかどうかは別問題です。ほとんどの部分が進んでいないのが現状です。
(1)インフラ未整備(水道・ガス・電気・通信ゼロ)


私たち素人目にも、半年ほど前と比べて多少変化があるとはいえ、かなり遅れていると感じますが、プロの目から見ても難しいですか?

はい、インフラが何もできていないからです。水道、ガス、電気、通信といったものは、道路が整備される段階で全て埋設されていなければなりません。しかし、これは1つも整備されていません。これは私の見解ではなく、共生バンクさんが千葉県知事に提出した報告書にそう記載されているんです。

つまり、報告書にインフラ整備が未了であると明記されているわけですね。

建築計画が具体化しない限り、もう2%から先には進みません。
技術者として断言できます。

もし進むとしたら…?

全体の設計計画が前に進んで、建築計画が具体化しないとダメなんですよ。特にここはホテルですよね?
ホテルが3棟、それと地場のホテルが200室ぐらいあると。ホテルというのはものすごく水を使うんです。
他の建物と違って、ここで4棟ホテルを作るとなると、300mmクラスの水道排水管、本管をここまで持ってこなきゃいけません。
これは市営の水道ですから、成田市が設計を依頼し、工事を発注するという仕組みになっています。

つまり事業者がやる工事じゃないってことですね。

そうです。
事業者が100%費用負担するのか、90%負担するのか、そういう協定を締結しない限り進まないんです。
成田市の公共工事なので当然入札になるのですが、そういう仕組みは全くできていません。

そもそも協議すらしていない?

はい、全くしていません。
だから今年中にできるなんてありえないんです。

水道が使えないということは、下水も当然出ますよね?

そうです。
でもここには下水道がないんです。
個別の合併浄化槽で処理するという形になっていて、45ヘクタールの土地の半分が浄化槽で埋まる理屈になります。
合併浄化槽なんて、田舎の個人住宅レベルのものです。
何百人、ぜいぜい何千人規模にしかなりません。

かなり建築に詳しい方の意見ですね。
私を含めて詳しくない人にとっては、そこまで想像が及びません。建築のプロの視点からして、完成があり得ないということですよね。

ありえません。建築計画が具体化しない限り、今の2%から進みません。
インフラ整備の基盤ができないからです。
(2)国道接続ルートが白紙:道路許可期限切れ問題

そして道路の整備も大きな問題です。現在、国道からこの敷地に直接入るルートがありません。交差点協議が行われた形跡はありますが、実行には至っておらず、道路の専用許可も既に期限が切れています。

ということは、もう一度、千葉県、成田市、千葉県警の三者で協議をやり直して、許可を再取得しなければならないということですね

そうです。しかも、交通事情も5年前と大きく変わっていて、空港の第3滑走路の建設などもあり、道路の設計自体が見直される必要があります。年間1,000万人来場を見込むという想定自体が、実現性に疑問が残ります。

なるほど。それほど大規模な集客施設を、この出入り口一本でまかなえるはずがないということですね。

はい。実際、事業者はすでにこの場所での開発はやめると明言しており、別の50ヘクタールの土地で事業を再計画していると報告しています。新たなファンドで資金調達も行っているようです。

ということは、ここは実質的には撤退、もしくは“逃げ切り”のような対応に見えるということですね。

そうです。11月1日現在の報告では、建設残土を埋め立てるための土壌調査をしているとされていますが、それは本来、ホテルなどの建設に伴って発生する土を使って整地するための準備だったはずです。つまり、建物を建てないなら、その土も出てこないはずなんです。

なるほど。それがないのに、埋め立てだけを進めるというのはおかしいですね。
(3)高さ制限86m vs. 20階ホテル計画の矛盾

はい。そして工事全体の進捗率は、2023年1月31日時点で1.7%。つまり、約2%しか進んでいないということです。建物の着工もされておらず、造成工事のみで止まっています。

計画では2025年末オープンの予定だったはずが、今は2029年まで延長されているというのはどういうことですか?

提出されたスケジュールでは2029年が建物完成の予定になっています。ショッピングモールや温泉施設の計画は白紙状態になっており、詳細な工程も提示されていません。

ということは、ホテルの建設やショッピングモール、温泉といった計画は全て凍結、もしくは撤回されている可能性があるのですね。

そう見てよいでしょう。さらに、建設予定のホテルは20階建てで1,000室以上あるという設計ですが、この場所は航空法により建物の高さ制限が86mに設定されており、それを考慮すると極めて難しい構想です。

そして、施工業者も名古屋市の石田組から、現在は静岡の丸京組というあまり聞かない業者に変わっているという点も、プロジェクトの規模に対して不自然ですね。

はい。さらに根本的な問題として、土地の所有構造が複雑で、成田空港株式会社が点在的に所有している状況では、プロジェクトを一括でまとめて進めることは非常に困難です。
土地所有者マップ公開|585筆中264筆が成田空港株式会社だった衝撃

驚きなのは、この計画地全体が585筆の土地で構成されているということです。注目すべきなのは、そのうち264筆を成田空港株式会社――つまり旧空港公団で、国が100%出資している会社――が所有しているという点です。

今、さらっとおっしゃいましたが、それは非常に衝撃的な事実ですね。投資されている方々は、この土地がすべて共生バンクさん、あるいはそのグループ会社によってすでに取得済みで、そこに工事を進めているという説明を受けていると思います。しかし、実際には半分近くが成田空港株式会社の所有なのですね?

はい、その通りです。これは1平米単位で公開されています。私も開示請求で土地所有者一覧を取得して初めて知ったのですが、正確に言えば、585筆中264筆が成田空港株式会社、87筆が成田市、地元企業が18筆、そして事業者グループが216筆所有しています。


つまり、共生バンクグループは全体のうち216筆を保有し、その一部をファンド商品として提供しているわけですね。

はい。ですが、現地では様々な工事が始まっている一方で、様々な所有者の土地が入り混じって点在しています。

成田市や地元企業の土地については問題ないのですか?

そこは大丈夫です。土地の交換協議が成田市などと整っており、共生バンクさんが先にインフラ整備を行い、その後に土地を成田市に移管するという形で進められています。

問題は、成田空港株式会社が持っている土地ですね。これは国のお金、つまり税金で取得された土地ですよね?

そうです。空港株式会社が所有している土地は、国費、つまり我々の税金で買われたものです。それがこの事業地の中に点在しているということです。

なぜそうなっているのですか?

これは『騒特法』という、成田空港特有の法律に関係しています。これは航空機の騒音が健康被害を与えるとして、特別地区に指定された地域です。この区域には人が住めないため、住民は国の補償により移転し、空港会社が土地を取得したという経緯があります。

つまり、空港株式会社が空港機能のために土地を取得した結果、その土地が今の事業区域に含まれているということですか?

はい。ただし、空港株式会社は“空港のために必要な土地”しか取得できないはずです。ところが、この264筆が広範囲に点在しており、空港業務とは直接関係のない開発事業に関与しているように見えるのは大きな問題です。

成田市と共生バンクグループが2人3脚で動いているのは理解できましたが、成田空港株式会社はどう関わっているのでしょうか?

おそらく、成田市が『こういう街づくりをします』という構想を持ちかけ、協力を求めた結果、空港株式会社も土地の貸与や同意という形で関与していったのだと思います。行政が動かないと、こうした流れにはなりませんから。

これは本当に衝撃的な事実ですね。土地の所有構造が明らかにされないまま、資金募集が進められているというのは大きな問題です。

空港株式会社がこうした形で民間事業に土地を貸すこと自体、本来なら問題視されるべきですし、国土交通省がどこまで把握しているのかというところまで問われる話だと思います。

なるほど。
そして、2つ目の宿題は商品として販売した土地の話でしたよね?

はい。
空港会社の他に約半分を持っている土地のうち、すでに1号から18号までで86区画を販売しています。
構図に地図があり、それを全部落として把握しました。
ファンドナンバーでいくと、1号から18号までで約80%が売却済みです。


ということは、残りは14%くらい?

そうですね。
私の読みでは、あと1〜2回ぐらいは商品化して資金を集める可能性がありますが、それを完遂する前に逃げてしまうんじゃないかと思っています。

1号あたり300億くらい集めているんですか?

はい、それぐらいだと思います。


今手元にあるこのマップ、Aさんが作ったんですか?

はい。
水色の部分は空港会社が持っている土地です。
販売しているのは白抜きの部分です。
すでに売った土地は赤で示しています。

成田空港の土地は含まれてないんですよね?

さすがにしていませんでした。

この白いところが販売可能な土地で、赤がすでに売れた部分。
ファンド番号も書かれていて、非常に分かりやすいですね。
売却済みの土地には公園や調整池になる土地も含まれている….


例えば17号や14号ファンドでは、成田市の公園になる土地や調整池になる土地も含まれています。
つまり、最終的には市に帰属する土地です。
そこから賃料収入が発生するはずがありません。


でもそれを知らずに投資した方がいるんですね。

そうです。
100%賃料収入が見込めると思って投資している方がいますが、実態としてはそうなるはずがありません。



このマップすごいですね。
ジグソーパズルみたいに完璧に色分けされていて。

はい、細かい情報まで全部拾ってまとめました。
全部で86区画、今は約15%しか残っていません。


つまり、共生バンクの事業はほぼ全貌が明らかになったということですね。

はい。
私としては丸裸にしたつもりです。
細かいところまで全て把握しています。
造成50億・建築1,500億“甘すぎる”見積もりを検証
(1)普通ではあり得ない資金計画

私は市役所に対して、これはおかしいのではないかと『行政手続法』に基づいて意見の申し立てを行っています。

どのような点に問題を感じられたのでしょうか?

一番最初に違和感を持ったのは資金計画です。技術面以前の問題です。こうした大規模な開発を行う際には、私も3,000件を超える許認可を取ってきましたが、必ず『事業資金計画書』を許可申請書に添付する必要があります。その事業計画書には工事の見積書と、事業者さんの残高証明か融資証明をつけて、この事業の資金力の確認と信用の確認を行政が行います。

それは…残高証明がキャッシュであらかじめ持っているのであればそのまま通りますし、少ししかない場合はファイナンスを出してもらえるという銀行からの約束がないと初められないということですよね?

そうです。それが通ったというのが信じられなくて…当時ちゃんとあったのかどうかを開示請求したのですが、ついに取れました。
出せない理由はないということで、役所との交渉を頑張ったんです。

千葉県との交渉ですか?

そうです。
千葉県が開示してくれました。

資金計画というのは、残高証明と貸付で事業者さんの資金力と信用を審査するんです。それが、出資金という形になっていたんです

つまり資本金に出資を募って、そのお金でやると


そうです。
出資金は2種類あって、1つ目は造成工事用、2つ目は建築工事用です。

造成工事は50億円前後と。

はい。
そして建築工事は1,000億〜1,500億円くらいになると思います。

出資金で計画が通ることってあるんですか?

私も初めて見ました。
普通ではありえないです。
出資金というのは、言い換えると事業者さんに資金力がないという証明みたいなものなんです。

つまり、外部から出資を募って資金を賄うということですもんね。

そうです。
そして、その1の出資については、中国企業、具体的には香港の会社が出資しますという資金計画書になっています。


裏付けとして、残高証明のような書類もあったと。

はい。
中国語の残高証明のような書類も提出されていて、2018年7月11日付で、約50億円程度の資金があるという内容でした。


これが提出されて計画が通ったということですね。

そうです。
この書類に「日本ゲートウェイ成田に関するプロジェクト資金として出資します」と記載されていました。


では、出資金1の段階はこれで通ったと。
出資金2、建築工事の方はどうなっていますか?

こちらはさらに驚きました。
なんと「みんなで大家さん」の名前が出てきたんです。


…

要するに、建築工事にかかる資金を投資商品として集めるという内容を行政が承認したということです
「みんなで大家さん販売」や都市綜研インベストファンドの名前が資金計画書に明記されています。

これが開示されたというのはすごいですね。

はい。
しかも大阪主局管轄の印鑑証明書まで付いていました。
これらすべてが提出された書類であり、公文書です。


もう不動産特定共同事業法って、こういう仕組みですよという、よく皆さん見たことがある資料で資金を集めますよと、行政に説明しているんですね。


え、じゃあ今って計画通りに進んでいるということですか?

はい、そうなんです。
つまり、計画通り進んでいるという説明になってしまうんです。

驚いたのが、「みんなで大家さんファーム」って、おそらく野菜などを育てていた農場のことだと思うんですが、そこでの事業説明や実績説明が載っていたことです。
まさに「みんなで大家さん」という商品名が書かれていて、過去の販売実績表も何億円と記載されていました。
さらに、今後の販売見込みまで記載されています。


はい。
2018年から2027年まで、各年度の販売金額が記載されていて、たとえば2024年度で何百億、という風に出ているんです。

つまり、最初に許可を得る際に、この範囲内であれば大丈夫という形で通していたと。

そうです。
ただ、矛盾するのは、こうした集め方は建設資金として説明されているのに、実際には建設に使われていないという点です。
(2)17〜18号ファンドで新たに集めた300億円はどこへ消えた?

造成工事の50億円は香港企業の出資で賄っているはずですが、どう見てもまだ使い切っていないはずですよね?

どう見ても建築が1つもないので、1円も使っていません。
ですから、2018年から2023年までの時点ですでに2000億円近く集めているのに、使う必要がなかったということになります。

建設工事に1円も使っていないというのは衝撃的です。

はい。
これは事件の一歩手前と言っていいのではないでしょうか。

この情報は千葉県から取り寄せた公的な書類ですよね?

はい。
原本も持ってきています。
赤い判が押されたファイルに入っています。

これを取得するには、どんな経緯があったんですか?

千葉県では以前、別件で不開示はダメだという審査請求をされて取り消しの採決があって、その時の経験を持っているからこそ、「これくらいは出さないといけません」と言って請求したんです。

普通に窓口で請求しても断られる可能性がある内容ですよね?

そうですね。
開示文章なので形式的には出さないといけないんですが、都合の悪いものはなるべく出したくないのが実情でしょう。
でも、出せと言えば出るんです。

それで取得できたのが今回の書類ということですね。

はい。
実際、行政もすでにこういった内容を持っているはずなので、早い段階でおかしいと気づくべきだったと思います。

前回も、「なぜこんな計画が通って進んでいるのか」と話していましたが、今回の書類には工事の見積もりまで入っていましたね。

そうなんです。
造成工事の50億、建築工事の1500億、それぞれこの程度の金額で支払うという見積もりが含まれていました。

でも、それにしては見積もりが簡易すぎませんか?
数十億、数百億の工事なのに、たった数枚の見積もり書で?

その通りです。
一式何億、一式何十億といった内容で、とても適当な見積もり書です。


しかも、建築の方の見積もりが特に問題ですね。
ホテル1棟につきいくら、という形で、黒塗りされてはいますが、おおよその内容は把握できます。



はい。
ホテル、ショッピングモール、イベントスペースなどが一覧になっていて、総額1500億で、それぞれ250億ずつくらいに分配されているような内容です。

これで計画が通ったというのは驚きです。

私も驚きました。ザルすぎます。
しかも1500億をこれから集めますと書かれており、一般消費者から資金を集めるという内容です。

しかも、もうすでに18号までで2000億近く集めているという状況なんですよね?

そうです。
計画と実際が食い違っているのに、行政が何も言わないのはおかしいと思います。

私が行政側だったら、もっと早いタイミングで何かしら言っていたと思います。

行政は、言おうと思えばいろんな理屈をつけて言えるはずです。
いろんな権限を持っているのですから。

何か言えない事情があるのかもしれませんね。

最初に言ったように、行政が深みにハマってしまっているのかもしれませんね。

そうですね。
これが事件化した場合に行政の責任が問われる可能性があるというのは、まさにこういうところにあると思います。この書類では「不動産特定共同事業法で集めます」と明記されています。

逆に言うと、事業者さんは計画通りに進めているように見せているが、実際には建築工事のために集めているお金が使われていない。
最初の説明と明らかに違いますね。


はい。
造成工事は数十億で済むはずなのに、実際にはそれを大きく超える資金が集められています。

香港企業からの出資も資本金には反映されていないようですね。
資金が流れてしまった可能性もあります。

そうですね。
工事を始める必要があったため、初期のファンドで資金を集めて、それを造成費に充てたのではないかと思います。

投資家に対しては細かく説明されていないため、形式的には契約違反ではないのかもしれませんが、実態としては問題が大きいですね。

賃料の原資も不明で、実際にはグループ内で資金を回しているだけのように見えます。

このままでは、常識的に考えても容認できない状況ですよね。

はい。
この仕組みが許されるなら、どんな事業者でも数千億を個人から集めて、建築許可が出ていない状態で資金を保持することができてしまいます。

計画通り進んでいると言っても、不要な資金を早々に集めてしまっているのは問題です。

そうです。
造成工事しか進んでいないのに、1000億円以上の資金が手元にある状態です。
そこに対して毎年7%の配当が出ている。

建築が始まっていない状態で、資金を集めて金利のようなものを払い続けるのは不自然ですね。

結局、今の2%の進捗から先には進まないでしょう。
仮に進めたくても、もう打つ手がないと思います。

でも、すでに許可が出ていて、資料もすべて揃っている。
マップを見る限り、空港会社の土地は外しているので違法性はないということになりますね。

そうです。
もし空港会社の土地を勝手に売っていたら大問題ですが、そういうことはしていません。

このファンドでの資金集めも、平成30年(2018年)から2028年までの計画が書かれていましたね。

その部分だけは、まさに予定通り進んでいます。

でも、内容を見ると、非常に適当な資金計画書ですよね。

はい。
実現可能性が不明な段階で、数千億円を集めるという内容がよく通ったと思います。


どうして通ったのか。
行政の中の誰かが関与していたのかもしれませんが、それはわかりませんね。

はい。
分かりませんが、何らかの方法でこの計画が通ったことは事実です。
そして、資金集めは順調に進んでしまっています。
行政が間違いを認められない理由

こういうのは本来、行政自身が間違っていたと認めればよいのですが、行政というのは一旦決定したことを簡単には取り消さないですよね。
だから、どういう言い訳をしてくるのかが非常に楽しみなんです。

なるほど、では今はそれを待っている段階ということですか?

そうですね。
これは成田市が正式に受理していますから、受理した以上、法的な義務が生じているんです。
成田市はもう、これをうやむやにすることはできません。

この申し出は市長に名指しで送っているわけですよね?

もちろんです。
市長は私の存在も知っています。

なんでここまで無理のある計画が進んでしまっているのか、私も正直、賄賂的なことがあるのかな、とか思ってしまいます。
そうでもないと、もうこの時点で何千億も集めていて、現状がこれって、普通ありえないですよ。

本来であれば、成田市の市議会議員の誰かが手を挙げて問題提起すべき案件ですよ。

ということは、最終的に一番力を持っている市長が問題ないと言っている、あるいは言わせているという状況の可能性があると。

そう考えるのが自然です。
実際、都市計画決定の権限者は成田市長です。
成田市が都市計画を決定したからこそ、開発許可も農地転用の許可も出たわけです。

この許可の問題について、成田市だけでなく、千葉県知事にも申し出を出されていますよね?

はい。
千葉県知事宛の申し出は、農地法違反に関する調査です。
空港株式会社がこの中で60数筆の農地を所有しているんですよ。
空港を作るためなら農地法の許可がなくても取得できますが、それを共生バンクさんに貸し付けたことで、空港目的ではなくなってしまったわけです。
これが農地法違反になる可能性があると。

その申し出に対する返答などはまだないんですか?

今のところ、両方とも困っていると思います。
私が挙げた指摘に対して違うと言える理由が何もないですから。

行政は、こういう時は回答を引き延ばす傾向があると?

そうです。
1年経っても2年経っても回答を出さない。
最終的には、言っていた人も高齢で亡くなってしまったと、うやむやにされるんです。

Aさんがここまで動いているのは、正義感からなんですか?

私もこの分野に50年近く携わってきましたからね。
これは許せないんですよ。
自分のやってきた仕事を否定されるような感覚なんです。

今後も、新たな情報が出てくる可能性は十分あるということですね。

そうです。
まだまだ調査は続いていますから。
専門家コメント|元建設技術者&資産形成プロが総括

今後どうなると思いますか?

事業は進まず、資金集めもほぼ終わっているので、後は逃げるだけという可能性が高いです。

今の状況を見ても、進捗報告を1年後にする際には、同じ内容では通らない気がします。

そうですね。
行政も言おうと思えばいろいろ言えますが、許可を出した以上、自らの責任になるので何も言わない可能性もあります。

これは非常にまずい状況ですね。

はい。
どうにもできないという状況になってしまっているかもしれません。

結局、投資した方々がすべての責任を負うことになってしまう可能性が高いと。

そうです。
最悪のケースです。

契約書などにもリスクは明記されていたとしても、これはあまりにもひどい展開です。

私も、最悪の事態が近づいていると感じています。

これは社会問題になり得ますね。

はい。
そして、もうできることは限られています。
ただ、私はすでにこの書類を然るべきところに届けています。

提出済みなんですね?

はい。
どことは言いませんが、必要であれば公表することも検討します。

ありがとうございます。
これまで成田プロジェクトについては一切メディアに取り上げられることもなく、行政も動いていませんでしたが、2024年は何か動きがあるかもしれませんね。

建築のプロとして、この実態をどうしても把握しておきたかったんです。

今回出てきた資金証明の部分が、やはり一番おかしいと。

はい。
事業主の作戦通りに行政が操られてしまった形です。

もう被害しか残らないということですね。

そうです。
そして、このプロジェクトは2%より先には進みません。

仮に事業主がこれを見ているとして、「進めてみろ」と言いたいです。

でも実際には「先が見えません」と事業主自身が書類で書いています。
それが全てです。

今回も非常に濃い内容でした。
編集は弊社チームで行いますので、必要に応じて使わせていただきます。

もちろんです。
私の方も、これは趣味のようなものなので大丈夫です。

もはやプロの仕事ですね。
いつも本当にありがとうございます。
打ち上げで成田あたりで飲みに行けたらと思いますので、また情報共有をお願いします。

はい、ありがとうございます。

Aさんからいろいろとお話を伺いました。

今回、どうでしたか?

正直、疲れました。

本当ですね。
カメラの後ろでどういう気持ちで聞いたらいいのか、いろんな感情が湧いてきました。

そうなんです。
「みんなで大家さん」という商品は面白い仕組みだと思って、調べ始めたのがきっかけでした。このシリーズはここで終わりですが、他にも似たような案件があればこの記事やチャンネルで取り上げていきます。それではまた!