社員権と社債はどっちがオススメ?
視聴者の方から質問をいただきました。
あまり変わらない利回りだったとしたら「社員権」と「社債」はどちらがオススメですか?
資産形成チャンネルでも、過去色な話しをしていますが…
社員権は詐欺に使われやすいという話もあり、社債の方がいいのでしょうか?
前提によって変わる、以上です。
質問者さまへの回答はそれでも良いかもしれませんが…
「社債って何?」「社員権って何?」と言う方もいらっしゃると思うので、詳しく伺いたいです。
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社員権ってナニ?
「社員権」という言葉は、あまり聞きなれない言葉だと思います。
過去の動画や記事を見ていただいてる方は「社員権」というネーミングを何度か聞いていると思いますが…
細川さんが言うような
「合同会社の社員権スキーム」は、かなり投資詐欺で使われがちです。
ずっと裁判をやっているエクシア合同会社などが社員権の発行をして、お金を何百億円と集めていました。
そして、それをFXで運用します。
利益が出ると社員権の評価額が上がっていくというようなやり方で、かなり多くの被害者を出したわけです。
社員権というのは、まさに社員です。
正社員の社員、社員になる権利です。
しかし、それは入社をするとかそういう話ではなく…
合同会社における社員は「出資者」のことです。
なので株式会社でいう投資家のことですね。
「株式を持つ」と同じ意味でいいんですか?
そういうことになります。
ただ会社法上、合同会社と株式会社というのはあらゆるルールが異なります。
合同会社の場合、例えば不特定多数から500万円ずつ出資をしていただく。
それはつまり社員になってもらうっていうわけですが…
議決権をあまり与えないのです。
つまり会社の経営には口出しをさせないなど、こういうことが容易にできてしまいます。
株式会社の場合も、もちろん同じことがあります。
種類株と言いますが、A種類株・B種類株など…
アメリカのスタートアップから大きくなったGoogleやFacebookは種類株を発行しまくっていますよね。
そうするとお金は入れてもらうのですが、議決権割合はすごく低くさせる。
何も株主さんは言えないのですね…
法的に決定権がないのです。
ということを本当に自由にできてしまうのが合同会社なので、自由ですよね。
かなり悪用しやすいというのが社員権です。
社債ってナニ?
対して社債は何なのか?
社債というのは企業が発行する債券のことです。
社員権や株式での調達との大きな違いは、社債は銀行からの借り入れみたいなものなんですね。
なので、社債と言ったら楽天!というぐらい楽天グループが多くの社債を発行していますが…
3年の社債で年間12%とすごい高金利の社債を発行していますよね?
あれは3年後に返すという約束なのです。
借りている感覚ですね。
社債は返しますが、社員権は返らない可能性がある。
ここに大きな違いがあります。
それも出資と借入れの違いですか?
大きな違いですね。
2つの大きな違いとは
返す・返さないという義務があるということですが…
他に大きな違いはありますか?
どちらに投資をしようか?と悩んでいる方からすると重要視しなければいけないのは、税金の問題だと思います。
どのような税制なのか?と言うと…
社債に関しては、いわゆる源泉分離課税と呼ばれる、約20%です。(ここだけ覚えてください)
約20%が引かれて払われるので…
「10%の社債です」ということであれば、2%引かれて8%分がクーポンなどと言いますが。利払いとして払われるのです。
社員権の場合はどうなるのか?と言うと…
非上場企業からの配当という扱いです。
配当所得みたいなものですか?
配当所得も正直モノによります。
ただ年間10万円以下の配当だと不要になることもあります。
「税金のことなので税務所に聞いてくださいね」という話なのですが…
それを超えてくるような配当に関しては総合課税になり、確定申告をしなければならない。
総合課税というのは最近流行ってる不動産クラウドファンディングの雑所得と一緒です。
マックス50%超えてくるので…
御自身の御年収、つまり本業収入がどれぐらいなのか?によってもどっちが税制メリットがあるのか変わるわけ。
なので「前提によって違う」という回答になります。
社債を返さなくていいケースもある
税金がかからないなどと聞くと社債の方がいいのかなと思ったりしますが…
社債で取り組む方が危なくないということですか?
社債は企業側からすると返さなければいけないのですが…
唯一免責される場合があります。
つまり返さなくても良くなるケースですね。
それは、会社が潰れて会社法上の破産をした場合です。
そうすると全ての債務がなくなります。
なので、
それこそ資産形成チャンネルでも取り上げた、グランシールドなど…
マウスピースの会社ですね?
あれはそうですよね。
20%くらいだったかと思いますが、高金利で社債を集めていました。
しかし、結局破産してしまいましたよね。
お金がなくなったら返ってきませんからね…
返す義務は会社としてあるけど…
法人格は破産すると個人でいう死亡と一緒で、人格がなくなるわけですよ。
その代表者さんにずっと責任があるなど…
そういうわけでもないのですか?
そこは契約内容が代表者個人が連帯保障しているのであれば、法人格と全く同じ条件で個人格が責任を追います。
しかし法人が破産したら大体個人も破産します。
銀行さんからの借り入れは個人に来ますから、無理なんですよ。
そうなると「破産しなさい」ということで全部なくなります。
潰れてしまったら戻ってこない。
これは社債でも、社員権でも全く一緒です。
となるとソフトバンクや楽天のような…
大きな会社の社債であれば安心ということでしょうか?
安心だと思います。
ただ全てリスク・リターンのバランスです。
ソフトバンクが発行してるフォークスボンドも昔ソフトバンクの財務状況が悪かった時は5%以上の高金利でないとお金が集まりませんでした。
しかし、今ソフトバンクの携帯モバイルの部分はものすごく安定企業なので…
1%も出さなくていいわけです。
しかし、一般の個人投資家は、さまざまな投資先の選択肢がある中で、どこに資金を投入すべきかという問題に直面します。
そのため、企業としては、あらゆる選択肢を検討しながら…
例えば1.3%程度で社債を発行するかどうかを考えることになります。
その結果として、リスクが少なければ当然リターンも少ないという原則が働くことになりますよね。
例えば、もし知らない会社が高利回りの社債を発行していたとして…
社長なら、それに投資しないのですか?
それはケースバイケースですね。
リスクは大きそうですが、20%のリターンというのは非常に魅力的です。
「この20%を手に入れたい」と思う場合、リスクとリターンのバランスを考慮して判断します。
その会社がどのような事業を行っているのかを調査して…
その事業が成功する可能性なども評価しなければいけませんよね?
その通りです。
また、リファイナンスが可能かどうかも重要な要素です。
例えば、自分が社債に投資する。
つまり社債を購入する場合、2年物の社債であれば、2年後にその企業が次の資金を調達できる見込みがあれば、自分の投資したお金は返ってきます。
つまり、自分がその社債を他の誰かに売却できる。
言い換えれば「ババを引かない」という自信が持てるなら、投資します。
ですから、
そういう意味で、楽天グループはまだ成長の余地があると考えています。
安藤ならどっちを発行する?
社長は現在、経営者という立場にありますよね?
社員権や社債は、合同会社か株式会社かによって異なると思いますが…
社長が新しい会社を立ち上げて「資金調達を行いたい」と考えた場合、経営者としては社員権と社債のどちらを選びますか?
まず、社員権というのは合同会社でしか使えない仕組みです。
会社を設立する場合、私は株式会社を選ぶと思います。
「株式会社とは」「合同会社とは」「有限会社とは」「合資会社とは」といった話を始めると混乱してしまうかもしれませんが…
非常に簡単に言うと、これから会社を作る際に、
15万円程度に抑えたい場合は合同会社で良いとされています。
ただ、取引先との関係を考えると、合同会社の名刺を出すよりも、株式会社の名刺を出した方が良いのです。
というのも「なぜ合同会社にしたのか?」という疑問が生じるからです。
そのため、私は株式会社を設立します。
そして、資金を社債で集めるのか?それとも株式で調達するのか?
つまり自分が持っている株を希薄化して外部からの資金を受け入れるのか?という選択が必要です。
正直なところ、これもケースバイケースです。
都度、最善の方法を考えることになりますので、非常に難しい質問です。
ただ、個人的には社債の方が気が楽ですね。
それはなぜですか?
返済しなければならないので、むしろ責任やプレッシャーがあるのかと思ったのですが…
逆に、そのプレッシャーがある程度明確で、契約によって取り決められている方が良いのです。
返済しなくてよい資金を受け入れることほど重いものはありません。
真剣に経営していく上では、何年で返済しなければならないという明確な目標があり、それに向けて努力する方が、良い緊張感を持って経営できます。
返済不要の資金を株式で調達し、失敗しても責任を負わないという状況は、緊張感に欠けると思います。
また、他人の資金を投入している時点で、
結局のところ、それは他人の資金だからです。
しかし、現在の若い企業では、ベンチャーキャピタルから何億円、何十億円もの資金を受け入れているにもかかわらず、社長が年収1,000万円以上を取り、タワーマンションに住んでいるケースも多く見受けられます。
私はそのような考え方には賛同できません。
だからこそ、返済のプレッシャーを感じながら経営していきます。
もちろん、これは前提によって異なります。
小規模なビジネスであればそれで良いかもしれませんが…
イーロン・マスクのようにスペースシャトルを作って「月に行く」「地球の周りに衛星を飛ばす」といった事業を行う場合、社債で資金を集めるのは現実的ではありません。
小さな会社が発行できる社債は、一般的には少人数私募債と呼ばれ、49名以下にしか声をかけられず、合計額も1億円程度に限られます。
しかし、楽天のような大企業であれば2,000億円を集めることができます。
銀行や証券会社、さまざまなアドバイザーがバックアップし、公募が可能になりますが…
ココザスのような小さな会社は私募しかできないため、
ココザスにも社債がある?
社債はココザスでもやっていたりしましたものね?
一部、社債発行もやっていますよ。
お客様の中で「ココザスのことを応援したい!」と縁故関係や繋がりがある方、深い方に対して…
本当にうちの事業や会社経営を応援していただくという目的で、少しのお金を預かっています。
長い期間預かりたくはないので、定期的に利払いをして元金もしっかり返していく。
でもうちとしてはブリッジローンと言いますが…
一時的に2億円の商品仕入れをしなきゃいけない時などが来るので。
その時のためにお金を使わなかったとしても蓄えておくことには非常に意味があることなんです。
心の安定につながるわけです。
そういう意味で、1億円はいきませんが社債の発行をすることはがたまにあったりします。
社員権も合同会社も持っていて、一時発行したこととかがありますが…
こういうプロジェクトをやると「それが終わったら解散ね」と。
SPCと言いますが、特定の目的を持ってプロジェクトのためにファイナンスの箱を作る。
そこで事業をやって利益を分配して解散。
こういう観点であれば合同会社もいいと思うのです。
しかし、運転資金みたいな名目で人様から社員権でお金集めるというのは…
印象も良くないのでやるべきじゃないと思いますね。
なぜ詐欺に社員権が使われやすいのか
詐欺に社員権がよく使われるという話がありましたが…
何か特別な理由があるのでしょうか?
社債は返済義務がありますが、社員権は返済しなくてもよいので、手続きが簡単です。
同じようなことをやるなら、株式会社を設立して株主から資金を集める方法と変わりありません。
事業がうまくいかなかった場合には終了することができるのですが、簡単に資金を集めやすいのです。
合同会社を設立する方がコストもかからず、資金も集まりやすいということですね。
その通りです。
それに、書類のやり取りも簡単です。
株式会社の場合は、株式譲渡契約書や株主名簿を作成し、株主総会を定期的に開いて株主の合意を取る必要があります。
合同会社では代表社員と呼ばれる代表出資者が全ての決定を行うことができるため、悪用されやすく、法の抜け穴になっているのです。
とはいえ、社債も社員権も、時と場合、会社によって悪用される可能性があるので…
やはり全てをしっかり調べる必要がありますね。
騙す人は騙しますし、騙さない人は騙しません。
例えば、私はこれまで一度も人を騙そうと思ったことがありません。
「社債で騙そう」「社員権で騙そう」と考えたことはありません。
そもそも、騙すつもりはないのです。
今回の質問も、「社員権だから危ない」「社債だから危ない」という話ではないということですか?
そうですね。
そもそも「どのような投資なのか」という点が重要です。
一番言えることは、資金がないから「お金を集めたい」と言っている人に投資するのはリスクがあるということです。
ただ、どういう目的で資金を使うのか?
そして1年後、2年後、3年後になぜ返済できるのかを見極めることが大切です。
例えば、楽天グループのように将来が見える企業であれば、社債を購入すれば良いのです。
しかし、資金調達が難しそうだと思ったら、
シンプルな話です。
資産形成チャンネルでもよく言っていますが「応援したい会社なのか、どういう会社なのか」をしっかり自分で判断することが大切ですね。
それが大前提です。
好きでもない会社を応援しても、気持ちに付け入れられて失敗する可能性が高まると思います。
オススメの投資先
もう一つあるのは…
投資をする時は契約がどうなっているのか?をかなりチェックするべきだと思います。
もし運営元が破綻した時、「最悪のケースどうなるの?」ということですね。
「破綻」だと最悪ですよね…
そうなるともうゼロになっちゃいますよね?
社債も社員権も結局ゼロなのです。 なので、私が好きなのはやっぱり実物投資なんです。
・価格が上がるかもしれない
この場合、家の金庫の中に入っているロレックスはロレックスのまま置いてあるわけです。
ゼロにはなりませんよね?
「最悪ゼロではない」ということですよね?
仮に私が100万円のロレックスを買いました。
5年後に50万円まで価値が落ちて、マーケットプライスが落ちてます。
でも僕はうまいことを言って、細川さんに「これは限定品です」「このロレックスはシリアルナンバーが入ってるので、日本に1本しかないんだ」などと適当なことを言って、150万円で売ることができるわけです。
僕はちゃんと勉強しているので、騙されませんよ!
騙しではなく「150万円なんだよ!」と言って、腕を掴んで強制的にサインさせればいいわけです。
そうしたら150万円で売れるよってことです。
それは物があるからということですか?
物があるから、相対の取引なので合意すればいいのです。
その方が本当に「それぐらい出したい」という気持ちがあれば…
不動産もそうです。
不動産は強引に判子を押させたりはしませんが「2,000万円で買いたい」という人がいたら2,000万円なのです。
投資というのはババ抜き的な部分があります。
チキンレースみたいな部分があって…
価格が上がっていって1番高値で買った人が損するわけです。
全てのモノがそうです。
現物投資はそれができるので「現物の方がいいよ」と言いたい。
自分が0円にならないで済むのですから。
そこももちろん現物でもいいですし、一部金融商品など。
ゼロになるリスクももちろんありますが、社債や社員権でいいものがあればそこにも投資をするということですね。
そこのバランスですよ。
所有権を持てるかどうか?はやはり大事です。
なので、私は基本的に実物をしっかりやっています。
この前の資産運用EXPOでも、何か面白い投資ないかなと思ってワインを買いましたよ…!
ワインは上がるのです。
物があるから、最悪美味しくみんなで飲みましょうよ!
それは…飲んだら0になりますよ…?
お金的にはそうですが、100万円分の幸福を味わえるわけです。
こういうことが大事なのです。
もっと言うと飲まずに我慢して、ちゃんとそのワインをオークションで売ってもいいのです。
ということができればゼロにはなりません。
だから実物はいいのです。
金融商品は一部にしてください。
公に認められている物、誰かとの別の契約など、金の貸し借りなど
だって詐欺話はそういうものばかりです。
本来、皆さん騙されないはずなのです。
実物投資を多めにする。
権利が守られている上場株など、日本の金融庁が認めている商品を少し入れる。
中小企業が発行してる社債など、そういうのは利回りがいいです。
でもそれは少しにする。
このように分散をしていくことが大事という話でした。
今回は「社員権と社債」をテーマにお届けしました。
ありがとうございました。