利回りに関する用語
不動産投資において、「利回り」は「投資の判断基準」として、重要な視点です。
利回りの計算方法は色々とあります。
そのため、その利回りが「どのように算出されたものか」が分からないと、「基準」つまりモノサシとして、役に立ちません。
「不動産投資における利回り計算」の代表的なものとして、①表面利回り(グロス利回り)と②実質利回り(NOI利回り)があります。
また、その利回りの妥当性を見るための指標として一般的に用いられるのが③キャップレートです。
利回り計算を行う理由は、主に2つです。
2つめは、他の投資商品(例えば株式など)と比較する際の指標となる。
一般的な不動産投資では、「物件選びの判断基準」として、ほとんどの方が「〇%以下の物件には投資をしない」という投資可否や、あるいは「A物件は〇%で、B物件は〇%」という感じで、比較として活用しています。
【表面利回り】
表面利回りとは、賃料総額を投資総額で単純に割ったもので、一般的には「賃料等収入を12倍(12カ月分)し、投資金額で割る」という計算式で算出します。
年間収益 ÷ 投資金額=表面利回り
ここで物件比較で使う際には、月々の家賃や管理費等「年間収益には、何が含まれているか」、また「投資金額には、物件費用だけでなく諸経費など含めるかどうか」などを確認し、共通にしておかなければ「モノサシ」としては不適合ということになります。
【実質利回り(NOI利回り)】
表面利回りの計算では、必要経費・費用などの支出は考慮されていません。これらを含めた利回りの考え方が実質利回りです。
賃料等収入合計から必要な経費等を引いたものをNet Operating Income といいます(頭文字をとってNOIと言うことが多いようです)。このNOIを投資金額で割ったものが実質利回り(NOI利回り)です。
一般的には実質利回りの計算式が、収益力を見定めるバロメーターとして使われます。
(年間収入-年間支出)÷投資金額=実質利回り
注意しておきたい点は、先に述べたように、共通にしておくべき「年間収入の範囲」と「投資金額の範囲」に加えて、「経費をどこまで含めるか」という点です。これら3つを合わせておかないとモノサシとして活用できず、正確な判断はできません。
【キャップレート】
キャップレートは、「不動産投資における利回りの指標」の1つで、「利回りの目安」として用いられます。
用語そのものは、「投資家の期待利回り」を意味します。
またキャップレートは当然ながら常に変化しており、エリア(立地)や不動産の種類(オフィスビル、ワンルームマンション、ファミリーマンション、商業施設など)によっても変わります。
キャップレートは実質利回りが想定されていますので、不動産投資の判断に用いる場合は、実質利回りで比較検討してください。
また、収益不動産の価格を算定する際にもキャップレートは用いられます。
収益還元法での収益不動産価格の算定のベースは、※年間収益÷還元利回り=不動産価格で計算されます。
ここ用いる還元利回りは、個別性の強い不動産において個々に算出することは難しいため、目安としてキャップレート(Capitalization Rate)が用いられことが多くなっています。
※の計算式では、仮に年間収益が一定とすれば、「キャップレートの変動は、不動産価格の変動を反映したもの」とも言えます。
例えば、キャップレートの低下局面は不動産価格の上昇局面ということになります。
ただしキャップレートはあくまでも「投資家などの期待値」ですから、実際の不動産取引価格から算出された利回り(=取引利回り)とは異なります(もちろん、一致することもあります)。
キャップレートを理論上で要素分解すれば、リスクフリーレート(=10年物国債金利を想定)+リスクプレミアム(不動産を保有する、投資するリスク)+立地プレミアムと表せます。リスクフリーレートは10年物国債金利を用いることが多く、また、立地プレミアムは、例えば賃貸マンション(ワンルームなど)では、最も期待利回りとされる麻布・青山・赤坂などの数字をベース(±0)として各地それぞれ加算します。
また、最後のリスクプレミアムは、「不動産投資はどれくらいのリスクがあるか」、を想定したもので、市場の動向により異なるものとされますが、現状(24年夏)では3%~3.5%程度とみることが多いようです。