投資信託に関する利益は大きく2種類に分けられる
投資信託に関する利益は大きく2種類に分けることができます。
それは、利益が上がれば定期的に入ってくることになる「分配金」と、投資信託を解約する際に発生する「譲渡益」です。
投資信託で利益を得ることによってどのくらいの税金を支払わなければならないのかを知る前に、投資信託で得られる利益である分配金と譲渡益のそれぞれの特徴を学んでおく必要があります。
それは、税金のかかり方に違いが出てくるからなのです。
(1)分配金
分配金とは、決算ごとに締めた投資信託の運用で得ることができた利益を、投資家たちに分配するお金のことを言います。
実際の分配金の額は、投資家がそれぞれ保有する投資信託の口数いわゆる投資信託の取引単位によって決まります。つまり、分配金単価に投資信託の保有口数を乗じて得た額が分配金の総額となるわけです。
さらに分配金は「普通分配金」と「特別分配金」の2つに分けられ、分配の仕組みや税金のかかり方はそれぞれ違ってきます。
1:普通分配金
普通分配金とは、基準価額いわゆる投資信託をはじめに購入したときの値段と比較して運用により得られた利益を投資家へ分配するお金のことです。
基準価額は個別元本とも言われます。
この普通分配金は運用によって得られた投資家の純粋な利益となりますので、もちろん課税の対象となります。
2:特別分配金(元本払戻金)
特別分配金とは、決算前の個別元本より分配金が支払われた決算の後の個別元本が下回っている場合、その下回った部分について投資家へ戻されるお金のことです。
例えば、決算前の個別元本が10,000円で、分配金が支払われた決算後の個別元本が9,000円になった場合、下回った1,000円は特別分配金として投資家へ戻されます。
特別分配金は運用で得られた利益ではなく、元本の一部を投資家に払い戻すという仕組みになっていることから、税金は課せられないというわけです。
(2)譲渡益とは
譲渡益とは、投資信託を解約した時に得られる利益のことです。
売却時の基準価額が購入時の取得単価を上回った場合、それは純粋な利益とみなされますので、課税対象になります。
一方で、投資信託を解約した時の基準価額が取得単価を下回っていた場合は、譲渡損となるため、課税の対象にはなりません。
投資信託の利益にかかる税金は20.315%
投資信託で普通分配金や譲渡益が発生した場合、個別元本を上回る部分は税金が課せられることになります。
気になる税率ですが、2013年までは証券税制の軽減税率が適用されていたことにより、投資信託の税率は10.147%だったのですが、2014年以降は同制度が廃止されたことによって、税率が20.315%に引き上げられました。
20.315%の内訳は、所得税15%と復興特別所得税0.315%そして住民税5%となっています。
本来の所得税は15%なのですが、2037年までは東日本大震災からの復興のための施策を実施するための必要な財源の確保を目的とした復興財源確保法の適用により、0.315%が上乗せされているのです。
以上のことから、投資信託にかかる税金は普通分配金や譲渡益に20.315%を乗じて計算されることになるのですが、忘れてはならないことがあります。
それは、投資信託の購入・解約に係った費用を差し引くということです。
投資信託を解約すれば、商品によっては信託財産留保額という手数料が発生します。
このような手数料は純利益から差し引いて計算されます。
例えば、投資信託の解約により10,000円の譲渡益を得たのと同時に100円の解約手数料いわゆる信託財産留保額がかかった場合、課税対象となるのは、譲渡益10,000円から信託財産留保額100円を差し引いた9,900円になります。
これを踏まえた上で、投資信託にかかる税金の計算をしてみましょう。
投資信託にかかる税金=(投資信託で得た利益-購入・解約にかかった手数料等)×20.315%となります。
つまり、(10,000円-100円)×20.315%となり、最終的に収めるべき税金額は2,011円となります。
投資信託にかかる税金は確定申告が必要なのか?
投資信託の分配金や譲渡益は、「申告分離課税」という扱いになり、他の所得とは切り離して税額を計算する決まりになっています。
そのため税金の計算は勤務先の会社に丸投げで普段は確定申告とは無縁のサラリーマンであっても、投資信託の利益があれば確定申告が必要になるのです。
しかし投資信託で利益が出ていても確定申告をする必要ないという例外もあります。
それは次の3つの場合です。
(1)投資信託で得た利益が年間で20万円以下の場合
給与以外の所得が20万円以下の場合、申告不要制度が適用となるため、原則として確定申告は不要となります。
ただし、給与の年間収入金額が2,000万円を超過する場合や、医療費控除等を受ける予定がある場合は、投資信託の利益とは関係なく確定申告を行う必要がありますので注意しましょう。
(2)投資信託の運用損失が出た場合
投資信託の運用がうまくいかずに利益どころか損失を出してしまった場合、課税対象となり得る利益は0円なので、もちろん確定申告を行う必要はありません。
また、投資信託の損失は他の投資で得た利益と相殺することが可能になる「損益通算」が適用されます。
株式投資やFX取引等投資信託以外で利益が出ている場合であれば、損益通算で税金を節約することが可能となりますので、確定申告をした方がお得であるということになります。
(3)源泉徴収ありの特定口座を利用している場合
特定口座とは、投資信託などを取り扱っている金融商品取引業者において開設できる口座のことです。
投資信託を始めるためには銀行や証券会社などで口座を開設することが必要不可欠ですが、その際に一般口座と特定口座のどちらを開設するか選択することができるのです。
そして特定口座の場合は、さらに「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」のどちらかを選択する必要があるのですが、「源泉徴収あり」を選ぶと投資信託で得た利益に対して課せられた税金が自動的に源泉徴収されることになります。
そもそも確定申告とは、その年に発生した利益に対して納める税金を確定するために行うものであるため、源泉徴収で納税することにより、確定申告自体が必要なくなるというわけです。
なお、「源泉徴収あり」の特定口座であれば、投資信託で損失が出た場合であっても自動的に損益通算されるためとても便利です。
投資信託の購入額が少額で年間の利益が20万円に届かないことがわかっている場合は一般口座でも問題ありませんが、長期的に資産運用するのであれば、断然特定口座の開設がおすすめです。
また、一般口座から特定口座への移行も可能なのですが、移行に係る手続きの煩雑さを考えれば最初から特定口座を開設しておいた方が良いと言えるでしょう。
また「源泉徴収なし」の特定口座を選んだ場合には、証券会社や銀行から年間の売買損益を計算した「特定口座年間取引報告書」が交付されることになります。
投資家は特定口座年間取引報告書に基づき、自身で確定申告を済ませることになります。
まとめ
投資信託で得た利益のうち、普通分配金と譲渡益には20.315%の税金が課せられることになります。
投資信託の利益は、給与所得等と分けて計算する申告分離課税に該当するため、利益が年間20万円を超える場合に限っては、サラリーマンでも確定申告を行う必要があることを覚えておきましょう。
ただし、源泉徴収ありの特定口座を開設する場合であれば、源泉徴収は自動でなされるため、別途確定申告を行う必要がなくなります。
確定申告は普段やり慣れない方にとって、手間と時間がかかる煩わしいことですが、「源泉徴収あり」の特定口座を作ることにより手軽に投資信託を始めることが可能になるためおすすめと言えるでしょう。
将来を見据えて投資信託等の資産運用に挑戦してみたいと考えることは、とても素敵なことです。
しかし、初めての投資が上手くいくほど甘くないのも資産運用の現実です。
金融機関の販売員がおすすめする投資信託の商品をそのまま購入したり、知人や友人が儲かったと話していた投資信託を購入したり、過去の実績が良い投資信託を購入したり、購入基準は人それぞれですが、こうした投資信託の選び方は、典型的な失敗パターンでもあります。
投資に絶対はありませんが、投資信託に興味・関心のある方で初めて投資信託を選ぶということであれば、資産運用やライフプランを考えることを生業としいわゆるお金のプロと言われるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してアドバイスを受けることも、失敗を回避する可能性を高める選択肢の一つといえるでしょう。
自分一人で決断せず、FPの意見を参考にしながら投資信託の購入についてぜひ検討してみましょう。
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