ふるさと納税をしない方がいい人の特徴とは?
ふるさと納税をしない方がいい人の特徴を5つ紹介します。
- 所得が少ない人
- 専業主婦や扶養の範囲で勤務している方
- 確定申告やワンストップ特例の手続きが面倒な人
- 生活資金に余裕がない方
- 引っ越しや転職予定があり、手続きに不安がある人
該当するかチェックしてみましょう。
所得が少ない人
ふるさと納税は「所得控除」や「税額控除」により税負担を軽減できる制度ですが、所得が少ないと控除額も小さく、控除額が小さく、実質負担が増える可能性があります。
以下の項目に該当する方は、ふるさと納税しない方が良いケースである可能性が高いです。
- 住民税非課税世帯(年間所得約100万円以下):住民税が課されないため、寄付金控除を受けること自体ができません。
- 所得税の基礎控除や扶養控除が大きい場合:所得税額が少ないため、控除メリットがほとんどないケースがあります。
- 課税所得が少ない場合:控除上限額が低く、数千円程度の寄付しかできないため、返礼品の価値に対して自己負担額が割高となります。
専業主婦や扶養の範囲で勤務している方
専業主婦や扶養の範囲で勤務している方は、控除上限額が極めて低いため、寄付額に見合った税控除が受けられないケースがほとんどです。特に以下のケースに該当する方はふるさと納税しない方が良い可能性が高いです。
- パート勤務で年収103万円以下:基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の範囲に収まるため、所得税が発生しません。
- 配偶者特別控除を受けている場合:年収が150万円程度でも控除額が非常に小さいため、負担がかさむことが多いです。
確定申告やワンストップ特例の手続きが面倒な人
確定申告やワンストップ特例の手続きが面倒な人は、ふるさと納税が向いていません。
「寄付先が6自治体以上の場合」や「自営業」などの人は確定申告が必要です。さらに寄付先が5自治体以内の場合は、寄付ごとに自治体へ申請書と必要書類を提出するだけで手続きが済むワンストップ特例制度申請が活用できます。
確定申告が初めての人にとっては、書類の書き方が分からずミスが多くなりがちです。そのため何度も書類を記入し直したり、税務署やネットで調べる手間がかかり、ストレスに感じる方も多いです。
ワンストップ特例制度申請は確定申告をせずに手続きができますが、期限(翌年1月10日)を忘れてしまう方もいらっしゃいます。その場合は確定申告が必須となり、手続き負担が倍増します。
生活資金に余裕がない方
ふるさと納税をすると、一時的にお金が減るため、生活費に余裕がない人にはあまり向いていません。
ふるさと納税は、まず自分で寄付金を支払い、その後に税金が減るという流れです。控除されるのは翌年の住民税や所得税なので、寄付をした年の家計には一時的に負担が増すことになります。
例えば、急な出費が予測される人や、生活費がギリギリの家庭では、寄付金の支払いが家計を圧迫するリスクがあります。
また、クレジットカードでふるさと納税を行った場合、翌月以降の支払いが重なり、日常の支出が厳しくなる可能性もあります。返礼品が欲しいからといって無理をして寄付すると、思わぬ生活苦につながることもあるため注意が必要です。
引っ越しや転職予定があり、手続きに不安がある人
ふるさと納税をする際には、引っ越しや転職予定がある人も注意が必要です。
ワンストップ特例制度を利用している場合、引っ越しをすると住所変更手続きが必要になります。これを忘れると、控除が適用されなくなる恐れがあります。
また、転職をして年収が大きく変わった場合、寄付限度額が変動するため、結果として寄付額が多すぎて控除が受けられないリスクもあります。事前にライフプランをしっかり考えた上で判断しないと、無駄な出費になりかねません。
【おさらい】ふるさと納税とは?
そもそもふるさと納税について、詳しくご存じない方もいらっしゃることでしょう。
ここでは既に分かっている方も今一度、ふるさと納税についておさらいしてみましょう。
仕組みと基本的なメリット
ふるさと納税とは、自治体に寄付をすることで、その金額に応じて所得税や住民税が控除される制度です。税務上、寄付金控除という扱いになります。
寄付を行うと、自治体から地域特産品などの返礼品がもらえるため、節税効果とともに返礼品を楽しめるのが魅力です。
ふるさと納税は以下のような流れです。
- 自治体に寄付をする:自分が応援したい自治体を選び、寄付金を支払います。
- 返礼品を受け取る:地域の特産品や宿泊券、日用品など、多彩な返礼品がもらえます。
- 税金の控除を受ける:翌年の所得税や住民税が減額されます。寄付金のうち、2,000円を超えた部分が控除されるため、実質2,000円の負担で済むケースが多いです。
そんなふるさと納税のメリットは主に3点挙げられます。
- 節税効果がある:控除上限額内で寄付すれば、翌年の税金が減ります。
- 返礼品がもらえる:お肉やお米、海産物など、全国の特産品を楽しめます。
- 地域を応援できる:ふるさとや好きな地域の活動支援になります。
「自己負担2,000円で返礼品がもらえる」の真実
ふるさと納税の魅力として、「実質自己負担2,000円で返礼品がもらえる」と言われることが多いですが、これは以下の条件を満たした場合に限ります。
【自己負担2,000円の条件】
- 控除限度額を超えないこと:年収や家族構成によって決まる控除限度額を超えた寄付をすると、その超過分は自己負担になります。
- 翌年の税金が減る仕組み:税金が安くなるのは寄付した翌年です。寄付した年には、現金が減るだけなので注意が必要です。
控除上限額を超えると負担額が増えるため注意が必要です。例えば、年収300万円の人が上限5万円のところを10万円寄付すると、超えた5万円分は控除されません。
なぜ「やめたほうがいい」という声があるのか?
ふるさと納税には多くのメリットがありますが、利用者の中には「やめたほうがいい」と感じる人も少なくありません。
先ほども紹介した通り、「手続きが面倒」であったり「所得が少ない人は恩恵も少ない」などの声もあるためです。
ふるさと納税は、正しく活用すれば節税と地域支援ができる制度ですが、控除額を超えてしまうと大きな負担になったり、そもそも所得が少ない人にとってはメリットも薄いのです。
このように誰しもがふるさと納税をした方が良いとは限りません。利用を検討する際には、まず控除シミュレーションを行い、生活資金に余裕があるかどうかを確認することが大切です。
ふるさと納税で損してしまうケース
ふるさと納税は上手に使えば節税や地域貢献ができ、さらに返礼品ももらえる魅力的な制度ですが、利用方法を誤るとかえって損をしてしまうケースもあります。
ここでは損をする3つのケースを紹介します。
- ワンストップ特例が無効になるパターン
- 税金が戻らない「寄付し損」の事例
- 返礼品目当てで無計画に寄付してしまった
ひとつずつ確認しておきましょう。
ワンストップ特例が無効になるパターン
ふるさと納税の手続きでよく利用されるワンストップ特例制度が無効になるケースは意外と多く、損をする原因になりがちです。
【特例が無効になるケース】
- 寄付先が6自治体以上になった場合:ワンストップ特例は5自治体以内に限定されています。6か所以上に寄付すると、確定申告が必須となり、ワンストップ特例は無効になります。
- 申請書の提出期限を過ぎた場合:翌年1月10日までに、各自治体へワンストップ特例申請書を郵送する必要があります。期限を過ぎると、控除が受けられず、全額自己負担になります。
- 引っ越しや転職で住所が変わった場合:申請後に住所が変更になると、自治体へ変更届を提出しなければなりません。これを忘れると、申請が無効になり、控除が受けられない可能性があります。
上記の項目に該当すると、ワンストップ特例が無効となります。
そのため「寄付先を5自治体以内に抑える」他に、「申請書を早めに提出して受け取り完了の確認を取る」「住所変更があれば即座に対応する」などの方法で対策しましょう。
税金が戻らない「寄付し損」の事例
ふるさと納税を利用すると、寄付した翌年に税金が控除されるため、実質自己負担2,000円で済むとされています。
しかし、実際には控除が適用されないケースも多く、「寄付し損」になってしまうことがあります。
【寄付し損の原因】
- 控除上限額を超えた場合:年収や家族構成によって控除上限額が決まっており、これを超える寄付をすると、超過分は全額自己負担になります。
- 所得税や住民税がもともと少ない場合:専業主婦(夫)や年収103万円以下のパート勤務者は、所得税がゼロのため、寄付しても税金が戻りません。配偶者特別控除を受けている場合でも、控除額が少ないため、負担が重くなることがあります。
返礼品目当てで無計画に寄付してしまった
返礼品目当てで無計画に寄付してしまうと損をする可能性もあります。
ふるさと納税の魅力は、全国各地の特産品や宿泊券、体験型返礼品を楽しめることです。
しかし、高額返礼品に釣られて上限を超える寄付をする方や、寄付をしたことにより生活資金を圧迫してしまった方も多いです。
このように、返礼品目当てで衝動的に寄付したり、無計画でふるさと納税をすると損をする場合があるため注意しましょう。
ふるさと納税をした方がいい人
一方で、ふるさと納税をした方がいい人はどのような方なのでしょうか。主に以下の3点に該当する方と考えられています。
- 所得が高い人
- 住民税や所得税を支払っている方
- 住宅ローン控除など他の控除と併せて考えられる方
ひとつずつ確認しておきましょう。
所得が高い人
ふるさと納税は所得が高い人ほど控除額が大きくなり、節税効果が高まるため、所得が高い人に向いています。
例えば年収1,000万円の人では控除上限が20万円以上になるケースもあり、寄付額が多くても自己負担2,000円で済むことが多いです。
所得が高くなるほど多くの税金を納めているため、寄付金額を大きくしても節税効果が高まります。
もちろん年収400万円や500万円の方でもふるさと納税の効果は十分ありますが、年収が高い人ほどふるさと納税はした方が良いでしょう。
住民税や所得税を支払っている方
ふるさと納税は、あくまで住民税や所得税の控除制度なので、これらの税金を支払っている人は活用した方が良いでしょう。
会社員や自営業、フリーランスや年金受給者など、日本人の多くが住民税・所得税を支払っています。税金をしっかり納めている人はその分だけ寄付金控除の恩恵を受けられるため有利です。
住宅ローン控除など他の控除と併せて考えられる方
住宅ローン控除や医療費控除などをすでに受けている場合、控除額が重複して思ったより税金が減らないケースもあるため、他控除と併せて考えられる方に向いています。
住宅ローン控除がある場合、所得税がゼロになると、ふるさと納税で控除されるべき金額が住民税控除へ回るため、控除額が減ることがあります。
医療費控除や扶養控除も併用している場合、控除額が多すぎてふるさと納税の控除が反映されないケースも発生します。
そのため、住宅ローン控除など他の控除と併用しても、住民税が十分にある場合には恩恵を受けられるため、控除のバランスを考えた計画的な寄付が重要です。
ふるさと納税を活用する際のポイント
ふるさと納税を賢く活用するためには、正しい知識と計画性が重要です。特に、控除額のシミュレーションや手続きのミスを避けることが、無駄なく制度を利用するためのカギとなります。ここでは、ふるさと納税を活用する際の3つのポイントを解説します。
- 上限シミュレーションで寄付額を把握する
- ワンストップ特例を正しく使うポイント
- 自治体や返礼品より「制度メリット」重視で選ぶ
ひとつずつ確認しておきましょう。
上限シミュレーションで寄付額を把握する
ふるさと納税をする際は、事前に上限シミュレーションで寄付額を把握しておきましょう。
シミュレーションサイト:ふるさと納税の限度額を計算!控除上限額シミュレーション | ふるさと納税サイト「ふるなび」
上記のサイトで「給与収入」や「年齢」「社会保険料等の金額」などを入力すると、上限額を計算してくれます。
控除額ギリギリではなく、やや余裕を持たせた寄付額設定が無難です。
ワンストップ特例を正しく使うポイント
ワンストップ特例を利用すれば確定申告が不要になります。ただし、条件を満たさないと控除が無効になるため、注意が必要です。
【ワンストップ特例の利用条件】
- 寄付先が5自治体以内であること:6自治体以上に寄付すると、ワンストップ特例は使えず、確定申告が必須になります。
- 寄付ごとに申請書を提出すること:各自治体に申請書を寄付のたびに郵送しなければなりません。
- 翌年1月10日までに申請書を提出すること:期限を過ぎると控除が無効となり、寄付金がそのまま自己負担になります。
申請書の書き方をチェックし、記入ミスがないか確認しておきましょう。また、引っ越しや転職の予定がある場合、住所変更手続きを必ず行うことを忘れないように注意しましょう。
自治体や返礼品より「制度メリット」重視で選ぶ
返礼品の内容だけで判断すると、上限額を超える寄付をしてしまうリスクが高まるため、「制度メリット」重視で選ぶことをおすすめします。
始めに上限シミュレーションで寄付額を把握し、返礼品の金額や還元率を確認し、無理のない範囲で選びましょう。
また、地域の復興支援や子育て支援プロジェクトなど、自分の価値観に合う自治体選んだり、日常的に使えるものや消耗品を選択するのも選ぶポイントです。
高価な返礼品を選びすぎると、控除上限額をオーバーし、結果的に大きな出費になることがあります。税金控除のメリットを最大限生かすためには、制度本来の目的やメリットを理解して利用するようにしましょう。
まとめ
ふるさと納税は節税効果があり返礼品がもらえる魅力的な制度ですが、全ての人にメリットがあるわけではありません。
所得が少ない人や専業主婦、扶養内で働く人は控除額が低いため、自己負担が増える可能性があります。また、確定申告やワンストップ特例の手続きが面倒な人や、生活資金に余裕がない人も避けた方が良いでしょう。
さらに、引っ越しや転職予定がある場合、住所変更や収入変動によって控除が無効になるリスクもあります。
ワンストップ特例が無効になる場合や、控除上限を超える寄付、返礼品目当てで無計画に寄付する場合は損をする可能性もあるため注意しましょう。