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個人事業主が考慮すべきリスクとは
個人事業主として事業を行う場合、様々な事業上のリスクを考慮しておく必要があります。
通常、企業では各種制度等によって守られているため、万が一事故などを起こしたとしても企業として責任を負うことになるため、個人として賠償責任(賠償金など)を負担することはほとんどありません。
しかし、個人事業主やフリーランスの方の場合、万が一の事故が起こった際は全額自己負担での賠償責任が発生するため、大きなリスクを抱えながら事業を行っているといえます。
個人事業主が考慮しておくべきリスクは、「事業を行う際のリスクの発生頻度」と「リスクによって事業に与える影響度」の2つの軸で整理することができます。
本記事では、個人事業主にとって重要度の高い4つのリスクを解説していきます。
(2)労働災害リスク
(3)盗難・災害リスク
(4)情報漏洩リスク
(1)業務上の賠償責任リスク
個人事業主が他者に対して損害を与えた場合、損害賠償を請求されるリスクです。
顧客や取引先、さらには第三者に対して直接的・間接的に損害を与えた際に発生します。
製品やサービスの提供中に事故が発生した場合や、業務ミスによる損害が生じた際が典型例です。
損害賠償請求を受けると、個人事業主が事業や私財をもって賠償金を支払う必要があります。
賠償金が高額になった場合、事業経営に大きな影響を及ぼし、最悪の場合、事業継続が困難になる可能性があります。
例えば、ある飲食店の個人事業主が提供した食品が原因で食中毒が発生し、顧客が病院にかかる事態がニュース等でも話題になることがあります。
その結果、顧客から損害賠償請求を受け、高額な治療費や慰謝料を支払うことになるケースなどがあります。
このような事態に備え、賠償責任保険に加入しておくことが推奨されます。
(2)労働災害リスク
個人事業主が従業員を雇用している場合、従業員が業務中に負傷したり、病気になったりする労働災害リスクを抱えています。
特に、肉体労働を伴う業種では、このリスクが高まります。
事業主は従業員の健康や安全を守る義務があり、災害が発生した場合に対応が求められます。
労働災害が発生すると、従業員の治療費や休業補償の支払いが必要になる場合があります。
また、労働基準監督署などの調査が入る可能性があり、事業の運営に悪影響を与える可能性があります。
さらに、従業員が休業することで、事業の効率や生産性も低下します。
例えば、建設業の個人事業主が雇用していた作業員が、現場作業中に足場から転落し、骨折する事故が発生したケースがありました。
この事故により、事業主は治療費や休業補償の支払いを行い、事業の一部が停止することになりました。
労働災害保険の加入等は、対象者に対するリスクと事業継続のリスクへの備えとして重要といえます。
(3)盗難・災害リスク
個人事業主が所有する事務所や店舗、設備が自然災害や盗難に遭うリスクです。
火災や台風、地震といった災害や、店舗に侵入されての盗難・破壊行為は、設備や在庫、重要書類に損害を与える可能性があります。
設備や在庫の損害により、事業の運営が一時的に停止する可能性があります。
特に自然災害では、補償がされないケースもあり、大きな経済的損失が発生する可能性があります。
さらに、事業を再建するための資金や時間の負担が増し、経営が困難になることがあります。
例えば、ある小売店を営む個人事業主が台風による洪水被害を受け、店内の在庫がすべて浸水してしまったとしましょう。
この結果、すぐに営業を再開できず、大幅な売上損失が発生してしまいます。
自然災害に備えた損害保険に加入していなかったため、再建に多額の自己資金が必要となった、などは災害リスクによる事業への大きな影響が発生した事例と言えるでしょう。
(4)情報漏洩リスク
個人事業主が保有する顧客情報や取引先の機密情報が、外部に漏洩するリスクです。
特に、デジタル化が進む現在では、サイバー攻撃やヒューマンエラーによる情報漏洩の危険性が増しているため、個人事業主であっても、情報管理は非常に重要な課題といえます。
情報漏洩が発生すると、顧客からの信頼を失うだけでなく、法律に基づく賠償請求や罰金が発生する可能性があります。
また、取引先との契約を失うリスクも高まります。
事業運営における信用が損なわれることで、長期的な事業継続リスクに発展する場合があります。
例えば、フリーランスのITコンサルタントが、クライアントのシステムにアクセスするためのパスワードを誤って公開フォーラムに掲載してしまい、サイバー攻撃に繋がったなどのケースが考えられます。
このような事例では、クライアントから多額の賠償請求を受け、事業の継続が困難になるなどもありうるため、万が一のリスクとして、情報漏洩対策と損害保険の加入が重要です。
今回紹介した個人事業主にとってのリスクは一部となりますが、これらのリスクに対して適切な保険や対策を講じることがリスクを最小限にとどめることにつながります。
個人事業主における損害事例4選
個人事業主が考慮すべきリスクと合わせて、実際にあった事故や損害事例をご紹介します。
具体的な事例を確認しておくことで、自身が経営する事業等において事前の対策を講じることに繋がるため、ぜひ最後まで確認しておくと良いでしょう。
(2)サイバー攻撃等による個人情報の漏洩
(3)納期遅延による賠償責任
(4)建設現場での事故
(1)飲食店における火災発生
一つ目は、飲食店等における火災による損害事例となります。
想像のとおり、飲食店では火気を扱うため、火災リスクが高まります。
例えば、厨房での油の不注意な取り扱いが原因で火災が発生し、店舗内が全焼。
さらに、火が隣接する店舗にまで広がり、被害が拡大しました。
このような場合、火災による損失だけでなく、周囲の建物や設備に対しても損害賠償責任が発生することがあります。
実際、東京都内の飲食店で発生した火災では、火元となった店舗が隣接店舗に対して多額の損害賠償を請求された事例があります。
(2)サイバー攻撃等による個人情報の漏洩
二つ目は、サイバー攻撃や情報管理不足に伴う情報漏洩事例となります。
個人事業主が取り扱う顧客の個人情報が漏洩するリスクも大きな問題です。
例えば、フリーランスのWebデザイナーがクライアントの顧客データを管理しているパソコンがハッキングされ、個人情報が外部に流出した事例があります。
この場合、クライアントに対して信頼を失うだけでなく、情報漏洩による損害賠償や訴訟リスクが生じる可能性があります。
個人情報保護法に基づく損害賠償は高額になることが多いため、サイバーリスク保険や情報漏洩に対する賠償責任保険の必要性が高まっています。
(3)納期遅延による賠償責任
三つ目は、人的及び環境的な要因などによって納期に間に合わなかったことによる賠償事例となります。
個人事業主が業務契約を結んだ際、納期遅延に伴う賠償リスクも発生します。
例えば、フリーランスのプログラマーがシステム開発の納期を守れなかったため、クライアントのプロジェクト全体が遅延し、業務に重大な影響を与えた事例があります。
この場合、納期遅延により発生した損害についてクライアントから損害賠償を請求されることがあります。
特に大規模なプロジェクトであれば賠償額も高額となる可能性があるため、業務遂行責任保険などのリスクヘッジが重要です。
(4)建設現場での事故
最後は、事故などの労働災害事例となります。
特に、建設業の個人事業主が考慮すべきリスクには、現場での事故に最も注意する必要があります。
例えば、足場の設置ミスにより作業員が転落し、重傷を負った事例では、労災保険の範囲外で事業主が多額の賠償を求められるケースもあります。
こうした事故に対して、事業主には適切な安全管理義務が課されており、それが不十分だった場合、被害者やその家族に対して損害賠償を負うことになります。
個人事業主が加入すべきおすすめ損害保険
個人事業主が抱えるリスクに対して、具体的にどのように対策すべきでしょうか。
ここからは、これまで紹介したリスク対策として、個人事業主やフリーランスの方々におすすめできる損害保険をご紹介します。
(2)法人向け火災保険
(3)個人情報漏洩保険
(4)PL保険(生産物賠償責任保険)
(5)施設賠償責任保険
(6)請負業者賠償責任保険
(7)法人向け自動車保険
(1)店舗総合保険
店舗総合保険とは、店舗や事務所、住居と店舗が一緒になっている併用住宅などを対象とした保険です。
建物や家財などが消失した際に補償されるほか、業務遂行中の賠償責任なども特約で蓋をすることができる万能な保険です。
後述する施設賠償責任保険、PL保険などの補償内容を1つの保険にまとめた保険と言い換えることもできます。
具体的な補償内容は、以下のとおりとなっています。(一部抜粋)
・休業補償:休業によって発生した損害費用を補償
・損害賠償費用の補償:第三者に損害を与えたことによって発生した損害費用を補償
「店舗総合保険」への加入がおすすめな業種・対象者は、以下のとおりです。
・事務所所有している個人事業主(士業、小売業など)
(2)法人向け火災保険
法人向け火災保険とは、火災や自然災害による建物、建物内の設備などに損害が発生した場合の補償をする損害保険です。
例えば、店舗、事務所、倉庫などが補償対象になるのはもちろん、設備什器、商品・製品なども補償対象となります。
店舗に特化した店舗総合保険とは異なり、法人向け火災保険では所有する財産の多くを保証することができることが特徴です。
なお、店舗総合保険とは異なり、特約などで業務遂行中の賠償責任などは別途加入する必要がある場合もあるためよく確認する必要があります。
法人火災保険で支払われる具体的な保険金は、以下の内容が挙げられます。
・臨時費用
・失火見舞費用
・残存物取片付け費用
・修理付帯費用 など
「法人向け火災保険」への加入がおすすめな業種・対象者は、以下のとおりです。
・製造業や小売業など
(3)個人情報漏洩保険
個人情報漏洩保険は、自身が管理している顧客情報が漏洩した際に発生する、賠償責任に関する費用などを補償する損害保険です。
個人情報漏洩保険で支払われる保険金は、以下の内容が挙げられます。
・争訟費用
・危機管理コンサルティング費用
・見舞金・見舞品の購入費用 など
個人情報漏洩保険は、個人情報が漏洩した場合のみ補償されます。
一方、サイバー攻撃によるあらゆる事故も補償する「サイバー保険」なども登場しており、こちらは個人情報漏洩保険よりも補償範囲が広くなっています。
さらに、万が一の事故が発生した場合は、サイバー事故の対応に精通した専門家が相談にのってくれるサービスが付帯されている、など保険会社によって様々なサービスがあるため保険選びの一つのポイントとして確認しておくと良いでしょう。
「個人情報漏洩保険」への加入がおすすめな業種・対象者は、以下のとおりです。
・製造業、小売業
・個人情報や機密情報を管理している業種 など
(4)PL保険(生産物賠償責任保険)
PL保険(生産物賠償責任保険)は、製造・販売した商品などの不具合が原因で消費者や第三者に事故や損害を与えた場合に発生する、損害賠償責任を補償する法人保険です。
例えば、下記のような事例の際に補償される保険です。
・製造した家電が発火し、購入者が火傷を負った
上記のような場合、被害者に対して治療費や修理費を支払うことになり、被害の対象者が多くなればなるほどその賠償額は多額になるためリスク管理が非常に重要となります。
PL保険で支払われる保険金は、以下の内容が挙げられます。
・争訟費用
・損害防止軽減費用
・緊急措置費用
・協力費用 など
「PL保険」への加入がおすすめな業種・対象者は、以下のとおりです。
・販売業
・卸売業
・飲食業 など
(5)施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、業務に使用している店舗や施設が原因で発生した事故による損害賠償費用を保障する損害保険です。
例えば、下記のような事例の際に補償される保険です。
・店舗内でお客様が転倒し、ケガをしてしまった
上記のような場合、被害者に対して治療費などの賠償責任が生じます。
イベント運営などによる事故や被害が発生してしまった場合は、被害者が多くなることもあるため注意が必要です。
施設賠償責任保険で支払われる保険金は、以下の内容が挙げられます。
・争訟費用
・損害防止軽減費用
・緊急措置費用 など
「施設賠償責任保険」への加入がおすすめな業種・対象者は、以下のとおりです。
・小売業
・飲食業
・イベント業者 など
(6)請負業者賠償責任保険
請負業者賠償責任保険は、工事や作業といった請負業務の遂行中に発生した対人・対物事故を補償してくれる損害賠償保険です。
業務の結果に起因した事故を補償するPL保険と似ていますが、”業務遂行中”の事故を補償する保険が請負業者賠償責任保険となっています。
例えば、下記のような事例の際に補償される保険です。
・採掘工事中、下水道管に接触し、誤って破損してしまった
上記のような場合、被害者に対して治療費や修理費などの賠償責任が生じます。
請負業者賠償責任保険で支払われる保険金は、以下の内容が挙げられます。
・争訟費用
・損害防止軽減費用
・緊急措置費用 など
「請負業者賠償責任保険」への加入がおすすめな業種・対象者は、以下のとおりです。
・建設業
・エンジニア
・WEBライター、デザイナー など
(7)法人向け自動車保険
最後の法人向け自動車保険は、自動車車体の修理費のほか、対人・対物事故や、搭乗者の傷害保険もセットになって補償してくれる保険です。
また、個人事業主が自動車保険に加入する場合、法人向けでも個人向けでもいずれの契約方法でも加入することができます。
以下は、法人用で自動車保険を契約した場合のメリット・デメリットになります。
<個人事業主が法人向けの自動車保険に加入するメリット・デメリット>
「法人向けの自動車保険」への加入がおすすめな業種・対象者は、以下のとおりです。
・サービス業
・不動産業
・観光業 など
損害保険を選ぶチェックポイント
損害保険を選ぶ際のポイントは、個人事業主として備えるべきリスクをまず洗い出すようにしましょう。
備えるリスクは、事業内容によって大きく異なってくるため、それに基づき損害保険を選択することが大切です。
備えるべきリスクと加入すべき損害保険の種類が決まったら、以下のポイントを参考に商品や補償プランなどを決めることが重要です。
(2)保険料
(3)付帯サービス・特約
(1)補償範囲
損害保険を選ぶ際に最も重要なポイントの1つが「補償範囲」です。
補償範囲とは、保険がどのようなリスクや損害に対して保険金を支払うかを指します。
事業の内容や規模に合わせて、どのリスクに備える必要があるのかを確認し、それに対応した保険を選ぶことが必要です。
・事業において発生する可能性の高いリスク(賠償責任、火災、労災など)が補償されているか。
・顧客に対する損害賠償や従業員の怪我など、具体的に発生しうる事象に対応しているか。
・保険の適用範囲は国内外か、顧客や第三者、取引先までカバーされているか。
万が一発生するリスクに対して十分な補償がなければ、個人事業主自身が全額を負担しなければならず、事業の継続が困難になる可能性があります。
自身の事業に適した補償範囲をカバーする保険を選ぶことが大切です。
(2)保険料
保険料は、補償内容に対して毎月や毎年支払う金額です。
保険の選択においては、過不足のない補償範囲を選ぶことと同時に、無理のない保険料設定も重要です。
安すぎる保険は補償が不十分な場合があり、逆に高すぎる保険料は事業の運営資金に負担をかけます。
・保険料が補償内容に見合っているかどうか。
・保険料が事業規模やリスクに応じた妥当な価格か。
・長期的に支払い続けられるか、支払いプランに無理がないか。
保険料は、事業のコストとして継続的に発生するため、事業資金を圧迫しない範囲で無理なく支払える金額にすることが大切です。
補償内容と費用のバランスをしっかり確認することで、事業を安心して運営できるようにしましょう。
(3)付帯サービス・特約
損害保険には、補償内容に加えて付帯サービスや特約(オプション)を設定できるものがあります。
これらは、保険の基本的な補償にプラスして、特定のリスクに対応するために加入者が選べる追加の保険契約です。
・自身の事業に役立つ特約があるか(例:情報漏洩補償、弁護士費用補償など)。
・付帯サービスとして、リスク管理や事故対応のサポートがあるか。
・緊急時のコンサルティングや法務支援など、特約によって得られる付加価値が高いか。
付帯サービスや特約を活用することで、事業に特化したリスクに対処でき、万が一の際に保険を有効活用する機会が増えます。
特に、個人事業主は専門的なリスクに対応する保険を選び、万が一の備えを強化することが重要です。
個人事業主の損害保険に関するQ&A
最後は、個人事業主の損害保険に関するよくある質問集をまとめました。
本記事内と重複する内容も含まれていますが、重要なことなのでぜひ参考にしてみてください。
A.はい、必要です。
個人事業主は法人と異なり、万が一の事故やトラブルが発生した際、自分自身の財産で賠償責任を負うことになります。
特に、顧客や第三者に損害を与えた場合、損害賠償責任が発生するため、事業運営にリスクが伴う場合は損害保険の加入を検討すべきです。
A.主な種類には、業務中の事故による「賠償責任保険」、商品やサービスに欠陥があった場合の「PL保険」、従業員のケガを補償する「労災保険」、自然災害や盗難に備える「火災保険」などがあります。
事業内容に応じて適切な保険を選ぶことが重要です。
A.保険料は業種、事業規模、従業員数、補償範囲によって異なります。
例えば、一般的な賠償責任保険では年間数万円から加入可能ですが、高リスクの業種(建設業など)では保険料が高くなる傾向があります。
A.損害保険は、保険会社や保険代理店を通じて加入できます。
また、最近ではインターネットを利用したオンライン加入も可能で、簡単に比較検討することができます。
代理店やインターネット経由での加入それぞれにメリット・デメリットがあるため、それを踏まえて加入を検討することが大切です。
A.賠償責任保険は一部のリスクに対してのみ補償を行います。
火災や盗難、労災など他のリスクに備えるには、複数の保険を組み合わせることが必要です。
事業内容に応じた適切な保険を選びましょう。
まとめ
本記事では、個人事業主が考慮すべき損害保険の種類や特徴、保険選びのポイントについて詳しく解説しました。
事業運営におけるリスクに備えるためには、適切な保険を選ぶことが非常に重要です。
損害賠償、火災や盗難、労働災害など、さまざまなリスクに対してどのような補償が必要かを把握し、自分の事業に合った保険を選ぶことが成功の鍵となります。
個人事業主にとって、リスクを最小限に抑えることは事業の継続に直結します。
今回紹介した補償範囲、保険料、付帯サービスなどのポイントを踏まえて、保険選びを進める際には、保険会社や代理店と相談しながら、自分に最適な保険を見つけましょう。
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