パンフレットに文言が追加されている?
社長、最近「みんなで大家さん」への問い合わせがありまして…
みんな大好きですね…!
反響が大きく、情報として教えていただいたことがあります。
その方は数年前から取り組んでいらっしゃって、今は解約申請を進めている中でのご相談でした。
その方は解約と同時に提案を受けたようなのですが…
追加の商品を提案を受けた際に、パンフレットの最後のページに、今までこの方が取り組んでた時には書いてなかった文言が追加されてたとのことなんです。
僕も聞いた話なので、実際に見ていないのですが…
赤字で大きく「会社が危なくなったら保証できませんよ」という内容だったそうです。
今まではそういう文言も書いておらず、ここ最近そういうものが追加されたらしいのです。
どうしてでしょうか?
新規で取り組む方であれば、当然投資は自己責任なのでそれが書いてあるのは良いとして。
昔取り組んでいた時は書いてなかったけれど、最近になって書き出したというのは…
そうですね…
その方も突っ込んだそうですが、担当の方は「万が一はあるので…」というような回答だったようです。
これ自体は全くおかしな話ではありません。
不動産特定共同事業法(不特法)は、不動産のファンドなので「預金感覚で始められる」などと書かれていますが、あくまで預金“感覚”なので、預金ではありません。
なので、元本の保証はされていないわけです。
一口100万円で取り組み、その100万円が0円になりました。
当然このリスクを負った上で、7.0%の分配金を取りに行ってるわけです。
なので、当たり前のことが書かれたという感じなのでしょう。
動画で確認したい方はこちら
みんなで大家さんの最新決算書を見てみよう
今回はちょうどいいタイミングですね。
みんなで大家さんグループの、新しい決算書がWeb上にアップされました。
都市総研インベストファンド株式会社という不特法のファンドを運営している会社。
そしてもう1つ、みんなで大家さん販売株式会社の25期の決算書が出ました。
それらを見ながら、今後の予想と言いますか…
どう振る舞っていけばいいのか?をまず考えていただきたいです。
あとは法律で定められているところではありますが、しっかりと決算書をこのようにWebにIR情報としてアップしてくださっていますので。
その決算書を読み解きながら、こういった非上場企業の決算書をどう読んでいくのか?
そして、どのように投資判断をしていくのか?
この辺りを学んでいただくことができると思います。
少し長くなると思いますが、勉強として今回はお届けできたらと思います。
まず大前提として、みんなで大家さんという商品について。
これは一口100万円で始められる投資商品です。
この商品を作っている(ファンドを運営している)会社が…
そしてもう1社、みんなで大家さん販売株式会社という会社があります。
こちらが販売代理店になっています。
しかし代表者の方は一緒で、資本も一緒だと思います。
なので、同一のグループであるということです。
今回はそれぞれの決算書解説になりますが、正直みんなで大家さん販売株式会社に関しては、以前もお話しましたが決算書がピカピカなのです。
そのため、これは最後に少しだけ触れようかなと思います。
メインはこのファンドの大元である都市総研インベストファンド株式会社です。
ここの会社はどうなっているのか?という話なのです。
大前提としてIR情報といって開示はしていますが、上場企業と違って「貸借対照表」つまりバランスシート(BS)だけアップされてます。
損益計算書(P/L)であったり、キャッシュフロー計算書は開示義務がありませんので、出していないということです。
このバランスシート(BS)をどうやって見ていけばいいか?という話ですが、
本来は3期通して見るべきです。
ナゼだか分かりますか?
会社の動きというか…
例えば成長や流れがその年(1年分)だけでは、判断できないということでしょうか?
そうですね。
まずバランスシート(BS)と損益計算書(P/L)は大きく違います。
「現金がちょっとずつ増えてきたな…」というような、全ての歴史が書かれています。
損益計算書(P/L)は、例えばこの会社で言うと3月末決算なので、4月1日〜翌年3月31日まで。
この期間だけを切り取ったものがP/Lです。
なので、損益計算書(P/L)を見るよりもバランスシート(BS)を見た方が、会社全体像が見えてきます。
「できれば、3期分を見よう!」という話なのですが、前回、十数期通してみたものも公開していますので。
今回は直近の2期と比べてみれば十分なのでは?と思っています。
25期決算書を解説!現金はどれだけ増えた?
まず大きな動きが、バランスシート(以下、BS)の資産の部に積まれている現金および預金です。
これが45億円だったものが、この1年で141億円になっています。
結構お金が増えたのですね。
安心な感じがしますね…!
現金が増えたという風に捉えると、もちろん安心ですが…
なので、他の部分も見ていきましょう。
これはまさにゲートウェイ成田プロジェクトの土地だと思いますが、
もともと965億円積まれていたものが…
ということで、1,021億円分の土地が増えました。
わずか1年で1,000億円の土地を取得しているのです。
これは社長からしたら、どういう風に見えていますか?
成田の雑木林をたくさん買ったのだと思います。
それが1,000億円として計上されている。
他の記事でも話したことがありますが、実際の価格の100倍ぐらいの金額で取引が行われているのです。
しかし、これ自体は悪いことではありません。
10万円で買ってきた土地を、100倍の1,000万円で売る。
いい商売じゃないですか?
これが左側の、いわゆる「資産の部」というところに積まれています。
総資産、つまりバランスシートの厚みです。
これが1,233億円から、2,342億円に…
きれいに1,000億円が増えたという話です。
バランスシートの左側は「持っている資産」で、右側が「どう調達したのか?」というお金の調達方法になります。
1,000億に対してバランスをしてるという事は、どこかで1,000億円が増えているわけです。
「どこが動いているかな?」と思い、いくつか見てみると…
少し気になるのが「預り金」という名前で194億円だったものが712億円になっています。
これは相当増えています、517億円増えているのです。
例えば弊社の不動産部門で言うと「物件を販売します」となった時、先に手付金をいただきますよね?
物件の20%の手付金をいただくとして、1,000万円の物件に対して200万円を貰ったとします。
これってまだ不動産を引き渡ししていないので、一旦お預りしているお金なのです。
そして、いざ1,000万円の物件をお客様にお渡しした時に、残額800万円も払ってもらって、ようやく1,000万円全てうちは回収となる。
その時に1,000万円のP/Lでは、売上に振られ、粗利がいくらか残って…
バランスシート上の純資産に流れていくというような動きをするのです。
要は、そういった預かっているだけのお金。
これって何なんだろう?ということなのです。
一旦、先に進みます。
1番大きな重要なことは、やっぱりこの不動産特定共同事業法の受け入れ出資金。
つまり投資家様がみんなで大家さんを買っていますよね?
「ファンド◯号で、300億円集めます!」というような、この300億円集めたファンドが年に3本あったとすると、1,000億円になるわけです。
その金額はどれくらいだったか?というと、1年前は869億円でした。
これが1,438億になった、ということで570億円が増えています。
つまり、預り金が約500億円増え、この不動産ファンドの方も570億円増えている。
土地がドン!と買われているので、両側バランスしています。
つまり、大きく動いたところは、この「500億円✕2」ですね。
では、不動産ファンドに振り分けられてる500億円や、預かり金というところに振り分けられている500億円があるのか?ということですが…
これは完全に私の憶測ですよ?
預り金は、適切に契約が締結されていないで受け取ってしまってるお金を振り分けている可能性があります。
つまり、みんなで大家さんファンド◯号という商品を、どんどんどんどん売るじゃないですか?
投資家からの見た目は一緒ですが、裏で実はその売ったファンドに該当する土地が、例えば「まだない」とか「仕入れ中」とか。
そこで思うのが、5月にニュースリリースに上がっていた「新たに東京ドーム10個分の土地を買う」という話がありましたよね?
要は新たな土地を買って、それも地主から安く買ったものをゲートウェイ成田プロジェクト1〜6号という会社から、都市総研インベストファンドに多分100倍ぐらいの金額で移すわけです。
そして移ったということは、そこまでに投資家から都市総研インベストファンドが集めたお金を成田ゲートウェイプロジェクトの1〜6号に送る。
そして、この都市総研インベストファンドが持っている土地をプロジェクト1〜6号に対して貸す。
キャッシュを1〜6号が持っているので、ここから借地の地代を払えるのです。
その払われた地代が投資家さんの分配金として7%に当たる。
恐らく、こういうスキームなんですね。
預り金に振らざるを得ないということだと思っています。
なので、いずれこの712億円の預り金ですから(累計でね)…
これは絶対、不特法の出資受入金の方に振ると思います。
実質的には、今もう2,000億円を集めているのだと思います。
これが私の予想です。
バランスシートの両側はこれで1,000億円ぐらいで…
なんとなく分かりましたよね?
他の動きとしては、分配金を毎年払っているわけですが…
1年前は多分60億円ぐらい配っていましたが、集めた金額が増えたので、もう100億円を超えているのです。
あとは、バランスシート(BS)を見る上でいくつか重要な指標があります。
次はそこを解説をしていきたいと思います。
BSで見るべき指標(1)自己資本比率
まず自己資本比率。
バランスシート(BS)の厚みに対する純資産の割合です。
つまり、返さなくていいお金の割合になります。
どれくらい欲しいと、いつも言っていますか?
20%以上ですね。
そうですね。
不動産業で借り入れが多い場合は15%ぐらいでもいいかな?とは思いますが…
弊社も取引銀行から「グループ連結で15%を守ってほしい」と言われています。
連結で28%〜30%…それぐらいのラインで今は経営しています。
その数字は直近でバランスシート(BS)が厚くなっちゃったわけです。
純資産は増えていない(純資産が変わらない)まま、バランスシート(BS)の厚みがこうなれば、ここの比率は当然下がりますよね?
前期7.3%だったものが、ついに4.0%…
BSで見るべき指標(2)流動比率
次に重要な指標が流動比率です。
「1年以内に返すお金、現金化できるお金」で…
流動資産と流動負債の比率で合っていますか?
現金及び売掛金、つまりこれからすぐ回収できるであろうお金。
分かりやすく言うと、1年以内に現金化できるものです。
それがですね162億円に対して、1年以内に返さなければいけないお金が流動負債と呼ばれますが799億円あります。
5分の1の流動資産しかないのです。
言い換えたら5倍以上負債があるということですね…
ここの目標数値は何%がいいか覚えていますか?
最低でも100%ぐらいは必要ですよね?
100%だと、トントンですよね。
これから先1年間で1億円出る会社が、これから先1年間で1億円現金を持ってる。
これは危ないですよね?
なので目標は150%です。
ココザスは275%くらいだったと思いますが…
返さなければいけないお金の2.5倍や3倍あると「すぐに倒産はしないよね」と、そういうラインなのです。
ここが20%ということで…
過去10数年、つまり2011年度からデータを取っていますが、1番低いラインまで来ています。
過去15%の時もありましたが、2011年度がそうでしたね。
それぐらいまで落ち込んできているということで、なかなかイケていない。
BSで見るべき指標(3)固定比率
そしてもう1つ、固定比率というものがあります。
この会社の固定資産は2,179億円です。
それに対して、もう片側は何か?というと自己資本(つまり純資産)です。
株主資本とも呼ばれますよね。
資本金だったり、利益剰余金。
その金額と固定資産との比率であって…
ということは、分母に93億円、分子に2,179ということで2344%(23倍)ですね。
自己資本純資産の23倍の固定資産、そのほとんどが土地です。
この土地は「現金化しようと!」思った時に現金化できれば良いのですが…
私が1番懸念しているのは「本当に2,000億円の土地を持っているのですか?」というところなのです。
公表されている国土交通省のデータベースに出ているので、誰しも分かると思いますが、2,000億円の土地ですよ!?
以前に成田にあるヒルトンホテルから見ましたよね?
あの土地が2000億円…「その価値はないよね?」と思っています。
あの2,000億円の土地が100倍?
言い過ぎかもしれないですが…10倍でもいいですよ?
売ったら、200億円で売れるわけですよね。
2,000億を今売ろうと思ったら、200億円なんですよ?
その瞬間、1,800億円バランスシート(BS)の数字が合わなくなるのです。
だって200億円のものを、2,000億円で積んでいるんですよ?
1,800億円は無いのです…
ではどうなるか?と言うと、自己資本のところがボーンと債務超過になって。
もう回らなくなる…というような展開なのです。
減損処理と言いますが、2,000億円の土地が本当に2,000億円の価値があるのか?を今度、誰かが調べてくれたらいいなと思っています。
本来は監査法人がやることなのです。
不特法ファンドで200億円以上の負債を持っている会社なので、本来は監査証明が必要です。
それをやっているらしいのですが、ちゃんとやられていないのではないでしょうか…
投資家の皆様が重要視するべきポイント
ということで重要な数字を全て出しましたが、投資家の方が1番重要視している数字がありますよね?
それは何か?と言うと、お金がもつのか?というところです。
「高い土地を買わされているな…」というようなところは、皆さん気付いていらっしゃると思います。
なので「お金が回るのか?」という話なのです。
なぜかと言うと、都市総研インベストファンド自体に140億円のキャッシュがある。
これからの1年で分配金は100億円支払います。
他にも5年前に取り組んでもらっている方で償還を迎える。
つまりもうやめられる方もいらっしゃいます。
ちなみに5年前は、1年で77億円ぐらい売った年です。
本来だったら5年でロールしてるわけなので、5年前に販売した金額。
要は77億円を今年返さなければいけない気がしますが、もしかしたらまた追加でやるのかもしれませんよね?
ということで12億円また戻す…
分配金が100億円で、12億円が返済で、納税が2.5億円ぐらい。
あとは銀行からも少し借りているので、4.5億円を返します。
未払金というのもあり、お給料だったり、色々な運転資金だと思いますが38億円と書かれています。
少し多いのですが、これらを全て合算すると「百数十億円」になります。
今持っている140億円のキャッシュに収まるので、1年以内にショートすることは99%ありえない。
なので資金繰りは大丈夫なのではないでしょうか?
社長の見解として、1年間は大丈夫という見立てですね。
ここには見えていませんが、1〜6号に今キャッシュがあるのです。
なぜかと言うと、都市総研インベストファンドでまず集めたお金を土地購入で1〜6号に送っているのです。
その累計額が、2,000億円。
1〜6号が毎年借地代として、あの成田の土地に対して何十億円を多分返しているのです。
その戻ってきたお金が分配金になります。
先ほどと繰り返しになりますが、お金の流れはこうです。
↓
都市総研インベストファンド
↓
成田プロジェクト1号〜6号
↓(土地の地代)
都市総研インベストファンド
↓(分配金)
投資家さん
上記の流れで、この取引の間で土地の価格が変わっているのです。
なのでまだまだ持つ。
私の希望は成田を盛り上げて欲しいのです。
成田に温泉を作って欲しいのですよ。
なのでちゃんと街を作っていただきたいなと思っています。
作った暁には、本当にあの土地の価値が100倍に上がり投資家さんもみんなハッピー!
このグループも儲かる!私も温泉に入れて儲かる!
私は儲からないね、嬉しいだけですね(笑)
そんな流れになったらいいんじゃないかなと思います。
みんなで大家さん販売(株)の決算書は?
最後に、みんなで大家さん販売株式会社の決算書はピカピカと言ったのですが…
少し変なのです。
前の年に29億円あった現金が…
では「27億円の赤字を出したのか?」と言ったら全然そうではなく…
利益は1年で4億円ぐらい出しているのです。
なんだけども、売掛金(分かりやすく言うと、販売契約は結んだけどもまだ着金してないお金)が3億円だったのですが…
23億円になっていて、なぜか20億円の売掛金が増えているのです。
なんか変な感じがしますよね?
都市総研インベストファンドから紹介料をもらうわけなので…
都市総研インベストファンドの方が蘇生している「みんなで大家さん」という商品を販売代理店として販売していますよね?
ということは、グループ内での売掛金なのですよ。
都市総研インベストファンドが、本当だったら23億円を多分払わなきゃいけないと思うのです。
販売手数料を止めているのでしょうか?
それでもグループだから別に問題ないということですか?
問題はないですね。
これを止めたことによって、都市総研インベストファンドの現金が少し多く見えて…
1年以内に返せるように見えているので、まあうまく調整しているのではないでしょうか?
ただ「土地の厚みが1,000億動きました!」に比べたら、みんなで大家さん販売株式会社は、20億円くらいが動いたという話で、バランスシート(BS)の厚みも7億円増えたとかかな…?
なのでもう微々たるものです。
1,000億円増えてるこの大元のファンドの方が、少し怖いんじゃないかなっ?という風に思います。
本日のまとめ
今回話したポイントを一旦おさらいしますね。
要は自分たちの株主資本の中だけで固定資産への投資をしたいのですが、2344%。
23倍にもなってしまっています。
そして最後に重要なのが、これから1年で払う分配金です。
これに関しては、なんとか賄えています。
140億円ぐらいのキャッシュがあるので、この1年は多分色々なものが払えるのでは?と思っています。
なので、お金の問題で何かトラブルが起こることは私はないと思うのです。
これは、この決算を見ての最新の感想です。
前は少し違ったのですが、今となってはお金は大丈夫だと。
なぜかと言うと、打出の小槌の1〜6号がいるからなのです。
これから投資する方に関しては、同じような不特法ファンドで利回り7%とは言いませんが、5%・6%を出してくれるようなファンドがいくらでもあります。
会社のバランスシート(BS)を今日説明した基準でチェックしてもらえると良いなと思います。
もっと財務健全性が高い会社はいくらでもあるという状態も分かると思います。
この「みんなで大家さん」をやる方は、もう本当に成田が好きで…温泉が好きで…飛行機が好きで…という感じで。
そういう方は、このファンドに投資するといいんじゃないかなと思います。
そうでないのであれば、もっと都心部のレジデンスなどを扱ってる会社で5%くらいのとこはいくらでもありますので…
ぜひ他の記事も見ていただけたらと思います。
今回は都市総研インベストファンドとみんなで大家さん販売株式会社「決算書」について解説をさせていただきました。
ありがとうございました。