エスディビジョンは詐欺か?投資家が抱いた不安と真相


社長は「S DIVISION HOLDINGS(エスディビジョン)」という会社をご存知ですか?

フィリピン籍の会社ですね。

視聴者の方から「こんな投資があるのですが、詐欺じゃないの?大丈夫?」というお問い合わせをいただきました。どういった投資なのでしょうか?

「S DIVISION HOLDINGS(エスディビジョンホールディングス)」というフィリピン籍の会社で、日本の大阪府にも関係会社があり、実質的支配者は同一人物です。
日本国内の投資家に対して社債の勧誘をし、資金を集めたものをフィリピンの事業で真っ当に使っていくんだ!というような話でした。
私が聞いたのは今からちょうど2年ぐらい前の話です。
色々な方から、当時「これはどう思いますか?」という相談が入り…
「やめといた方がいいんじゃない?」というやり取りをたくさんしていました。
しかし、投資されてる方もそれなりにいるはずなのです。
というのが、国内で多分200億円〜300億円の規模で資金を調達しています。

結構な金額を集めていますね…!

かなりの金額ですよね。
動画で確認したい方はこちら
私募で200億円の調達…金融商品取引法違反の全貌


結果、今どうなっているのか?ですが…金融庁の公式リリースが出ています。
何が問題なのか?社債発行の基本ルールを解説
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エスディビジョンホールディングスと、もう1名の役員(おそらく代表者)に対して『金融商品取引法違反』の指摘がありました。
ただし、例外として『49名以下への勧誘』であれば社債管理者は不要です。
これを“私募(わたくし募集)”と言います。
一方、50名以上になると“公募(おおやけの募集)”となり、社債管理者の設置が必須になります。
さらに『同一条件の社債で1億円以上集めてはいけない』など、制約もあります。
49名・1億円の枠を大幅に超過
つまり49名以下で1億円未満なら問題ないのですが…今回は『200億円』です。

私募の条件から完全に外れてますね?

そうなんです。私が知ったのは半年前くらいでしょうか。
私が知った半年ぐらい前でしょうか?
令和3年6月〜令和4年9月の間、私もこの最中に話を聞きました。
少なくとも2,340名の投資家に対して、150億円を超える外国社債を購入させています。
それ以外にも、200億円以上のお金を集めてるという話があります。

それで金融庁に注意されたんですね?

注意というより、裁判所から活動の禁止・停止命令が出ました。
逮捕はされていないみたいですが…
裁判官(大阪地方裁判所)が、申し立てを行っていることがWeb上に残っています。
調べていくともうすでに配当も止まっているみたいです。

被害者の声も出始めているわけですね。

そうです。社債発行自体は違法ではなく、ココザスや楽天グループも行っています。
社債自体は問題ありません。
ただ、公募と私募のルールを守らなければ違反になります。
世の中にはルールを知らずにやっている人もいますし、今回のケースはそれに該当します。
なぜ捕まらないのか?
その人たちが集めていることは、金商法違反ですが…
すぐに逮捕されるかというとそういう話でもないです。

誰かを損させているかというと、現状は言い切れないじゃないですか?

ちゃんと配当を出していれば、すぐに悪質とは言えないですよね。

そういうことです。
公募と私募の境い目を超えてしまったというだけなので、悪質性が低いのです。
しかし、配当が止まると『本当に事業をやるつもりだったのか?』という疑念が生まれ、ポンジスキーム(後から集めたお金で配当を回す手口)の疑いがかけられます。

もう事業の中身がない状態ですね。

内容を見ると、配当停止から半年以上経っているので、事実上もう機能していないと考えられます。
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もうお金も集められないですしね…

新たに集めるなんてことは当然できないわけですし…
なお、フィリピンでマイクロファイナンス(小口融資事業)をやるライセンスも取得していたようですが、これほどの資金は不要でしょう。
一部にポンジ的な要素があったのではと思われます。
なぜ200億円もの資金が集まったのか?“異常な利回り設計”とは


やっぱり“海外の会社”と聞くと怪しく感じますが…それでも投資家は、なぜ200億円も投資してしまったのでしょうか?

一番の理由は「高いリターン」です。典型的な“甘い話”に惹かれたケースですね。 (投資詐欺の多くは、現実離れした高利回りをエサに資金を集めます)
内部資料を見てみましょう。
これは会社概要の資料です。
「エスディビジョンホールディングス」はフィリピン籍の会社で、「フィリピン経済はこれから成長する」という内容が強調されています。
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会社のことに関しては、2012年日本で合同会社、ステップLLCというのは合同会社のことですね。
その後に株式会社ステップキャピタルマネジメントというのを大阪で設立しています。
「資産コンサルティング」という、よくある感じですね。
そこからフィリピンへ進出し、不動産販売やレンディング、つまりお金の貸し付け…
そういったことを色々やっていたみたいです。
見ていると色々書かれていて、すごそうな感じがしますが…

資料や写真だけ見ると、確かに魅力的に見えますね。

そうなんです。ですが、肝心の「どれくらいの利回りが得られるのか?」という具体的数字は会社概要には書かれていません。
我々のビジネスモデルがどれだけ優秀か〜、どれだけ利益率が残るのか〜というような内容が散々書かれています。
「もし仮に預けた場合、あなたのお金がどれぐらい増えますよ」と、非常に勧誘チックな文章ですね。
「日本の普通預金は0.001%で、定期は0.01%ですよ?それに対してうちの商品は〜」というような営業手法やセミナー資料なのだと思います。
年利24%の“超高利回り”で投資家を惹きつけた資金集めの手口
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別資料によると、利回りは以下のような設定でした。

100万円で12%でも高いのに、1,000万円で24%とは…。

普通の社債でこんな設定はあり得ません。

すごいですね!
12%でも相当すごいのに、さらにその倍のリターンを得られるとは…

いま話していて、私がこの相談を受けていた時のことを思い出しました。
・100万円で12%
・300万円で16%
・500万円で18%
というような刻みがあるのです。
普通に考えておかしいと思っていまして…
「より多くの金額を入れてくれたらメリットがありますよ」と言って、1,000万円に誘導するための資料ですよね?
これは「より多く入れた人が得」という設計に見せかけ、実質的に高額投資へ誘導する仕組みです。
(投資詐欺では“投資額を階段式に上げる”ことで、大口投資を引き出すケースが多い)

そうですね。
どんどん階段になっていますものね。

普通、社債ではこんな集め方をすることはありませんよね?
怪しさ満点といいますか…

しかも、伸び率がスゴイですよね…!

事業者目線で考えれば、1,000万円で24%の配当はかなり無理があります。 100万円で12%でも払い過ぎですが、それならまだビジネスが成立する余地はあります。
しかし24%ともなると、利益率50%以上の超高収益事業でない限り、絶対に回りません。
(つまり、利回り設定そのものが現実離れしている=持続不能です)

自分がここの経営者だったら、1000万集めるためには12%しか払わなくていい100万円の方を10名集めますね。

そうですよね?
企業側としては、そのほうが得ですよね。

にも関わらずこんな設計をしている時点で「何かおかしい…」と思わないとダメだと思います。
お金を集めたいだけですよね…
少し前にアップした「ポンジスキームはなぜ5年から7年で破綻するのか?」という内容があります。
シミュレーションをしてみて、どんな動きをするのか?を解説しました。
そこに数字を入れてみても、2、3年で枯渇します。

この条件では、ほぼ確実に短期間で破綻しますね…。

そう思います。新規が集まり続ける計算式を入れた上で、5年〜7年で破綻するという計算でした。
現地でライセンスを取って事業をしていたという話もありますが、それでもこれほどの資金は必要ありません。
私としては、今後IPOや事業拡大で投資家が報われる可能性は低いと考えています。

エスディビジョン、あなたは見抜けたか?


では、過去を振り返りながら考えたいのですが…なぜこの会社に投資をしてしまったのでしょうか? そして、今後同じような投資を避けるにはどうすればいいのでしょうか。

まずはホームページを確認することです。
ホームページでは、今画面がこんな風にスクロールしていきますが…

すぐに終わってしまいますね…

これは何でしょうか…
カンパニーのところを開くと、代表メッセージなど全部英語で書かれていますが、これ何ですか?
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ページが見つからないところもありますね…

代表さんのインタビューだけはなんか残っていますね。
実際に見てみると、ページ数が少なく、会社概要や代表メッセージは英語のみ、一部ページは表示されません。
「こんな会社に投資してはいけない」という典型例です。

今回の投資は社債です。年利24%と高いリターンがある一方で、会社が破綻すれば全額なくなります。

代表にお金を貸すようなものですものね…

代表取締役が全権を握っているとなると、細川さんが言う通り代表者に直接お金を貸すのと同じ感覚で臨むべきです。
代表者の経歴から見るエスディビジョンの実態

私はこの代表者に10年ほど前に会ったことがあります。当時は情報商材をやっていましたね。

社長が覚えているということは、名の知れた方だったのですか?

「すみはじめさん」と言って、名前が特徴的じゃないですか?
当時は物販系の情報商材を販売しており、高額塾を運営していました。
その利益を元にフィリピンへ渡り、レンディング事業を始めたようです。
事業展開自体は違法ではありませんが、資金調達の方法が問題でした。

ビジネスを大きくしていくという考えですよね。

そこからフィリピンでレンディングのビジネスを始めるという、その流れ自体は全然問題ないとは思います。
法律も知らなければ、お金が必要だったのでしょう。
絶対ダメなことですが、代理店を使ってお金を集めています。
投資前に必ず押さえるべきチェックポイント
以下の点について解説していきます。
(1)代理店経由の資金集めは要注意

今回のケースでは、代理店を通じて資金を集め、手数料も支払っていました。 これはネズミ講に近い構造で、「どうして他人に頼ってまでお金を集めるのか?」という疑問を持つべきです。

しかも代理店を挟んでいるということは…
先ほどの24%にさらに何かフィーが発生してたということですよね?

販売手数料みたいなものを払っていると思います。
こういう話は「有り得ないよね」ということです。
(2)なぜその話が自分に届いたのかを考える
これが実際に「社債だった」という風に考えると、法令遵守をしてるかどうか?
ここはちゃんと見ていただきたいのです。
49名以下にしか入ってこない、勧誘できない話がなぜ自分に入ってくるのか?
ここを考えた方がいいと思います。
私募の場合、本来は投資家側からアクセスしなければ情報は得られません。

うちのIFAがヘッジファンドをよく提案していますが…ヘッジファンドというのは、まさに私募です。勧誘依頼書を書いてもらい、それを頂いてからでないと資料も見せません。
日本の金融庁の管轄なので、許認可(許認可っていうのは免許)や、法律関係。
この辺がしっかりしているのか?をまずチェックすることです。
(3)利回りだけに惹かれない
あとは事業をどれだけ理解していましたか?と聞きたいです。
フィリピンで行っているマイクロファイナンスの事業にどれだけ共感をしていましたか?と…
利回りだけに惹かれてませんか?
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事業への共感も、代表への信頼もなく、「24%が欲しいから投資した」というケースは非常に多いです。
世の中には資金を集めて逃げる人も少なくありません。
世の中にはお金を集めて逃げてしまう人がたくさんいます。

最近、ニュースでもそういう話題が多いですものね…
(4)代表者を見極める

こんな話ばかりしてますが、私も社債の発行をしてます。
私は社債を発行していますが、顔も実名も住所も公開し、登記簿も確認できます。
代表者を見て「違うな」と思ったら投資しない判断が大切です。

自分のことを聖人と言うつもりはありませんが、こういう詐欺師たちを見ていると非常に腹立たしいなと思います。

今回のケースについての安藤の見解

私からのお願いは、絶対にこういうよく分からない投資やポンジスキームにお金を出さないで欲しいのです。
お金を出しても、ろくなことになりません。
世の中のためにならないのです。
なぜかというと、200億円集めたお金がどこに消えたのか?
本当にわからないのです…
もしかしたら本当に真っ当にビジネスをやっていた可能性があります。
なので、このエスディビジョンという会社が詐欺かどうか現時点でどうこう言える話ではありません。
しかし結果として法律違反で、すごく高い金利をかけて資金を集めている
これはうまくいかないでしょ?経営としてダメだよね?と。
代表者にはその責任があるわけですから、良くないんじゃないの?と…
警鐘を鳴らしてるわけです。
彼らはどうなのかは分かりませんが、一般的にこういうお金を集める人は金の亡者のような人たちが多いので…
そんなところにお金を使うよりも、もっと周りの大切な人にお金を使ってあげた方がこの世の中がもっと良くなるんじゃないかなと思います。
自分自身のお金もゼロになったらもうしょうがないじゃないですか?

そうですね…

1回ゼロになってしまったら、他の投資がすごくうまくいっていたとしても…
そこで得たほとんどの利益を失ってしまうことになります。
だからこそ、自分の大切なお金を守るために、事前調査と冷静な判断を欠かさないでください。
今回は以上になります。
ありがとうございました。