前澤さんが発表したカブアンドが気になる


社長、前澤優作さんが始めたあのカブアンドって知ってますか?

ああ、見ました見ました。
僕もちらっとしか見ていないので、詳しくは分からないんですけど、あれって何なんですかね。

お客さん側として、あるいは会社として、どっちの立場でもうまくいきそうですか?

実は、私は懐疑的に見ておりまして。

あ、そうなんですね。

そうなんですよ。ちなみに私、企業家として前澤優作さんは大好きでして、非常にリスペクトしております。あんな人生を歩んでいるのが羨ましいですし、経営の意思決定も勉強させてもらっています。
彼が人生をかけたプロジェクトを始めたのは本当に大きなことです。この記事が何日にアップされるか分かりませんけども、たしか11月20日にサービスがスタートするみたいなことを読みました。

LPには株がもらえるとか、カブアンドの最初の株主になれるなどと書かれています。

動画で確認したい方はこちら

面白いですね。

カブアンドはどのようなサービス?

シンプルにどういうサービスと言うと、生活インフラサービス、たとえば電気・ガス・モバイル通信・ネット回線、あとはウォーターサーバーとふるさと納税の6種類をカブアンド経由で申し込む。
たとえばKABU&電気、KABU&モバイルとか、KABU&ふるさと納税とか….
ここにすべて切り替えていくと、カブアンドの運営会社であるカブ&ピースの株―なんかチャーミングで前澤さんらしい名前の付け方ですけど―がもらえるんだそうです。

これが取得できて、「国民総株主」とかいうコンセプトで盛り上がってるわけですね。

はい。
カブアンドはいわゆるインフラ代理店ビジネス?


で、私がなぜ懐疑的なのかって言うと、シンプルにこれ、他社から切り替えていかなきゃいけないじゃないですか。
電気とかって、よくある代理店のサービスというか、なんかそんな感じですよね。
要はカブアンドピース社は、インフラサービスの代理店ビジネスを始めたってことなんですね。

本質はそうですね。

はい、本質はそうです。
で、そこに誘導するためのインセンティブの形が、楽天経済圏のようにポイント発行できるわけじゃない。
乗り換えで「キャッシュバック何万円差し上げますよ」というわけでもなくて、「株式を渡しますよ」という。

うんうん。

発想としては面白いなと思っています。

面白いですね。
社長は懐疑的ということですが、なんか楽しみな部分もあるんですね。
そう。
たとえば、自宅の電気・ガス・水道・ウォーターサーバー・ふるさと納税、全てをカブアンドピース社に委ねてくださいと。
そうすると株がもらえるんですよ。
未上場株をもらったユーザーが、どうすれば得するのか?

株を単に「持っているだけ」では意味がないですよね。 細川さん、株主として株がどうなったら嬉しいですか?

たぶん…ピース社の株をもらってピース社が大きくなったら、僕の資産が増えるんじゃないですか?
でも、株を売らないといけないですよね。売るためには、まず上場しないと。

そうですね。
上場したら一般の場でピース社の株の売却ができます。
無料で手に入れた株式ですから、それを売却すればまるまる利益ですね。

いいですね。

もしくは上場はしなくても、途中でどこか大手の傘下に入るパターンです。

なるほど。

例えばピース社が楽天の傘下に入ったとします。
仮に楽天がピース社を100億円で買収したとすると、細川さんが1%の株式を持っていたら…その評価額に応じて1億円が手元に入る可能性もあります。
これも嬉しい展開ですね。
未上場の会社の株式から得られるメリット


他にはありますか?3つ目。

出てこないですね。何がありますか?

一般的なイグジットはIPOやM&Aだけど、未上場の会社が儲かって配当を払うパターンもあるんですよね。未上場の会社の株式をもらって嬉しいのって、この3つのパターンなんですよ。

はい。

未上場の株をもらうメリットはこの3つなんだけどでは、イグジットをどういう風に考えてるのかが非常に重要なポイント。
あと、上場やM&Aを目指すなら、株主の反社チェックはどうするのか。

反社チェックですか?どうしてですか?

もし株主の中に反社がいたら、東証から永久に追放されちゃいますよ。

ああ、利用者を誰かって制限できないからってことですね。

分からないじゃないですか。もしかしたら細川さんがもしかしたら悪い人かもしれない(笑)

いやいや、ネット上で公開されてるところでそんなこと言わないでください(笑)

はい、冗談が過ぎました。すみません(笑)
でも、そういう問題もあるし、株主名簿の管理コストも気になる。何万人も小口の株主を抱えたら事務コストが大変だし、それをどう考えてるのか。

なるほど。

このビジネスモデルは前澤さんらしく挑戦的で面白いけど、実務面で難しいと思う。例えば、電気の切り替えで10万人が加入したとして、その人たちを株主名簿に反映させる仕組みが不明だし、どう管理するのか分からない。

ああ、なるほど。

株を渡す場合、評価額が上がると贈与になるし、そのスキームがまだ見えてない。株価の設定も気になるね。
もし、細川さんが複数サービス契約したとき、どれくらい株をもらうのか。

もちろん、頭のいい方なので考えているとは思いますが、現時点では分かりません。
それと、株価の設定もどうするのか気になりますね。例えば、細川さんが6つのサービスに一斉に契約を切り替えた時に、何パーの株をもらうんだろう。

0.001%とか…。

でも、その株価どうやって決めるのか。発行可能株式数をどう設定するかも関係してきますよね。

はい。

株価は企業の業績や純資産に基づいて決まりますが、初年度の株付与などは不明確です。
このビジネスモデルは面白いものの、成功の不安要素が多いと感じてしまうんですよ。そもそもビジネスモデルが代理店業に過ぎないんです。インフラビジネスにおけるスイッチングコストが非常に高いことをご存じですか?
インフラのスイッチングコストとは


スイッチングコストって、つまり乗り換えコストですよね?

はい。例えば、細川さんが東京電力の契約を続けている理由は他社からの乗り換えが面倒だからですよね。携帯も同様です。

確かに、面倒でそのままにしてしまいますね。

ウォーターサーバーやふるさと納税も、安さだけでは乗り換えない。インフラ契約の切り替えは難しいんです。

なるほど。色々安いところもありますけど、その会社がダメになった時にまた乗り換えるのが手間で、結局そのままにしてるところがありますね。

カブアンドはエコシステムを作ることを目指していて、前澤さんの影響力で会員を集め、ビジネスを軌道に乗せようとしているけど、最終的にはインフラ切り替えが進まないかもしれません。

確かに、最初は集められても長続きしないかもしれませんね。
ユーザーを集めることが1つの目的?


カブアンドがやりたいのは「エコシステムの創出」なんです。楽天グループに似ているかな。楽天も携帯会員集めるのが大変で、これと似た状況です。
秘策は、前澤さんの影響力を使って一気に会員を集め、ビジネスを軌道に乗せることです。インフラのリザーブだけでは儲からないから。

まあそうですよね。代理店ですもんね。

安くしないと切り替えてくれないし、「カブアンドの株式もらえます」って言っても、そのベネフィットはなかなか伝わりにくいんですよ。

はい。

て結局、まずはリストを集めて、それを活用する事業戦略だと思います。クロスセル・アップセルで儲ける戦略。
でも、今のままだとサービスが閉じて終わる気がしてます。私の所感で言うと、正直ここまでたどり着かずにサービスが閉じて終わるんじゃないかなって思ってるんですよ。

うーん。

最初は面白いから集まるけど、SNSや前澤さんの話題性で集められる人数には限界がある。過去のお金配りでも動いた人数は限られてたし、インフラ契約を切り替えるとなると、どれくらい動くか。

どれぐらい動いてたんですか?

前澤さんのフォロワーは977万人。お金配りはテストマーケティングだったんですね。でも、リスクや面倒がなかったから簡単にできた。インフラ契約の切り替えとなると、1000万人のうち1%でも10万人。それじゃ足りない。

うーん。

どうやって事業を大きくするのかが問題。株を渡すということは、イグジットを考えなきゃいけません。何だったのかって思われるかも。

まあ、何もなければ…ってことですよね。

そう、何もなければ。 そうなったら乗り換えも進まない。
最初は「株がもらえる」だけで集まるかもしれないけど、それじゃインセンティブにはならない。結果、フェードアウトする未来しか見えない。
前澤友作さんがやりたいこととは


これは批判ではなくて、普通に感じることです。 やっぱりZOZOTOWNスタート時の経営はすごかったと思うんですよ。あれだけ営業利益を伸ばし続けた。だけど、それ以降の前澤さんがヒットさせたものはあまりない。ロボット系の会社買収とか、色々なプロジェクトをやったけど、形になっていない。

ああ、LOVOTとかですね。

そうそう。でも今回の「株をみんなに渡す」というところには、正直少し心が動きました。

僕みたいな人を狙ってるのかもしれませんね。

そうかもしれない。でも、前澤さんがやっていることには本気度があるかどうかちょっと分からないけど、企業家として今まで温めてきたアイデアを形にしていると思います。でも、半年後には話題になってないんじゃないかとも感じてます。

うん。

前澤さんはお金も自由に使えるようになって、株主の目もなくなり、しばらく遊び尽くした感じがあります。
その後、事業欲が湧いてきたんでしょうね。企業家として何かをやりたくて、温めてきたアイデアを今形にしているんだと思います。ただ、半年後には正直あまり話題になってないかもしれません。

なるほど。

そして、前澤さんは株を持つことで、全国的に富の偏りを是正し、格差をなくしたいという思いがあるようです。X(旧Twitter)でもそのようなことを発信していました。
格差は縮まりますよ。
— 前澤友作 (@yousuck2020) September 11, 2024
分かりやすくするために、地球の人口が100人で、地球上に会社が1社しかなく、この100人は全員この会社で働いているとします。
<Aパターン>… https://t.co/L3JX6aNhjS
これはおそらく前澤さん自身が格差を感じてきたからこそ、ベーシックインカム的な考えに基づいて、全員がフェアな世界を作ろうとしている気がします。富の分配を目指す、新たな形のテストだと。

前澤さんのまだ本当にやりたいことは模索中だと思います。なので、まず11月20日に話題になるでしょうから、その時を待ちましょう。
もしかしたら私のような一個人が気づかないような、次なる狙いっていうのを仕掛けている可能性は高いと思います。

そうですね。いろいろ考えているようですが、今の情報だけだと「ここってどうなっているの?」という感じですね。

そう、「おお、なるほど」と言えるような情報が更新されるんじゃないかなっと思っています。前澤さんはとても尊敬している方なので、これからも情報をチェックしていこうと思います。世の中の新しい流れや有名な方の動きが時代を作っていくので、これからも注目していくべきですね。
じゃあ今日はこの辺で、また別の記事でお会いしましょう。 ありがとうございました。